漫画

バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ


漫画

原作・原案など:猪原賽,板垣恵介,

作画:陸井栄史,

出版社:秋田書店,

掲載誌:月刊少年チャンピオン,

レーベル:少年チャンピオンコミックス,

発表期間:2020年11月6日 -,

巻数:既刊9巻,



以下はWikipediaより引用

要約

『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』(バキがいでん れつかいおうはいせかいてんせいしてもいっこうにかまわんッッ)は、原作:猪原賽、原案:板垣恵介、漫画:陸井栄史による日本の漫画作品。板垣恵介の漫画作品『バキシリーズ』のスピンオフ作品だが、他のスピンオフ作品と異なり板垣に公認されておらず、黙殺されている(後述)。『月刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて2020年12月号より連載中。略称は「烈海王」。原作ではすでに故人である烈海王が中世ファンタジー調の異世界に転生し、その土地で出会った強者たちと格闘を繰り広げるという内容。

『月刊少年チャンピオン』2021年6月号ではえなこ、7月号では伊織もえと本作のコラボグラビアが掲載された。

2022年3月時点で紙と電子を合わせた累計部数は60万部を突破している。

あらすじ

王都編(1-2巻)

ブラキルカ国王の遊びで、キング・ヒュドラーと戦う。都市を出る。

オーガ編(3-4巻)

ゴブリンがついてくる。リンキン領を荒らすオーガと戦う。

デュラハン編(4巻-)

拳法使いのスケルトンは烈の師父であった。戦士ロバートが仲間に加わり、デュラハンを追撃する。奈落城の最奥では、パンクラチオンか擂台のごとき、烈海王対デュラハンの異種格闘戦の火蓋が切って落とされる。

海王編(8巻-)

登場人物

烈 海王(れつ かいおう)

本作の主人公。外見、性格などは当該項目を参照。宮本武蔵に敗死したものの、なぜか五体満足な状態で異世界に転生する。
街をさまよい歩いていたところ、同じように異世界に転生していたナカムラと遭遇。酒場で蜥蜴人やグリドールといった怪物・異世界人に遭遇したことから、異世界に転生したことに高揚。さらに「あがく者」の一人・天草四郎時貞と出会ったことで、異世界人も「あがく者」もまとめて倒し、中国武術最強を異世界に証明することを決意する。
転生前に経験した強者たちとの闘いや、その技術を応用する事により、さらにレベルアップしている。天草からは「あがく者である」と指摘されるものの、異世界生活を楽しんでいるので元の世界に帰ろうとは思っていない。
ゴブリン

悪臭を放つ獰猛な小鬼。一味で烈を襲うも、返り討ちに遭う。その内の一匹が敗れた後に烈を煽ってオーガにけしかけるが、烈の実力を見て惚れ込むようになり、烈を「ダンナ」と呼び同行する。
抜け目がなく調子のいい性格をしている。また当然ながら異世界生まれのため、烈が持っていない知識がある。

人間
転移者

本来の世界から異世界へ転移・転生してきた者たち。烈海王もこれに該当する。それらのうち、一部はあがく者とされ、追加能力(ちいとすきる)が与えられている。詳しくは、用語を参照。あがく者か否か判明していない異世界転移者(転生者)もいるため、こちらにまとめて記述する。モンスターと化した元人間も含む。

ナカムラシンジ

神心会の門下生。異世界転生者。名は「仲村」と表記する。王都編の主要人物。
義父と折り合いが悪く家を飛び出し、自身と同じ養子の身でありながら活躍する愚地克己の雄姿に心を奪われて神心会に入会した経緯を持つ。その克己が地下闘技場で烈に敗れた試合を観戦しており、烈の強さに憧れるものの本人から稽古をつけてもらう機会もなく、悶々としていたところで、烈が川の水面を渡ってドイルを運んでいたところを目撃、助けようとした瞬間通りかかったトラックに轢かれて異世界に転生する。
烈の付き人となり、異世界事情に疎い烈をサポートしていく。転生したのが半年前なので烈が死んだことは知らない。生前は金髪・角刈りだったが、転生して以来髪も伸びてチャラ男風な外見になった。スマホウ開発の立役者であり、国王からはVIPとして扱われている。
天草四郎時貞()

