ディス・イズ・ザ・デイ
題材:サッカー,
以下はWikipediaより引用
要約
ディス・イズ・ザ・デイ (This is the day) は、日本の小説家・津村記久子による小説。
朝日新聞に2017年1月6日から2018年3月30日まで週1回(金曜日夕刊、夕刊が廃止された地域は土曜日朝刊)連載された、津村にとって初の新聞連載小説である。単行本は、2018年6月7日に朝日新聞出版より刊行された。連載・単行本の装画・挿画は、内巻敦子による。文庫版は、2021年10月7日に朝日新聞出版より刊行された。
2019年にNHK-FM「青春アドベンチャー」でラジオドラマ化された。2019年の第6回サッカー本大賞受賞。
概要
日本のプロサッカー2部リーグ(現実世界のJ2リーグに相当)の最終節に向けて繰り広げられる22チームのサポーター22人の悲喜こもごもを1試合1話の連作短編の形で紡いだ作品である。タイトルの「This is the day」(「今日がその日だ」の意味)は、最終節でチームの、そして応援するサポーターたちの何かが少しだけ変わることを示唆している。
津村が連載小説の依頼を受けた際、当初は全く別のプロットを思い描いていたが、2015年11月23日にキンチョウスタジアム(当時)で行われたJ2最終節・セレッソ大阪対東京ヴェルディの試合を見に行った際に目にしたセレッソサポーターの様子に興味を覚え、さらに同日J1昇格を決めたジュビロ磐田のサポーターの知人へのメールの返事が喜びよりも安堵を伝えたものだったことから、同日行われたJ2の他の試合を見返し、「(プロ)サッカーをやる人たちは特別やけど、観る人たちは別に特別じゃない。誰にでも開かれてる体験」との思いから、同日・同時間キックオフで繰り広げられた11試合を現地で応援するサポーターを描いた小説のプロットを定めた。長期連載となる新聞小説を執筆するに当たって、1本の長編を書くよりも1か月程度で1本の短編を11本書いた方が長続きするのではないかという思惑も働いたという。津村曰く、ニック・ホーンビィの『ぼくのプレミアライフ』がアーセナルを応援するサポーターの「縦軸の物語」であるのに対し、本作は「横軸の物語」を意識したとのこと。
舞台となった22チームは全て架空のチームで、連載当時J3までのチームがない自治体にクラブをできるだけ作ることを念頭に置き、舞台となった土地や全国各地のスタジアムを訪ねたという。但し、最初から22チームの設定を決めていたわけではなく、連載をスタートさせてからチームの設定を徐々に決めていったとのこと。
あらすじ
新聞連載時と単行本収録時では掲載順序が一部異なるが、ここでは単行本での収録順に記す。チーム名の後ろの括弧は最終節前の順位。
三鷹を取り戻す
若松家ダービー
えりちゃんの復活
眼鏡の町の漂着
篠村兄弟の恩寵
龍宮の友達
権現様の弟、旅に出る
また夜が明けるまで
おばあちゃんの好きな選手
唱和する芝生
海が輝いている
「カングレーホ大林」は津村の作品『この世にたやすい仕事はない』にも登場していたチームで、世界観が一部重複している。
エピローグ
書評
小説家の吉村萬壱は自身がスポーツに興味が無く新聞連載時は全く読まなかったというが「結果は大変に面白く、これは紛れもない津村文学であると分かった。サッカー二部リーグの贔屓のチームの存在とクラブの応援が、登場人物たちにとっての「心の杖」なのだ」「市井の人々のそれぞれの人生がスタジアムの喧噪の中で光を浴びて、独自の陰影を深める」と評している。また、農業史研究者の藤原辰史は「登場する人間も土地もチームもみな、上でも内でも中でもなく、どちらかというと下であり外であり縁(へり)である。だからこそ、この作品が活写したように、サッカー場を通じて不思議な縁(えん)が次々に生まれていくのかもしれない」と評している。
ラジオドラマ
2019年7月1日から7月5日まで、NHK-FM放送「青春アドベンチャー」にて、全5回で放送された。全11話のうち5話分を抜粋して1回1話で放送された。
出演
- 篠村兄弟の恩寵 - 藤山扇治郎、溝下翼、橋本菜摘、茶花健太、大河原爽介、荒谷清水、坂西良太
- 眼鏡の町の漂着 - 鬼頭典子、窪塚俊介、草薙仁、大須賀隼人、野々村のん、寺井らん
- 龍宮の友達 - 野々村のん、増子倭文江、角島美緒、荒谷清水
- 権現様の弟、旅に出る - 窪塚俊介、山下真琴、宮信介、山岸門人、坂西良太、山川二千翔、寺井らん、大河原爽介
- おばあちゃんの好きな選手 - 新納だい、白石加代子、松熊つる松、尾倉ケント
スタッフ
- 原作:津村記久子「ディス・イズ・ザ・デイ」朝日新聞出版
- 脚色:入山さと子、葉月けめこ、鈴木絵麻
- 演出:真銅健嗣
- 技術:山田顕隆
- 音響効果:野村知成
- 選曲:黒田賢一