ダブルブリッド
ジャンル:SF,
小説
著者:中村恵里加,
出版社:メディアワークス,アスキー・メディアワークス,
レーベル:電撃文庫,
巻数:全11巻,
漫画
原作・原案など:中村恵里加,
作画:しろー,
出版社:メディアワークス,
掲載誌:月刊コミック電撃大王,
レーベル:電撃コミックス,
発表期間:2002年2月号 - 2003年11月号,
巻数:全2巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『ダブルブリッド』は、中村恵里加による日本のライトノベル。電撃文庫(メディアワークス→アスキー・メディアワークス)より2002年2月から2008年11月まで刊行された。第1巻と第2巻のイラストは藤倉和音で、ブックデザインも兼務していた。第3巻以降はたけひとが担当している。第6回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作品。
2010年、書き下ろし短編小説が同梱されたイメージアルバム「ダブルブリッド Depth Break」の発売が決定。コミックマーケット限定で8月13日から8月15日に先行発売され、9月8日に一般発売された。
ストーリー
「怪(あやかし)」と呼ばれる、特異な遺伝子を持ち、様々な点で常識を覆す特徴を持った生物が各地で発見された世界を物語の舞台とし、その「怪」とヒトの間に生まれたダブルブリッドと呼ばれる主人公・片倉優樹と危険な「怪」の捕縛を専門とする緊急捕縛部隊の隊員・山崎太一郎との交流を描く。
登場人物
六課関連
片倉優樹(かたくら ゆうき)
「怪」のみで構成される特殊警察、通称「第六課」に勤務する女性。階級は巡査部長。「ダブルブリッド」と呼称される「怪」とヒトとのハーフでもある。また内閣公認のアヤカシでもある。とある事件で自分以外の全員が辞めた六課の建物に寝泊りし、無為な日々を送っていた。第六課と緊急捕縛部隊との交流と相互理解を目的に派遣されてきた青年、山崎太一朗との出会いを機に彼女の物語は動き始める。
実年齢25歳(12月で26歳)であるが成長(老化)自体は16,7歳で止まっており、愛嬌のある顔立ちと小さい身長が相まって、見た目は10代半ばの少女である。出自故に常人離れした身体能力と鮮やかな白髪を持ち、孤独に耐える強い精神力と怜悧さとを併せ持つ。五感と再生力は甲種でも高い部類に入り(目を凝らせば夜でもよく見え、鼻は犬より利き、耳を澄ませば内臓の動く音も聞こえる。また、ただの切り傷ならば30分もあれば完治し、目や指も時間をかければ再生することができる)また、長年の訓練により五感や不随意筋の制御が自由にできるようになった。そのため、アヤカシを快く思わない連中からは「白髪犬」と呼ばれることもある。戦いの場においては、「神経融合(ブレイク)」、「筋力増幅(ブースト)」などの技を使う。鷹揚で飾らない性格もあってか「カリスマ的」と評されることもある。無類の酒好きで、朝から飲酒することもあり、山崎からたびたび苦言を呈されるが、「アヤカシは酒を飲まないと生きていけない」といって意に介しない。冗談めかした物言いだが、作中に危機的状況で無理矢理業務用のアルコールを摂取したり、幼少の頃から飲酒している描写があるため、本当に酒を飲まなければならない生理的な理由が存在すると思われる。ちなみに、体内に入ったアルコールを意識的に無害化することができるため、いくら飲んでも酔わない。過去のトラウマによって自分の姿を見ることと、他人に触られることを異常に恐れる。そのため、鏡など自分の姿が映るものを極端に嫌い、写真もよほどのことがない限り撮らない。
山崎太一朗(やまざき たいちろう)
「怪」の捕縛・捕殺を目的に結成された特殊部隊、緊急捕縛部隊(EAT)の若き隊員。20歳。階級は巡査。若年ながら優秀であり、中でも射撃の腕は隊でも随一。赤川にも将来を期待されているが、直情径行で自分が正しいと思えば命令に反した行動を取ることもしばしば。「行動に反省はするが後悔はしない」を信条とする。飲酒をする習慣はないが、まれに酒を飲むと悪酔いをし、散々絡んで記憶をなくしていながらも二日酔いにはならないという、ある意味非常に厄介な体質である。とある「怪」の捕縛現場で優樹と居合わせ、その縁もあってか「第六課」に出向することとなる。優樹と行動を共にしその孤独や強さに触れ、精神的に少しずつ成長していく。
