ファンキー・ジャンプ
以下はWikipediaより引用
要約
『ファンキー・ジャンプ』は、石原慎太郎の短編小説。麻薬の妄想のうちで人を殺したジャズ・ピアニストの、執拗な幻影の追求を描いた詩的な作品である。石原は本作発表の前年にパリのサンジェルマンでホレス・シルヴァーの演奏を聴き、感銘を受けたという。守安祥太郎をモデルにした主人公の日本人ジャズ・ピアニストの演奏する楽曲は、ホレス・シルヴァーのアルバム『シルバーズ・ブルー』を下敷きにしている。
1959年(昭和34年)、文芸雑誌『文學界』8月号に掲載され、同年12月に新潮社より刊行された短篇集『殺人教室』に収録された。
あらすじ
ブレイキーやガレスピーも絶賛する天才ジャズ・ピアニスト・松木敏夫(マキー)は、麻薬中毒だった。彼は恋人を殺した直後、コンサートで演奏する。演奏しながらマキーは、麻薬の幻覚の中でさまざまなことを追想し、ついには発狂し自分を海の上を飛び廻る一匹の小さな甲虫に変貌させ、壮絶な演奏のはてに死亡する。ジャズ評論家・タツノは、「こりゃ本物だ、本物のビ・バップだ」と叫ぶ。
作品評価・解釈
『ファンキー・ジャンプ』は、戦後日本に初めて出現したモダン・ジャズ小説とされ、石原の作品の中では比較的に高く評価されている。主人公のジャズ・ピアニスト・松木敏夫(マキー)のモデルは、1955年(昭和30年)に自殺した守安祥太郎だとされ、守安にチャーリー・パーカーを重ねて造型されていると指摘されている。
平岡正明は『ファンキー・ジャンプ』について、「俺はあの小説を評価(か)っている」と述べ、単にジャズをBGMに使っているような「風俗小説とは類を異にする」とし、「ジャズの演奏が物語を派生させる」と作品構成自体が音楽的であることを解説しながら、「本物のビーバップ小説」だと高い評価をしている。また平岡は、石原がエリオット・グレナードの『スパロー最後のジャンプ』を参考にして書いたのではないかと推測している。
三島由紀夫は『ファンキー・ジャンプ』を「見事な傑作」だと述べ、「現実の脱落してゆくありさまを、言葉のこのやうな脱落でとらへようとする(石原)氏の態度には、小説家といふよりは一人の逆説的な詩人があらはれてゐる」とし、一曲毎のジャズの題名を付けた節の構成については、「非常に粋で、卓抜なものである」と評している。また、戦前のモダニティー文学に比べ、この作品の特色が「モダニティーの極致に厳粛なものを内包している」とし、「次第に狂ほしくなつてゆく主人公が、麻薬の陶酔と苦痛の裡に、〈俺あ今 完璧に近いんじゃないか〉と自問する件りには、ひどくパセティックなものがある。表現への焦燥と表現との一致といふ、決して新らしくはない文学的課題が、かくも先鋭な神経的昂奮の頂点に、ありありと映し出されたのは新らしい」と解説し、「(石原)氏はあきらかに抒情詩を書いた」と評している。
また三島は作中の、〈夕焼けているのは俺たちだ〉という一行を引きながら、石原の言葉の感性について以下のように評している。
参考文献
- 『石原慎太郎の文学9 短篇集I』(付録・解説 中森明夫)(文藝春秋、2007年)
- 『決定版 三島由紀夫全集第31巻・評論6』(新潮社、2003年)
- 栗原裕一郎・豊崎由美『石原慎太郎を読んでみた』(原書房、2013年)
- 平岡正明『チャーリー・パーカーの芸術』(毎日新聞社、2000年)
1950年代の著書 | |
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1960年代の著書 | 青年の樹 - これが恋愛だ - 南米横断一万キロ - 挑戦 - 見知らぬ顔 - 青い糧 - 汚れた夜 - 死んでいく男の肖像 - 雲に向かって起つ - 禁断 - 断崖 - 狼生きろ豚は死ね・幻影の城 - 日本零年 - 密航 - てっぺん野郎青雲編 - 死の博物誌 - 石原慎太郎文庫 - 行為と死 - てっぺん野郎昇竜編 - 銀色の牙 - 傷のある羽根 - 終幕 - 青春とはなんだ - 命の森 - 星と舵 - おゝい、雲! - 砂の花 - 人魚と野郎 - 大いなる海へ - 還らぬ海 - 飛べ、狼 - 孤独なる戴冠 - 青い殺人者 - 野性の庭 - 黒い環 - 青春との対話 - 巷の神々 – 待伏せ - 怒りの像 - 祖国のための白書 - 野蛮人のネクタイ - プレイボーイ哲学 - 鎖のついた椅子 - スパルタ教育 |
1970年代の著書 | 慎太郎の政治調書 – 化石の森 - 慎太郎の第二政治調書 - 男の世界 - 野蛮人の大学 - 真実の性教育 - 信長記 - 酒盃と真剣 - 石原慎太郎短編全集 - 新和漢朗詠集 - 男の海 - 対極の河へ - 息子をサラリーマンにしない法 - 風の神との黙約 - 真の革新とはなにか - 伯爵夫人物語 - 大いなる手との黙約 - 情熱のための航海 - 光より速きわれら - 刃鋼 - 暗闇の声 - 嫌悪の狙撃者 - 型破りで勝つ! - 戦士の羽飾り - 一点鐘 |
1980年代の著書 | 亡国 - 大いなる海へ - 秘祭 - バカでスウェルな男たち - 暗殺の壁画 - 流砂の世紀に - 現代史の分水嶺 - 拝啓息子たちへ - 生還 |
1990年代の著書 | 不思議な不思議な航海 - わが人生の時の時 - 時の潮騒 - 光速の時代に - 十代のエスキース - 来世紀の余韻 - 三島由紀夫の日蝕 - 禁断の島へ - 遭難者 - かくあれ祖国 - 風についての記憶 - わが人生の時の会話 - 亡国の徒に問う - 肉体の天使 – 弟 - “父”なくして国立たず - 法華経を生きる - 国家なる幻影 - 聖餐 |
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2010年代の著書 | 声に出して詠もう和漢朗詠集 - 真の指導者とは - 再生 - 新・堕落論 我欲と天罰 - 平和の毒、日本よ - 石原愼太郎の思想と行為 |
共著 | 新旧の対決か調和か - 人間の原点 - いかに国を守るか - エベレスト - 闘論 - 「NO」と言える日本 - それでも「NO」と言える日本 - 断固「NO」と言える日本 - 「No」と言えるアジア - 宣戦布告「NO」と言える日本経済 - 「アメリカ信仰」を捨てよ - 勝つ日本 - 永遠なれ、日本 - 人生への恋文 - 日本の力 - 生きる自信 |
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石原慎太郎 - 作品 - 芥川賞受賞者 - 芥川龍之介賞