漫画

ハイパーインフレーション (漫画)


ジャンル:経済,

題材:超能力,経済,

漫画

作者:住吉九,

出版社:集英社,

掲載サイト:少年ジャンプ+,

レーベル:ジャンプ・コミックス,

発表期間:2020年11月27日 - 2023年3月17日,

巻数:全6巻,

話数:全58話,



以下はWikipediaより引用

要約

『ハイパーインフレーション』は、住吉九による日本の漫画作品。精巧な贋札(ハイパーノート)を身体から生み出す能力を得た少年ルークと、帝国や奴隷商人がハイパーノートを巡って経済的攻防戦を繰り広げる経済バトル漫画。『少年ジャンプ+』(集英社)にて2020年11月27日から2023年3月17日まで隔週金曜日更新にて連載された。

「少年ジャンプ+」超速!連載グランプリ2019で読者投票によりゴールドグランプリ(大賞)を獲得し、連載と単行本化が決定した。連載グランプリ版は全3話で、第1話は2021年5月14日に番外編として本編休載時に再掲載された。

2022年にはアニメーションPVが配信された。

あらすじ

ヴィクトニア帝国の奴隷狩りによって両親を失ったガブール人の少年・ルークとその姉ハル。奴隷狩りが禁止された現在、ルークは金こそが自分達ガブール人が持ち得る唯一の力と信じ、我流で帝国の共用語と経済を学び、贋の通貨と本物の通貨を交換して利益を得るという「商売」を行っていた。そんな最中、奴隷商グレシャムは禁じられた奴隷狩りを密かに決行、ガブール人達と共にハルも攫われてしまう。絶望の中ルークの前に現れたガブール人の神によって、ルークは「子供を作る力」の代わりに、体から一万ベルク札を際限なく生み出す力を得る。しかしその一万ベルク札は素材は本物と全く同じ、シワも札番号も全く同じな「スーパーノート」を超える贋札「ハイパーノート」であった。ルークは得た力を使って、ハルを救い出してガブール人の自由のために帝国を打倒する「経済戦争」を目指す。

登場人物
救世主チーム

ルーク

本作の主人公。ガブール人。生殖機能を失う代わりに、神によって体から贋札を出せるという特殊能力を授けられる。物語開始時点で12歳の子供だが、大人に対し交渉や騙し合いを仕掛けられるほどの頭の良さと大胆不敵さを持つ。姉のハルを取り戻すこととガブール人の奴隷制度の撤廃を目標に、グレシャムやレジャットと時に対立し、時に協力しながら奔走する。
グレシャム

「大きな赤ちゃん」なる異名を持つ帝国の大商人。頭に巻いている模造品の宝石が特徴。商才や判断能力に優れた切れ者ながらとにかくカネに汚く強欲。人や物を無意識に鑑定して金額で判断する癖があるが自分自身の事は無価値としており、カネのためには体に障害の残る大怪我を負うことも厭わない。ルークに協力する傍ら、彼の力を利用して倒産した「グレシャム商会」の再建を目論んでいる。
フラペコ

グレシャムの部下であり、彼の右腕的存在。過去に祖国が敗戦し革命が起きた事で経済が崩壊した事から、お金の価値を信用していない。優秀な頭脳を持ち、要領が良く手先が器用。裁縫、料理、修理、ハンドサインと様々な技能を持つ。カネより命の方が大事という考え方から、カネの為なら命も捨てかねないルークとグレシャムの両方が間違った道を進まないようにと、双方の立場から常に見守っている。
ダウー

野生児のガブール人女性。巨大な体躯と優れた身体能力を持つ。当初は常に全裸であり、まともに言葉も喋れず力加減も知らない「怪物」であったが、機械人形のハルから母性を学び、ルークから身を挺して護られた事により愛情が目覚めた事から彼のことを愛するようになり、服を着て喋る言語も増えていくなど、徐々に人間らしくなっていく。
クルツ

金貸しのガブール人男性。元奴隷であり、身体中に拷問の跡が残っている。裏社会とも通じていることから、裏切り者の処刑や潜入捜査など、ルークには秘密裏で様々な汚れ仕事を引き受けている。
ビオラ

贋札職人の女性。優れた技術を持つ元・画家であったが、かつて憧れであった「贋札殺し」の技術と、自分の売り込み方から格の違いを思い知らされて画家を引退し、ルークから贋札作りに勧誘されるまでは高級娼婦をしていた。気分が高揚すると「粋~!」と唸る癖がある。

ヴィクトニア帝国政府

レジャット

ヴィクトニア出身のガブール人。ヴィクトニア帝国の政府の人間で、秘密情報部に所属している。「レジャット」は本名ではなく、任務のための偽名。ルークの能力が「カネを出せる能力」だと気づいてからは「世界経済の混乱」を危惧し、自分が世界を護るという行き過ぎた正義感を見せるようになる。頭の回転が非常に速く、格闘術や銃の扱いにも長け、状況を先読みする能力も高い。自傷する事で自ら救世主になろうとした過去があり、その際の古傷をクルツとの戦いの際に発見され、心中を見透かされてしまう。
コレット

