ストレイト・ジャケット
以下はWikipediaより引用
要約
『ストレイト・ジャケット』は榊一郎による日本のライトノベル。イラストは藤城陽が担当。富士見書房(富士見ファンタジア文庫)より2000年8月から2010年9月まで刊行された。略称「ストジャ」。2008年12月時点でシリーズ累計部数は55万部を突破している。
2007年6月20日T.O Entertainmentプロデュースによるアニメ化が発表され、同日に公式サイトオープン。2007年秋より全3巻でDVDがリリースされる。
モールドと呼ばれる鎧をまとって魔族と戦う戦術魔法士「タクティカル・ソーサリスト(通称:ストレイト・ジャケット)」の青年レイオットと、彼の同居人でCSAである少女カペルテータの周りで起こる戦いの物語。彼らの住む街トリスタンで起こる魔族の事件と共に、裏で大きな謎が暗躍している。
あらすじ
登場人物
主要登場人物
レイオット・スタインバーグ (Reiot Steighnberg)
本作品の主人公であり、無資格の戦術魔法士。黒髪と黒い瞳の、東方系の外見だが孤児のため出身は不明。いつも黒いロイド型サングラスを鼻先に掛けていて、青いロング・コートを着用している。本名、年齢、全て不詳(外見的には二十代中盤ほど)。AB型。幼い頃の記憶がないようである。魔族専門の戦術魔法士として大陸でもトップクラスの実力の持ち主。過去にある人物を殺した自責の念からか生に対する執着が希薄だが、ネリンと会ってから少しずつ心境が変化している。普段は気だるげで胡散臭い雰囲気を醸し出しているが、魔族との戦闘中は非常にテンションが高くなる。斜に構えたような言動が目立つが、完全に他人を突き放すことができない甘さも持っているため、しばしばジャックやフィリシスからは「不器用」と評される。また、「周囲を気遣わない」と思われているが、戦闘中に後ろの人間に魔族の攻撃があたる、という状況で咄嗟に回避せず防御の魔法を使う一面も持つ(フィリシス曰く「甲斐性なしの癖に変なとこで気が利く」)。なお、唯一の趣味は料理であり、その腕はネリンよりも上手い。使用モールドは〈スフォルテンド〉。
銃器の扱いに長けており、拳銃からライフルまで幅広く使いこなす。
カペルテータと同居していて、一応は保護者に近い立場であり、食べ物やベッドや小遣いは過不足なく与えているが、束縛もしてはいない。最終巻の終章(本編の二年後)では恋人関係であることが示唆されている。
名前の元ネタはギター・メーカーのスタインバーガー。
カペルテータ・フェルナンデス (Kapeltetha Ferrnandess)
CSA(先天性魔法中毒患者)の少女。13歳。虚ろな心の持ち主で、何事にも淡々としている。紅い髪と同じ色の瞳という容姿に加え、眉と鎖骨の下の部分に二つずつ紅い球体が埋まっているという特徴を持つ。魔力の波動(イマジネーション・バースト)を捕らえ、魔族を察知する能力を持つ。また、記憶力がずば抜けて優れており、ほんの一瞬眼にしたものを瞬時に記憶し、それを写真並に絵に描くことが出来る。レイオットと同居しているが彼に対し明確な感情を表したことなどはなく、目的は不明。とある事件をきっかけにレイオットと知り合い、またその時に起きた出来事が彼女に大きな影響を及ぼした。レイオットは彼女が同居している理由は自身に対する復讐だと思っていたが、カペルテータ自身はそれを否定している。
最終巻ではモールドを装着し魔法を用いレイオット達の危機を救う。使用モールドは〈アセンブラのカペルテータ・カスタム〉。
紅茶に対する知識は人並み以上にある。
名前の元ネタはエレキギターやエレキベースのメーカーであるフェルナンデス。
ネリン・シモンズ (Nelin Simmonz)
労務省魔法管理局二級監督官の女性。難関の試験を20代の若さで突破したエリートだが、見た目はそうは見えない。性格は生真面目で、規則を重んじ、自分にも他人にも厳しい。レイオットからは「生真面目を絵に描いた上で額に填めて鉄壁に溶接したかのような人物」と評されている。レイオットが無資格の戦術魔法士であることを気にし、資格を取らせようとするなど何かと世話を焼いている。最近は以前はやらなかったであろう無茶な行為をとっさとはいえやってしまうなど、レイオットに感化されてきたようなところもある。童顔であることを気にしている。国家公務員のため、月給は高いが、大学の奨学金返済と実家への仕送りのため、あまり余裕のない生活をしている。
無類の猫好きで、猫を前にするとその愛らしさにやられてしまう。
ジャック・ローランド
フィリシス・ムーグ (Filiciss Muhgue)
戦術魔法士(正規)の女性。プラチナ色の髪をみじかくまとめた、ボーイッシュで中性的な外見。レイオットの元パートナーで、共に暮らしていたことがあり、一時期男女の関係にもなっていた。実家は裕福な貿易商。どこか猫を思わせる、優れた容貌と何をしても人並み以上にこなす才能、レイオットを上回るほどの戦術魔法士としての実力、飄々として嫌味の無い性格をもつ自他ともに認める天才だが、それゆえにある種のゆがみを抱えている。ただし、人の顔と名前を憶えることだけは苦手。とある経緯により、現在はネリンとはファーストネームで呼び合う友人同士(飲み友達)となっている。使用モールドは〈フォルテシス〉。
最終巻での左脚の負傷により戦術魔法士は廃業。
魔法士・管理局関連者
アルフレッド・スタインウェイ
レイオットと因縁のある隻眼の戦術魔法士(無資格)。使用モールドの〈ディアパルゾン〉は対人、対魔法士との戦闘が考慮されている。魔族専門のレイオットとは異なり、金さえ積めば人間であろうと魔族であろうと躊躇することなく殺める人物。レイオットからは「アル坊や」と呼ばれることが多い。母親に対して異常なほどの執着心を見せている。
