ダークギャザリング
以下はWikipediaより引用
要約
『ダークギャザリング』は、近藤憲一による漫画。『ジャンプスクエア』(集英社)にて2019年4月号より連載中。
ストーリー
生まれつき霊を引き寄せてしまう螢多朗は、過去に幼馴染の詠子とともに霊障の呪いに巻き込まれ、周囲を傷つけることを恐れて霊からも社会からも逃げる生活を送っていた。大学入学を切っ掛けに社会復帰の足掛かりとして家庭教師のアルバイトを始めたところ、詠子の従姉妹でもあるIQ160を超える天才少女・夜宵と出会う。夜宵もまた、過去に「空亡」と名付けた悪霊に母を奪われ、手掛かりを求めて悪霊を収集していた。
霊媒体質から逃げた螢多朗だが逆に立ち向かう夜宵と触れ合う中で、大切な女性となった詠子と二人で呪いを解くためにも夜宵の悪霊蟲毒(ダークギャザリング)に協力することになる。
登場キャラクター
声の項はテレビアニメ版における声優。
主要人物
幻燈河 螢多朗(げんとうが けいたろう)
声 - 島﨑信長、島田愛野(少年時代・中学生)
禮應大学1年生。神主である祖母をもつ。大学入試1位の学力を持つ。
度を過ぎた霊媒体質により詠子を巻き込んでしまったショックから中学から引きこもっていたが、周囲の人間の応援を受けて立ち直り、まともに人生を歩もうと決意する。大学入学を機に詠子の勧めもあり社会復帰のため家庭教師を始めた。その家庭教師の最初の生徒として夜宵と出会う。
中学時代に霊障を受け右手の神経が伸びて肌の上に現れるため、常に右手のみ黒手袋をしている。普通というものに憧れており霊現象を避けているが詠子からは恐怖を愛しており、惹かれていると指摘される。霊媒体質に対処できる力をつけ、その上で自身と詠子にかけられた呪いを解くために、夜宵の心霊スポットめぐりを手伝う。
霊を観る力はないが霊の気配を感じる力はあり、強力な霊であれば 1 km 先からでも感知できる。また、神職の家系であるため神社などの神聖な気を取り込みやすい体質であり、このことが霊を惹きつける一因となっている。その生命力の大きさは生前の安倍晴明をも上回るほどである。
寶月 夜宵(ほうづき やよい)
声 - 篠原侑
小学生。家庭教師となった螢多朗の最初の生徒。両親を亡くし従姉である詠子の家で暮らす。重瞳を有し、現世と幽世の二つの世界を見ることができる。
螢多朗と同じく霊媒体質だが、その体質は螢多朗に「深い」といわしめ、後述の悪霊捕縛(ダークギャザリング)のため悪霊からは避けられている。霊を引き寄せる相棒として螢多朗を欲する。積極的で目的遂行のために危険を厭わない怖いもの知らず。
1年半前の事故で両親を亡くし、その際母親の霊(声 - 日野由利加)が空亡に連れ去られてしまったため、母の霊を取り戻すために心霊スポットを巡り、悪霊を捕まえて空亡を倒すための手駒にしている。そのため強大な霊に対してはどのような状況でも捕獲することを第一目標にしており、倒して消滅させることは最終手段としている。
心霊術は独学で研究して身に着けている。その能力は安倍晴明の霊からも優秀だと評されるほどである。複数の一流霊能者から才能を認められて弟子入りをスカウトされているが、一刻も早く空亡を倒すためにコストパフォーマンスを重視して断っている。また意図的に悪霊を刺激し、捕獲し、使役する危険性や、二次災害を起こしてしまう危険性を十分に理解しているが、母親を救うために非情に徹しようとしている。
霊感は視覚に強く結びついているが、霊の気配を察知する能力はない。そのため、暗所では霊を見つけづらい、霊が幻覚を見せてきた場合それに騙されやすい、霊と実物の区別がつきにくい、霊とは別種の存在である神霊は意識を集中しないと捕捉できない、などの弱点もある。
寶月 詠子(ほうづき えいこ)
声 - 花澤香菜
螢多朗の幼馴染で夜宵の従姉。一人っ子。螢多朗を想うあまりに持ち物にGPSや盗聴、盗撮機器を仕込むストーカー。国際情報オリンピックの日本代表まで務める実力を持つ。コミュニケーション力が高く、すぐ友達を作る。また、その一方でわざと空気を読まず自分のペースに物事を運び、話を膨らませたりする強かさもある。文学部の民俗学専攻。
科学全般を得意とするが、科学で説明のできない神秘に好奇心をもつオカルトマニア。子供のころから成績が良かったが、螢多朗の神秘的な力を見て霊媒への憧憬と愛情をもつ。また螢多朗本人へ向ける愛情と信頼も命の危険を厭わないほど非常に深い。しかし恋愛面については奥手な方であり、螢多朗によくプレッシャーをかけるものの自分からは大きく動かないため関係はほとんど進展していない。
螢多朗と同じ霊障を左手に受けており常に白手袋をしている。霊障を科学的に解析しており、自身の呪いを解くためにオカルトを勉強ではなく学問している。
神代 愛依(かみよ あい)
声 - 川口莉奈
高校一年生で螢多朗の二人目の生徒。実家は京都にあり、東京で一人暮らしをしている。家系的に神に見初められており、20歳で神に連れていかれる予定になっている神の花嫁。安倍晴明の遠い子孫にあたる。
憑いている神のエネルギーが漏れ出て瞳に星型の刻印が浮き出ており、悪霊を引き寄せやすく本人と周囲に不幸を振りまいてしまう。とくに神様霊が他の男を遠ざけようとするため、近付く男性には友達の彼氏だろうとお構いなしに不幸が降りかかる。そのため京都の友人とは完全に疎遠であり、実家からも勘当同然の扱いで放り出されている。愛依を唯一見放さずに東京で面倒を見てくれた兄も本編直前に事故死してしまい、現在は他人と深く関わることに諦めに近い感情を抱いている。
螢多朗たちと出会った直後に愛依を神の花嫁にさせまいとした兄の霊に祟り殺されかけるが、夜宵の介入により生存する。その事件後、兄の四十九日法要のために帰省した京都から戻る途中で新幹線が神様霊と空亡との戦いにより脱線事故を起こしたため、京都中央病院に入院する。そして神様霊打倒の準備を終えてお見舞いに訪れた夜宵たちと再会するが、神様霊との戦闘開始後は自我を奪われ依代のような状態にされて戦いに参加させられてしまう。
霊能関係者
淡宮 董子(あわみや とうこ)
