トラペジウム (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『トラペジウム』(とらぺじうむ、trapezium)は、高山一実による日本の小説。イラストはたえが担当。
概要
『トラペジウム』は高山一実の小説家デビュー作。アイドル・高山一実がアイドルを目指す女の子について綴り、雑誌『ダ・ヴィンチ』の2016年5月号から2018年9月号まで掲載されていた連載小説。
2018年11月、単行本化(KADOKAWA)。書籍化に伴い大幅に加筆修正され、中村文則・羽田圭介が帯コメント、2019年2月7日以降の店頭6刷り分には西野七瀬の限定帯コメントが付属した。2020年4月、文庫本化(角川文庫)、これを記念し、Instagramのアカウントを開設。翻訳本として韓国・台湾版が発売され、同年7月に中国語簡体字版も発売。書名の『トラペジウム』はオリオン大星雲の若い星の星団を指す。
2023年12月には劇場アニメ化が発表され、2024年5月10日に公開予定。
あらすじ
アイドルを目指す女子高生・東ゆうの物語。
帰国子女の主人公・東ゆうはカナダにいた頃、録画テープに記録されていた歌を通じてアイドルを知る。星を指す『トラペジウム』の書名は、そのアイドルが放っていた光に由来する。その光に感動したゆうはアイドルになりたいと願う。高校進学後、アイドルになるために4箇条を課し、高校生活を送るゆうは、地元城州の東西南北からアイドルを志すメンバーを集め、4人組のグループを結成する。終盤、題名「トラペジウム」の意味が明らかになる。
登場人物
作風とテーマ
本作は「手紙」をコンセプトに、高山一実が作中にメッセージをしのばせている。西野七瀬によれば、表紙のイラストが私そっくり、その他の登場人物も乃木坂46メンバーの面影があり、高山一実の愛情を感じた。高山によれば、それを意図したわけではないが、アイドルを辞めるときの3つの要素である恋愛、お金、夢を登場人物に込め、自身の憧れるアイドル像をイラストレーターに伝え、描いてもらった結果、自然と西野七瀬のような姿になった。メンバーがモデルというわけではないが、メンバーがいてこそ書けた作品。乃木坂46にとって脅威となるようなアイドルグループを組み立てた。アイドルを題材にしたのは、自身の経験や疑問、葛藤を表現したかったから。アイドルになって幸せだったか、『トラペジウム』を書いてアイドルに対する整理をつけた。作中には「アイドルの使命は自分のパーソナルプロデューサーを担い続けること」という結論じみた一文が登場する。
制作背景
構想4年、制作2年。構想はアイドルになる女の子たちを仲間にすることから始め、残りは書き進めていく中でまとめていった。舞台となる東西南北の学校は四神から発想を得た。自分の思いを書いたメモ、学生時代の出来事を思い出しながら構想を練った。小説はアイドル活動と並行して制作し、高山一実の2ndソロ写真集『独白』の撮影時期に書き終えた。執筆の際にはデジタルメモ端末のポメラを愛用した。
既刊一覧
タイトル | 版 | 発行日 | 発売日 | 出版社 | ISBN | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | トラペジウム | 単行本版 | 2018年 | 2018年11月28日 | KADOKAWA | ISBN 978-4-04-068696-7 |
2 | 트라페지움 | 韓国版 | 2019年 | 2019年6月19日 | 아르테 | ISBN 978-89-509-8126-6 |
3 | トラペジウム | 文庫本版 | 2020年 | 2020年4月24日 | KADOKAWA | ISBN 978-4-04-102644-1 |
4 | トラペジウム | Kindle版 | 2020年 | 2020年4月24日 | KADOKAWA | |
5 | 成為星星的少女 | 台湾版 | 2020年 | 2020年6月5日 | 尖端 | ISBN 978-957-10-8890-7 |
6 | 四重星 | 中国語簡体字版 | 2020年 | 2020年7月5日 | 新星出版社 | ISBN 978-7-5133-4018-2 |
社会的評価
出版当時、乃木坂46の現役アイドルだった高山一実がアイドルについて語った作品は興味深い作品と評された。アイドルになった後ではなく、アイドルになる前の姿が描かれている稀な作品であり、アイドルである作者が「アイドルとは何か」の問いに答えようとしている。アイドルがアイドルの小説を執筆することは、物語の主人公を作者に投影される危険が伴い、作者自身のイメージを損ないかねない。文芸評論家・杉江松恋によれば、そのような危険に挑んだことは評価に値する。小説家・羽田圭介も絶賛。齋藤飛鳥、西野七瀬、長濱ねるが読書感想文を寄せた。
発行部数
2018年11月28日、初版2万部で発売開始。発売後10日で8万4000部、2か月足らずで17万部、2019年2月に20万部突破。これを記念し、2019年3月1日から期間限定で『高山一実記念館』が開館された。2022年時点、累計発行部数25万部突破。
出版プロデューサー・亀谷敏朗によれば、出版不況下において文芸分野では著者性が売上を左右し、村上春樹や東野圭吾のような著者性を持ったアイドルが執筆したことも売上に影響した。とくに若年層から厚い支持を集めた。
チャート成績
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オリコン
トーハン
店舗
日本出版販売
2018年11月27日から2019年1月14日間、本屋で今検索されている本ランキングで10週連続1位を獲得。
劇場アニメ
2024年5月10日に公開予定。制作は『SPY×FAMILY』シリーズや『ぼっち・ざ・ろっく!』などのCloverWorksが手がける。
キャスト
- 東ゆう - 結川あさき
- 大河くるみ - 羊宮妃那
- 華鳥蘭子 - 上田麗奈
スタッフ
- 原作 - 高山一実
- 監督 - 篠原正寛
- 脚本 - 柿原優子
- スーパーバイザー - 舛成孝二
- キャラクターデザイン - りお
- 音楽 - 横山克
- 制作 - CloverWorks
- 配給 - アニプレックス
主題歌
「なんもない feat. 星街すいせい, sakuma.」
参考文献
- 高山一実『トラペジウム』(単行本版)KADOKAWA、2018年11月28日、1-240頁。ISBN 978-4-04-068696-7。
- 타카야마 카즈미 著、김수지 訳『트라페지움』(韓国版)아르테、2019年6月19日、1-216頁。ISBN 978-89-509-8126-6。
- 高山一実『トラペジウム』(文庫本版)KADOKAWA〈角川文庫〉、2020年4月24日、1-288頁。ISBN 978-4-04-102644-1。
- 高山一実『トラペジウム』(Kindle版)KADOKAWA〈角川文庫〉、2020年4月24日、1-224頁。ASIN B086YJK7MC。
- 高山一實 著、張鈞堯 訳『成為星星的少女』(台湾版)尖端、2020年6月5日、1-224頁。ISBN 978-957-10-8890-7。
- 高山一実 著、余冬敏 訳『四重星』(中国語簡体字版)新星出版社、2020年7月5日、1-224頁。ISBN 978-7-5133-4018-2。