ハウザーの記憶
以下はWikipediaより引用
要約
ハウザーの記憶(ハウザーのきおく、Hauser's Memory)は、アメリカ合衆国のSF作家カート・シオドマクによるSF小説、スパイ小説。
マッドサイエンティストSFの古典でもある。
1968年にG.P.パトナム社よりハードカバー版が出版された。
前編に『ドノヴァンの脳髄』、続編に『Gabriel's Body』(1991年、未訳)がある。
1970年に「二重スパイ・国際謀略作戦(Hauser's Memory)」のタイトルで映画化されている。
あらすじ
生化学者パトリック・コーリイの元にCIAのスローターが訪れる。 彼はパトリックの研究テーマ「RNAによる記憶の転移」に興味があると言い、国家の要請により、その技術をある人物に対して用いて欲しいと要請した。 東ドイツの科学者ハウザー博士は、軍事上/科学上重要な知識を持って亡命しようとしたが、国境で発覚し、銃撃を受けてこん睡状態になっていた。
RNAによる記憶の転移実験は、チンパンジーでは成功しているがヒトへの試験は行っていないこと、被験者に死の危険があることなどをパトリックが説明すると、政府が用意した被験者の囚人は「死にたくない、刑務所のほうがマシだ」と実験への参加を辞退した。
いよいよハウザーの延命が限界に達し、脳が摘出された。液体窒素で凍結された脳から記憶RNAが抽出される。 パトリックは自分が被験者となるつもりだったが、ヒレルがハウザーのRNAを注射してしまう。
間欠的に湧き上がる戦争の記憶や、知らないはずのドイツ語の書籍を読みふける自分に強い違和感を覚えるヒレル。 気がつくとコペンハーゲン行きの旅客機に搭乗していた。
ヒレルに追いついたパトリック、スローター、クレンスキイは、ベルリンに行くことに執着するヒレルにトランキライザーを投与して沈静化し、アメリカに護送しようとする。だが護送の車中でクレンスキイが二重スパイであることを明らかにし、パトリックとヒレル(とハウザーの記憶)を東側に拉致する。
パトリックとヒレルは西側のエージェントの力を借りながら、チェコスロバキア経由での脱出を試みる。 様々な犠牲を払いながら脱出に成功したパトリックとヒレルだが、ハウザーの記憶に突き動かされたヒレルは姿を消す。
ヒレルが姿を現したのはアンドレ・グズマンという男の邸宅だった。 グズマンの正体はナチスのゲスラー将軍で、彼こそかつてハウザーに凄惨な拷問を加えた張本人だった。 ヒレルはハウザーとして彼の頭を拳銃で吹き飛ばして復讐を果たすが、刺し違えて死亡する。
ハウザーの記憶が永遠に失われたことを残念がるヴァシロフ教授にパトリックは、今回は記憶と共にそれにともなう情動まで転移してしまったことが失敗だった、記憶RNAに特定の酵素を反応させることで純粋に記憶のみを転移させられるのではないか、と次への展望を語るのだった。
主要登場人物
パトリック・コーリイ
カール・ヘルムート・ハウザー
日本語訳
- ハウザーの記憶(早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 訳:矢野徹