マヤのマンション
以下はWikipediaより引用
要約
『マヤのマンション』は、漫画アプリcomicoに連載されていた日本の漫画。作者はWolf_D。
多重人格(解離性同一性障害)をテーマにした作品であり、心の中に住む人格たちが織り成すドラマを描いている。タイトルにマンションと謳ってはいるが、実際の建築物という意味ではなく、主人公の心の中の世界に聳える屋敷を指す。複雑な伏線が張り巡らされており、サスペンスの要素も併せ持っている。また全編カラーという発表媒体の特色を活かした演出も特徴。
プロローグ
最近とあるマンションに引っ越してきた「彼女」に関する街頭インタビューから、物語は始まる。人々が「彼女」に抱く印象はさまざまで、「料理が得意」「無賃乗車でトラブルを起こした」「お天気屋」「古美術への造詣が深い」「さまざまなジャンルの本を読む」「ぶっきらぼうに電話に出る」「そそっかしい」など一定しない。
当の「彼女」は、引っ越してきたばかりの部屋にて荷解きの最中で、無数の付箋が貼られたコルクボードを取り出しているのだった。
用語
色
屋敷
光の座
コルクボード
世界観
欧米の一都市と思われる街が舞台だが、ほとんどの人物に苗字やミドルネームが存在しなかったり、看板は日本語で書かれていたり日本特有の文化(朝ドラ)などが飛び交っている。
過去に住んでいた街は「イリス」としているが、引っ越し先の現在の街の描写は見られない。
ほぼ現代ではあるが、携帯電話、パソコンなど身近なIT機器は登場しないため、時代描写もやや曖昧である。
マヤとユリア
覚醒
登場人物
心の中のルームメイトたち
心の中の人格であり「ルームメイト」「家族」などと呼び合う人たち。マヤの肉体を共有しているため造形は全員同じである。このため成人男性のエイダンは華奢で女性の体格であり、30代後半のソフィーが若々しいなど違和感のある人格もある。
人格の判別は服装、髪型、口調、表情に加え、全身が持ち色になっている点などで容易に可能である。
マヤ(Maya)
本作の主人公で10代の女性。肉体の持ち主「主人」であり、物語の語り手でもある。持ち色は赤(実際はピンクに近い)。外見はエプロン姿で髪は左側を一房だけ編んでいる。
穏やかで優しく、何事にも前向きで一生懸命な少女。「主人」ではあるが、過去の記憶をほとんど持っておらず、嗜好もない。また当初は他の人格と意思疎通すらできず、辛うじてエイダンからの一方的な語りかけが理解できる程度であった。そのため社会性はやや乏しく、引っ越し先ではエイダンから外出を制限されていた。
エイダンとの交信を徐々に増やせるようになると、彼から教育を受け「主人」としての風格を身に着けるべく勉強中である。
その後荒野で見つけた屋敷に入ったことをきっかけに他の人格と普通に交流できるようになった。
モノローグでは大抵「私の名前はマヤです」と切り出す。また常に両手を胸の前で構える癖がある。
ユリア(Yulia)
明るさと社交性を司る10代女性。持ち色はオレンジ。外見はスタジャンにミニスカート、ロングブーツを履き、長髪を数点束ねたポニーテール姿。
機械好きで自動車整備士の資格を持つ(名義は当然マヤだが)。引越先でテオと知り合ったことがきっかけでテオと同じ職場で働くことになるが、エイダンの指示で整備所は辞めさせられ、現在はパン屋の売り子として悪戦苦闘の日々を送っている。
非常に明るく快活で誰からも好かれる性格だが、反面思慮深さに欠けており、対照的な性格のエイダンとはしばしば対立している。
色恋沙汰にはエリンに「おニブちゃん」とからかわれるほど鈍く、テオが好意を抱いていることをソフィーに教えられてようやく理解したほど。当初は当惑しつつも少しずつ自身の気持ちを整理していたが、事態を察したエイダンによって徐々に追い詰められていく。
人格の年齢が近いマヤとは非常に仲が良いが、一方で「主人」としての風格にはやや懐疑的な様子が見られる。
光の座にいる状態でも他の人格と会話することが可能だが、現実世界の会話と混線状態になることもある。一方で光の座周辺以外にはあまり行動することがなく、自分から他の人格を探しに行くことができないが、代わりに大声で歌うことで無理やり人格を呼び出すという荒業をマスターしている。
エイダン(Aidan)
20代後半の男性で持ち色は緑。知識と思考力を司っておりルームメイトの司令塔的存在。服装は非常にシンプルでシャツにスラックス、髪も整えることなく適当に流している。心の中に自室を持っており、数点の肖像画と膨大な量の蔵書に囲まれて過ごしている。
一つの肉体に複数の人格が宿っている現状を憂慮し、マヤを「主人」として教育し、最終的には「一つになる」ことを目指して奔走している。
さまざまな知識を有し、冷静かつ慎重に行動する。現在の街への引っ越し、就職、生活ルールなどはすべて彼の発案である。