実はカペルテータと同様にCSAであり、眼帯に隠された左目の下には眼球の代わりに鳥の翼が生えている。
過去に自身の子供がCSAであるという事実を受け入れられずに狂気に染まり、自分を殺そうとした母親を殺害しており、自分と同じく『自分の親を殺した』という罪を背負うレイオットに対して兄弟のような意識を抱いていたが、その罪から這い上がろうとしている彼の姿に失望し、激しい憎悪を抱いていた。ロミリオの協力によって〈エレンディラ〉を完成させ、自身がしがみついている世界がいかに脆弱で無価値なものであるかをレイオットに思い知らせるためにトリスタンを破壊し尽くそうと目論む。
名前の元ネタはピアノ製造会社のスタインウェイ・アンド・サンズ。
ドーベルン・スタインバーグ
ヴィクハルト・ヤークトルーフ
トーマス・パラ・ビーチャム
エヴァ・イーミュン
警察・組織関係
ブライアン・メノ・モデラート
源流魔法使・資格者関係者
ジョージ・グレコ
ロミリオ・ポロ・プロフェット
ロン・コルグ (Long Korg)
ギルバート・ギブスン
通称「G・G」。トリスタンの魔法士誘致政策の一環でやって来た救命魔法士。レイオット同様ネリンの担当する魔法士で、レイオット以上に無茶な行動を取っていた。常に笑顔で礼儀正しく、人当たりの良い性格だが、その本質は、一切の価値観を持っておらず、世間一般の常識を機械的に理解して実行しているだけに過ぎない。
後にレイオットと共に行った仕事で、生き埋め状態となったレイオットを脱出させるため、モールドが破損した状態で魔法を使用。魔族化したか、あるいは死んだと思われていたが、ロン・コルグに見出され行動を共にしている。9巻でネリンの前に姿を現し、彼女に「資格者」の存在と彼らの陰謀に関する忠告を告げた。
名前の元ネタは有名ギターメーカーのギブソン。
その他の登場人物
ファーゴ・レスポール
フィリシスの助手を務める男性。執事の様な服装をしていて、常にフィリシスに付き従っている。フィリシスからも気に入られていて、運転手も務めている。上品そうな容姿と裏腹に、ムーグ邸に仕える以前は軍の上層部である教導部隊・空挺部隊に居たという経歴を持っており、現在でも軍関係者とは色々と顔が利く。そのため銃器の扱いや体術にも長けていて、その点ではレイオットを遥かに上回っている。常に冷静沈着で、魔族を眼の前にしても全く恐れずに自分のなすべきことをなしていく強さを持つ。いつ寝ているのか不明。現在療養中の妻がいる。
榊一郎作品に頻繁に登場する使用人・執事・メイドの類の典型である。
名前の元ネタはギブソン社の有名エレキギターであるレスポール。
エリック・サリヴァン
フレッド・クラプトン
バリー・シェリング
エレナの夫。かつて事故で息子を亡くしており、その事故で自分も左手首から先と左足の膝から下を失った。学者然とした顔つきをしているが、インテリ層に嫌われがちなレイオットのことは気に入っているらしい。
元は新聞記者だったが、事故以来は家で海外出版物の翻訳や評論関係の文章を書いて収入を得ている。レイオットの危機に駆けつけ、片手で散弾銃を操るという一面も。
この散弾銃を片手で廃莢・装填するというアクションだが、これはスピン・ローディング(スピン・コッキング)といい、片手でレバーアクション・ショットガンを回転させることで廃莢・装填を行うというレバーアクション特有の装填方法である。古くは西部劇で見られ、近年では「ターミネーター2」でT-800が披露したことで有名なガンプレイの一種である。
ナレア・シモンズ
シャロン
ゲスト・キャラクター
ニンゲンのカタチ
ジェームズ・トムスン
ルイス・レハール
ツミビトのキオク
オモイデのスミカ〜オモイデのカナタ
コーネリア・フェルナンデス
マクシミリアーノ・フェルナンデス
ヨワムシのヤイバ
ラクエンのサダメ
イケニエのヒツジ〜イケニエのロンリ
カール・メイスン
セキガンのアクマ
ニンゲンのオワリ〜ニンゲンのアシタ
リマ・メイヴィス
ブランカン・コンコーネ
アニメオリジナル
アイザック・ハモンド
用語
魔法【Magic】
聖シューマンの実験【セント・シューマン・エクスペリメント】
呪素
魔族【メレヴェレント/The Malevolent】
なお、魔族化後の容姿や行動は人間時の心理によって異なり、強く執着していたことに関連した行動をとることが多い。
魔族化の程度によって
「男爵/バロネージ」級
「子爵/ヴィスコント」級
「伯爵/カウント」級
「侯爵/マークウィス」級
「公爵/デューク」級
「魔王/ルシフェル」級
魔王級【ルシフェル/Rucifer】
〈謡うもの〉【シンガー】
魔王級【ルシフェル/Rucifer】
〈謡うもの〉【シンガー】
イエルネフェルト事変
また、この際にロミリオとオッフェルトリウム以外の「資格者」が発生した。
魔法使い
魔法士【ソーサリスト/Sorcerist】
戦術魔法士【タクティカル・ソーサリスト/Tactical Sorcerist】
医療魔法士【メディカル・ソーサリスト/Medical Sorcerist】
救命魔法士【レスキュー・ソーサリスト/Rescue Sorcerist】
ストレイト・ジャケット【Strait Jacket】
単行本の冒頭のページに辞書的な意味が掲載されている。
源流魔法使【ルート・ソーサリアン】
その存在が公式に確認されたことはないが、グレコ教授が魔法技術の体系を確立する際に彼らの協力があったとする考えは既に定説化されている。現在の社会においては、俗世間との繋がりを絶ち、あるいは秘密結社化して正規の魔法士達とは異なる魔法技術体系を築いているとされるが、その一方で、魔王級魔族の駆除や初期モールドの開発にも彼らが関わっていたのではないかと言われている。