闍彌 弥子(しゃみ なみこ)
声 - 久川綾
業界で広く名の知られた老齢の霊能者。闍彌巫子の双子の姉。
旧I水門の霊を捕まえた夜宵の才能を認めて気に入り、弟子になるようスカウトした。また夜宵になり代わりの見分け方について助言し、夜宵と連絡先を交換した。
かなり血の気の多い性格をしており、妹のなり代わりに関わった悪霊たちに強い怒りを抱いている。夜宵からなり代わりを殲滅するための協力を持ちかけられた際には、コネクションをフルに使った全面戦争を仕掛ける構えを見せていた。
霊群 久作(たまむら きゅうさく)
賢行(けんぎょう)
京都国道1号線沿いにある日照寺の住職。夜宵たちがシシムラ様の封印を解いたことを知り、夜宵たちを離れに匿った。そして寺の僧侶4人とともに厄払いの祈祷を行い、離れの夜宵たちを囮にして助かろうとするが、シシムラ様の呪いを受けて4人とともにシシムラ様と化してしまった。
本来ならば10年前にシシムラ様封印のための即身仏となり死んでいるはずの人物であったが、末期癌を患った妻を身代りの即身仏にして密かに生きながらえ、寺ぐるみで共謀して多額の補償金をせしめていた。また妻を身代りにしたことが封印を杜撰にし、シシムラ様復活を招いた大きな原因となった。
悪人ではあったが、夜宵の意図的な関与によって初めて出してしまった死亡者となった。
貞観(じょうがん)
覚張(かくちょう)
禅仁(ぜんじん)
なり代わり陣営
生者の肉体を乗っ取り暗躍する悪霊たち。空亡の誕生に何らかのかかわりがあり、夜宵が巻き込まれた事件の黒幕である模様。空亡を『御霊/暁闇の胚』と呼び、各地の心霊スポットに『御体』と呼ぶ呪物を配置して霊の悪性変異を促すとともに、空亡の入る器を育てている。
オズワルド
声 - 八代拓
黒い洋服を着てシルクハットをかぶった、金髪の若い青年の霊能者。霊の正体は不明だが、なり代わりである。
霊能業界内に「不良坊主ネットワーク」という独自の情報網を持っており、夜宵たちに持ち去られた呪物を探している。
修業時代から旧知の同門の不良坊主から難しい除霊を依頼されており、かなり腕の立つ霊能者である模様。またその坊主からなり代わりだと見抜かれておらず、演技力も高い。
南光坊(なんこうぼう)
声 - 江原正士
オズワルドと行動を共にする、車椅子に座り骸骨のように痩せ細った右腕のない老人。
霊や呪法についてかなり詳しいようである。また受胎告知の家の父娘を唆し儀式を教えたのも彼であり、その当時はオズワルドではなく礼服姿の女性を同行させていた。
現状ではなり代わりかどうかは不明であるが、「昔の話」とされる受胎告知の家に現れた際には既に現在と同じ姿であった。
闍彌 巫子(しゃみ なぎこ)
声 - 久川綾
10年ほど前に心霊番組に出演し、心霊スポットの霊視や写真のお焚き上げを行っていた老齢の霊能者。最近は心霊系ネット動画に出演していたが、旧Kトンネルにおいて除霊に失敗し、霊になり代わられてしまう。
呪物を仕込みに訪れた旧I水門で夜宵たちに出会い、協力するふりをして夜宵たちを狙うが、遭遇した旧I水門の霊に体をバラバラにされ瞬殺されてしまった。
なり代わっていた旧Kトンネルの霊は遺体が回収された警察署で警官6名を殺害したのち、ドロシーと合流して旧Kトンネルに戻った。
並の霊能者よりは腕の立つ霊能者だったが、姉の弥子によると巫子は霊能者一本でやっていけるほどの才能がなかったそうである。そのためテレビ出演などをしていた結果、霊たちに目を付けられたと推測され、なり代わりである事は姉の弥子には気付かれていた。
ドロシー・フラムスティード
声 - 島袋美由利
オズワルドをお兄様と呼ぶ、夜宵の隣のクラスの少女。ゴスロリ衣装を身に着け、常に西洋人形を抱えている。
旧Kトンネルの霊から夜宵たちのことを聞き、夜宵を品定めするために現れる。小学校の霊道を弄って育成した開かずの間の霊を用いて夜宵の能力をテストした。かなり言動が軽く、なり代わったことをあまり隠そうとしていない。
もとは西洋人形に宿った魂であり、持ち主になり代わったあとその魂を人形に閉じ込め、戻れない絶望を日々味わわせ愉しんでいる。
体のもとの持ち主は夜宵の同級生で、夜宵とは顔見知り程度の関係だった。また霊感があるため無数の悪霊を抱えた夜宵を恐れていた。
その他
町田 響
声 - 興津和幸
悪霊「長山」に憑りつかれていた禮應大学旅行サークルの会長。
過去にサークルで集団暴行を行い逮捕され、執行猶予付きで釈放されるも社会からバッシングを受けたため、人を恨み他人を巻き込んで集団自殺しようとしていた。
夜宵に捕縛されたが警察が到着する前に自殺してしまい、その魂は長山に食われた。
幻燈河 桜子(げんとうが さくらこ)
幻燈河 夕月(げんとうが ゆづき)
幻燈河 星(げんとうが あかり)
声 - 海弓シュリ
螢多朗の妹その2。中学2年生。夕月の双子の妹。螢多朗のようなくせっ毛の茶髪を後ろで束ねている。
半袖の制服を着用しており、まだ子供っぽいところがある模様。夕月と同じく兄に対する評価は厳しい。
紅(くれない)
声 - 金元寿子
生前の弟切花魁の新造となった可愛らしい少女。江戸時代の人物である。
新造となった日に弟切から手鏡を譲られており、弟切を慕っている様子であったが、その実は自分が最も美人であると思っており弟切の美しさを嫉んでいた。そのため弟切の酒に毒を盛って弟切とその身請け相手の伊藤を殺そうとし、この一件によって弟切に伊藤殺害未遂の濡れ衣がかかり弟切の凋落を招くことになった。
弟切が遊女屋を追放され醜く落ちぶれてからは弟切の代わりに花魁になったようであり、伊藤から身請けされることが決まり、弟切のもとを訪れて手鏡を突き返すと同時に勝ち誇って事の真相を明かした。しかし後日、このことで自暴自棄となった弟切に油をかけられて遊女屋もろとも焼き殺されてしまった。
権田 大助(ごんだ だいすけ)
声 - 落合福嗣
夜宵のクラスのガキ大将的な大柄な少年。マイペースな夜宵に何かにつけて突っかかっている。ドロシーの策略で夜宵たちと学校の怪談をめぐる肝試しを行い、開かずの間で夢の中の鬼ごっこに引きずり込まれてしまう。
