テスカトリポカ (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『テスカトリポカ』は、佐藤究の長編小説である。『QJKJQ』、『Ank: a mirroring ape』に次ぐ、佐藤究の鏡三部作の完結篇。
本作は古代アステカ文明の要素を絡めつつ、メキシコの麻薬カルテル、臓器ビジネスなど「血の資本主義」を主題に据える犯罪小説である。「I部:顔と心臓 イン・イシトリ、イン・ヨリョトル」、「II部:麻薬密売人と医師 ナルコ・イ・メディコ」、「III部:断頭台 エル・パティブロ」、「IV部:夜と風 ヨワリ・エエカトル/暦にない日」の全4部で構成されている。違法薬物取引、ネグレクト、臓器売買、無戸籍児童問題、など数多の社会問題を取り上げている。
初出は2020年12月の「カドブンノベル」にて、第一部が限定公開され、その後単行本として2021年2月19日にKADOKAWAより刊行された。2021年7月26日時点で10万5千部発行されている。第34回山本周五郎賞と第165回直木三十五賞を受賞した。またこのミステリーがすごい!2022版 2位 、週刊文春ミステリーベスト10 2位 、ミステリが読みたい!2022年版 2位 など、各種年末ミステリランキングにても高く評価された。
ストーリー
川崎にて、メキシコ出身のルシア・セプルべダと暴力団幹部の土方興三の間に生まれた少年土方コシモは、両親のネグレクトに遭い、小学校に入学することもできずに、幼少期を孤独に過ごす。口にするものは自分で茹でた鶏肉に塩をかけたものばかりで、摂取できる栄養は偏っていたが、コシモの肉体はやがて強靭に育ち始める。12歳になる頃には身長は180cmを超えていたのだった——。 一方で、メキシコでは「ロス・カサソラス」という麻薬カルテルが対抗組織「ドゴ・カルテル」によって攻撃を受けていた。ロス・カサソラスを構成するする四人兄弟のうちの三人は殺害されたが、そのうちの一人バルミロは追手を逃れ、長い旅路を経てインドネシアに上陸する。自らをペルー人と偽りながら生活を続けていたバルミロは、あるとき「タナカ」を名乗る日本人と出会う。「タナカ」との関係を続けるうちに、バルミロは彼の正体を知り、また彼との心臓密売ビジネスを企てる。そのビジネスの本拠地を日本に据えたバルミロは、川崎へと渡る。自動車解体場を拠点とし、ならず者たちの仲間と<家族(ファミリア)>を結成し、「血の資本主義」を体現していく。
登場人物
バルミロ・カサソラ
備考
- 同じく麻薬戦争を描いたコーマック・マッカーシーの小説『ブラッド・メリディアン』に影響されたと語っている。
- 当初は故郷の福岡を舞台にするつもりだったが、九州だとうまく話が展開せず、考えた末に川崎を舞台にした、と語っている。
- 執筆中、好きなメタル・ミュージックをよく聴いていたという。
書誌情報
- テスカトリポカ(2021年2月19日、株式会社KADOKAWA、ISBN 978-4-04-109698-7)