マグノリアの海賊
題材:海賊,
以下はWikipediaより引用
要約
『マグノリアの海賊』(マグノリアのかいぞく)は、栗本薫のヒロイック・ファンタジーシリーズ『グイン・サーガ』の外伝第9巻、およびそれを原作としたミュージカル作品。
概要
初出は『小説ハヤカワ No.5』(SFマガジン 1990年4月増刊号)である。本号に第一話「マグノリアの島」が掲載されたのを皮切りに、『小説ハヤカワ No.8』(SFマガジン 1991年1月増刊号)まで4号連続で全4話が掲載された。連載時の挿画は小島文美。
連載終了後、1990年12月31日にハヤカワ文庫JAより〈JA338〉として刊行された(ISBN 4-15-030338-X)。表紙、口絵、挿画はいずれも天野喜孝。解説はあかぎはるな。
また、ミュージカル公演に合わせ、『SFマガジン 1991年2月臨時増刊号 小説ハヤカワ SPECIAL』が発売され、台本版「マグノリアの海賊」(中島梓著)が掲載されている。
あらすじ
沿海州の南に浮かぶ、平和な島ダリア。マグノリアの花が咲き乱れ、まもなく「マグノリア祭」が行われようとしているこの島に、1隻の海賊船がやってきた。20歳の首領イシュトヴァーンに率いられた若い海賊たちを、島の人々は最初こそ警戒したものの、間もなくして彼らの陽気さにうち解けていく。
そのダリアの島で、イシュトヴァーンは3人の女と出会う。《かもめ亭》の気風のいい女主人ナナ。島の大公の純情な娘シリア。シリアの守り役を務める男装の武官ルネ。奔放にして生命力にあふれるイシュトヴァーンにいつしか魅かれていった3人は、それぞれにそれぞれの思いを秘めつつ、恋の熱さと切なさの中に身を投じていく。
そして迎えた、年に一度のマグノリア祭。祭りと夏の熱気の中で、3人の女とイシュトヴァーンとの恋が、それぞれに交錯し、激しく燃え上がっていく。
登場人物
特徴
『グイン・サーガ』の外伝は、主として、『豹頭の仮面』以前の主要登場人物の動向を描いた物語と、主に中原以外を舞台とした魔道色の強い、グインを主人公とした物語とで構成されている。本書はそのうち前者に属する物語であり、2009年の絶筆までに4作品・5冊が執筆された少年時代のイシュトヴァーンのエピソードの一つである。時系列上は、外伝『幽霊船』と外伝『宝島』のあいだに位置することになる。
本書のタイトルに見える「マグノリア」は、モクレンなどを指す実在の植物の名でもある。だが、本書中のマグノリアの描写には、夏を中心として四季を通じて白い大輪の花を咲かせ、その果実を乾燥させたものは媚薬、没薬として珍重される、とあり、明らかにその特徴は実在のマグノリアのそれとは異なる。この点について著者は、エッセイ『アマゾネスのように』(中島梓名義)の中で、マグノリアという語感と、ハイビスカスのような南国の花のイメージの両方が欲しかったため、それとは異なるマグノリアが実在することを承知の上で、あえてこのような設定にした、と述べている。
本書の刊行からまもなく、1991年1月には、本書を原作とし、著者自らが脚本・演出を担当した同タイトルのミュージカルが上演された。上記『アマゾネスのように』によれば、本書のストーリーはもともと、このミュージカルのために企画されたものであるという。したがって、本書をもとにミュージカルが製作されたわけではなく、本書とミュージカルの脚本とは、ほぼ同時期に執筆されたものであるらしい。
巻末に収録されたあかぎはるなによる解説は、本書の解説であると同時に、栗本薫論、グイン・サーガ論ともいうべき内容となっている。本書では明記されていないが、あかぎはるなとは著者である栗本薫の別名であり、ゆえに本書の解説は、いわば著者自身による著者論、作品論として、大変興味深いものでもある。
ミュージカル
本書を原作としたミュージカルは、本書の執筆および発表と並行して制作され、1991年1月18日から27日までの10日間に、新宿シアターアプルにて、昼夜合わせて14公演が行われた。
キャスト
- イシュトヴァーン(若き海賊団の首領):後藤宏行
- ナナ(ダリアの町の踊り子):春風ひとみ
- ルネ(男装の騎士。シリア姫の護衛係):マッハ文朱
- シリア姫(ダリア大公の一人娘):平吉佐千子
- ラン(イシュトヴァーンの一の子分):川平慈英
- 大公(ダリアの島の支配者):治田敦
- リサ(かもめ亭のおかみ):木月京子
- リオ(島の歌手):よしろう広石/峯藤高(ダブルキャスト)
- ダグ(イシュトヴァーンの子分):西沢仁
- パック(イシュトヴァーンの子分):ハマン
- アマリア(ダリアの町の娘):杉本亜利砂
- ミア(ダリアの町の娘):藤原満美子
- エリ(ダリアの町の娘):国分美和
- ダン(ダリアの人):岡本順太郎
- ならず者:大塚敏民
- ルー(海賊):長南賀信
- リナ(踊り子):上月真琴
スタッフ
- 原作:栗本薫
- 脚本・演出・音楽:中島梓
- 衣裳デザイン:天野喜孝
- 作詞:アンあんどう/中島梓
- 音楽監督:栗田信生
- 振付:名倉加代子
- 美術:下山次郎
- 照明:三上良一
- 音響:大野雅美
- 衣裳:菊田光次郎