マヴァール年代記
以下はWikipediaより引用
要約
『マヴァール年代記』(マヴァールねんだいき)は、田中芳樹による架空歴史小説。角川書店の小説誌『野性時代』に1988年から1989年にかけて断続的に掲載された。角川書店よりカドカワノベルズ版が全3巻で刊行され、その後、角川文庫に収められた。さらに東京創元社の創元推理文庫に、全1巻で収録された。
カルマーン、ヴェンツェル、リドワーンという3人の身分が違う青年達の野心や友情を、架空の帝国マヴァール帝国とその周辺諸国の激動の3年間を通じて描く。
あらすじ
マヴァール帝国の皇子カルマーンは、皇帝である父の圧迫に耐えかね、父を殺してしまう。皇帝の崩御によって後継者争いが始まり、次期皇帝を選ぶ選帝公はカルマーンとその甥のどちらを選ぶかで2派に分かれ対立する。選帝公の1人ヴェンツェルは旧友カルマーンに味方する。しかしカルマーンの父殺しに気付いたことがきっかけで、彼の心に帝位簒奪の野心が芽生えてくる。2人と旧友の騎士リドワーンも、帝都に戻ってきたことがきっかけでマヴァール内の権力争いや周辺諸国との戦争に巻き込まれていくのだった。
そして、夕陽の中で最後の戦いが終わるとき、三人の青春と友情の日々もまた終わる。
登場する国と人物
マヴァール帝国
本作の舞台となる大陸北方に割拠する帝国。氷雪に厚いが豊かな国土と、100万とも号される、強悍な兵を備える。帝都はオノグール。君主に皇帝(グルカーン)を戴く。南方の農耕民族の英雄によって故郷を追われた、東方草原の騎馬民族が流れ着いた新天地で、マヴァールは民族の名に由来する。130州の版図のうち、70州を直轄する皇帝領と、10州を封ぜられる、6つの公国との連合帝国の体裁を成す。皇帝領の州には、知事と軍司令官が代官として存在する。
アルパード
六公国
建国帝アルパードの征旅に従い、功績を挙げた6人の友人たちに与えられた国。皇帝領と連合する。10州をもって1公国を成し、公国の君主は国公と呼ばれる。公国には竜牙(ドルグレイヤ)、虎翼(ティグラネット)、金鴉(アルトクリーフ)、銀狼(サインボルフ)、銅雀(スパルコーア)、黒羊(カーラヒルプ)の名が冠せられる。次期皇帝を選出する選帝公(マグナート)の資格を有し、4人以上の選帝公の支持なくしては帝位に就くことはできない。国公の下には、国政を輔弼する国相(メシュテル)が存在する場合もある。封建諸侯として、公国の内政自治権、徴税権、徴兵権、司法権、立法権を与えられるが、帝国の宰相(フェイエデレム)職には就けない。公国同士の紐帯を防ぐため、公国と公国の間は皇帝領によって隔てられている。アルパード帝の巧みな婚姻政策で、各国公家には帝室の血が流れている。
主要人物
カルマーン
ヴェンツェル
リドワーン
アンジェリナ
パール
ホルティ
皇族と外戚
ボグダーン二世
若い頃は王立学園の身分の垣根を外すなど、開明的な君主としても知られるが、ヴェンツェルはその虚飾を見抜いていた。
ボグダーン二世にはカルマーンを含めて3人の息子がいた。アールモシュの見るところでは、3人の兄弟では末子カルマーンが傑出していたが、兄たちも凡庸な質ではなかったらしい。
長子ヴェーラは父帝から反逆を疑われ、心労で病臥に伏し、幼い息子ルセト大公を残して死去した。
次子(名は不明)は父帝の猜疑を恐れ、発熱を押して雪雨の戦陣に挑み、肺炎で死去した。
ルセト
エルセベート
アポストル
帝国の廷臣
ヴォーダ
ラクスタ
イリアシュ
アッセン
ベドジフ
バルツァイ
マウレル
ラレシュ
ヴァーソイ
イサクチア
ゾルターン
六公国の人物
竜牙公国
エンドレ
ドラゴシュ
シャームエル
ラスロー
バディカ
虎翼公国
イムレ
マーリア
シミオン
ゲルトルート
金鴉公国
ミクローシュ
マティアシュ
シャルロッタ
銀狼公国
コステア
フェレンツ
銅雀公国
シャラモン
黒羊公国
ストゥルザ
アールモシュ
イェレナ
ギカ
ヴェーラ
帝国の貴族
エフェミア
イデリーダ
パサロヴィツ
周辺諸国
エルデイ王国、ツルナゴーラ王国、ツウァーラ王国、リスアニア王国、クールラント王国、ウルガール王国、ラヴォニア大公国、西方騎士団領が存在する。
エルデイ王国
マヴァール帝国の東南に位置する王国。首都はブラッショー。帝国との関係は非常に険悪であり、武力抗争は百数度にも及ぶ、住民同士の釣り場の諍いが戦争にまで発展したケースもある。アルパード帝の治世の頃にはすでに存在しており、マヴァール帝国とは元々同じ民族の可能性が高く、言語もほぼ同じである。なお、エルデイとはトランシルヴァニアのハンガリー語名でもある。
九柱将軍(ナインポラトス)
ジグモンド七世
ミロスラフ
ラザール
オルブラヒト
重臣としても見識に優れ、ラザールの危険性を見抜く。剛直で信のおける人為からカルマーンから高く評価された。
グンナール
ツルナゴーラ王国
マヴァール帝国の南の隣国。首都はカルローツァ、版図は80州を数える。海を南に臨み、温暖で肥沃な国土である。兵はそれほど強くなく、守勢に弱く、近年は外交によって鋭鋒を避わしていた。別称「野葡萄の国」と呼ばれ、王家の紋章にも用いられる、葡萄酒は銘品。マヴァール帝国の来寇を受け、皇帝と王女との政略結婚の形で収束したこと(生まれた子が皇太子とツルナゴーラ藩王を襲うと定められた)から、帝国との戦いはツルナゴーラ継承戦役と名付けられた。なお、ツルナゴーラとはモンテネグロの自国語(モンテネグロ語)での国名である。
ダニーロ四世
アデルハイド
ザイツェル
ジュラージュ
イプシランティ
ラドゥ
シビウ
ブラショウ
ヴィエルコボ
ポモージュ
パヴォロ
その他の国
イワネスク四世
ボレスワフ
ザモイスキー
イェブレム三世
カラジョール
各巻のタイトル
カドカワノベルズ版
角川文庫版も同じ。
創元推理文庫版
- マヴァール年代記〈全〉 ISBN 4-488-59201-5
イラストレーター
- 『野性時代』連載時: 末弥純
- カドカワノベルズ版・角川文庫版: 天野喜孝
- 創元推理文庫版: 山田章博