鬼ごっこで真っ先に霊に捕まり生首だけにされ頭をカラスに喰い尽くされるが、霊に殺意がなかったため事件後に五体満足で生還した。しかしカラスに対して大きなトラウマを抱えることになった。
百鬼 曜子(なきり ようこ)
声 - 楠木ともり
夜宵のクラスのクラス委員長。非常に真面目で、単独行動しがちな夜宵のことを気にかけている。
開かずの間の霊の呪いによって夜宵やクラスメイトとともに夢の中の世界に引きずり込まれ、悪霊との鬼ごっこに参加させられる。友人たちが霊の手にかかる中で脱出のために奔走し、夜宵との合流に成功する。そして夜宵と協力して鬼ごっこに勝利し夢の世界から脱出することができた。
しかしこの経験によって恐怖に晒されることに快楽を覚えてしまい、それを見抜いた詠子と同好の士として交友を結ぶことになった。
愛依の叔母
声 - 拝師みほ
先代の神の花嫁である愛依の叔母。名前は命依(めい)。花嫁の印として愛依と同じ星型の刻印が瞳に浮かんでいた。
本編よりずっと以前に亡くなっており、その魂は神様霊のもとで磔にされじわじわと千切り食われている。
前田 詩音(まえだ しおん)
登場する霊
使役・協力体制にある霊
H市の電話ボックスの霊
ストーカー化した客に殺された人気風俗嬢の霊。螢多朗を囮にした夜宵におびき寄せられ螢多朗を襲うが、夜宵に公衆電話を破壊され受話器ごと夜宵の部屋へ回収される。邪経文大僧正誕生の際に大僧正に食われたと思われる。
日本人形の霊
この霊も大僧正に食われたと思われる。
呪いのビデオの霊
この霊も大僧正に食われたと思われる。
キャンプ場の集合霊
残った霊も最終的に大僧正に食われたと思われる。
とある廃神社の霊
この霊も大僧正に食われたと思われる。
Sトンネルの霊
白いワンピースの女性霊。形代の人形はタヌキ。悪霊でありながら触れることができ、招かなければ家や車の中に入れない特性をもつ。幻覚をみせ相手の油断を誘う狡猾さと、危険を察知し潜み回避する強かさを持つ。
実体化した髪で作った縄は他の悪霊を捕縛・封印できる注連縄のような効果があり、『卒業生』や悪霊の封印、武器として頻繁に使用されているが、Sトンネルの霊自身はあまり強くなく、旧旧Fトンネルの殺人鬼やF公園の老婆にあっさり倒されている。
夜宵曰く「脱走する癖」があり螢多朗の鞄に忍び込むなどして困らせていたが、その癖が幸いして邪経文大僧正誕生の際の「共食い」を免れ、以降も使役されている。
三崎 安奈(みさき あんな)
心霊スポット探索系のユーチューバー。旧Fトンネルで螢多朗たちとはぐれた詠子の前に現れ、意気投合して友人となる。しかし正体は旧旧Fトンネルの被害者の霊であり、生きながらに体を解体された苦しみを共有する相手を望んで詠子を選び、旧旧Fトンネルの霊の餌食にしようとした。旧旧Fトンネルの霊捕獲後も捕縛を免れ詠子を殺し道連れにしようとするが、阻止され捕縛された。
以降は処遇を託された詠子の手で無限修復人形に組み込まれ、詠子の浴びる霊障を永遠に肩代わりさせられる羽目になった。
卒業生ハウスの主
「受胎告知の家」と呼ばれる事故物件にかつて居住していた男の霊。
かつては妻と娘と幸せに暮らしていたが、些細な言い争いから妻を事故死させてしまう。そして世間から殺人者として非難され、それに耐えかねた娘は南光坊に唆され、救いを求めて「天使様」を誕生させる儀式にのめり込んでしまう。
そんな娘を男は止めることが出来ず、娘に言われるがままに殺人を繰り返すことになった。そして娘が「妊娠の呪い」で腹を裂かれ、自らも自殺して霊となって以後も、浮遊霊や訪問者に対して同じことを繰り返していた。
夜宵に追い詰められた天使様に娘が食われたことで自らも解放と消滅を望むが、夜宵は殺人の責任逃れをさせないためにこの男に「受胎告知の家」改め「卒業生ハウス」の番人をさせることにした。
廃ラブホテルの霊
魄啜繚乱弟切花魁が保管されていた廃ラブホテルの地縛霊の女。ヤクザに拉致され麻薬による薬物中毒で死亡したと推測されている。
螢多朗になり代わりかけるが失敗し、夜宵に捕らえられる。その後は夜宵に火あぶりの尋問を受けなり代わり現象についての情報源となった。
Tトンネルの霊
螢多朗を襲おうとしたため出現した式神前鬼にあっさりやられて紙の形代に捕獲された。
安倍晴明
基本的には死者は現世に干渉すべきではないと考えているが、神様霊打倒に奔走する夜宵たちに技術と力を与えるべく「占事略決・外典」と式神「前鬼」「後鬼」を託した。いっぽうで酒呑童子の暗躍には以前から感づいており、夜宵たちの作戦遂行の不確定要素として排除しようと考えている。
神様霊との決戦直前にはマルバスの指輪に操られる夜宵を助けたのち、陰陽術に基づいて神様霊の弱体化を成功させるための助言を与える。弑逆桔梗作戦が開始されてからは螢多朗たちを待ち伏せして螢多朗の肉体に憑依し、螢多朗たちを狙ってきた十二神将2体を撃破したのち作戦の障害になる酒呑童子の排除に向かった。
『卒業生』および卒業生相当の霊
邪経文大僧正(じゃきょうもんだいそうじょう)
僧侶の姿をした悪霊。常にニヤニヤと笑みを浮かべている。形代の人形は首だけになった熊。
召喚時の言霊は、『弔って 邪経文大僧正』。
愛依に憑いている神が蟲毒を突破した際に夜宵の部屋のパワーバランスが崩れ、霊達が共食いをし最後に残ったことで生まれた『卒業生』。
彼の霊現象は聞いたものを地獄へ強制成仏させる「経文」で、これで広範囲の相手を敵味方無差別に排除する戦法をとる。
大僧正の首を切り落とす、顎を潰す、耳栓やイヤホンで耳を塞ぐ、等の手段で対処は可能だが、電子機器や他人の口を乗っ取って経文を唱えさせる為、一時的な遅延にしかならない。
ただ、経文はある程度(小動物であれば数秒、人間なら合計20秒程度)の時間聴き続けて初めて効果が表れるため、その時間内に再封印が間に合えば霊現象から逃れられる。
殉国禁獄鬼軍曹(じゅんこくきんごくおにぐんそう)
太平洋戦争における南方作戦に従軍していた旧日本軍の霊。形代の人形は犬。
