ヒミズ (漫画)
以下はWikipediaより引用
要約
『ヒミズ』は、古谷実による日本の漫画。『週刊ヤングマガジン』(講談社)誌上にて2001年9号から2002年15号にかけて連載された。単行本は全4巻(講談社ヤンマガKC)、新装版は全2巻、文庫本は全3巻。
概要
- 古谷実の商業誌連載第4作である。それまでのギャグ路線から一線を画した作品で、「笑いの時代は終わりました…。これより、不道徳の時間を始めます。」という宣伝文句の通り、人間のより暗い部分を見せるサスペンスホラー漫画に仕上がっている。なお、最終回のラストが単行本化の際に変更されている。
- 2004年にOi-SCALEプロデュースで舞台化された(詳細は舞台版を参照)。
- 山崎燕三による小説版が2007年7月に刊行(2012年に再刊)している(詳細は小説版を参照)。
- 2012年には園子温監督により映画化され、日本国外の映画祭で主演の演技が高く評価された(詳細は映画版を参照)。
あらすじ
中学生にして貸しボート屋を営む住田祐一は、不遇な現実を諦観しつつも、平凡な生活を送ることを夢見ていた。ところがある日、かつて蒸発するも戻って来た父親がらみで暴力団から理不尽な暴力を受ける。しかも母親が中年男と駆け落ちして失踪したことを機に孤立無援となった挙句、それに耐え兼ね父親を衝動的に殺害するという取り返しのつかない事態に陥り、天涯孤独の身となる。住田は普通の人生を送ることを諦め、「悪い奴」を殺すべく、夜の街を徘徊するようになる。
茶沢景子は住田が天涯孤独になる以前から気にかけており、彼が殺人行動を起こしたことを知ってもなお救い出そうとする。しかし、茶沢の想いとは裏腹に、住田の人生は深い絶望に落ちていった。
登場人物
住田 祐一(すみだ ゆういち)
夜野 正造(よるの しょうぞう)
赤田 健一(あかだ けんいち)
小野田 きいち(おのだ きいち)
茶沢 景子(ちゃざわ けいこ)
岡島 渚(おかじま なぎさ)
飯島 テル彦(いいじま テルひこ)
スリの常習犯の若者。両腕に刺青が彫られている。夜野のスリの犯行現場を目撃して以降は彼とつるむようになり、夜野に強盗を働かないかと持ちかけてくる。その後住田を借金から救いたい一心から夜野が計画に乗って来た為、強盗を実行に移す。現金を奪う事には成功したものの、家主であったパチンコ屋の店長が予想よりも早く帰宅したことで鉢合わせ揉み合いの末に彼を殺してしまう。金を手に入れ夜野と別れた後、しばらくして自身が逮捕される夢に苦しむようになる。そして夜野が自首して全てを打ち明ける事を恐れ、家主を遺棄したのと同じ山に彼を連れ込んで殺害しようとするが、逆に抵抗を受けて右手と片目を負傷し失敗に終わる。しばらくして、金子に関東甲信越地方から出て行くように脅迫される。脅された後の動向は不明。
飯田 サトシ(いいだ さとし)
野上 ヨシヒサ(のがみ ヨシヒサ)
塚本 とし夫(つかもと としお)
シュウ
金子(かねこ)
住田の父
住田の母
書籍情報
単行本
- 古谷実 『ヒミズ』 講談社〈ヤンマガKC〉、全4巻
- 2001年7月23日初版発行(2001年7月13日発売)、ISBN 4-06-336962-5
- 2001年12月26日初版発行(同日発売)、ISBN 4-06-361010-1
- 2002年5月2日初版発行(2002年4月30日発売)、ISBN 4-06-361040-3
- 2002年7月3日初版発行(同日発売)、ISBN 4-06-361055-1
新装版
- 古谷実 『ヒミズ 新装版』 講談社〈KCデラックス〉、全2巻
- 上 2011年12月20日発売、ISBN 978-4-06-376198-6
- 下 2011年12月20日発売、ISBN 978-4-06-376199-3
- 上 2011年12月20日発売、ISBN 978-4-06-376198-6
- 下 2011年12月20日発売、ISBN 978-4-06-376199-3
文庫本
- 古谷実 『ヒミズ』 講談社〈講談社漫画文庫〉、全3巻
- 2012年11月9日発売、ISBN 978-4-06-370892-9
- 2012年12月12日発売、ISBN 978-4-06-370895-0
- 2013年1月11日発売、ISBN 978-4-06-370897-4
舞台版
- 脚本・演出:林灰二
- 出演:村田充、つぐみ
小説版
