ディルバート
以下はWikipediaより引用
要約
『ディルバート』(Dilbert)は、米国のコマ割り漫画。 作者はスコット・アダムス。 ディルバートという技術者を主人公にした、事務系で、管理的な職場を皮肉ったユーモアで知られている。 この漫画は1989年4月16日から新聞に掲載され、いくつかの単行本、テレビアニメ、コンピュータ・ゲーム、および数百のディルバート関連商品になっている。 アダムスは1997年にNational Cartoonist SocietyのReuben AwardとNewspaper Comic Strip Awardを受賞している。ディルバートは世界65カ国、2500の新聞で25の言語で描かれ、1.5億人の読者がいる。また、作品集・選集・カレンダーを含む総発行部数は2000万部を超える。
テーマ
この漫画は、もともとはエンジニアであるディルバートと彼のペット、ドッグバートが、家で起こすアクションを扱うものだった。 ほとんどのプロットは、ディルバートのエンジニアとしての本性や、彼の奇妙奇天烈な発明品を扱っていた。 これらは、ドッグバートの誇大妄想狂的な野望を基にしたプロットに変質していき、後には、場面は巨大な技術企業にあるディルバートの職場に移っていき、漫画は情報産業の職場と企業の問題に皮肉を言うようになった。 この漫画の人気は、多くの人によく知られた職場を場面とテーマにしたことに理由がある。
『ディルバート』は、企業文化を、自己目的化した官僚主義と生産性を妨げる企業経営がはびこるカフカ的悪夢として描いている。 そこでは、従業員の技能と努力は評価されず、忙しく見せかけるだけの仕事が評価される。 管理の誤りに対する自然な反応として登場人物たちが明らかにばかげた決定をするところに、多くのユーモアが見られる。
これまで扱ったテーマには以下のようなものがある:
- エンジニアの個性
- ファッションセンスの無さ
- デートができない
- 工具やテクノロジー製品が好き
- 深遠な知識
- 無能で嗜虐的な管理
- 現実を考慮しないスケジュール
- 成功に見返りを与えず、怠惰を処罰しない
- 管理の悪さが原因で起こった従業員の失敗を処罰する
- コンピュータ管理
- 人の士気を高めないばかりか、大いに下げる
- 対話の失敗
- 失敗または取り下げが決まっているプロジェクトを扱う
- 薄弱な(または純然たる悪意がある)理由説明に基づく嗜虐的な人事管理
- 企業の官僚主義
- 大衆の愚かさ
- 広告に影響を受けやすい
- 集団仲間圧力に影響を受けやすい
- 明らかなペテンを信じる
- 第三世界諸国とアウトソーシング(エルボニア国)
- 荒廃
- 奇妙な文化習慣
- 資本主義への無理解
- ファッションセンスの無さ
- デートができない
- 工具やテクノロジー製品が好き
- 深遠な知識
- 現実を考慮しないスケジュール
- 成功に見返りを与えず、怠惰を処罰しない
- 管理の悪さが原因で起こった従業員の失敗を処罰する
- コンピュータ管理
- 人の士気を高めないばかりか、大いに下げる
- 対話の失敗
- 失敗または取り下げが決まっているプロジェクトを扱う
- 薄弱な(または純然たる悪意がある)理由説明に基づく嗜虐的な人事管理
- 広告に影響を受けやすい
- 集団仲間圧力に影響を受けやすい
- 明らかなペテンを信じる
- 荒廃
- 奇妙な文化習慣
- 資本主義への無理解
登場人物
主な登場人物は次の通り:
ディルバート
ドッグバート
ドッグバートは繰り返し大統領選挙に出馬しており、その公約は「我が輩が大統領になったら、間抜けからしか税金を取らないと約束しよう」「我が輩に投票しなかった人のみから税金を取り、我が輩に投票した者には補助金を与える」などといったもので、いずれも民衆の喝采を浴びる。
ラットバート
キャットバート
尖った髪のボス
ウォーリー
アリス
アショーク
キャロル
フィル(光の不十分な世界の王子)
エルボニア人
恐竜ボブ
ポップカルチャーに与えた影響
この漫画が企業社会で人気を得たことで、ディルバートというキャラクターが多くのビジネス雑誌や出版物で使われるようになった(ディルバートはFortune誌の表紙に何度か登場している)。
トロント・スター、モントリオールのラ・プレス、インディアナポリス・スター、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムス、ブリスベーンのクーリエ・メール、およびサンフランシスコ・クロニクル、その他の出版物では、ビジネス面に他の漫画とは別にディルバートを掲載している。
