小説

ボクの紫苑




以下はWikipediaより引用

要約

『ボクの紫苑』(ぼくのしおん)は、本田透のライトノベル作品。イラストは百瀬寿が担当している。ソフトバンククリエイティブのGA文庫で刊行された。全3巻で完結している。

概要

もともとは学園で『南総里見八犬伝』をモデルにした小説を書こうという企画だったが、そのような和風なテイストよりむしろ、難解な心理学用語や哲学用語、中世フランス史についてのマニアックな記述が目立つものとなっている。なお、主要キャラクターの名前は「上弦」「居待月」「晦」など、太陰暦に関係した名前となっている。

あらすじ

主人公、居待月零の通う黄金学園に転校生がやってきた。その転校生、上弦紫苑はもともと零が幼い頃一緒に遊んだ友人で、男の格好をしているけれども実は女の子。また紫苑を狙う黄金薔薇十字団が現れて、平和な学園生活が乱れ始める。

登場人物

居待月 零(いまちづき れい)

本作の主人公。オタク少年で、美少女ゲームなどに目がない。また紫苑に頭が上がらず、下僕扱いされている。また、学園内において一般生徒は紫苑を男だと思っているため、「リアルBL」カップルとのレッテルを貼られている。その正体は、ジル・ド・レイの相似素体と自分自身を思い込ませていたジル・ド・レイ本人であり、手のひらに「鉱石」(ミネラル)が埋め込まれている。特殊能力は、地下水を噴出させること。水から力を集積する日本刀、「村雨」を装備する紫苑とは非常に相性のいい能力といえる。
上弦 紫苑(じょうげん しおん)

本作のヒロイン。金髪に碧眼で、かなり整った容姿をしている。男として育てられ、しかもまともな性教育を受けてこなかったため、自分のことを男だと思い込んでいた。一応、学園内においては女性だということを隠し通し、零の従弟ということで扱われていた。所有する「村雨」という日本刀は生命エネルギーに直接ダメージを与える武器で、アヤカシと呼ばれる化け物を退治するのに有効である。その正体は、ジャンヌ・ダルクの相似素体であり、耳たぶに「鉱石」(ミネラル)が埋め込まれている。ジャンヌ・ダルクのトラウマを引き継いでいる成果、犬を非常に嫌う。また、紫苑は単なる相似素体ではなく、ジャンヌ・ダルクのDNAから作られ、完全にジャンヌ・ダルクと同じDNAを持つ究極の相似素体である。
三日月 那百(みかづき なゆ)

零の幼馴染。格闘技が得意で、女性ながらも総合格闘技部、略して「ソウカク部」の部員であるが、ソウカク部は部員が一人しかいないので演劇部(部員は和尚こと三軒茶屋満仁のみ)に入りびたり、和尚や零とダベって過ごしている。零に思いを寄せており、突如として転校してきた紫苑に軽く敵対心を抱いていた。また、腐女子でもあり、家には大量のヤオイ同人誌を所有している。ただし、現実の男性同士の同性愛については否定的で、男だと信じている紫苑が零と仲良くするたびに、更生させようとしていた。
ジャンヌ復活の生贄となるべきユングフラウの一人で、近距離戦が得意で炎を操る能力を持つ。演劇において、ラ・イールを担当し、また向こうの世界でもラ・イールとして過ごすことになる。零の義父である居待月空が不倫して作った子供なので、零と血はつながっていないが、零の妹といえば妹に当たる。
三軒茶屋 満仁(さんけんちゃや まに)

零や那百の友人。異端、立川流の住職の息子。スキンヘッドに青白い顔にほとんど眉毛がなく、血走った目にベジタリアンなために痩せた体躯と、その容貌はヴァンパイアを連想させる恐ろしいものである。ただし、性格は歪んでいるものの、友情に厚く、またユングとの恋愛について真剣に悩んだりと、かなりの善人である。
主要人物のほとんどがユングフラウである作品中、唯一なんでもない普通の人間。もっとも、立川流の異端的な呪術の使用ができるため、まるっきり「普通の人間」というわけではない。巻を増すごとに重要度が上がってゆき、全巻のラストは彼の登場するシーンで終えられることになった。同文庫の『ライトノベルの楽しい書き方』にも登場している。
ユング