レジャットの部下の小柄な女性。二丁拳銃の使い手であり、射撃の腕は一流。自身が腕力の足りない人間であるが故に、それを補える銃を愛する。
ヨゼン

レジャットの部下の大柄な男性。極東の島国から来た刺客。動くたびに揺れるリーゼントのような髷が特徴。武器は刀であり、剣術の腕は一流。
「贋札殺し」

紙幣局の局長。「贋札殺し」という異名は昔に起こった贋札の偽造事件を政府と協力して逮捕に貢献し、25年間で313人の人間を絞首刑に追い込んだことから。舌触りと味覚で紙幣の真偽を判定できる技能を持つ。元は優れた芸術家であり、ビオラの憧れの存在であった。「醜い容姿と醜い心を持った人間だけが本当に美しい作品を生み出せる」という持論と「美しい容姿を持つ者と自分より才能を持っている者は全員死ねばいい」という歪んだ思想を持つ。

ゼニルストン自治領

イェルゴー

父親の代わりに、ゼニルストン自治領を自治する委員会に加わる。ルークと囚われてたハルの関係を掴み、「商談」に現れたルークら救世主チームを逆に恐喝する。

その他

ハル

ルークの姉。ガブール人の巫女。お淑やかな性格だが、弟のルーク同様に大人に対し交渉や騙し合いを仕掛けられるほどの頭の良さと大胆不敵さを持つ。グレシャムが扇動した奴隷狩りによって捕らえられ、ゼニルストン自治領に売られてしまった。

用語

ガブール人
ルークの出身民族。「ガブール神」を信仰する民族であり、白い髪と赤い瞳、やや尖った耳が特徴。多くの者が髪の毛の一部を編み込んだ髪型をしている。
ヴィクトニア王国の奴隷狩りと親ヴィクトニア派ガブール人の裏切りに遭い、現在はその多くが奴隷とされている。
ガブール人の間では「ガブール神に見出されたガブール人の子供は、成長に伴って本来獲得するはずだった生殖能力を得られない代わりに人智を超えた力を授かる」という伝承があり、それを知る一部のヴィクトニア国民からは密かに警戒されている。
事実、ルークはこの伝承の通りに特殊能力を与えられた。
ヴィクトニア帝国
世界経済の中心となる国家。通貨単位は「ベルク」(金本位制)。
ハイパーノート
ルークが身体から創造する、偽の一万ベルク紙幣のヴィクトニアでの呼称。
精度は本物と全く見分けがつかない程に精巧であるが、紙幣に印字された製造番号は全て「4370953」であり、この番号を違うものへ変更することもできない。そのため、この番号が同一である点に気づかれると贋札であることを看破されてしまう。

作風

ライターのaillによると、本作は「経済の歴史や仕組みを漫画の中で学べ」、「それらを土台に」話が展開されていく作品となっている。本作の魅力は真面目な場面のほか、「シリアスな場面の合間に挟み込まれるシュールなギャグ要素」、個性的な登場人物であるという。

評価

ジャンププラス編集部は、連載グランプリの講評において「1話1話のヒキ」「読者を驚かせる仕掛け」「続きが気になる展開」を評価し、主人公に強い目的意識があることで読者に評価されグランプリに繋がったのではないかとした。課題として説明過多である点を指摘した

2021年8月、「次にくるマンガ大賞2021」Webマンガ部門にて、6位を獲得。同年12月、「このマンガがすごい!2022」オトコ編にて、11位に選ばれている。2023年3月、第6回「アニメ化してほしいマンガランキング」では1位を獲得。

反響

2022年3月4日、本作の第32話が『少年ジャンプ+』にて公開され、Twitterでトレンド入りを果たす。同日にはタイザン5の『タコピーの原罪』、松本直也の『怪獣8号』も公開されており、注目度の高い2作とともにトレンド入りとなった。ライターの宇多田イタチによると、本作は「ストーリー展開や魅力的なキャラ」により、人気を得ているという。読者から「頭脳戦のレベル」や「下ネタと心理戦が絶妙なバランス」について評価する意見が挙げられている。

同年3月18日に第33話が公開された際にもトレンド入りを果たし、公式Twitterアカウントによれば本作の「史上最速でのトレンド入り」であるという。

書誌情報
  • 住吉九『ハイパーインフレーション』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、全6巻
  • 2021年4月2日発売、ISBN 978-4-08-882620-2
  • 2021年9月3日発売、ISBN 978-4-08-882714-8
  • 2021年12月3日発売、ISBN 978-4-08-882851-0
  • 2022年5月2日発売、ISBN 978-4-08-883077-3
  • 2022年10月4日発売、ISBN 978-4-08-883274-6
  • 2023年5月2日発売、ISBN 978-4-08-883476-4