大田真章(おおた さねあき)
元・六課所属。現在は目黒区在住。本来は古代波斯(ペルシャ)の霊鳥、シームルグとも呼ばれる暗褐色の鷲の姿のアヤカシ。2700年を生き、優れた記憶力で膨大な知識を持っている。優樹の師でもあり先生と呼ばれている。目つきが鋭く、銀縁の伊達眼鏡をかけている。話が異常に長く、理屈立った独特な話し方で延々と話す。質問に対して質問で返したり、内容が脱線するのは基本と言ってもよく、初対面であろうが知人であろうが、老若男女分け隔てなくその変人ぶりを発揮する。そのために他人から避けられがちだが、そうして嫌われるのを良しとしている部分もある。傍観者を自称しており、仲間がピンチになっていようが、助けを請われない限り自分から動くことはほとんど無い。豆類が好きで鶏肉を敬遠する(劇中ではよく落花生を殻ごと食べている)。空木を非常に嫌悪している。
相川虎司(あいかわ とらじ)
元・六課所属。便宜上の誕生日は12月12日。委員会登録のため正体を伏せ、高校生活を送る12月で19歳になるアヤカシ。小柄な少年だが、本来は黒い虎のような姿をしている。アヤカシの中では若者の部類で、自由奔放を絵に描いたような性格。基本的には大雑把だが、夏休みにわざわざ学校に来て宿題をしたり、外出の際は制服を着用するという校則を律儀に守る一面もある。生肉が好きで野菜が嫌い。かつて一度だけ人間を食べたことがあり、不味かったためもう喰わないと決めている。硬い物を囓って牙を研ぐのが習慣だが、普通の鑢ではそれほどもたずに折ってしまう。大陸生まれだが、海を泳いで日本に渡った。優樹を団長、太一朗をザッキーなど、友人に独特の呼び名をつける。六課のロッカーには模造刀、ハリセン、金属バットなどが入っており、ハリセンには「スタン・はりせん」と名前をつけている(元ネタはスタン・ハンセン)。大田を嫌っており、鳥頭と呼んで、顔を合わせるたびに一方的に喧嘩を吹っかける。クラスメイトの安藤希から好意を寄せられているが、本人は全く気付いていない。彼女との交流を深めるうち、段々と感情に変化が現れ始める。
帆村夏純(ほむら かすみ)
元・六課所属。国分寺市在住。外見は20代後半の長身の女性だが、本来は下半身のない蜥蜴のようなアヤカシ。その身は炎に包まれていて、感情の起伏によって温度が変化する。実年齢は元六課の中では11歳と最も若く、単純明快で若干幼稚な言動を取るため、見た目とのギャップが激しい。好きな煙草はジタンで、ジッポライターとともに常に数箱を常備。競馬、競輪、競艇などのギャンブルや野球など、人間の娯楽を好む(かつて拾った500円玉を数百万円にしたこともあるらしい)。優樹を除く六課の中では人間社会に適応する力が高く(実際に一度就職もしている)、赤川は、六課の甲種の中で人間である山崎と何とかやっていけそうなのは彼女と虎司だと評している。人間の顔と名前を覚えるのが苦手で、住んでいるアパートの隣の住人の名前ですら覚えていない。水に触れると火傷のような症状になり(かなり熱ければ平気)、長時間水に触れると死んでしまうため、船での移動の際は非常に神経質になる。
主及び特高
“主”
浦木良隆(うらき よしたか)
見た目は30代半ば、長身痩躯で物腰穏やかな男のアヤカシ。常に笑顔で誰に対しても丁寧語で話す。特高に所属しており、主の忠実な部下である。ブレーンのような役割を果たしており、主のために裏でいろいろと暗躍している。アヤカシならば簡単に再生できるはずだが、左目は白く濁り、めしいていることがうかがえる。容姿を自在に変える能力を持ち、現在はアヤカシ嫌いの人間、内閣府の特異遺伝因子保持生物管理委員会委員長・土屋伸夫(つちや のぶお)として活動している。また、「空渡り」という瞬間移動のような能力を持っており、日本国内ならほぼどこへでも一瞬で移動できる。優樹の父の腹心で、幼い頃から彼女と彼女の母親を世話してきた。優樹に全幅の信頼を置かれているが、主にばれたら殺されるようなこともしており、その行動は“主”以上に謎が多い。
