トワイライト・サーガ
以下はWikipediaより引用
要約
『トワイライト・サーガ』は、栗本薫によるヒロイック・ファンタジー小説。
概要
短編の連作形式によって10作品が発表され、全2巻にまとめられている。作者の別シリーズ『グイン・サーガ』の何千年も後の未来を舞台とした物語であるが、実際に執筆されたのは本シリーズのほうが先であるという。闇王国パロスの美貌の王子ゼフィールと、それに付き従う草原の国トルースの戦士ヴァン・カルスの2人が、ともに流浪の旅を続ける中で出会ったさまざまな怪異を中心として描いた物語であり、『グイン・サーガ』と比較すると極めて魔道色の強い物語となっている。
第1作「カローンの蜘蛛」の初出は『S-Fマガジン』1982年12月臨時増刊号。本作は、作者がまだデビュー前の1974年に『S-Fマガジン』主催で開催された「第四回S-Fマガジンコンテスト」へ応募して落選した作品である。本作以外にも、作者は1972年から1973年にかけて、本シリーズに属する作品を書き続けていたという。その後、早川書房に保管されていた第1作を雑誌に掲載するにあたり、その時点で書かれていた全シリーズ作品のタイトルを記したところ、ファンから刊行への要望が多く寄せられたため、1983年および1984年に光風社出版から、未発表のシリーズ作品も含めて刊行に至ったものである。
刊行決定前には「迷路島」までの9作品しか書かれていなかったが、第2巻『カナンの試練』の発行に際して第10作「死者の珠」が新たに執筆された。
光風社出版から単行本として刊行された後、1986年に角川文庫から刊行された。表紙は天野喜孝が担当しており、1巻では主人公・ゼフィール王子の正面からの顔が、2巻では横顔が描かれている。文庫版『カナンの試練』あとがきによれば、第3巻の表紙ではゼフィール王子の後ろ姿が描かれ、それと同時に驚くべき真相が明らかになる予定である、とのことであった。しかし第3巻は刊行されず、作者の死去によりそれらは実現せずに終わった。
書誌・収録作品
光風社出版 1983年8月15日発行 / ISBN 4-87519-453-6
角川文庫 1986年6月10日発行 / ISBN 4-04-150015-X
光風社出版 1984年8月20日発行 / ISBN 4-87519-465-X
角川文庫 1986年6月25日発行 / ISBN 4-04-150016-8
グイン・サーガとの関係
時代が異なるゆえ、共通して登場する人物などはないが、ヤヌス(ジェイナス)、ドール、ヤーン、モスなどの神々や、パロス、トルース、アグラーヤなどの国々の名前には、共通するものが多くみられる。また、第1話「カローンの蜘蛛」に登場するパロスの偉大皇帝コルラ・タルスは、吸血皇帝コルラ・サーンの父であるが、グイン・サーガ正伝第3巻『ノスフェラスの戦い』冒頭に収められた小文「混沌の時代」の中には「吸血皇帝コルラ・タルス」の名前が見られ、なんらかの関連をうかがわせる。さらに、グイン・サーガ正伝44巻『炎のアルセイス』の中で、主人公のグインが語る幻視の中に、「カローンの蜘蛛」の一場面を思わせるものが登場する。