生前は不死身とも形容された高い生命力を持っていたが、その図抜けた生命力ゆえに天寿を全うしてから数十年が経過してなお成仏することができず、怨霊に取り憑かれ厄を振りまく己を嘆きながら現世を彷徨っていた。
夜宵とは成仏に協力することを条件にそれまでの間味方になる約束を取り付けたため、協力関係にある。
召喚時の言霊は、『散華(さんげ)して 殉国禁獄鬼軍曹』。
鬼軍曹自身は悪霊ではなく夜宵にも協力的だが、戦争時に殺害した敵国兵の幾多の怨霊がまとわりついており、それらが周囲の人間に害をなす為、扱う際にはやはり危険が伴う。
彼の霊現象は「衰弱の祈り」。鬼軍曹よりも劣った相手と対峙した際に、落胆とともに相手が鬼軍曹を殺せるように自らに弱体化を施す。そしてその際に自身を中心とした陣の中にいる者に彼の念が伝播し、戦時中に負った傷病・飢餓・疲労や睡魔を味わせどんなに苦しんでも死ねない不死身を味わわせる。鬼軍曹が新たな武器を抜くたびに「壱式→弐式→参式」と三段階まで強さが増していき、陣の範囲を広げる。一瞬でも陣に飲まれれば外見は痩せこけ、囚われれば呼吸することも叶わぬまま数百年悶え苦しむことになる。
真っ当な軍人であるため女性や子供の霊とは戦えないという弱点を持つ。一方で自分を滅してくれそうなほど強力な霊に対しては嬉々として戦う姿を見せる。
零式・殉国禁獄鬼軍曹
魄啜繚乱弟切花魁(はくていりょうらんおとぎりおいらん)
邪悪な花魁の霊。形代の人形は狐。
召喚時の言霊は、『煌(きら)めいて 魄啜繚乱弟切花魁』。
生前は天性の美貌を持って生まれた花魁で、貧困の家族を救うお金を作るために遊女となる。遊郭で一番の花魁であったがそれに嫉妬した新造に陥れられ、更には疫病に罹患し醜い姿となってしまう。そのことを恨み、新造諸共に遊郭へ火を放って自身も生涯を終え、霊になった後は美に執着する冷酷な性格へと変貌した。
1年ほど前にフリーマーケットで夜宵と出会う。その時は手鏡に憑いており大した強さもなくありふれた女の霊に視えたため、夜宵の部屋のコレクションに入れられる。そこから1か月で夜宵の部屋のすべての悪霊の魂魄を啜り、恨みの念を呪いに昇華して「卒業生」となる。
彼女の霊現象は「他者の命を啜ることによる煌めき」。命を啜ることで自身の美しさと呪いの強さ・種類が拡張していく。
一つ目の呪い「魄啜」
二つ目の呪い「疫病」
三つ目の呪い「炎上楼閣」
武士の悪霊
H城址の霊 / 千魂華厳自刃童子(せんごんけごんじじんどうじ)
Sランクの心霊スポットであるH城址にいるウェーブがかかった髪の若い女性の地縛霊。形代の人形は象。
召喚時の言霊は、『絶って 千魂華厳自刃童子』。
安土桃山時代にH城が攻め落とされた際に辱められないよう自刃した女性たちの一人。分霊を持つ程の強力な霊でありながら人への害意を持たない極めて珍しい存在。夜宵はH城がパワースポットであった為に霊同士の「共食い」をする必要なく現世に留まれたことを理由として挙げている。
元々は史跡の記憶を風化させない目的でやってきた一般客に霊現象で自刃するまでの経緯を見せて脅かしていただけだったのだが、「成り代わり」陣営が意図的に投げ込んだ呪物により狂わされ、“徐々に首を切り離す”呪いを巻き散らす悪霊と変貌していた。
邪教文大僧正の経文により弱体化したところを捕獲されたが、呪物から解放されたことで元の状態に戻った。夜宵に助けられたことから数少ない協力関係にある霊。
旧旧Fトンネルの霊 / 斎弄晒レ頭(さいろうされこうべ)
Sランクの心霊スポットである旧旧Fトンネルを根城としていた猟奇殺人鬼の悪霊。形代の人形は猿。筋肉質な巨体を内臓で締めた白襦袢で覆い、手斧を武器に持った禿頭の男性。
被害者の内臓、顔の皮を剥がし被りながら殺戮を繰り返しており、更に被害者の面を剥がしてコレクションして嬲り続けている残忍な悪霊。獲物を逃さないために空間をループさせる霊現象を持つ他、全身をゴムのようにしならせて俊敏な動きで移動し、パワーによる肉弾戦もこなす。
殉国禁獄鬼軍曹に敗北し、被害者たちの痛みを感じるよう形代の四肢と頭に釘を打ち込まれて捕縛され肉壁となる。
以後は頭に刺された釘で長らく思考を封じられていたが、弑逆桔梗作戦で力の封印が解かれた際に酒呑童子から力を分け与えられて完全復活し、誘われるままに酒呑童子の封印を壊してしまった。
旧I水門の霊 / 月蝕尽絶黒阿修羅(げっしょくじんぜつくろあしゅら)
Sランクの心霊スポットである旧I水門で猛威を振るった10歳程度の少年の霊。形代の人形はライオン。
召喚時の言霊は、『盈(みた)して 月蝕尽絶黒阿修羅』。
継母に虐待され、最後に旧I水門で滅多刺しにされ殺された。その後遺体は解体され肉団子にされ水門に捨てられた。その継母への憎悪により悪霊となり、目に映るすべての者が継母に見えてしまい、無差別に呪いを振りまく霊となった。
彼の霊現象は「スケッチブックによる消失」と「捕食による強化」。攻撃と捕食がワンセットになった呪いで、スケッチブックに描かれた対象の体を黒く塗りつぶすことで対応する部位が消失し、その質量が肉団子に変換され、少年霊の手元のタッパーに現れる。その肉団子を捕食することで少年の霊は強化される。Sランクの心霊スポットの霊の中でも群を抜いて強く、呪いの起点であるスケッチブックを対応しないかぎり『卒業生』ですら歯が立たない。
スケッチブックを奪っても今度は巨大な腕を4本持つ黒い肉体を形成して直接戦闘を行い、握りつぶした相手を直接肉団子にする。
水門を訪れた夜宵達を襲うが弟切花魁の3つの呪いに蝕まれ敗北、捕獲される。
夜宵の教育により香水の匂いで敵味方を判別できるようになり、さらに新たな戦闘形態を獲得して京都での「シシムラ様」との戦闘で勝利に大きく貢献した。
宇宙人人形の霊 / 過渡期の御霊(かときのみたま)
夜宵がよく持ち歩く人形に入った武将のような霊。形代の人形は宇宙人(いわゆるグレイタイプ)。
召喚時の言霊は、『崩して 過渡期の御霊』。
力と記憶を失っており、他の霊を喰らって少しずつ取り戻し続けている。夜宵と「夜宵の指揮下に入る代わりに、過渡期の御霊に戦場を用意し続ける」という約束を交わしている為、夜宵にも協力的。