烈と同様に強烈な勝利への意欲を持ちながら死んだ敗者=「あがく者」。典型的な天草四郎像をそのまま反映したようなキャラクターで、火炎を主体とした魔法を使う。烈を呼び寄せるのに使った信者を焼き殺してエクスタシーを覚えるなど人格には問題がある。
烈と一戦交え、落ち着いたところで「あがく者」の道理を説くが、異世界に転生したことを喜ぶ烈にあっさりと否定される。異世界において中国武術最強を証明すると宣言した烈を「面白い人だ」と評価した。
烈の師父

スケルトンの1人。骨だけの身体で、生身では不可能な武術を振るう。デュラハン編の重要人物。
生前は白林寺の拳法家であり、烈の師父の1人で、親代わりとも言える人物であった。また本編でも生前の烈の回想に断片的に登場していた。白林寺を去って武者修行に出た後、台湾で龍書文らしき男に敗死し、異世界に転生した。デュラハンに出会い、スケルトンとなる。烈の消力とマッハ突きで倒される。

ブラキルカ国王都

王都編の舞台。烈が最初に現れた場所の周辺の国であり、ナカムラが住んでいる。

グリドール・イストン

長大な竹竿を抱えて酒場に入ってきた小柄な老人。胸に紋章が彫られている。一見すると無害な老人に見えるが、酒場が烈と蜥蜴人の険悪な空気に支配されていたにも関わらず平然と入店し、何も知らないかのように注文できる時点で只者ではない。
竹竿を振っただけで音速波を放ち、蜥蜴人の尻尾を切断する力量に烈も思わず目を見張り、落ち着いた後で立ち合いを挑むがあっさりと逃げてしまった。
その正体は若いころ、釣り竿一本で一万匹の炎竜を倒したドラゴンスレイヤー。本人は「2〜3頭倒しただけの話に尾ひれがついただけ」と否定している。
ギルカ・ブラキルカ10世

ブラキルカ国王。本編の徳川光成に瓜二つ。ナカムラの協力によりスマホウを開発・普及させ、辺境の小国であったブラキルカを大いに発展させた。しかし既にその先を見据えており、あがく者を集めて蠱毒を行い、最凶魔法の触媒にしようと企んでいる。だが本音のところは強者が見たいだけであり、このあたりの性格も光成によく似ている。

ブラキルカ王国リンキン領

ラウリー・リンキン

ブラキルカ辺境リンキン領主の嫡男。オーガ編の主要人物。伝令の途中でゴブリンの群れに襲撃されていたところを烈に救われる。烈の圧倒的武力に魅せられ、オーガに襲われているリンキン領への助勢を依頼した。
リンキン伯爵

謎の宝具「幸福の杖」を持つリンキン領主。民の幸福を第一に考える名君だが、現在その目は血走って痩せこけ、暴力的な言動が目立つようになっている。息子ラウリーを国王に派遣し、オーガ退治の援軍を要請する。

ブールフォレア王国

ブラキルカの隣国。

ロバート=ホゥワード

ブールフォレア王国の騎士。デュラハン編の主要人物。力と技を兼ね備えた巨漢で、雷撃魔法を込められた大剣「カラドボルグ」を使いこなす。祖国の姫がデュラハンに拉致され、救出のために参戦した。烈と合流しパーティを組む。

王都編

酒場の蜥蜴人

烈とシンジが酒場で酒を飲んでいたところに現れた亜人。鰐に似た外見をしている。烈をも超える屈強な肉体を持ち、危険害獣のコカトリスも平気で食べる。爪や牙といった天然の武具や、鎧のように硬い鱗に覆われた筋肉から「肉体の強靭さはピクルに匹敵する」と烈に評される。
烈が武人としての本能で戦いのシミュレートをしていることに気づいて一触即発の状態に陥るも、グリドールが何事もなかったのような態度で酒場に入店し、酒を注文。空気を読まないグリドールに襲い掛かるが、相手にならず尻尾を竹竿で切断される。相手がグリドールであることに気づくや遁走した。
コカトリス