『小説 ヒミズ ver.Keiko Chazawa』として講談社から2007年に出版された。著者は山﨑燕三。表紙は古谷実が新たに描きおろした。内容は漫画版の原作にかなり忠実であるが、いわゆるギャグ要員の赤田が登場しないなど、ところどころ小説の形式にあわせて設定の変更が見られる。「ver.Keiko Chazawa」とあるように、茶沢の一人称で住田を外側から描写してあること、茶沢の内面描写が多いことが特徴である。「新たなる結末」と惹句にあるのは、漫画版の結末にエピローグが追加されたものである。映画化に伴い、2012年に『小説ヒミズ 茶沢景子の悠想』として再版された。
刊行情報
- 『小説 ヒミズ ver.Keiko Chazawa』 講談社〈KCノベルス〉、原作:古谷実、著:山崎燕三、2007年7月1日発売、ISBN 978-4-06-373308-2
- 『小説ヒミズ 茶沢景子の悠想』 講談社〈KCノベルス〉、原作:古谷実、著:山崎燕三、2012年1月7日発売、ISBN 978-4-06-364884-3
映画版
園子温監督による実写映画として、2012年1月14日に日本公開された。PG12作品。
2012年映画芸術日本映画ワーストテン2位受賞。また、出演した染谷将太と二階堂ふみは第68回ヴェネツィア国際映画祭にて新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。
震災の影響もあり、ストーリーのみならず、夜野をはじめとした多くの登場人物の年齢や設定が変わっている。
ストーリー
キャスト
ここでは、映画(映画版オリジナル以外)での設定について記す。
住田祐一
自身を虐待していた父親を衝動的に殺害した後、狂気に生きようとしていたが、茶沢の無償の愛によって思い止まる。
茶沢景子
住田が殺人を犯す前後から、彼に恋心を抱いていた。
夜野正造
まーくん
藤本健吉
田村圭太
田村圭子
住田の父
保険金を手に入れるため、住田を自殺に追い込むべく身体的虐待と暴言を受けさせた。
住田の母
住田にネグレクトを受けさせた挙句、別の男と駆け落ちして住田を捨てた。未公開シーンでは、駆け落ちした後に焼き鳥の屋台を営んでことが明かされており、茶沢から息子のために戻るように懇願されるが、それでも住田に会うことを真っ向から拒絶している。
てつ
住田の母の駆け落ち相手。
茶沢の母
茶沢を日常的に虐待していた。
茶沢の父
茶沢にネグレクトを受けさせていた。
金子
ローン会社の社長。
谷村
テル彦
ミキ
YOU
ウエイトレス
シュウ
コメンテーター
怪しい男
妊婦の義母
ヤンキー(ファミレスの客)
スタッフ
- 脚本・監督 - 園子温
- 原作 - 古谷実
- 製作 - 梅川治男、山崎雅史
- 音楽 - 原田智英
- ラインプロデューサー - 鈴木剛
- 撮影 - 谷川創平
- 美術 - 松塚隆史
- 照明 - 金子康博
- 録音 - 深田晃
- 編集 - 伊藤潤一
- 製作・著作 - ギャガ、講談社
- 制作プロダクション - ステューディオ スリー
- 配給 - ギャガ
備考
- 園は撮影直前に発生した東日本大震災を受けて、台本を大幅に変更した。また、被災地の宮城県石巻市での撮影をも行っている。
- 映画版の公開後、架空の大地震と原発事故に見舞われた家族を題材にした姉妹映画『希望の国』を公開している。
関連商品
本作のソフトは2012年7月3日に発売された。発売元はGAGA、販売元はポニーキャニオン。
- ヒミズ コレクターズ・エディション(ブルーレイ版1枚組、DVD版2枚組 収録時間本編130分、特典映像127分)
- 封入特典:古谷実描き下ろしイラストポストカード
- 音声特典:監督によるオーディオコメンタリー
- 映像特典:キャスト・プロフィール(静止画)、メイキング、ヴェネチア国際映画祭の模様、ヴェネチア国際映画祭受賞後の主役2人の記者会見、初日舞台挨拶、サプライズ舞台挨拶、未公開映像、劇場およびTV予告編集
- 封入特典:古谷実描き下ろしイラストポストカード
- 音声特典:監督によるオーディオコメンタリー
- 映像特典:キャスト・プロフィール(静止画)、メイキング、ヴェネチア国際映画祭の模様、ヴェネチア国際映画祭受賞後の主役2人の記者会見、初日舞台挨拶、サプライズ舞台挨拶、未公開映像、劇場およびTV予告編集
園子温監督作品 | |
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