ニュクスの角灯
以下はWikipediaより引用
要約
『ニュクスの角灯』(ニュクスのランタン)は、高浜寛による日本の漫画作品。『コミック乱』(リイド社)にて2015年5月号から2019年8月号まで連載。単行本全6巻。明治前期の長崎とベル・エポックのパリを舞台に描かれるアンティーク浪漫。
2018年第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、2019年リーヴル・パリ(フランス語版)レコメンド作品、2020年第24回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
本作の連載終了後、前日譚にあたる『扇島歳時記』の連載が同誌で始まった。本作と『扇島歳時記』に、作者の前作『蝶のみちゆき』を合わせて「長崎三部作」と称される。
制作背景・反響
本作は歴史を題材にしたフィクションだが、作者の高浜による綿密な時代考証や現地取材、実際に蒐集したアンティークの知識などが豊富に取り入れられている。例えば、大浦慶、松尾儀助、エドモン・ド・ゴンクールといった実在の人物や、ダニエル・ペーターのチョコレート、バッスルドレス、幻灯機、『不思議の国のアリス』、助惣焼、青貝細工、浮世絵といった実在の文物が多数登場する。各話の幕間には、登場した文物についてのミニコラムが挟まれる。
作者の高浜が本作の舞台に近い熊本県天草市出身であること、連載中の2016年に熊本地震に被災したこと、アルコール依存症と闘病してきたこと、なども本作に影響を与えている。作中にも、アルコール依存症が重要な要素として出てくる。
フランス文学者の鹿島茂の著作からも影響を受けており、2018年には鹿島との対談イベントが開催された。
本作は連載途中から高く評価され、複数の賞を受賞をしている(#受賞)。とりわけ最終話が多くの反響を呼び、希望に満ちた結末とする声と、悲劇的な結末とする声の両方があった。
作者の過去作と同様、フランスでも翻訳・刊行され、高く評価されている。2019年には国際的なブックフェア「リーヴル・パリ(フランス語版)」でレコメンド作品に選出された。
2020年2月から7月にかけて、熊本市現代美術館で、長崎三部作の原画や当時の文物を集めた特別展「高浜寛展」が開かれた。
2021年9月放送のNHK教育テレビ『こころの時代〜宗教・人生〜』で、本作の制作背景が取り上げられた。
2022年1月から2月には、長崎歴史文化博物館でも特別展が開かれた。
あらすじ
1878年(明治11年)、西南戦争で親を亡くした内気な少女・美世は、長崎鍛冶屋町で工芸品の輸出入を扱う道具屋「蠻」(ばん)で働くことになる。店主の小浦 百年をはじめとする周囲の人々や、舶来の文物に触れる中で、美世は次第に成長していく。同時に、百年のことを恋愛対象として意識し始めるが、百年はかつて暮らしたパリでの初恋の相手・ジュディットへの想いを断ち切れずにいた。
パリにおけるジャポニスムの高まりに着目した百年は、「蠻」のパリ支店を開設するために――もう一つにはジュディットと再会するために――、「長崎三女傑」の一人・大浦慶の助力を得て渡仏する。しかし再会したジュディットは、かつてとは別人のような性格になっていた。一方、長崎に残された美世は、百年の真意を知って自身の想いを断ち切るが、ひょんなことから自身も渡仏することになるのだった――。(以上第4巻までのあらすじ)
華やかな時代の陰で、それぞれに葛藤を抱えた登場人物が織りなす、ビルドゥングスロマン。
登場人物
長崎
美世(みよ)
パリ
受賞
- 2016年 - 『ダ・ヴィンチ』2016年11月号「絶対はずさない!プラチナ本」
- 2017年 - THE BEST MANGA 2017 このマンガを読め! 第4位
- 2018年 - 第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門 優秀賞
- 2019年 - リーヴル・パリ(フランス語版)2019 レコメンド作品
- 2020年 - 第24回手塚治虫文化賞 マンガ大賞
書誌情報
- 高浜寛 『ニュクスの角灯』リイド社、全6巻
- 2016年1月29日発売、ISBN 978-4-8458-4421-0
- 2016年7月29日発売、ISBN 978-4-8458-4428-9
- 2017年4月6日発売、ISBN 978-4-8458-5010-5
- 2018年2月16日発売、ISBN 978-4-8458-5180-5
- 2018年11月27日発売、ISBN 978-4-8458-6005-0
- 2019年8月27日発売、ISBN 978-4-8458-6027-2