特定指定幻獣。蛇の尻尾とドラゴンの羽を持つ三眼の鶏。ナカムラの言ではその邪眼は一睨みで勇者を殺し、血液は猛毒とのことだが、酒場で「いつもの」の一言で用意できるので危険性が誇張されている可能性もある。
蜥蜴人が注文したが、グリドールの登場で食べかけで逃げ出したため、残りは烈がおいしく調理した。
キング・ヒュドラー

9つの首を持つ巨獣。かつて山脈の形が変化するほどの災いをもたらし、捕獲の際にも150名の兵が全滅。その後イストンが武装した上で指揮を執り、ようやく捕獲することができた。首をいくら刎ねても即座に再生し、さらに強力な姿となる。だが心臓は一つしかないため、ここを狙われると再生できない。

オーガ編

一つ目巨人

迷宮の主。空気弾の目潰しでひるみ、転蓮華で倒される。
オーガ

人型の最上位モンスター。山に入り込んだ人間を喰う。こちらから攻めない限り無害なはずであったが、何らかの理由で山から下りてきてリンキン領を襲う。ピクルのような戦闘形態があり、その突進は強力無比。
ちなみに、本編に登場する範馬勇次郎も、作中「オーガ」や「鬼」と呼ばれるため、当初、烈も勇次郎の事を思い返していた。

デュラハン編

ロック鳥

岩山の頂に営巣する巨鳥。数メートルの巨躯と獰猛な生態を持つ。卵は栄養豊富かつ美味で、付近の人里では万病に効くと信じられている。
スケルトン

踊る骸骨。デュラハンに使役されるアンデッドモンスター。元は人間だが、生前の記憶はなく言葉を話すこともない。
冥王デュラハン

デュラハン編の大ボスにしてアンデッドの最高位。甲冑の槍騎士であり、頭部と胴体が離れている。髑髏頭の馬に騎乗する。他者に血の呪いをかけ、スケルトンに変えて使役する。簡単に嘘をつき、あらゆる他者を己の目的のために利用する外道。
ブールフォレアの姫を誘拐し、姫の魔力を悪用してアンデッドの支配圏拡大を目論む。烈とロバートから敵認定される。烈に配下のモンスターたちを攻略され、いよいよ自ら出陣。馬から降り、奈落城の決闘場にて烈と対決する。
実は鎧の下の体は空洞であり、体を魔力で操っているため、攻撃をくらってもダメージを受けることがない。格闘者としても強力無比。
スライム

粘体生物。打撃が通じず、触れた生物を消化してしまう。烈いわく、中国の伝説上の怪異「泥」と同一。
魚人

移動商店を営む魚人。デュラハンと戦って生還した稀有な冒険者であり、自分のように準備不足で敗北する被害者を増やさぬよう、冒険者に一流のアイテムを販売している。ロバートの輝く多面石での支払いと烈の目的を聞き、支援する。
ゴーレム

デュラハン配下のモンスター。烈海王の魔拳の打岩で球状にされ倒される。綺麗な球形になった瞬間、砂となって崩壊してしまい、それを見た烈は渋い顔をしている。

ブールフォレア王国の姫。王家は魔術師の家系であり、強大な魔力を有している。デュラハンに目を付けられ、誘拐された。

海王編

影法師

記憶を読み取り、変身して騙そうとしてくる。
ディーチャー・キング

烈が港町オーマで出会った、長い日本刀を操る謎の剣士。

用語

あがく者
勝利を渇望しながらも敗れて死んだ者や、歴史に偉業をなしながら不遇にも敗れた者たち。天草四郎の説明によれば、彼は追加能力(ちいとすきる)を与えられて異世界に転生し、互いを潰しあって、たった一人生き残った者だけが追加能力を持ったまま元の世界に帰れるとされる。天草四郎の他、織田信長、源義経、武蔵坊弁慶、ナポレオンなどが存在する。
ブラキルカ国王都クシル
ナカムラが拠点としている街。約5キロ四方の城塞都市で、人間と異種族(蜥蜴人)などが共存できている模様。典型的な中世ファンタジー調の世界であるが、魔法石板(スマート・マジック・フォン、通称スマホウ)があり、電子決済の真似事ができる。
スマホウ
ブラキルカ国で普及している道具。知識を蓄積できる魔法鉱石にナカムラが現代のスマートフォンの概念を転写することでそれに近い機能を有している。スマホウを駆使した情報戦により、資源に乏しい小国に過ぎなかったブラキルカは大きな経済発展を遂げ、近隣列国に肩を並べるまでになった。

