マンガの神様 (ライトノベル)
以下はWikipediaより引用
要約
『マンガの神様』(まんがのかみさま)は、蘇之一行による日本のライトノベル。原作のイラストはTivが担当している。電撃文庫(KADOKAWA)より2015年3月から2016年8月まで刊行された。また2015年10月10日発行の『電撃文庫MAGAZINE』(KADOKAWA) Vol.46にて書き下ろし短編が、2016年2月10日発行の『電撃文庫MAGAZINE』(KADOKAWA) Vol.48からの三号連続で集中連載が行われた。第21回電撃小説大賞にて銀賞受賞。高校生新人漫画家である主人公と「マンガみたいなことがたやすく起こる現象」であるマンガの神様に憑かれたと言う少女の周りで起こる出来事が描かれている。
あらすじ
1巻
2巻
3巻
4巻
作風とテーマ
第21回電撃小説大賞選考委員によると、本作は、成功体験があり、挫折があり、悩んだ末にヒントを貰って乗り越える成長物語であり、明るく爽やかな、滑らかに流れる文章とストーリーでストレスなく読める学園ドラマとなっている。都合よくマンガのようなことが起こる事象を、マンガの神様に憑かれていると表現したのが本作であり、選考委員の三木一馬は、マンガのベタな展開を逆手に取るという着眼点は大変見事であると評価している。本作の第1巻執筆の段階で、作者は漫画家が主役の話を想定し、「努力家の天才漫画家と、神様に愛された天才漫画家のストーリー」を組み立て、伊織と楪葉の二人を対比し、対立構造にした。選考委員は、キャラクターの好感度を高く評価している。佐藤竜雄によると、主人公は自信家でいやな所もあるが、努力家なために好感度が高いという。荒木美也子によると、主人公のいけすかなさや悶え、そして伊織の妹の描写はとても微笑ましいという。鈴木一智によると、キャラの行動原理がしっかり確立されており、どこまでも不敵で傲慢な主人公にも好感が持てるという。また、作者は二人のヒロインを、楪葉は有名マンガ家でクールな美少女、霧生萌黄は天真爛漫な転校生と、性格を対照的にすることで、性格の違う二人がマンガを通して仲良くなる様を見せ、マンガの良さを表現した。主人公が漫画家ということもあって創作論が散りばめられており、読者の捉え方が多様であるのも本作の特徴である。作者は創作の仕方に関して、各々が異なる価値観を抱くことへ理解を示し、読者にも理解を求めている。『このライトノベルがすごい! 2016』において絵空は、伊織と楪葉の二人の一歩も引かない創作論のぶつかり合いは熱く、頷けるものがあるという。本作の第2巻では、物語の展開上、伊織に分かりやすいライバルを登場させたことで、作者は王道的な展開であると認識している。バトル系作品では、ラスボスを最初は伏せて後から明らかにする展開と、ラスボスを最初に掲示してその前に障害が立ちはだかるという展開の二つが基本となるが、本作はその後者となっている。本作の第3巻では、作者は、2巻でのライバル登場を受けて、さらに強大な敵が立ちはだかるという王道の展開を避けた。杜若王子郎というチートキャラと渡り合えるような漫画家の登場と、楪葉の過去に触れることに軸を据えた結果、夜桜というキャラクターが誕生した。さらに、「売り上げが大事か、面白さが大事か」というテーマにも言及している。本作を通して、作者は登場するキャラクターの持論、主義主張がどうぶつかっていくかを読者に楽しんでもらいたいと考えている。本作の4巻まで、作者は、マンガの神様は存在するのか、しないのか明らかにすることはなかった。強いての答えとして、「存在するかもしれないし、しないのかもしれない」と述べている。作者自身、運命は決まっていて変えられないものであり、その運命の道を全力で走るのが格好いいと考えている。楪葉はマンガの神様に憑かれているというよりも、運命を抱えているといえる。楪葉は運命に抗い、そして、最終的に運命を受け入れるという選択肢を取った。
制作背景
第21回電撃小説大賞銀色を受賞した本作は、作者にとって電撃小説大賞への三度目の投稿であった。第19回では3次選考通過まで進んだが、第20回では1次選考で落ちたため、その悔しさを糧に本作を書いた。作者は本作を書く際に、自分の好きなものを題材にしようと思い、マンガが好きだという理由で、漫画家の話を書いた。そして、努力家の主人公、神様に愛されたライバルというアイデアを思いつき、設定を膨らませていった。本作以前は、ミステリーといったシリアスな作品を書いていたが、コメディ系の方が合っていたと自身の挑戦に関して本作受賞の際にコメントしている。本作の執筆は、2か月ほどかけて一度書き上げた。その後に客観的に見ようと思い1か月ほど時間を置いて読み直したところ、後半があまり面白くないと判断し、大幅に書き直した。その後も書き直しを何度か繰り返した。合計すると、執筆には約半年かかった。作者にとって、時間をかけて書いたことは辛かったが、少しでも良いものにしようという思いで持ち堪えたという。執筆していることは周りの人に伝えていたが、執筆は、1人で黙々と行った。電撃小説大賞の受賞作は、電撃文庫・メディアワークス文庫などから必ず出版され、必ずデビューする。そのため、作者は第21回電撃小説大賞銀賞を受賞したことで本作第1巻を出版することになり、デビューを果たす。
社会的評価
本作は、第21回電撃小説大賞銀賞を受賞した。第21回電撃大賞・電撃小説大賞部門の応募総数5055作品の中で入選したのは8作品であり、大賞が2作品、金賞が1作品、銀賞が3作品、メディアワークス文庫賞が1作品、電撃文庫MAGAZINE賞が1作品であった。本作は、宝島社が発するライトノベルのガイドブック『このライトノベルがすごい!2016』に紹介文が掲載されている。
既刊一覧
- 蘇之一行(著)・Tiv(イラスト) 『マンガの神様』 KADOKAWA〈電撃文庫〉、全4巻
- 2015年3月10日発売、ISBN 978-4-04-869258-8
- 2015年7月10日発売、ISBN 978-4-04-865250-6
- 2015年11月10日発売、ISBN 978-4-04-865547-7
- 2016年7月9日発売、 ISBN 978-4-04-892197-8