通常の消えかけている霊同様の揺らぎが残りながらも卒業生に匹敵する圧迫感を備えている。その力強さをもってなお未完成であることから「過渡期の御霊」と名付けられる。戦場を求め続けており、それを用意してくれる夜宵に協力している。
その正体は未だ明かされていないが、平将門の首塚を訪れた際に人形が反応を示しており、また力のいくらかを取り戻した際には「もうひといくさせん」と呟いている。
Aダムの霊との戦いの中で「無数の人間の情念を超重圧に変換して相手を押しつぶす」霊現象を獲得。
超越地蔵(ちょうえつじぞう)
Aダムの霊
能力で男性を操って洞窟に誘拐し、気に入った顔の男性の霊体を縛り付けて悍ましい口付けで生気を吸い取っては好みでない男性から吸い取った正気を与えて回復させるということを肉体が白骨化するほどの期間繰り返し、彼らの怯えた顔を見て悦に浸っていた。
霊現象は分霊として無数の寄生虫を生み出すというもの。寄生した人間に幻覚を見せ操ったり記憶を操作し、戦闘では無数の卵を植え付け敵の体を破裂させる。
人死が目立っていないだけで実際はかなり強力な霊。螢多朗を誘拐し過渡期の御霊も最初は圧倒したが、御霊の霊現象に叩きのめされて捕獲された。
F公園の霊/曽根崎依子
口から吐き出す不気味な赤子の人形を見たものは生身の人間だろうが『卒業生』クラスの霊だろうが問答無用で魂を人形に閉じ込められる。老婆は犠牲者を人形ごと公園の焼却炉に放り込んで焼き殺し、その悲鳴で出現した死神と呼ばれる存在を喰い殺す。身体能力も異様に高く、螢多朗の危機に応じて出現した式神後鬼とも殴り合い、肥料の粒を指で弾いて砲弾のような威力で飛ばすことも可能。
生前は死神が見えるだけの一般人だったが、両親や夫、息子夫婦、そして残された幼い孫までもが死神に取り殺され、惨たらしく捕食される様を見てしまったことで、死神に凄まじい憎しみを抱きながら公園の焼却炉で自殺した。
そして付近の浮遊霊を食い尽くして死神を捕食する悪霊へと変異し、公園に訪れた人間を餌にしておびき寄せた死神を狩るようになった。
後鬼の「月の狂気の呪い」で体を粉砕される。
敵対する霊
鬼子母神
H市にある水子供養の廃寺に存在する神。水子の成仏が間に合わず影響を受け怨霊化している。悪性変異しても子供を守る神という性質は変わらず、水子の霊を人質に取られれば攻撃をすることはない。この性質を利用され、本体は空亡に喰われた。
神の像の人差し指は夜宵に取られ、ナイフのような護身用の武器として使役させられている。人差し指だけでも神の力は並の悪霊では歯が立たない。
長山
禮應大学の学生に憑りつき人が多いサークルを狙って自殺を煽り、T団地で集団自殺させていた悪霊。
毎年異なる人物に憑りついて集団自殺を繰り返し、この世に留まるために被害者の霊を喰らっていた。その被害者は100人以上にのぼる。
また、被害者の霊の腸を喰いやすいように首吊り自殺を好んでいた。
描写は省かれたが、最終的には夜宵に倒され鬼子母神の指の霊の養分にされたようである。
空亡 / 暁闇の胚
神様霊に挑まれ大敗を喫するが、その敗戦と神様霊のアドバイスから学び成長し、鬼子母神を喰らってさらに強大な力を得た。またこの時に夜宵と同じ見た目の重瞳が発現している。
夜宵にとって打倒すべき最終目標の悪霊である。
愛依の兄
神代愛依の兄。本編開始より少し前に事故死している。生前は仲の良い兄妹であり実家から見放された愛依を単身護っていたが、霊となってからは愛依の命を狙うようになる。
四十九日を目前にして愛依を絞殺しようとするが神様霊と夜宵の介入により果たせず、時間切れとなりエネルギーが尽きて成仏した。
愛依を殺害しようとした理由は「慈悲だった」らしく、死後に「神の花嫁」の真相と末路を知り絶望したことが示唆されている。
神様霊/太歳星君
神代家に憑りつき、20歳になった女性を花嫁として連れていく子供のような神霊。神霊本体ではなく分霊である。花嫁とした女の霊を磔にし、足先からじわじわと千切り食ってる。また周囲に食われて首から上だけとなった歴代の花嫁の霊を無数に連れている。
安倍晴明とは旧知であるらしく、晴明のことを小僧と呼んでいる。
名だたる霊能者やなり代わり陣営からは決して手を出してはならない不可侵の存在として恐れられている。
その正体は四千年前の殷の時代から存在し、陰陽道の伝来とともに日本にやってきた道教の凶神「太歳星君」の分霊。
視肉(しにく)
十二神将
もとは安倍晴明と契約した式神であったが、より高位の太歳星君の出現により無断で契約を反故にし鞍替えしたようである。体内に人形のような形代を持っている。
消滅の凶星
圧縮率によって威力が変化し、低い状態で当たれば霊的なエネルギーのカマイタチ現象によって体がズタズタに斬り裂かれるほか、通常レベルでは風化消滅のような顕微鏡サイズの域の消滅効果、高レベルだと素粒子大の消滅効果の他放射能被爆に近い症状を発生させる。
脳幹霊
愛依から漏れ出る神の気に引き寄せられた凶悪な浮遊霊。人間の脳幹を弄びながら引きちぎり殺すことを好んでいる異常者の霊である。犠牲者たちの死後もその霊から脳と脊髄を取り出し、風船のように携行し、引っかいて苦痛を与え、犠牲者たちを支配下に置いている。
夜宵に捕縛されたのち過渡期の御霊に頭と脊髄を残して食い尽くされ、等活地獄システムとして犠牲者たちの霊から延々と脊髄を痛めつけられるという、因果応報の末路を迎えた。
H城址の老婆の霊
H城址を訪れた人間を誘い込みH城址の霊の餌食にしていた老婆の霊。
もとはH城址とは無関係のホームレスの霊だったが、オズワルドの指示で戦国時代のコスプレをして呪物の見張りをしていた。
役目を果たせなかったため激高したオズワルドに頭部を破壊され成仏させられた。
受胎告知の家の娘の霊
「受胎告知の家」にかつて住んでいた少女の霊。
生前は父母と三人で幸せに暮らしていたが父親が母親を事故死させてしまい、娘は世間から非難され続けることに耐えられずノイローゼになってしまった。そして南光坊に唆されて救いをもたらす「天使様」を誕生させる儀式にのめり込み、父親を強姦して作った赤子を縊り殺して天使様の核とし、訪問者を殺して生贄に捧げる行為を率先して行っていた。そして儀式の最後の詰めとして妊娠の呪いで天使様を身籠るが、儀式は失敗し腹を裂かれて死亡してしまった。