後述の「完全体」と同じく、モールド無しで魔法の使用が可能だが、「完全体」が素質に依る部分が大きいのに対し、源流魔法使は修練によって精神力を高め、魔族化の過程を幾つかに分けて実行する事で理性ある魔族へ自らの肉体を変化させているという。また、ロン・コルグ曰く、現存する聖シューマンの実験を起源とする魔法はもともと彼らが確立していた技術をジョージ・グレコ教授が模倣したものであるという。また、彼らは魔法を使用する際に意図的に呪素を対外に排出し蓄積を防いでいるが、魔法士のモールドに備わる拘束端子もこれと同じ仕組みだという。
モールド【Mold】
スタッフ【Staff】
モールドキャリア
一次拘束術式図版【プライマリ・レストリクト・パターン】
二次拘束術式図版【セカンダリ・レストリクト・パターン】
プレッジ・レター
基礎級呪文【ベーシック・スペル】
補助呪文【ブースター・スペル】
撃発音声【トリガーヴォイス】
無音詠唱【ダムキャスト】
模擬戦闘用魔法術式
CSA【コンジェネタル・ソーサリィ・アディクト/Congenital Sorcery Addict】
魔力圏【ドメイン/Domain】
賢者石
燃料気化爆弾【Fuel Air Explosive Bomb】
〈イエルネフェルト事変〉の際には、この手の大規模破壊用の爆弾を集中投下することによって、魔王級を含む魔族を駆逐した。
〈シェル〉
〈黒本〉
もとは〈シェル〉が出回った際にマニュアルとして添付されていたものを複製したもので、地下市場で出回っている。魔法に関する詳細な知識は一般社会に対しては厳密に秘匿されているため、この本も違法にあたる。
ちなみにネーミングの由来はセンター試験用過去問題集である黒本。
〈生贄機関〉
〈プロムナード機関〉
完全体【パーフェクタント/Perfectant】
ドルフ曰く、魔族化とは魔法を行使するのに効率的で最適な肉体への進化であるという。しかし、その進化の際に全身が神経細胞も含め全く違うものへ組み替えられるため、進化する人間はとてつもない激痛と快楽を伴った異常な感覚の嵐に晒されるため進化の制御が利かず、自らの身体を上手く変えることが出来ない。更にはその異常な感覚により理性が壊れてしまうため、結果として一般的な魔族のような化け物となってしまうという。
しかし、逆に言えば異常感覚の奔流の中でも理性を保ち続ければ、そのまま人間の形状と理性を持った魔族が誕生するということになる。これが「完全体」である。ただし、これには個体差が大きく偶然の要素が多く、「完全体」となれるものは千人に一人もいないという。
ある人物によると、彼らは生まれつき感情や感覚が大きく欠落していて、まともに感性が機能していなかったため、魔法の力に感情を振り回されることなく、理性を保つことができただけの不完全な存在に過ぎないらしい。
資格者【クオリファイア/Qualifier】
組織
帝都警察【C.P./Capital Police】
A.T.A.S.A.【Attack Team Against Socery-Addict】
〈ジャベリン〉
SES【Special Enforcement Scad】
SSS【Special Sniping Scad】
ホルスト教
ランパル真教
〈遺族の会〉
〈秩序成す炎〉
〈憂国騎士団〉
〈結社〉
モールド
〈スフォルテンド〉
十年以上前の設計であるため、やや使い勝手の悪さも見えるが、モールドの基本構造は十年以上大きな変化はしていないので、現在主流のモールドと比べてもそれほど劣っていない。元々は〈スカルラット〉(後述)であり、ジャックの手により外装に改修が加えられたもの(しかし、ジャック曰くもう〈スカルラット〉の部品はほとんど残っていない)。
かつて使用していた魔法士が1度魔族化していることもあり、魔法局はこのようなモールドを使うことを許可できず、処分すべきと考えている。しかし、レイオット自身は師匠の形見であるこのモールドを処分する気になれず、資格を取ろうとしない理由の一因となっている。
イメージモデルは自動拳銃FN ブローニング・ハイパワーであり、拘束度数13というのもブローニング・ハイパワーの装弾数から来ており、現在となっては旧型であっても十分に機能性を発揮するという意味合いが込められている。ちなみに、作者自身デザインに関しては最も好きな銃であると語っている。
スタッフ
後にジャックが新型を開発。小型化・軽量化に成功し、全長は以前の八割ほどとなった(以前のスタッフを丸ごと縮小したような形状)。更には、魔法精錬による軽合金や強化樹脂を多用したことで増幅率も上がっている。
新機軸
スタッフを保持するものと同様のものがもう1つ備わっており、こちらには補助武装の銃器などを装着することが可能。
元ネタは映画『エイリアン2』のM56スマートガン。
〈パルティータ〉
〈フォルテシス〉
ローランド工房の最新鋭で、拘束度数こそ少ないものの、軽量化や関節の可動性・運動性、魔法増幅率向上などに重点が置かれており、総合的戦闘力はむしろ高い。標準的なタクティカル・モールドには銃器を装備する為のホルスターが付属しているが、代わりにワイヤーや小型拳銃を入れたポーチボックスが装備されている。
イメージモデルは自動拳銃ベレッタM92であり、スタイリッシュな概観に重点が置かれたコンセプトになっている。
スタッフ
〈ディアパルゾン〉
スタッフの呪文書式板装填筒(スペル・タグ・ローダー)は五面式。増幅率など、性能的には〈スフォルテンド〉とほぼ同等。対魔族戦闘用に特化したスフォルテンドと異なり、対人戦闘用の装備も備わっている(折りたたみ式の扇状の盾、攪乱用の閃光煙幕弾など)。
