スクランブル・ウィザード
以下はWikipediaより引用
要約
『スクランブル・ウィザード』(Scramble Wizards)は、すえばしけんによる日本のライトノベル。イラストはかぼちゃが担当。HJ文庫(ホビージャパン)より2008年7月から2010年7月まで刊行された。第2回ノベルジャパン大賞受賞作品(受賞時のタイトルは「Wizard's Fugue」)。
あらすじ
椎葉十郎の姉・一花は総人口の中でもごく少人数しか存在しない魔法士の中でも、さらに稀少な複数の魔法回路を同時に発動する複数施呪(マルチ・キャスティング)の才能に恵まれていた。その才能により、魔法を悪用した犯罪を取り締まる内閣府特別対策局で特級特殊執行官の職に就いていた。一花は魔法士としては平凡な才能の十郎が自分と同じ特殊執行官を目指すことに強く反対するが、その直後に他の魔法士たちと共に中東へ派遣される。そして、内戦のさなかで搭乗していた飛行機が撃墜され、帰らぬ人となった。保護者であり、自分の目標でもあった一花を失った十郎は特殊執行官となり、特別対策局の一員となる。ところが、反魔法士主義を掲げるテロリストの鎮圧に失敗し事実上の懲罰人事により守ヶ丘初等育成校の教官へ転属させられる。
登場人物
椎葉 十郎(しいば じゅうろう)
主人公。姉・一花の乗った飛行機が中東で撃墜された後、かつて姉が所属していた内閣府特別対策局の一員となるが反魔法士主義を掲げるテロリストの鎮圧に失敗したことで事実上の懲罰人事として魔法士の才能を持つ小学生を集めた特別教育施設である守ヶ丘初等育成校の教官となる。当初は事実上の懲罰人事に対して不満を持ち、無難に任期を終えて現場へ戻りたいと思っていたが、雛咲月子との出会いにより少しずつ心境に変化が生じている。
一級特殊執行官ながら、魔法士の中でも卓越した存在であった姉とは比ぶべくも無いDランクの才能しか持ち合わせていないことに対して長年、コンプレックスを抱いていた。しかし、現在ではそれを逆手に取って他人が組んだ魔法回路を解除する「壊呪」を独学で発展させ、魔法士ランクで優位に立つ相手と互角以上にわたり合うまでになっている。その成果としてハムスターに似せた魔法回路集合体のゴマイチロー(黒)・フクジロー(白)の2匹を常に持ち歩いているが、この2匹の正体を知っているのはごく少人数である。
実力的にはかなり高く病み上がりの状態で姉、一花に勝負を挑み(一時的に)魔法と動きを封じることに成功するほど。
得意魔法は相手の魔法回路を壊す「壊呪」、相手の魔法をその場にあるマナ全てを吸収するまで魔法を食らい続ける「暴食鼠」。
雛咲 月子(ひなさき つきこ)
育成校年長組の委員長。代々、政治家を輩出している名家・雛咲家の令嬢。父・拓馬も例に漏れず与党の現職衆議院議員である。本人もそうした家系に生まれたことを常々、強く自覚しており人前では必要以上に「優等生」を演じようとしていたがその態度が演技であることを見抜いた十郎に非難を浴びせられ、号泣する。その後、可愛がっていた野良猫(後に「サバタロー」と命名)が重傷を負った際に十郎への見方が変わり、現在では寮を出てペットの飼える部屋へ引っ越すことともう一つの目標を胸に頑張っている。
素質判定は一巻の時点ではDからAの間をふらふらしているような状態だったが3巻の時点でAランクを超えると十郎に評されている上、一花と同じ複数施呪の能力を持っている。そのことに気付いているのは現在、十郎及び最部、能勢のみであり、十郎は月子を危険に晒すリスクを考慮した十郎の指示により人前では複数施呪の使用を禁じられている。
幼いながら経験で圧倒的に勝る一花と対等に渡り合い十郎が一花を倒す大きな手助けをするなど実力的には一流と言える。
椎葉一花
元特別対策局所属の執行官であり十郎の姉。世界に類を見ないほどの天才であり十代で特急特殊執行官の地位を得、第一線で働いていた。中東で死亡したと世間的には発表されていたが実際には生存し現在氷見谷と行動を共にしている。
狂気に突き動かされているように十郎を重態に追い込み、その後も「恨み」により政府上層部の人間を殺したが、その行為は深い罪悪感をマクスウェルに歪められた結果であり本来は上層部の命令により殺人をしたことを悔いていた。また世界的に珍しい複数施呪能力者でもある。
「魔弾」「霹靂火」「大顎」「霜刃」「千刃」など近・中・遠距離を問わず多彩な攻撃魔法を身につけており基本的な魔法技能の高さと「複数施呪能力」の力により作中でも最強クラスの力を持つ。
用語
魔法士
作中における魔法を使える人間は全員魔法士である。素質によってA B C D Eにランク分けされており、Eは「魔力素子が感じ取れるのみ」で魔法は使えず、それ以上は「より高速 高度に魔法が使える人間」となる。
また、この能力とは別に「複数施呪」能力というものも存在する。
魔力素子(マナ)
作中では魔力素子という単語はあまり使われず主にマナという呼称のほうが多用される。
魔法回路
使う魔法によりパターンは数百とも数千ともいわれる。魔法士以外には認識不能。
複数施呪能力(マルチキャスター)
通常の魔法士であっても一つの魔法に付加式というものを付け複数同時展開はできるが、完全並列で魔法を複数発動できるのは複数施呪能力者だけである。 魔法回路を何十個も同時に展開する。敵対する魔法百数十個を同時に破壊するなど普通の魔法士では考えられないほどの強力な魔法を展開できるが、世界的に希少な能力者であり物語中でも月子と一花の2人しか登場していない。
施呪(キャスティング)
素質判定のランクが高いほど短時間で強力な魔法を施呪できる。
壊呪(ディスペル)
魔法を発動する前に止める事ができる強力な技術ではあるが、「相手の魔法が発動するより早く実行しなければならない」「有効射程が狭い」「失敗した場合無抵抗で相手の魔法を食らう」などリスクも大きい。また、相手の魔法回路の構成を完璧に頭に叩き込んでおかねばならず必然的に学ぶのにも時間がかかる。しかし、他の技術とは違い「素質判定のランクによってスピードに差が出ない」ため低ランクの者でも努力を要すれば結果が出せる技術である。(作中での「壊呪使い」は十郎のみであり技術の応用などもほぼ彼一人でなしえたものである)
既刊一覧
- すえばしけん(著) / かぼちゃ(イラスト) 『スクランブル・ウィザード』 ホビージャパン〈HJ文庫〉、全7巻
- 2008年7月1日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-89425-729-0
- 2008年11月1日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-89425-768-9
- 2009年3月1日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-89425-829-7
- 2009年7月1日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-89425-899-0
- 2009年11月1日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-89425-955-3
- 2010年3月1日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-7986-0005-5
- 2010年7月1日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-7986-0079-6