パラドックス実践 雄弁学園の教師たち
以下はWikipediaより引用
要約
『パラドックス実践 雄弁学園の教師たち』(パラドックスじっせん ゆうべんがくえんのきょうしたち)は、門井慶喜による日本の小説。
表題作「パラドックス実践」は、第62回日本推理作家協会賞短編部門候補作にノミネートされ、選考委員の1人・福井晴敏に絶賛された。
国語や数学など通常科目の他に弁論術というカリキュラムがあるエリート校・雄弁学園を舞台に、初等部に入学した6歳の頃から演説・議論・陳述研究の訓練を積み、弁論術に長けた生徒たちや教師たちが描かれる。
雄弁学園
雄弁学園は明治44年(1911年)に創立され、初等部・中等部・高等部・大学(大学院)があり、所在地は兵庫県神戸市という設定である。敷地が手狭になったという理由で、中等部は平成に入ってから六甲アイランドへ移転された。
年に1度行われる弁論大会は、普通の学校における運動会・文化祭・授業参観・オープンキャンパスなどが一緒になったような一大行事であり、創立以来、第二次大戦中も、阪神・淡路大震災が発生した年にも行われた、歴史あるものである。
論理や演説などの雄弁科目に対し、国語・数学・化学などの通常の科目は「法定科目」という言葉で呼ばれる。
少数精鋭を校是としており、1学年に1学級しかない。また、授業中の方言の使用を厳しく禁じている。
各話あらすじ
パラドックス実践―高等部
雄弁学園高等部2年A組の担任となった能瀬は、着任の挨拶もそこそこに、生徒たちから難題を吹っかけられる。
テレポーテーションが現実に可能であることを証明して下さい
海を山に、山を海に変えられることを証明して下さい
サンタクロースが本当にいることを証明して下さい
能瀬が受け持つことになったのは、校長をして、飛び抜けて成績が良いと言わしめるクラスだった。生徒の信頼を得たい能瀬は焦り、「最初の世界史の授業の頭の15分」に答えを与えると約束してしまう。だがそれは、翌日の1時間目の授業だった。困り果てた能瀬は、何かヒントを貰えないかと、前任の五十嵐を訪ねる。
弁論大会始末―初等部
初等部6年A組の担任・荒木の元に、生徒の保護者がクレームを付けてくる。彼女は、過日行われた弁論大会で準優勝した男児の母親で、優勝した女児の弁論内容には欠点がある、審査結果を再検討し、その結果如何によっては、自分の子を優勝に繰り上げるべきだと主張するのだった。
母親の意見が妥当なものだと理解した荒木は、当事者の女児に事情を聞くが、「賞を剥奪されても構わない」と言う。どうすべきかわからなくなった荒木は、高等部部長の栗坂に相談を持ちかける。
叔父さんが先生―中等部
臨時に姪っ子のいる中等部の雄弁科目の授業を受け持つことになった講師の塩鍋は、来る学園長選挙のことでイライラを募らせ、つい生徒たちに嫌味な授業をしてしまう。
かつて中等部で論理学の教師としてばりばり働いていた過去を持ちながらも、前回の選挙が原因で苦い思いをしていた塩鍋は、集票工作に奔走していた。
職業には向かない女―雄弁大学
あれから1年、休職扱いになっていた五十嵐桂子は、大学の非常勤講師として復帰する目処が立っていた。不安が拭えず、母とドライブに出かけた先で、学園長選挙で勝利した高等部部長・栗坂と遭遇する。
自分の後任の教師・北原の噂を聞いていた桂子は、どうしても彼女のことが許せない理由があり、やはり復帰は出来ないと栗坂に宣言する。栗坂は驚きながらも、持っていた道の駅のガイドブックを桂子に渡し、「自分の答えはこの中にある」と伝える。
登場人物
初登場の章のみのプロフィールとする。
教員
能瀬 雅司(のせ まさじ)
五十嵐 桂子(いがらし けいこ)
生徒
用語
書誌情報
- 単行本(ソフトカバー):講談社、2009年6月10日発行、ISBN 978-4-06-215549-6