〈エレンディラ〉
〈カヴァレッタ〉
自動詠唱機構により、素早く連続で魔法を撃つことができる。また右腕部分には補助武装の自動式散弾銃を固定武装として備え、それぞれが片腕で操作する事が可能。そのため、散弾銃の発射と魔法の顕現をほぼ同時に行う事も出来る。理論上は1秒間に三発の魔法と八発の散弾を相手に撃ち込む事が出来るが、実際は撃発音声の詠唱や彼の脳内魔法回路の負荷などにより秒間二発が限度と言える。それでもその速さは他の魔法士達よりも速く、時間的な意味での攻撃力密度で比肩できるものはいない。
〈フェルマット〉
主に災害現場での働きを要求される救命魔法士だけに、基本構造の中に酸素供給装置が組み込まれている。また、スタッフやモールドの規格さえ合えば、また規格が合わなくともアダプタを付ければ他の専門分野の魔法も使う事が可能。
〈スカルラット〉
〈アセンブラ〉
しかし、レイオットのように〈スフォルテンド〉で戦うことを自らに課している汎用性の低い戦術魔法士にとっては対極的なモールドであり、逆に扱いにくくなってしまう結果となった。
カスタムモールド
〈アセンブラ〉を基にジャックとエヴァによって造られたカペルテータ専用モールド。機能はアセンブラと同様。
〈アルカトラ〉
〈ポストルード〉
ロミリオ自身も最終巻でのレイオットとの一騎討ちの際に使用していたが、ロミリオは〈資格者〉であるため背中の「生贄」を積んだ弾倉がなく、代わりにこの〈ポストルード〉自体がスタッフとして機能していた。
名前の由来は『後奏曲』から。
〈ホイール・マニア〉
モールドを取り囲むように保持する蹄鉄状のメイン・フレームの下部に、小型エンジンと不整地走行用の懸架フレームを組み合わせ、左右3輪ずつのホイールが備えられた構造。座席はなく、モールドは腰の固定用金具で固定され、足は下部のペダルに乗せる。メイン・フレーム上部には、左右にはオートバイのようにブレーキ・クラッチ・アクセルの機能を持つグリップが備わっており、更に右側にスタッフを、左側には補助武装として銃器を固定することが可能。エンジンは排気量200ccのものが2基備わっている。
基本的な操作はスキーと同様であり、手でグリップを動かすことでエンジンを操作、足でペダルを動かすことで方向転換をする。
NOS(ナイトロス・オキサイド・システム)
〈ホイール・マニア Ⅱ〉
新たにエンジンが排気量600cc×2基に強化されており、不整地走行能力高上のためサスペンション改良、更にパラシュートなど各種補助装備を固定するための固定金具などが加えられている。
〈ホイール・マニア Ⅲ〉
モールドをそのままフレームに固定するため、転倒してしまえば、抜け出して体勢を立て直すのにやたら手間暇がかかるという〈ホイール・マニア〉の難点を考慮して、とにかく「転倒しない」事を重視した再設計を行い、車体の重量配分を変更してバランスを調整し、大型のサスペンションを組み込んで走破性を上げた。更にはモールドを着た戦術魔法士を常に重量の中心とすべく、固定金具に自由度を持たせ、ジャイロ・バランサーを搭載することで、車体が多少傾いても、常に戦術魔法士とそれに直結する操作系だけは水平を保てるようになっている。また、ギアを組み替える事で左右の車輪の回転を逆にする事ができ、その場で回転する事が可能。
銃器
〈ハードフレア〉
レイオットが愛用し、常に持ち歩いている大型リヴォルバー拳銃。正式名称はサーカムT12〈ハードフレア〉カスタム。45マグナム弾を使用し、圧倒的な威力を誇る。人間の腕などに直撃すれば肩から先が吹き飛び、急所に当たらずとも衝撃が血管に伝わり心臓麻痺を起こすこともあるという。反動軽減のため銃身が分厚く、弾倉も厚くできているが、そのため装弾数は5発と、標準的なリヴォルバーより1発少なくなっている(後にジャックに調整を頼んだ際に、彼が勝手に6発に改造したので、現在は6発になっている)。作者曰く、元ネタはリヴォルバー系のPPCカスタム。
対魔族の戦闘では、大口径の強力な銃でなければほとんど効果がないというのが一般的な常識とされているので、レイオットに限らず戦術魔法士はこのような銃を使っていることが多い。また、これほどの銃でも中級以上の魔族に対しては牽制か足止め程度にしかならず、決定打になることはほとんどない。
〈ウルフ・ハウンド〉
狼狩りに使われる狩猟犬の名を冠した、大型オートマチック拳銃。リムレスの44マグナム弾を使用。レイオットがドーベルン・スタインバーグから譲り受けた最後の品である。この銃によってレイオットは魔族化したある人物を殺めることとなり、その後の彼の人生を大きく変えた。作者曰く、元ネタはLAR グリズリー・ウィンマグナム。
〈ウェルザーMkⅣカスタム〉
ボルトアクション方式・大口径ライフル。銃身は短いものと長いものとを選択が可能で、レイオットは携帯用に短い方に使用している。本来は象狩りに使用されるライフルで、その威力は短銃身でも非常に強力である。
元ネタはウェザビーMkVライフル。
〈ハンティング・ホーク〉
労務省魔法管理局の監督官に貸与される装備である、大型オートマチック拳銃。正式名称はAMI〈ハンティング・ホーク〉。対人用としては強力過ぎるその弾丸は一撃で人間を二つに引き裂くと言われている。監督官が所持するのはケースSA(つまり、魔族が発生した事件)の際だけに限られている。小柄で童顔なネリンには不釣り合いとも言えるほど大きな銃だが、彼女はケースSAの際には常に現場に持ち込み、射撃訓練も自発的に受けている。
元ネタはデザートイーグル。
〈ストームファイア〉
アルフレッド愛用の銃。正式名称マーセルM72R〈ストームファイア〉機械拳銃(マシンピストル)。秒間十三発のフルオート射撃が可能な機械拳銃。軍の要請を受けて特殊部隊用に開発されたもので、三〇カービン弾を使用。大口径ではないが、防弾服すら突破する貫通力を持つ。