死んだ後も儀式を完成させるために家を訪問する浮遊霊や人間を餌食にし続けており、内見に訪れた詠子を天使様の母胎として付け狙う。しかし夜宵に天使様が撃退され、最期は追い詰められた天使様に餌として食われてしまった。
天使様
「受胎告知の家」に巣食う巨大な赤子の姿の悪霊。
南光坊の入れ知恵による儀式と人骨を用いた呪物の力によって、当時の居住者である父娘の近親相姦で誕生した赤子の魂をベースにして育成された悪霊である。
全部で3体おり、父娘の霊が殺害した人間の魂や招き入れた浮遊霊を喰らい続け、大きく肥え太っていた。また、肉体を得てこの世に誕生するために、家を訪れた女性に憑りつき「妊娠の呪い」を与え、異様に頭部が巨大な赤子となって女性の腹を突き破り殺害していた。
卒業生を安置する物件を探して内見に訪れた詠子に憑りつくが夜宵に除霊され、過渡期の御霊に食い尽くされた。
開かずの間の霊/坂下
鴇勾台小学校の開かずの間に縛られた男性教師の霊。生前の名前は坂下。
生徒からの集団いじめに逢い、女生徒を盗撮した濡れ衣を着せられ家庭も崩壊したことで、犯人の生徒たちに呪いをかけながら自殺していた。
しかしその呪いは不発に終わり、夜宵が転校した時にはすでに消えかけの霊だったが、ドロシーの策略により開かずの間で浮遊霊との共食いを強制させられたことで殺意が増幅し、ついに呪いを発動させるに至った。
そして呪いによって学校敷地内の生徒や教職員を夢の中の世界に引きずり込み、一対一の命がけの鬼ごっこを強制していた。
鬼ごっこに勝利した夜宵に夢の世界から脱出され、怨念で肥大化した霊体の大部分を過渡期の御霊に食われたが、事情を知った夜宵の情状酌量により坂下本体は見逃され成仏した。
坂下が生徒を憎み切れなかったためか、この事件では死者は出ていない。
なお坂下を陥れた女生徒をはじめ、いじめに加担した生徒は全て、素行不良などがもとで悲惨な最期を迎えたことが単行本で語られている。
菌糸の呪い
呪いの原因は霊ではなく、怨念の染みついた呪物であった。この怨念を生み出した人物は、結婚前から妻に不倫され、一人娘とも血が繋がっておらず、大切に育てた娘からの愛情すら間男に奪われてしまった、30年余りにわたって人生を弄ばれ続けた男であった。
妻から真実を明かされこの世に絶望した男は、娘の結婚式当日に関係者すべてをチェーンソーで惨殺し、その後自らにもその刃を突き立て自殺していた。
この男の情念が首を落とした妻のネックレスにこびりつき、菌糸状の呪いを振りまく呪物となった。
螢多朗に憑りつき詠子を殺させようとするが、最終的に詠子によって呪物が破壊されたことで呪いは消滅した。
なお、元凶となったこの男の魂ははるか以前に酒呑童子に食われていた。
酒呑童子
菌糸の呪いを復活の最後の詰めにしようとしたが打破されてしまい、斎弄晒レ頭に夜宵からの離反と協力を持ちかける。そして弑逆桔梗作戦のさなか、晒レ頭に封印を破壊させ完全復活することに成功した。十二神将をあっさり屠る力を持っており、太歳星君の見立てではその力は「まぁまぁデカい」とのこと。
死神
戦場跡や病院など、霊が密集して自然成仏が難しい場所に出現しやすいが、まれに生者に干渉し死を招くこともある。
シシムラ様
黒ずくめに仮面をつけた人間霊のように見えるが首が長く四足歩行する異様な姿をしており、「ばーさーる(ヘブライ語で「肉」の意)」という呪いの声を常に発している。
この声を聞いたものはまず思考力を奪われ、小さな人形のようなミイラに変化させられる。その後シシムラ様の腹部に取り込まれ、「転生の呪い」によりシシムラ様へと変化してしまう。呪いの対象は人間・動物を問わないため放置すれば際限なく増殖していく。
声が届かない相手にはすぐさまアキレス腱を潰しにかかり、逃げられないよう拘束して聞かせようとする。
切断しても蠢き続けるほど高い生命力を持っており、物量も相まって卒業生クラスの霊でなければ滅することも困難である。
夜宵に転生の呪いをかけ、無限修復人形の働きにより肉体こそ変化しなかったものの思考力を奪いとり、夜宵たちに絶体絶命の危機を招いた。
マルバス
シシムラ様を生み出した元凶であり、奴隷のように使役されたシシムラ様が開いた扉から出現した。夜宵たちは黒い霊の方をシシムラ様と呼称したが、姿が作中に伝わるシシムラ様の伝承と合致しており、この霊が本来のシシムラ様だと思われる。その姿を直接見ることのなかった夜宵からはシシムラ様の親玉として「ボスムラ様」と呼ばれる。
無数の羽根や糸のように伸びる体を用いて相手を侵食し乗っ取る能力と、体を糸状にほぐす回避能力で月蝕尽絶黒阿修羅を追い詰めるが、前鬼の炎に糸が焼かれたことで形勢が逆転し、黒阿修羅と前鬼の協力により倒された。
また封印されていた扉には同じマルバスの紋章が描かれていた。
この霊の打倒後、超能力の籠もった指輪をその場に残していき、それを嵌めた夜宵に指輪の使用方法と過去の回想を見せた。
それによれば、この霊は弥生時代に日本にやってきた異国の侵略者が日本人を抹殺して国を侵略するために召喚した正真正銘のマルバスであった。しかし召喚のために生贄に用いた百人弱の村人の魂ではエネルギーが足りず、不完全で汎用的な悪魔の姿で召喚されたようである。
また、マルバスと契約した召喚者の願いを叶える前にマルバスが撃破されてしまったため契約不履行となり、そのお詫びとして残りのエネルギーが指輪の形となって返却されたようである。
式神
陰陽師が使役したとされる霊。陰陽師と契約を結び使役されるようである。顕現時には使用者の生命力を吸う。式神がダメージを負った場合、そのダメージは形代に跳ね返る。 前鬼、後鬼は螢多朗自身が形代となっているが、螢多朗は無限修復人形によって霊障から護られているため結果的に無限の耐久力を得ている。 陰陽術を用いない螢多朗が前鬼、後鬼を顕現させるには自身の生命力を大量に消費するため、全快状態でも使用は2回が限度である。
前鬼
