ファイヤー!
以下はWikipediaより引用
要約
『ファイヤー!』は水野英子による日本の漫画。『週刊セブンティーン』(集英社)に1969年秋から1971年夏に連載された。
第15回(1969年)小学館漫画賞受賞作品。
概要
少女漫画でロック歌手を主人公に据えて成功した最初の作品だと言われている。男性が主人公の少女漫画というのも本作が初に近い。
少女漫画が高く発展したと現在認められているのが1970〜1980年代。それ以前、少女向け雑誌が月刊から週刊に切り替わり始めたのが1963年。コミックスが初めて発売されたのが1968年という歴史的流れの中で、本作は少女漫画が高い発展をする黎明期を飾るマンガ史的代表作品の1つである。また、それまでの少女マンガ誌はローティーン(10代前半、中学まで)向けの設定だったが、このときはハイティーン(10代後半)向け少女雑誌『週刊セブンティーン』(漫画専門ではないが漫画比率が高かった)の創刊の翌年から掲載された。のちに少女漫画の年齢層を押し上げたと言われたことから、ハイティーン向け少女漫画を開拓した初めの主要な作品といえる。
1960年代末のアメリカ合衆国を舞台とする本作は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが行った平和活動「ラブ&ピース運動」のようなベトナム戦争中のアメリカの世相や世界観、カウンターカルチャーをも取り込んでおり、少女漫画のみならず少年漫画を含む日本漫画界全体としても画期的な作品であった。また、主人公の青年アロンと青年ファイアー・ウルフとの性別を超えた魂の結びつきに感銘を受けた読者は少なくない。
当時はグループ・サウンズの人気が高まっており、「主人公は男の子で、ロックミュージシャンの話」もすんなりと編集側からはOKをもらっている。その後、本場のヒッピー文化を体験すべく、欧米で20日間ほどの取材旅行を行い、ライブハウスに入り浸った。
ただし、当時のグループ・サウンズの歌はロックとは異なっており、水野自身は理解したうえで編集を騙した形になっている。事実、連載が始まった当初は当時の読者にとっても本作は異端ではあったようで、他の作品は1日に20通から30通のファンレターが届いていたのに対し、本作では連載開始から、主人公の青年アロンが感化院を出るまでは全くファンレターが来なかったと水野は語っている。アロンが感化院を出て1人で行動するようになってからはファンレターも届くようになったが、反対意見も多く水野を売国奴と罵ったり、脅迫めいた手紙も届いている。
本作が少女漫画のカテゴリーからはいくらか逸脱しているのは連載当時から指摘されており、連載当時は「ソウル・コミック」という呼称もあった。2010年代に入ると「ロック・コミック」と呼ばれることもある。
本作の連載終了後、水野は妊娠が発覚する。シングルマザーとなった水野は子育てのため、本作の連載終了後は極端に仕事量が減ることになった。
あらすじ
物語はジョンがアロンとの日々を追想する形式で始まる。1960年代の終わりの少女漫画でこのような小説的手法は極めて異例であり、アメリカン・ロックを題材にした作品も異例である。
感化院
ジョンとマージとの邂逅
「ファイヤー」の結成
ダイアナとの恋
リフとダイアナの死
マージとの再会
オハマ・フェスティバル
FREEDAM
奇妙な果実
狂気の境を飛び越えて
主な登場人物
アロン・ブラウニング
ジョン・グレイ
書誌情報
- 水野英子『ファイヤー』朝日ソノラマ〈サンコミックス〉、全4巻。ISBNはない。
- 1973年8月16日初版発行
- 1973年8月16日初版発行
- 1973年8月24日初版発行
- 1973年8月24日初版発行
- 水野英子『ファイヤー』中央公論社〈愛蔵版〉、全1巻。
- 1988年10月発行、ISBN 4120017311
- 水野英子『ファイヤー』創美社〈創美社コミックス―水野英子名作選〉、全3巻。
- 1994年4月発行、ISBN 4420220058
- 1994年5月発行、ISBN 4420220074
- 1994年6月発行、ISBN 4420220090
- 水野英子『ファイヤー』秋田書店〈秋田文庫〉、全3巻。
- 1999年7月発行、ISBN 4253175287
- 1999年10月発行、ISBN 4253175295
- 1999年12月発行、ISBN 4253175309