制作背景
連載開始

2020年に秋田書店の公式オンラインストアを盛り上げる実録漫画『月チャン編集部の秋田書店オンラインストア向上委員会』が『月刊少年チャンピオン』に掲載された。その打ち合わせにて、作者の陸井から「烈海王 異世界転生」というアイデアが出て、漫画の中でネタとして登場。それがかなりの反響を得たため、『月刊少年チャンピオン』の編集長である信田が「これだけ反響があるんだったら、実際にやらないのは秋田書店としてどうなのか」と言い、実際に連載が開始されることになった。連載前から話題になったこともあり、連載開始から3号目の『月刊少年チャンピオン』2021年2月号では一挙3話掲載された。

板垣の反応

本作の担当編集・中村は、過去に『週刊少年チャンピオン』編集部で『刃牙道』の担当をしていた。そのため中村は気が進まずにいたが、編集長から圧をかけられ、震える思いで本作のことを板垣に伝えたという。板垣は「作品はいじってくれていい」と言うタイプだが、スピンオフはハードルが高く、烈が大事なキャラクターであることもあり、中村は板垣に「陸井が烈を描く」という報告だけをしていた。

中村が本作を板垣に見せたのは、雑誌が出来上がった当日の夜だったという。板垣は一読して「異世界ってなんだ?」「なんで死んだらこんなとこに行くんだ?」と中村に尋ねた。中村は「異世界とはこういうものだ」と板垣に説明し、「非公認で構わないから始めさせてほしい」と頼んだという。中村によると、本作について板垣の反応は「楽しんでいただけた」らしい。

陸井の画力

板垣が「俺の原稿を使ったな!」「描いた記憶あるよ」と感心するほどの画力であるが、すべて陸井が描いている。しかしこれは学生時代からの独学によるもので、陸井に板垣の下でのアシスタント経験はなく、むしろアシスタント募集に落ちた経歴があった。陸井によると、絵柄は『グラップラー刃牙』と『バキ』の中間に寄せることを意識している。

陸井の絵については、秋田書店取締役で『グラップラー刃牙』を立ち上げた沢考史も絶賛している。中村は「今後、全ページを陸井が描いたとは思えないような原稿がくることを楽しみにしている」という。

制作体制

連載開始直後は陸井が単独で執筆していたが、中村によると「刃牙のノリを再現しながら異世界転生的なネームを作るのと、さらに板垣の絵に寄せていく作業を同時にやるのは難しく」、脚本として猪原が参加することになった。中村と猪原から「陸井がそう言うなら刃牙はそう」だと言われるほど、一番バキシリーズに詳しいのは陸井である。陸井は今後について、「猪原と協力し、皆が見たい烈海王を描ければ」と語っている。

書誌情報
  • 原作:猪原賽、原案:板垣恵介、漫画:陸井栄史『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』秋田書店〈少年チャンピオンコミックス〉、既刊9巻(2023年11月8日現在)
  • 2021年5月15日発行(5月7日発売)、ISBN 978-4-253-29211-5
  • 2021年6月15日発行(6月8日発売)、ISBN 978-4-253-29212-2
  • 2021年10月15日発行(10月8日発売)、ISBN 978-4-253-29213-9
  • 2022年3月15日発行(3月8日発売)、ISBN 978-4-253-29214-6
  • 2022年6月15日発行(6月8日発売)、ISBN 978-4-253-29215-3
  • 2022年11月15日発行(11月8日発売)、ISBN 978-4-253-29216-0
  • 2023年3月15日発行(3月8日発売)、ISBN 978-4-253-29217-7
  • 2023年6月15日発行(6月8日発売)、ISBN 978-4-253-29218-4
  • 2023年11月15日発行(11月8日発売)、ISBN 978-4-253-29219-1

参考文献
  • 猪原賽(原作)/板垣恵介(原案)/陸井栄史(作画)『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ 第1巻』秋田書店、2021年。ISBN 978-4-253-29211-5。