よく知られた(しかし証明されていない)理論として、ある職場の士気は、そこのデスクや仕切り壁に貼られたディルバートの漫画の枚数に反比例する、というものがある。 ディルバートの漫画がたくさん貼られている職場は、その企業における官僚主義的な管理への全体的なフラストレーションを反映している。 逆に、全体的に満足している従業員はディルバートの登場人物と同一化を感じることが少ないので、ディルバートの漫画が貼られることも少ない。 しかし、ディルバートが全く貼られない職場は、必ずしも士気が非常に高いことを意味するとは限らない。むしろそれは、徹底した強権主義的管理によって従業員がディルバートを張ることを禁じていることを意味するのかもしれないからだ。
批判
ディルバートをアメリカ企業社会の象徴として使ったために、彼の漫画が皮肉ったまさに同じ企業社会によって登場人物が受け入れられていることに対して、スコット・アダムスは批判に曝された。
ディルバートの皮肉は、企業のライフスタイルはどこも大差が無いという事実を示している。あたかもアダムスが批判を予期し、皮肉をもって批判を逸らすことを計画していたかのようだ。 ノーマン・ソロモンは、この漫画はCEOを批判するには不十分で、かつ普通の労働者への配慮に欠けている と考えた。 ホワイトカラー労働者はもっと敬意を払って欲しがっているだろうという発想は、ホワイトカラーが自由選択であるという一般的な信念に反しているが、ディルバートを襲うダウンサイジングやその他の圧力は、1970年代にハリー・ブレイバーマンによって予測されていたものだった。 こうした圧力を扱うには、ディルバートはもっとブルーカラー的に労働プロセスで闘争しなければならないのだが、ディルバートでは上司は風刺してもよいが従わなければならないものとして描かれている。
デイビッド・ノーブルは、1950年代の当時は最新だった電算機ツールのプログラミングの管理をめぐるサイバー闘争を、黎明期、中期、後期に分けて述べている。 ソロモンは、著書の中ではユーモアを見せないが、ディルバートに見られる皮肉は、労働者管理の最善の割り当てに対する真面目な係争を避けるよい方法だと感じている。
ピーター・ドラッカーとC・ライト・ミルズは、この漫画の前提になっているが一度も言及されない矛盾点を指摘している。 すなわち、ディルバート、ウォーリー、アリスその他のメンバーは、一丸となって製品を作っていると同時に、互いに競争相手でもある。 この漫画はこのダブルバインドの犠牲者を風刺している。 ソロモンは、これが、人々がその運命に甘んじてそこから抜け出す道を見つけようとしなくなることを憂慮している。
こうした批判の欠陥は、その著者の一部は、人々はディルバートを日々1~2分の面白おかしいものと考えているに過ぎないとは考えず、役割モデルとして使うだろうという仮定を置いていることであろう。
ディルバートの法則
ディルバートの法則は、企業は有能な人間を現場から引き抜くダメージを最小限にするために、最も無能な従業員を管理職に昇進させるという、風刺的な観測をいう。
この用語は、バークレーのMBAで漫画ディルバートの作者スコット・アダムズによって作られた造語である。アダムズは1996年にウォールストリート・ジャーナルでこの法則を紹介した。それからアダムズは1996年の同名の本で、ディルバートの法則についての研究を拡張した。この本は、なんらかの管理や企業計画についての本をあらかじめ読んでおくことが要求(または推奨)されていた。この本は100万部以上売れ、ウォールストリート・ジャーナルのベストセラー一覧に43週間載り続けた。
この法則は、従来の人事管理の技術と矛盾しているために、学術的には真実性は棄却されるかもしれないが、実業界でよく議論された問題を表した風刺の一形式として提唱された。この理論は、その後実業界と管理層からの一定の支持を得た。例えば元Appleのガイ・カワサキはこう言った。
「企業には二種類ある。自社がディルバートに似ていることを自覚しているもの、そしてディルバートに似ているがそれをまだ自覚していないもの。」
ディルバートの法則はピーターの法則のバリエーションである。ピーターの法則は、現在の職位で能力を示した従業員への報酬として昇進させるような、(例えば企業のような)階層的組織の性質について述べたものである。すなわち、こうした行為により、有能だった従業員は、最終的にその人が無能になる職位まで昇進して、無能なままそこに留まるということを示している。