元ネタはモーゼルM712。
〈アーケロンM37〉
正式名称アーケロンM37回転弾倉式迫撃砲。弾頭の変更により、グレネードなど様々な弾薬を撃つことが出来る銃。魔族にはほとんど効果はないが、対人用には色々と応用が利くという利点がある。レイオットと異なり警察などの人間と争うことも多いため、アルフレッドは常にモールド・キャリアに積んである。
〈サンダーボルト〉
帝都警察の対魔族攻撃部隊、A.T.A.S.Aが開発した対魔族専用のライフル銃。正式名称ATASA-M1A1〈サンダーボルト〉。銃身は異様に長く、全長で約2メルトル(※1メルトル=1m)にも及ぶ。その長さの割に口径は小さく、銃弾も比較的軽い。魔族の魔力圏が反応するよりも早く魔族の肉体に銃弾を到達させるために、何よりも銃弾の速度が重要視された造りになっていて、その速度は音速をも超える超々高速である。また、弾頭は専用のソフトポイントのものを使用し、小型の雷管と小粒の散弾で形成されていて、命中と同時に雷管が起爆し、魔族の体内で散弾をまき散らして目標を内部からバラバラに引き裂くという恐ろしいもの。オートマティック式なので連射も可能。現在のところ最も魔族に対して効果のある銃である。ただし、その大きさと精密さ故に当然持ち運びは悪く、使い勝手はよくない(基本的な用途は狙撃)。また、このライフルでもせいぜい〈伯爵〉(カウント)級までの魔族しか倒せないとされている。
イメージモデルはラティ対戦車ライフルだが、本来ラティは口径20mmなのに対して、〈サンダーボルト〉は口径7mm位に設定されている。また、ネーミングの由来は、作者が子供の頃に実在したマスダヤ社の傑作エアガンから来ているという。
全長1448ミリ/銃身長966ミリ、重量1220グロム、口径.223(5.56ミリ)、装弾数10発
〈ライトニング・ボルト〉
ジャックが製作した〈サンダーボルト〉のコピー銃。本物の〈サンダーボルト〉は〈ジャベリン〉やSSS以外の使用は禁じられているため、レイオットが使用するために作られた。区別するためにこう呼んでいるが、実際ほとんど違いはない。
〈ライトニング・ボルトⅡ〉
〈ライトニング・ボルト〉を改良したライフルで、主に〈ホイール・マニア〉に装着して使用する。新たにベルト給弾式となっており、実際には狙撃銃というより機銃になっている。
〈パラドロップ・ファントム〉
フィリシスが使用する、短く切り詰められた銃身と折り畳み式の銃床の自動小銃。正式名称はAM47S〈パラドロップ・ファントム〉。フィリシスはレイオットとは異なりあまり銃器を使おうとしないが、この銃が登場した際には使わざるを得ないといった状況であった(とは言うものの、やはり彼女は人並み以上に使いこなしてしまう天才振りを見せている)。
元ネタはAKMS。
〈コンパクト・ボックス〉
正式名称:カープス社製〈コンパクト・ボックス〉。名前の通り、形態性を重視した小型リボルバー拳銃。4発しか撃てない、精度的にも威力的にも対魔族戦闘においては全く役に立たないが、フィリシスがこの銃を所持しているのは、いざという時の“自決”のためである。
ベレットM1934
フィリシスが隠し持っていた38口径の自動拳銃。曲線が多用された形態性に優れた形状であるため、女性の護身用などに使われる銃。
元ネタはベレッタM1934。
〈ヘッジホッグ〉
アルマデウス陸軍で制式採用されている、オルブドン社製ガトリングガン。正式名称はM49連装銃身式汎用機関銃。6本の銃身が円盤状の部品でまとめられていて、毎分3000発、毎秒50発もの速度で銃弾を発射する。「点」として攻撃するのではなく、「面」として威力を叩き付ける、銃と呼ぶのも生易しいれっきとした兵器である。
ルパードP08
ファーゴの使用する自動拳銃。口径は大きくはないが、グレイザー・セフティ・スラグと呼ばれる、目標体内に侵入した後、弾頭は内部に格納する散弾を放出し、ごっそりと組織を抉ることになるという特殊な銃弾を使う。
対人用途においては殺傷力が高すぎるので軍や警察でも使用されていない。
元ネタはルガーP08。
〈エンフォーサ〉
ブライアン愛用の拳銃。正式名称コルス〈エンフォーサ〉自動拳銃。
〈ハウリング・ベア〉
正式名称タウロスM648〈ハウリング・ベア〉カスタム。A.T.A.S.A.からSSSに配備された装備の一つである大口径リヴォルバー拳銃。対魔族用に改造されていて、強力な48マグナム弾を使用。回転弾倉やフレームはかなり大きいのに対し、握りやすさを考慮してグリップは非常に小さい。銃身は大きく切り詰められていて携帯性に優れ、反動を抑えるための太い重銃身、反動抑制器のガス孔も加えられている。
〈咆哮する熊〉を意味するが、全体的に見て巨大な機関部に無理矢理オマケのような銃身とグリップを付属させたような非常に不細工な形状となっている。
〈ファング〉
マックス・キントが携帯している小型リヴォルバー拳銃。正式名称AMI・R04〈ファング〉。銃身は短く、弾丸は5発しか入らないが、形態性に優れる。長距離は高精度のライフル、近距離は早く抜ける小型拳銃を使うという、マックスの合理主義者的な考えによる銃。
〈リバース・ペット〉