本名はなく、「ユング」は通り名。師匠であるカール・グスタフ・ユングを尊敬しており、「ユング」と名乗っている。年齢は70歳を越えるが、人生の大半をコールドスリープの状態で過ごしてきたため、実際の活動時間は十数年といったところ。ジル・ド・レイにの取り巻きであったイタリア人錬金術師プレラッティの相似素体。常に黒いゴスロリ衣装を着用しているのは、プレラッティとの相似状態から離れるためである。非常に整った容姿をしているものの、作り物である自分の顔に非常に嫌悪を抱いている。そのため、自身の影武者である小望月惣が自分と同じ顔をするようになってから冷たく当たっている。
初登場の時には元型(アーキタイプ)のうち、戦闘能力の高い「影」(シャッテン)を使用できたためかなり強かった。しかし、紫苑の村雨で「影」(シャッテン)を破壊されてしまったため、以降は戦闘能力が激変することとなる。それでも、「影」(シャッテン)以外の元型は以前使用できたし、また結界を張るという特殊能力があったので戦闘においては防御担当となる。八人のユングフラウのうちの一人。
セレネ・晦・パナグリス

金髪碧眼の美少女で、自称ギリシアからの帰国子女であるが、実際はユーゴスラビアの出身。ユーゴでの幼年期には貧困と戦争に苦しんだ。ジャパニメーションを非常に愛するオタク少女であり、緊迫したシーンでよくアニメや漫画のパロディネタを口にする。ただ、日本に来るまではボーイズラブに対する知識はなく、那百によりそちらの趣味に目覚めることになる。
ユングフラウの一人で、雷を操る能力の持ち主。ドーピング状態では最強であった。

用語
  • 黄金薔薇十字団

ジャンヌ・ダルクを復活させようとたくらむ結社。もとはジル・ド・レイによって、ジャンヌ・ダルクを復活させることを目的として結成された。しかし、ジャンヌ・ダルクを復活させることにより因果律が崩壊し、ひいては世界を滅亡させられることがわかってからは、その目的が「人類をいったん滅亡させ、世界をリセットすること」に変化したようだ。その組織力は大きく、主人公達の通学する黄金学園も「ジャンヌ・ダルク再生計画」の施設であった。

  • 因果律

すべての結果には原因があるとする、この世界のルール。なかでも、「生まれてきたという原因がある以上、かならず死という結果が生じる」ということは因果律の中でも最も重要なルール。しかし、黄金薔薇十字団の「ジャンヌ・ダルク再生計画」のように真っ向から因果律に反することが行われた場合、基礎となるルールが崩れてしまうため世界が崩壊することになる。なお、作中において再生できる可能性のある死者はジャンヌ・ダルクのみ。他の人間の再生は不可能である。

  • 相似律

因果律をねじまげ、世界を人間の意のままに操ろうとする、黒心理学のルール。具体的な内容としては、「形」が「相似」している事象との間には何らかの関係性があるとする理論。類感呪術に似た要素を持つ。作中の例で言えば、呪いたい対象に「類似」させた藁人形を用意し、これに攻撃を加えることで対象となる人間にも危害という「結果」が生じるとする理論。
このような呪いなどは、因果的に考えるならば、最低限相手が「自分が呪われている」と認識させることでプラシーボ効果が生じる黒心理学においては、それすらも必要ではない。というのも、世界・宇宙そのものを巨大な一個の自意識をもつ存在とみなしているため。つまり、「呪いの藁人形」であれば、思考にとどまらず、実際にこの世界の中で行動に起こせば世界がそれを認識するため、それで充分に相手に危害という結果が生じるのである。
作中では、黄金薔薇十字団がジャンヌ・ダルクと同じDNAをもった紫苑を、ジャンヌと似た生活環境で育て、ルーアンに相似させた黄金学園に通わせ、紫苑にジャンヌを主人公とする演劇を演じさせることでジャンヌ・ダルクを復活させようとした。

  • 相似素体 (シンクロニシティ)

相似律の理論により、ジャンヌ・ダルクを復活させるべく、作られた人間。零がジル・ド・レイの相似素体と言われていた。特に紫苑はジャンヌ・ダルクと同一のDNAをもつ究極の相似素体。他には、ユングがプレラッティの相似素体となっている。

  • ユングフラウ

体の中にジャンヌ・ダルクの結晶化した心臓、「鉱石」(ミネラル)を埋め込まれている人間のこと。全部で8人。ユングフラウにとってミネラルは力の源であるとともに弱点ともなっており、ミネラルを除去されると死ぬことになる。小望月惣を除くユングフラウは全員、なんらかの形で戦闘に向いた能力を持つ。この全員がそろうことによりジャンヌ・ダルクが復活する。



関連カテゴリ