飯田敦彦(いいだ あつひこ)
EAT
赤川大介(あかがわ だいすけ)
木島(きじま)
アヤカシ
高橋幸児(たかはし こうじ)
フレデリック・アシュトン・クロフォード
吸血鬼と呼称される墺太利(オーストリア)出身のアヤカシ。くすんだ金髪に青い瞳、彫りの深い整った顔立ちで、異性はおろか、同性から見ても完璧としか思えないほどの美形。知己には“フレッド”と呼ばれる事を好む。ミドルネームのアシュトンは死んだ親友から貰ったものである。視線と言葉によってマインドコントロールを仕掛け、記憶に干渉することができる。再生能力は優樹をも上回り、風を操ることで空に浮くこともできる(飛ぶことはできない)吸血鬼であるためほぼ毎日血を飲まないと調子が悪くなる。ただし、血液以外の人間の食事でも栄養は取れる模様。また、太陽を見ると目がつぶれ、皮膚が焼ける。嗅覚だけは優樹と同等以上のため匂いのきついニンニクも苦手である。委員会登録を賭けて優樹と勝負をし、ダブルブリッドである彼女の血の魅力に取り憑かれて理性を失い、一時は人間の致死量をはるかに超える、血液の半分近くを飲んでしまった。知日家であり日本語での日常会話はもちろん「籠絡」という日本人でもなかなか知らない言葉を知っていたりもするが、書くことは苦手なようで、優樹のもとに絵葉書を送った際は何が書いてあるのか判別不能な程であった。(ちなみに本人はその事実に気付いていない)
空木(うつろぎ)
男とも女とも着かない中世的な顔立ちで、濁った両目と、地面につくほどの長い髪を持つアヤカシ。大田からは「生ける屍」と呼ばれて嫌悪されている。普段は木の根元に座り足首から下は土に埋まっていて動かないが、“空渡り”と呼ばれる能力でいつの間にか別の場所へ移動している。また、一定の空間から意志を持つ者を遠ざける“隔離”と名付けられた力も持つ。常を生きる者と時間の感覚がずれており、さらに声帯が人間ほど発達していないため本人は普通に喋っているつもりでもまともな声にならず、虎司である程度の言葉が、優樹でようやく全文が聞き取れる程度のため会話には非常に時間がかかる。また、大田よりも長い時を生きている唯一のアヤカシであり、主さえも一目置く実力者でもある(浦木ですら勝てず、主が戦っても東京が消滅するくらいの被害が出る)かつて主を殺すために人間達に己の半身を削り、鬼斬りを与えたことによって現在のような状態になってしまった。
クロスブリード
片倉晃(かたくら こう)
“主”や特高に敵対する組織「クロスブリード」の三角の一人。外見は10歳位の少年であるが大人びた言動を取る。また度重なる心労のためか眉間にしわを寄せる癖があり、大田にも「先天的に眉間に皺を寄せる少年」と言われる。アヤカシでも人間でもない「キマイラ」という存在で、虎司曰く「3分の2は人間で、後は薬とアヤカシの匂いがする」、ネジ曰く「できそこないのまがいもの」らしい。ネジの言うとおり、キマイラの寿命は極めて短く、最年長のキマイラも16歳で老衰を迎えていた。
「鬼斬り」と呼ばれるアヤカシ殺しの武器、その第伍世代十六号を所持する。空木に会った際にパワーアップしてもらった模様。本人曰く「片倉の姓を名乗っていることに特に意味は無い」らしいが、実際は何らかの意味があるようだ。かつてΩサーキットに組み込まれていたが、反旗を翻し今に至る。
上村鈴香(うえむら すずか)
その他
安藤希(あんどう のぞみ)
趙蒼(ちょうそう)
玄亮(げんりょう)
未知(みち)
設定
時代は21世紀の初頭とされており、作中で昭和31年を半世紀以上前としていることから、少なくとも2006年以降である。また、東京メトロではなく営団地下鉄のままである、この世界ではヒトゲノム解析をアヤカシのゲノム解析と同時進行したため、どちらもまだ終了していない(ヒトゲノム解析は現実では既に完了)、教育科学技術省という官庁が存在する等現実との相違も見られる。
また、この世界において日本はアヤカシの研究において世界トップレベルの実績を誇っている。それに比べて、アメリカでは自国でのアヤカシの発見例が皆無であるため研究が遅れている。大阪条約も批准していないために他国からアヤカシを借り受けることもできず、そのため、様々な非合法的な手段を使ってアヤカシを入手しようとしているようである。