ジャックが対魔族用に改造したライフル銃。正式名称ガイアルト FA-MAC/JRC〈リバース・ペット〉。その名の通り、トランペットを逆にしたような形状をしている。〈サンダーボルト〉を教訓にそれまでの〈ウェルザーMkⅣカスタム〉のような大口径ライフルとは異なり、23口径の銃弾の速度を重視した造りになっている。マガジンをグリップよりも後ろに置くというブルパップ方式を取っており、銃身の長さを保ったまま銃の全長を短くする事に成功していて、〈サンダーボルト〉ほど対魔族に効果的ではないが、はるかに扱いやすい。銃弾には賢者石から削り出した弾頭に魔力回路を刻印していて、それによって同種の力(つまり魔法)以外のものを自動的に排除するという魔力圏を突破しやすくなっている。ただし、賢者石を使う分、弾丸が一発1000ドルクと非常に高価で、1マガジン24発とすれば24000ドルクで、これは車一台を買えてしまう程の値段であるとのこと。
1マガジンに最大25発。レイオットはソフトポイント・曳光弾・アーマーピアシング弾の順に、ジャム(弾詰まり)防止のため1発少なくした24発を詰めている。
作者曰く、元ネタはロングバレル化したFA-MAS。
魔法
〈ブラスト〉
通称〈第1の劫火〉。一般的な基礎級攻撃魔法。魔力を編み込んだ爆炎を発射し、目標を爆発炎上させる。爆発と熱風の二段構えであるため威力は大きく、下級魔族なら一撃で倒せることもある。
〈マグナ・ブラスト〉
通称〈第2の劫火〉。〈ブラスト〉の上位魔法。爆炎を送り込み、爆発力と火炎で目標を内側から爆砕する。その威力は〈ブラスト〉の数倍から数十倍に達する。元々は対装甲艦艇戦用としてアルマデウス海軍が使用していた。
〈マキシ・ブラスト〉
通称〈第3の劫火〉。〈マグナ・ブラスト〉の上位魔法。熱と衝撃が触れるものすべてを完膚なきまでに破壊し、目標領域を徹底的に殲滅する。〈マグナ・ブラスト〉よりも威力が高いだけでなく、制御範囲の大きさがこの魔法の特長であり、より遠くに、より細かく目標領域を設定でき、周囲の気流までも力場で制御する事で、爆発の威力を全て限定された空間に収束する事も可能。このため周囲への被害を最小限に抑えられる上、強力無比な破壊力は無駄なく誘導・収束され、設定領域を殲滅する。
〈ケージング・ブラスト〉
〈ブラスト〉系の攻撃魔法。半透明の球体に目標を捕捉、その中で火炎と衝撃波を発生させる。逃げ場を失った熱と衝撃は全方位から目標に殺到し、原型を留めぬ程に焼き尽くす。
〈フリーズ〉
通称〈第1の氷〉。冷凍系の基礎級攻撃魔法。対象を凍結させる。気温の低い状況下では遺憾なくその効果を発揮し、中・上級魔族でもその身体の一部を氷塊に取り込んで動きを止める事は出来る。
〈マグナ・フリーズ〉
通称〈第2の氷〉。〈フリーズ〉の上位魔法。極低温の領域に目標を捕らえ、空気そのものさえ凍結させる温度低下で目標を完全凍結させる。目標を氷に閉じ込めるのではなく、物体そのものの熱を奪って凍結させる魔法である。中級魔族でも一撃で倒す事が可能で、固体化された物はわずかな衝撃で微塵に粉砕されてしまう。
〈マグナ・ライトニング〉
〈ライトニング〉の上位魔法(基礎級攻撃魔法の〈ライトニング〉は作中未登場)。発生させた稲妻が絡み合い、一本の光条となって目標を焼き尽くす。〈ライトニング〉系の魔法は対人間・動物用途としては破壊力抜群、調整も容易だが、対魔族戦ではその効果が分かりにくいという難点がある。そのためか、作中では使用されている場面がほとんどない。
〈インパクト〉
魔法技術開発の黎明期に開発された魔法。設定した中心点の周囲に衝撃波を発生させる。比較的呪文書式が単純な割りに威力が大きい。しかし射程が短い上威力が均一でなく、方向の制御も出来ない。より効率的で細かい制御の利く〈アサルト〉や、〈ブラスト〉系魔法の開発に伴い、あまり使われなくなった。だが、その単純な呪文書式のためか、〈シェル〉の使用者や魔族化テロを行う思想団体など、魔法を違法行使する者達が使う事も多い。
〈アサルト〉
一般的な基礎級攻撃魔法で、〈インパクト〉の上位魔法に当たる。力場に封入された衝撃波を目標の身体に撃ち込んでから解放し、粉砕する。有効射程が拳銃より短く、破壊力も衝撃と火炎の〈ブラスト〉に及ばない。だが火気を伴わないため屋内で使用しても火災の危険が少なく、細かい制御も利きやすい。
〈コンプレックス・アサルト〉
〈アサルト〉の複合型。幾つもの小さな〈アサルト〉を内包した力場を目標の体内に撃ち込み、解放する。これにより大量の小規模〈アサルト〉が目標の全身で改めて破裂、無数の衝撃波をまき散らし、内部から徹底的に破壊する。元々は内部に隔壁や小部屋を多く持つ戦艦や要塞の攻略用に開発された軍用魔法であった。
〈スラッグ〉
打撃系の攻撃魔法。魔法士の拳打に合わせて円柱状の打撃用力場を展開し、叩き付ける。超至近距離で使用されるためその威力が周囲に拡散し難く、射程が短いので衝撃が無駄無く相手の体内に叩き込まれ、内部から構造そのものを破壊する。そのため、最大威力は象狩り用の大口径マグナムライフルをも上回る。〈アサルト〉や〈インパクト〉と違い、接近して使用する白兵戦用であるため使う場面は限られるが、他の基礎級攻撃魔法に比べ効果が単純なため、その魔力回路は小さく、呪文詠唱も短い。
〈トランプル〉
高圧で対象物を押し潰す基礎級魔法。本来は工業用プレス機の代わりに使用される工業用の魔法であるが、そのトラックすらも押し潰して一抱え程の大きさに固めてしまうほどの途方もない圧力を攻撃に転用することも可能。
〈カット〉
切断系の魔法。不可視の長大な力場平面を形成し、目標を切断する。力場平面を撃ち出して叩き切る〈ハック〉に対し、こちらは力場の刃を形成してスタッフを振り回して切断する“剣”のようなもの。
〈ハック〉
切断系の魔法。切断用力場平面を射出し、目標を切断する。力場の刃を形成してスタッフを振り回して切断する〈カット〉に対し、こちらは力場平面を撃ち出して叩き切る“投げナイフ”のようなもの。
〈ディスポーズ〉
〈ハック〉の上位魔法。切断用力場平面を網目状に発生させ、目標を縦横無尽に切り裂いてバラバラにする。脳組織を全身に分散させていて5割以上の破壊が困難な魔族に対して有効。