輝く鉈のような大剣で敵を切り刻み高熱で焼き尽くす攻撃を行う。
倒した霊はそのまま貪り食ってしまうため霊の収集には使いづらい。
卒業生相当の力を持っていると推定されている。
その姿と名は安倍晴明との式神契約による仮のものであり、真の名は「天照別御霊(あまてらすのわけみたま)」であり天照大神の分霊である。十二神将が安倍晴明のもとを去った後にその穴を埋めるために契約された。
真の力が解放された状態では卒業生以上に強化された十二神将を一撃で倒すほどの力を発揮する。
後鬼
こちらも現状では任意で呼び出すことはできず、螢多朗の魂消滅の危機が迫った場合に勝手に出現する。
目の部分を隠している頭飾りに巨大な単眼を持っており、この眼が月齢のように開き閉じるに従って相手に失明・窒息・極寒・発狂を段階的に味わわせる呪いを与える。
その見た目にそぐわず性格はかなり残忍である。
前鬼と同様に姿と名は仮のものであり、真の名は「月読別御霊(つくよみのわけみたま)」でありツクヨミの分霊である。
十二神将
設定
霊は時間とともに現世に留まるために必要なエネルギーを消費していき、死後エネルギーが尽きると霊も活動を停止し成仏する。このエネルギーが尽きるまでの期間は一般に四十九日とされている。
しかしほかの霊を食べる、霊脈のようなパワースポットに留まるなどしてエネルギーを増すことで現世に留まることができる。
この共食いの性質から、現世に長く残っている霊はパワースポットにいるものを除けばほとんどが「共食い=人殺し」を躊躇なく行える霊、すなわち悪霊である。共食いの対象になることを恐れるため基本的に霊は群れることがないが、群れなければ自身が食われてしまう脅威が現れると集合霊になる場合がある。基本的には未練や恨みなど抱いた念が消えるまで同じ行動を繰り返す。霊には生者よりも「言霊」が強く作用する傾向があり「命令」+「名前」を口にすることで使役する霊の行動をある程度制御することが可能である。
悪霊捕縛(蟲毒) / ダークギャザリング
また、そのバランスが外力により崩れた場合、最後の霊になるまで共食いすることで、群を超越した個を生み出すことができ、『卒業生』と呼んでいる。
等活地獄システム
無限修復人形
『卒業生』
強力すぎる力を縛るため卒業生それぞれにはその在り方を規定するための「真の名前」として『諱』が与えられており、召喚時に行動を規定する『言霊』と合わせて諱を呼ぶことで使役される。卒業生はすべて日本人であるため、霊との個人的な相性を別にすれば、日本語を喋ることができれば召喚者が誰であっても使役できる。
夜宵の支配下にはあるがほとんどが夜宵を含む人類全般に敵対的、または無差別に霊障をふりまくため、呼び出した後は迅速に再封印せねばならない。
当初はそれぞれを異なる場所にバラバラに封じていたが、「卒業生ハウス」の購入後はまとめて卒業生ハウスに置かれるようになった。
危険度ランク
SSS:評価規格外
SS:生者が行くべきではない場所
S:通るだけでも危険
A:高確率で不吉な現象が起こる
B:危険度大、必ず複数人で行くこと
SSS:評価規格外
SS:生者が行くべきではない場所
S:通るだけでも危険
A:高確率で不吉な現象が起こる
B:危険度大、必ず複数人で行くこと
さらに夜宵の経験則では、Sランク以上は「一度関わると逃れられず、閉じ込められるか距離を無視した呪いにかかる」、Aランクは「生きる事が苦痛になる程の重篤な呪いを背負わせられる」となっている。
卒業生ハウス
家に巣食う「天使様」を除霊後、無事に購入され卒業生ハウスとなった。
なり代わり
なり代わった霊は肉体の記憶を読み取れるため問答だけでなり代わりを見分けることは困難である。人間のオーラが見える霊能者であればなり代わり前後のオーラを比較することでなり代わりに気付くことが可能であるが、賢い悪霊はオーラの色の近い人物となり代わるためこの手段も完璧ではない。
肉体の記憶や技術を活用できるが、思考が乗っ取った肉体に影響されやすいという欠点もある。
『弑逆桔梗』作戦
攻略に選ばれた心霊スポットは次の5つ。①F公園 ②首塚大明神 ③Tトンネル ④Aダム ⑤国道1号線(OW駅~OT駅間)。そして愛依が入院する病院に近く敷地が広い京都御所が決戦の地となった。
形代と神様霊とのリンクは千魂華厳自刃童子が形代に描かれた紋と同じ傷を神様霊に刻み込むことで行なう。
呪いの中継点となる形代を破壊されると神様霊を弱体化できないばかりか京都市と住民に呪いが降りかかってしまうため、形代は複数のバックアップを用意しており、航空便に乗せることで破壊されないようにしている。
晴明が夜宵に与えた助言によると、神様霊から吸い出した力は消えることなく別の場所に流れるだけなので夜宵の作戦は不完全であり、完全に弑逆を成すにはその力を吸収し我がものにできるような霊が必要である。
占事略決・外典
書誌情報
- 近藤憲一 『ダークギャザリング』 集英社〈ジャンプ・コミックス〉、既刊14巻(2023年12月4日現在)
- 2019年6月9日発行(6月4日発売)、ISBN 978-4-08-881856-6
- 2019年10月9日発行(10月4日発売)、ISBN 978-4-08-882089-7
- 2020年2月9日発行(2月4日発売)、ISBN 978-4-08-882214-3
- 2020年6月9日発行(6月4日発売)、ISBN 978-4-08-882323-2
- 2020年10月7日発行(10月2日発売)、ISBN 978-4-08-882441-3
- 2021年2月9日発行(2月4日発売)、ISBN 978-4-08-882559-5
- 2021年6月9日発行(6月4日発売)、ISBN 978-4-08-882677-6
- 2021年11月9日発行(11月4日発売)、ISBN 978-4-08-882830-5
- 2022年3月9日発行(3月4日発売)、ISBN 978-4-08-883054-4
- 2022年8月9日発行(8月4日発売)、ISBN 978-4-08-883205-0