論理的な頭脳の持ち主である一方で人間味はやや薄く、テオがユリアに寄せる好意には感づいたものの、ソフィーに相談して確信するなど微妙な感情の機微には非常に疎い。マヤにだけは穏やかな態度を見せるため、ユリアに「マヤはエイダンのお気に入り」などと揶揄されている。
しばしば意見が対立するユリアには「トイレが苦手」と思われており、実際その間光の座にはその周囲を含めて現れない。そのためユリアにはエイダンを避けていたい時に利用されている。
実は4人格の中で唯一の覚醒者であり、本棚を出現させ、直接ぶつけて攻撃したり、囲い込んで相手の動きを封じるなど(明らかに本棚本来の使い道ではないが)自在に操ることができる。
ソフィー(Sophie)
30代後半の女性。勤勉と空想を司る人格で、持ち色は藍(おまけコーナーでユリアに「青でいいじゃないか」とツッコまれてたが、その際は「ものごとは正確に伝えないといけない」とカラーコードまで引き合いに出して藍を強調していた)。清楚なゴシック風衣装を纏い、髪は丸めて後ろでまとめている。
丁寧かつやわらかいが、やや時代がかった上品な口調で話す。大きな屋敷の管理人で使用人たちや会計を一手に引き受けていると称しているが他の人格はそれらを見たことはない。料理はプロ級の腕前であり、それを知るマリーは厨房の仕事をさせるべきだと主張している。ただしウォルターはユリアの力量しか知らないため、マリーの話はまったく信用されていない。
普段は屋敷の管理の仕事に追われているためあまり光の座に現れることはないが、時折不慣れなパン屋の仕事に疲れているユリアの交代要員として働いている。
他人の心情には極めて敏く、他人が持つ内面の心理を的確に見抜き、意見調整にも長けている。その一方で金銭感覚にはやや乏しく高価な古物の花瓶を衝動買いし、騒動を起こしたことがある。
光の座に立っている間、付近にいる多人格との意思疎通はあまり上手くなく、肉体を休めながら出ないと対話できない。
封印されていた隣人たち
当初登場する人格はマヤ、ユリア、エイダン、ソフィーの4人のみだったが、物語が進むにつれ、封印されていた人格たちが明らかになってくる。彼らは概ね好ましからざる性格をしており、たびたびトラブルを起こすことを憂慮したエイダンによって封じ込められていた。そのためエイダンへの恨みは深く、封印が解けると反撃に転ずる。また彼らはそれぞれ独自の容姿をしており、外見上肉体との整合性はなく、光の座に立った時のみ、容姿が変貌する。
カミラ(Kamilla)
怒りと暴力を司る人格。20代で持ち色は黄色。襟元にヒョウ柄をあしらったライダースーツに身を包み、ウェーブのかかった髪を後ろに流している。非常に短気で喧嘩っ早く、マヤの中等部から高等部時代にかけて暴行事件を数多く引き起こし、その咎を結果的にではあるが、マヤ・クラビスに押し付けていた。見かねたエイダンによってクリスとともに封印され、エイダンの「一つになる」計画から排除されていた。そのため復讐の機会を伺い続け、封印が解けるとマヤとマヤ・クラビスを人質にエイダンに襲い掛かり、光の座を独占しようと目論む。
極めて粗暴である一方、封印されている間にエイダンの記憶を読み抜き、覚醒者として豹を繰る能力を得るなど狡猾な一面を併せ持つ。また本人曰く「自分から喧嘩を売ることはなく、売られた喧嘩をありがたく買ってやってる」とのこと。
クリス(Chris)
マヤ・クラビス(Maya Clavis)
持ち色は紫。「主人格」。容姿は現実世界のマヤそっくりであるが、現在の肉体よりやや幼い中等部の頃の姿。常にうつむき加減で全身傷だらけであり、手を引かれて移動することは可能だが、語り掛けても反応は一切見せない。腰に鍵束を所持しており、混乱のすべてを知りうる人格。精神が極限に追い込まれると暗闇によって辛い記憶をノートにして分離させされたり、さらには他の人格を作り出されたりしている。この際引き裂かれるような苦痛を受けるらしく、危惧したエイダンによって封印という形で保護されていた。彼女の存在を知ったマヤは「主人」のしての地位が揺らぎ、激しく動揺する。
他の人格の年齢が「10代」など曖昧な表記がされる中、唯一20歳と断定されている。ちなみにクラビスとはラテン語で「鍵」の意味。
街の人々
主にユリアが働き、生活する街で接点のある人々。引っ越してきたときのユリアの失言から街ではユリアで通っている。住み始めてから日が浅いこととエイダンが人との接点を極力避ける方針をとっているため、知人は多くなく、またマヤの抱える多重人格のことを知る人もいない。
なお街の人々と接する役目は、大半はユリアが請け負っているため、この項目では特筆しない限り主語をユリアとする。
テオ
エリン
ウォルターとマリー