用語
アヤカシ関連
怪(あやかし)
甲種
乙種
ダブルブリッド
キマイラ
組織
六課(ろっか)
EAT(緊急捕縛部隊)
特異生物管理委員会(とくいせいぶつかんりいいんかい)
特別高等治安維持局(とくべつこうとうちあんいじきょく)
クロスブリード
聖堂騎士団(せいどうきしだん)
武器
鬼斬り
神銀鋼(ミスティックメタル)
法律その他
特異法(とくいほう)
大阪条約(おおさかじょうやく)
Ωサーキット
既刊一覧
- 中村恵里加(著) / 藤倉和音(イラスト、2巻まで)、たけひと(イラスト、3巻以降) 『ダブルブリッド』 メディアワークス→アスキー・メディアワークス〈電撃文庫〉、全11巻
- 『ダブルブリッド』2000年2月10日発売、ISBN 4-8402-1417-4
- 『ダブルブリッド II』2000年5月10日発売、ISBN 4-8402-1490-5
- 『ダブルブリッド III』2000年7月10日発売、ISBN 4-8402-1586-3
- 『ダブルブリッド IV』2000年11月10日発売、ISBN 4-8402-1683-5
- 『ダブルブリッド V』2001年2月10日発売、ISBN 4-8402-1738-6
- 『ダブルブリッド VI』2001年7月10日発売、ISBN 4-8402-1869-2
- 『ダブルブリッド VII』2002年1月10日発売、ISBN 4-8402-2274-6
- 『ダブルブリッド VIII』2003年4月10日発売、ISBN 4-8402-1995-8
- 『ダブルブリッド IX』2003年12月10日発売、ISBN 4-8402-2543-5
- 『ダブルブリッド X』2008年5月10日発売、ISBN 978-4-04-867065-4
- 『ダブルブリッド Drop Blood』2008年11月10日発売、ISBN 978-4-04-867349-5
- 『ダブルブリッド』2000年2月10日発売、ISBN 4-8402-1417-4
- 『ダブルブリッド II』2000年5月10日発売、ISBN 4-8402-1490-5
- 『ダブルブリッド III』2000年7月10日発売、ISBN 4-8402-1586-3
- 『ダブルブリッド IV』2000年11月10日発売、ISBN 4-8402-1683-5
- 『ダブルブリッド V』2001年2月10日発売、ISBN 4-8402-1738-6
- 『ダブルブリッド VI』2001年7月10日発売、ISBN 4-8402-1869-2
- 『ダブルブリッド VII』2002年1月10日発売、ISBN 4-8402-2274-6
- 『ダブルブリッド VIII』2003年4月10日発売、ISBN 4-8402-1995-8
- 『ダブルブリッド IX』2003年12月10日発売、ISBN 4-8402-2543-5
- 『ダブルブリッド X』2008年5月10日発売、ISBN 978-4-04-867065-4
- 『ダブルブリッド Drop Blood』2008年11月10日発売、ISBN 978-4-04-867349-5
文庫未収録作品
- ダブルブリッド 番外編/獣の螺旋(電撃hp公式海賊本「電撃ヴんこ」掲載 2003年09月)
- ダブルブリッド 終わる誰かの夢現(イメージアルバム「ダブルブリッド Depth Break」同梱 2010年09月)
漫画
『月刊コミック電撃大王』にて2002年2月号から2003年11月号に掛けて連載された。
- 中村恵里加(原作) / しろー(作画) 『ダブルブリッド』 メディアワークス〈電撃コミックス〉、全2巻
- 「first harf part」2002年11月15日初版発行(10月26日発売)、ISBN 4-8402-2220-7
- 「second half part」2004年1月15日初版発行(2003年12月17日発売)、ISBN 4-8402-2567-2