〈スパイラル〉
基礎級攻撃魔法。螺旋状の力場を発生させ、目標を捻り潰す。上位魔法の〈ヴォルテックス〉と比べるとやや力場の大きさ・威力が劣るが、上級魔族相手でも腕・脚など身体の一部位を使用不能にする事が可能で、小型の下級魔族に対しては充分致命傷を与えることができる。
〈ヴォルテックス〉
〈スパイラル〉の上位魔法。空間に強力な力場渦動を発生させて目標を束縛し、無限に小さく絞り込まれてゆく渦巻によって粒子段階にまで磨り潰して粉砕する殲滅系の魔法。
〈シールド〉
〈インパクト〉と同様に初期に開発された魔法。防御用の力場平面を発生させ、敵からの攻撃を防ぐ防御魔法。同じ防御魔法である〈ディフレイド〉と比べると熱や衝撃に対する防御力は弱いが、その分発動が早く、効果時間も長い。単純な呪文書式のため、魔法を違法行使する者に使われる事が多い。
〈ディフレイド〉
一般的な基礎級防御魔法。防御用の力場平面を展開し、敵からの攻撃を無効化する。単に物体を遮る〈シールド〉とは異なり、その面に作用する一定の圧力や熱、衝撃さえも遮蔽・拡散する事が出来る。そのため魔法攻撃に対してはこちらの方が有効と言える。ただ、防御力場面に触れる物に自動的に反応するため、走行中に使用すると風圧に反応してしまい効果の消滅が遅れて、敵の攻撃を遮蔽するのみならず自分側からの攻撃も遮蔽してしまうことがある。
〈シェルター〉
防御力場面を展開し、一定の領域から全方位を遮断する防御魔法。単純な防壁である〈ディフレイド〉や〈シールド〉に対し、こちらは文字通り「避難所(シェルター)」である。ただし、一度発動させると効果時間が終わるまで魔法士本人も身動きが取れない。
〈ブースト〉
汎用追加呪文。魔法の出力そのものを増幅する。これにより基礎級魔法でも強大な威力を持つようになり、上位魔法顕現の際に現れる赤い魔法陣が発生する。
〈フラッシュ〉
光と音と魔力を激しく撒き散らす魔法。殺傷力はないが、一時的に魔族の眼をくらますことができる。
〈スティール〉
かつてアルマデウス陸軍が斥候や奇襲などに使用するために開発した魔法。光や音、熱さえも遮蔽・誘導する力場平面を使用者の周囲に展開する事で、存在を察知されなくなる。元々は〈デフィレイド〉の特殊な応用例である。また、使用者の周囲には奇妙な歪みが発生する。
〈カタパルト〉
周囲の光を捻じ曲げるほどの強電磁場のトンネルを発生させ、その中を通った物を加速させる補助魔法。本来は、救命魔法士が災害救助の場面で避難用のワイヤーを手っ取り早く張り巡らせるために使用する魔法であるが、その電磁場トンネルに銃弾を通過させ、音速の数十倍にも加速された超々高速の弾丸を撃ち出すという方法で戦闘にも使用可能。
〈ドライ・キル〉
対象の水分を急速に奪って完全に乾燥させ、その肉体を粉末状にまで分解させる必殺の魔法。爆炎や衝撃波を伴わないため、狭い場所での戦闘に適している。元々は暗殺用として開発された。
〈ジャミング〉
対象の魔力圏に無理矢理割り込み、その機能をかき乱す魔法。あらゆる攻撃を食い止める魔族の魔力圏を一時的に無効化できるため、作中では〈ジャミング〉で魔力圏をかき乱してから銃撃という戦法が多い。元々は魔力圏のかく乱により魔法攻撃を無効化するための防御魔法であった。
〈ドメイン・キャンセラ〉
〈ジャミング〉の上位魔法。巨大かつ複雑な魔力回路を目標の魔力圏に組み入れて同化させ、魔族からその魔力圏に下される命令に対して片っ端から中止命令を挿入する。魔族の魔力圏に無理矢理割り込んでその機能をかき乱すだけの〈ジャミング〉とは異なり、魔族が魔力圏に下す命令を全て無効化していく。これにより、肉体活動の多くを魔力圏に依存している中級・上級魔族は生命活動そのものを狂わされ、強制停止させられてしまう。ただし、実用に耐えない程大量の拘束度数を消費する上、効果時間はわずか150秒前後である。発動位置は前もって設定しておく必要があり、それを自由に移動する事も出来ない。さらに、実際に発動してから魔力回路が目標の魔力圏を分析して組み入るまで、10秒もの時間がかかる。また、魔族の魔力圏に対する支配力が強ければ、全ての命令を無効化し切る事が出来ない事もある。
〈アクセラレータ〉
レイオットが切り札の一つとしている肉体強化系の魔法。戦闘行動に不要な自分の臓器・細胞を仮死状態にし、筋肉を極限にまで強化する。これにより常人を遥かに上回る反射速度や筋力を獲得する。持続時間は肉体が「騙された」と気付くまでであり、レイオットの場合は約3分。それを過ぎると筋肉を酷使した反動で、全身を襲う激痛や出血多量による疲労で動けなくなる。強化する程度を抑える事で効果時間を延ばしたり、その後に来る反動を小さくする事も出来るが、魔法士の体調によっては血管の破裂・心臓停止などの副作用を伴う危険な魔法である。己の身体に施す魔法であるため、魔法管理局はその使用を禁じている。
〈キーネス〉
かつて軍が偵察用に開発した強化系の魔法。神経細胞の限界まで聴覚を強化・鋭敏化する。〈アクセラレータ〉と同様に、自分の肉体に干渉する魔法であるため、法的には使用を禁止されている。〈アクセラレータ〉とは違って、こちらは運動能力ではなく聴覚を高めるための魔法であり、ただ耳がよくなるという単純なものではなく、世界に溢れる膨大な音声情報の中から必要な情報を取捨選択する情報処理能力を獲得すべく、使用者の大脳に干渉する機能も備わっている。しかし、聴く事に特化するという不自然な状態に脳がいつまでも耐えられず精神失調や幻聴などの副作用が頻発したため、表向きには使われなくなった。現在ではマゾヒストなどの特殊な性癖の持ち主に愛好されている。
〈スタグナント〉