- 2022年12月7日発行(12月2日発売)、ISBN 978-4-08-883295-1
- 2023年4月9日発行(4月4日発売)、ISBN 978-4-08-883456-6
- 2023年8月9日発行(8月4日発売)、ISBN 978-4-08-883534-1
- 2023年12月9日発行(12月4日発売)、ISBN 978-4-08-883534-1
テレビアニメ
2023年7月から12月までTOKYO MXほかにて連続2クールで放送された。ナレーションは中村義洋。
スタッフ
- 原作 - 近藤憲一
- 監督 - 博史池畠
- シリーズ構成 - 村越繁
- メインキャラクターデザイン - 瀬川真矢
- キャラクターデザイン - 横松雄馬、井ノ上ユウ子、酒井強至、一ノ瀬結梨
- 色彩設計 - 歌川律子
- 美術監督 - 長田泰治郎
- 撮影監督 - 安藤優穂
- 3Dディレクター - 上薗隆浩
- 編集 -定松剛
- 音響監督 - 吉田光平
- 音楽 - KOHTA YAMAMOTO、成田旬、瀬尾祐介
- 音楽制作 - ポニーキャニオン音楽出版
- 音楽プロデューサー - 山本京佳
- プロデューサー - 山本京佳、曹聡、松井優子、松村尚、間取美帆、工藤雅世、藤村香耶音
- アニメーションプロデューサー - 増田克人
- アニメーション制作 - OLM
- 製作 - 『ダークギャザリング』製作委員会(ポニーキャニオン、NetEase Games、BS朝日、関西テレビ放送、OLM、創通、CHOCOLATE)
主題歌
「幽世」
「灰色」
「インタリオ」
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 初放送日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 寶月夜宵 | 村越繁 |
| 寺田素都 |
| - | 2023年 7月10日 |
第2話 | 幻燈河螢多朗 | 中川航 | 長岡義孝 |
| 7月17日 | ||
第3話 | ふたり | 山下憲一 | 博多正寿 | 武田秀樹 |
| 井ノ上ユウ子 | 7月24日 |
第4話 | 寶月詠子 | 兵頭一歩 | 福島宏之 | 小林孝志 |
| 横松雄馬 | 7月31日 |
第5話 | 新入生歓迎会 | 尼野浩正 | 和田拓也 |
| 8月7日 | ||
第6話 | 約束 | 村越繁 | 博史池畠 | 長岡義孝 |
| 横松雄馬 | 8月14日 |
第7話 | Sトンネル | 中田誠 | 月野正志 |
|
| 8月21日 | |
第8話 | 神の花嫁 | 山下憲一 | 博史池畠 | 國本一穂 |
| 井ノ上ユウ子 | 8月28日 |
第9話 | 瀆神 | 佐藤裕 | 中田誠 | 割田圭介 | 長谷川一生 | - | 9月4日 |
第10話 | 日本全土 | 村越繁 | 牧野吉高 | 寒竹清隆 |
| 横松雄馬 | 9月11日 |
第11話 | H城址・危険度S | 西森章 | 江島泰男 | 山縣研一 | 9月18日 | ||
第12話 | H城址・卒業生 | 武田秀樹 |
|
| 9月25日 | ||
第13話 | 出獄 | 兵頭一歩 | 川石テツヤ | 橋本みつお |
|
| 10月2日 |
第14話 | 旧Fトンネル | 山下憲一 | 牧野吉高 | 内堀雅人 |
| 横松雄馬 | 10月9日 |
第15話 | 旧旧Fトンネル | 佐藤裕 | 博多正寿 | 長岡義孝 |
| 10月16日 | |
第16話 | 物件 | 村越繁 | 博史池畠 | 月野正志 |
| 10月23日 | |
第17話 | 受胎告知の家 | 兵頭一歩 | 土屋日 |
|
| 10月30日 | |
第18話 | 彼者誰時 | 山下憲一 | 川石テツヤ | 薮内悠 |
| 井ノ上ユウ子 | 11月6日 |
第19話 | 登楼 | 佐藤裕 | 牧野吉高 | 植木貴一 |
| 11月13日 | |
第20話 | 旧I水門/無垢の怨念 | 村越繁 | 内藤明吾 | 前園文夫 |
| 横松雄馬 | 11月20日 |
第21話 | 旧I水門/瑰麗 | 兵頭一歩 | 牧野吉高 | 藤田健太郎 |
| 11月27日 | |
第22話 | 旧I水門/炎の廓 | 山下憲一 |
| 白石道太 |
| 12月4日 | |
第23話 | 学校の怪談/鬼ごっこ | 佐藤裕 | 川石テツヤ | 月野正志 |
| 井ノ上ユウ子 | 12月11日 |
第24話 | 学校の怪談/悪夢 | 村越繁 | 博多正寿 | 西島圭祐 |
|
| 12月18日 |
第25話 | 闇に集う | 博史池畠 | 植木貴一 |
|
| 12月25日 |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2023年7月10日 - 12月25日 | 月曜 1:05 - 1:35(日曜深夜) | TOKYO MX | 東京都 | |
月曜 1:30 - 2:00(日曜深夜) | BS朝日 | 日本全域 | 製作参加 / BS/BS4K放送 / 『アニメA』枠 | |
月曜 2:29 - 2:59(日曜深夜) | 関西テレビ | 近畿広域圏 | 製作参加 | |
月曜 22:30 - 23:00 | AT-X | 日本全域 | CS放送 / 字幕放送 / リピート放送あり | |
2023年7月13日 - 12月28日 | 木曜 2:07 - 2:37(水曜深夜) | テレビ金沢 | 石川県 | |
2023年8月3日 - | 木曜 2:45 - 3:15(水曜深夜) | 山形テレビ | 山形県 | |
2023年8月4日 - | 金曜 1:20 - 1:50(木曜深夜) | 琉球朝日放送 | 沖縄県 | |
AT-X、テレビ金沢以外では5.1chサラウンド放送。 |
配信開始日 | 配信時間 | 配信サイト |
---|---|---|
2023年7月10日 | 月曜 2:00(日曜深夜) 更新 | |
2023年7月15日 | 土曜 0:00(金曜深夜) 更新 |