停滞の魔法。一定範囲の物質の相変化を選択的に調節し、疑似的に時間が停止したように見せかける特殊な魔法。繊細な化学物質の保存などに使われていたが、制御が難しい上に拘束度数を大量に消費するため、現在は使用する者はいない。作中ではロミリオとロン・コルグが使用していた。
〈ディスガイズ〉
透明化の魔法。ある種の力場を対象物の周りに構築し周囲の光線を捻じ曲げて姿を消す。実際に対象物が消滅するのではなく、光が対象物へ触れるのを避けて歪曲することによって視覚されなくなっているだけなので、対象物に触れたりそれが発する音を聞いたりすれば存在を知覚することが可能。元々は奇襲戦や特殊邀撃戦の為に開発された軍用魔法だが、拘束度数の消費が大きい上、視覚以外にも対象を探知する方法を持つ魔法士や魔族相手にはあまり意味がないため、現在はこの魔法を使う者は少ない。
既刊一覧
作品はすべて富士見ファンタジア文庫(富士見書房)から出版されている。
- 榊一郎(著) / 藤城陽(イラスト) 『ストレイト・ジャケット』 富士見書房〈富士見ファンタジア文庫〉、全11巻
- 「ニンゲンのカタチ 〜 THE MOLD 〜」2000年8月25日発売、ISBN 4-8291-2986-7
- 「ツミビトのキオク 〜 THE ATTACHMENT 〜」2001年4月20日発売、ISBN 4-8291-1345-6
- 「オモイデのスミカ 〜 THE REGRET / FIRST HALF 〜」2002年1月18日発売、ISBN 4-8291-1407-X
- 「オモイデのカナタ 〜 THE REGRET / SECOND HALF 〜」2002年4月20日発売、ISBN 4-8291-1427-4
- 「ヨワムシのヤイバ 〜 THE EDGE 〜」2003年1月20日発売、ISBN 4-8291-1491-6
- 「ラクエンのサダメ 〜 THE MIRAGE 〜」2004年3月18日発売、ISBN 4-8291-1595-5
- 「イケニエのヒツジ 〜 THE SACRIFICE 1st. HALF 〜」2006年3月18日発売、ISBN 4-8291-1797-4
- 「イケニエのロンリ 〜 THE SACRIFICE 2nd. HALF 〜」2006年4月20日発売、ISBN 4-8291-1814-8
- 「セキガンのアクマ 〜 THE FIEND 〜」2008年10月18日発売、ISBN 978-4-8291-3346-0
- 「ニンゲンのオワリ 〜 THE DEATH BELL 1st.HALF 〜」2009年11月20日発売、ISBN 978-4-8291-3460-3
- 「ニンゲンのアシタ 〜 THE DEATH BELL 2nd.HALF 〜」2010年9月18日発売、ISBN 978-4-8291-3565-5
- 榊一郎(著) / 藤城陽(イラスト) 『ストレイト・ジャケット フラグメント』 富士見書房〈富士見ファンタジア文庫〉、全3巻
- 「トモガラのエン 〜 THE RELATION 〜」2004年11月20日発売、ISBN 4-8291-1668-4
- 「ゼツボウのヒト 〜 THE DESPAIR 〜」2007年6月20日発売、ISBN 978-4-8291-1937-2
- 「テンリンのサガ 〜 THE GENIUS 〜」2009年6月20日発売、ISBN 978-4-8291-3412-2
漫画
読み切りの形で、『ヤングアニマル嵐』(2004年22号、白泉社)に漫画化された。作画は西川秀明。未単行本化。
アニメ
T.O Entertainmentのプロデュースによるアニメ化。
製作には、『攻殻機動隊』『BLOOD THE LAST VAMPIRE』を世界へ伝えたアメリカの大手配給会社であるマンガ・エンタテイメントと日本発売以前にライセンス契約し、米プロデューサー陣が参加する日米共同製作となった。
2007年秋より全3巻でDVDが先行リリース。
2008年夏にインターナショナル版が全米に展開される。そのインターナショナル版は同年6月28日より日本のシネマート六本木にて世界に先駆けて特別逆輸入上映された。
発売日
- 1巻「THE CAST ~ニンゲンのクビキ~」2007年11月30日発売
- 2巻 「THE CONVICTS ~トガビトのキオク~」2008年1月31日発売
- 3巻 「THE RELIEF ~ショクザイのミライ~」2008年4月30日発売
キャスト
- レイオット・スタインバーグ - 三木眞一郎
- カペルテータ・フェルナンデス - 真堂圭
- ネリン・シモンズ - 前田愛
- ジャック・ローランド - 小橋達也
- フィリシス・ムーグ - 浅野まゆみ
- ブライアン・メノ・モデラート:石井康嗣
- ファーゴ・レスポール - 永野善一
- アイザック・ハモンド - 笹沼晃
- レイチェル・ハモンド - 今井麻美
スタッフ
- 原作 - 榊一郎(富士見ファンタジア文庫刊)
- 監督 - ウシロシンジ
- シリーズ構成・脚本 - 榊一郎
- キャラクター原案 - 藤城陽
- キャラクターデザイン - 湯本佳典
- メカデザイン - 福島秀機
- 美術監修 - 松本浩樹
- 美術監督 - 鈴木隆文
- 美術設定 - 峯岸功
- 色彩設計 - 岩井田洋
- 撮影監督 - 口羽毅
- 3DCGデザイナー - サトウユーゾー
- 編集 - 瀬山武司
- 音響監督 - 榎本崇宏
- 音響制作 - ドリーム・フォース
- 音楽 - 柳川剛
- アニメーション制作 - feel.
- プロデューサー - 小山倫良、川崎とも子
- エクゼグティブ・プロデューサー - 柴田維、ムファウメ薫