マージナル (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『マージナル』は、神崎紫電による日本のライトノベル。第1回小学館ライトノベル大賞大賞受賞作品(受賞時のタイトルは『愛と殺意と境界人間』)。ガガガ文庫(小学館)より2007年5月から2009年7月まで刊行された。
サイコスリラー作品である本作は、主人公が他人を殺すことを熱望するなど、ショッキングな要素が含まれている。 また、テクスト上の特徴としては、人称が少しずつずれながら章が進み、最終的には大きな事件につながることが挙げられる。
ストーリー
1巻
アンダーグラウンドサイトの管理人である摩弥京也は、サイトの入会希望で会員化の是非を決めるチャットルームで、連続殺人犯からクラスメイトの南雲小百合の死体写真を受け取る。それが元で犯人から狙われることになった京也は、小百合の妹、御笠と事件を調べ始める。
2巻
月森市では、バラバラ殺人事件の解決が進まぬ中、撲殺事件が発生した。ある日、住民の一人である宇佐美風香は幼馴染の京也と再会する。かつての明るい性格から一変した性格に戸惑いつつも、風香は幼馴染との再会を喜び、美術館へ行く。だが、京也は風香の知人に対し、無礼なふるまいをする。
3巻
聖画に見立てた儀式殺人を繰り返すクロウメモドキの家に侵入した京也だったが、同行していた御笠がクロウメモドキに見つかり、絶体絶命の危機に陥る。京也は風香に助けを求めた。
4巻
5巻
音羽と小夜歌の双子の姉妹は、両親の離婚によりそれぞれの親に引き取られた。継母からの虐待を受けていた妹を救いたいと思った音羽は、手を尽くすもうまくいかず、継母の殺害を決意する。
6巻
音羽と小夜歌は、小夜歌の継母の殺害に成功したが、京也に感づかれる。2人は何とか京也の興味をそらそうとするが、失敗し、小夜歌は音羽に京也の殺害を提案する。
登場人物
摩弥京也(まや きょうや)
海藤信樹(かいとう のぶき)
新谷恵(しんたに めぐみ)
加倉井恭二(かくらい きょうじ)
制作背景
元々、神崎は様々なジャンルに興味を抱いており、中でもサイコスリラーの執筆を考えていたが、ライトノベルとしては受け入れられないだろうと考えていた。神崎は2006年春にガガガ文庫の創刊準備サイトが立ち上がった段階からこのレーベルに興味を持ち、第1回小学館ライトノベル大賞募集開始の際に始まった佐藤大プロデュースによる鼎談企画「ガガガトーク」でさらに興味がわき、同年夏にガガガ文庫の編集部が監修した『ライトノベルを書く! クリエイターが語る創作術』を読み、執筆に約2か月、推敲に1か月を費やした末に第一回小学館ライトノベル大賞に応募するに至った。ただし、プロットをまとめる中で、書き進めたいという気持ちを抑えきれなくなり、後半をよく詰めないまま執筆にとりかかったと神崎は受賞後に行われたインタビューの中で振り返っている。インタビューアーを務めた佐藤大は『デクスター 警察官は殺人鬼』と通ずるところがあると発言しており、神崎もそれを認めているが、神崎はそのテレビドラマを見ていないと述べ、日本の作家からの影響の方が大きいと話している。
反響
受賞
本作は、第一回小学館ライトノベル大賞の大賞を受賞した。本作の担当編集者であるYは三次選考の際、一次選考の担当者が「おもしろいが、大丈夫か?」というコメントを残したことに気づき、実際に作品を読んでコメントの意図を理解した。Yは佐藤とインタビューの中で、「たとえば、主人公が他人を殺したくてたまらないと思っているわけです。もしこういう作品が賞を取ったり、中高生向けに出版されたりするのはレーベル的に、あるいは会社的に大丈夫かな、ということは、選考の過程で読んだ人みんなが考えたことだと思います。」と当時の様子について振り返っており、この点については最終選考に通す前に編集部内で話し合いが行われたと述べている。
評価
佐藤大は、「たしかに後半には、そういう勢いとかパワーとか、良い意味での強引さ(笑)を少なからず感じました。(中略)キャラクターの魅力がプロットを上回っていくんですよね。はみ出していくというか。ライトノベルとしては、ある意味、すごく理想的な展開かもしれませんね。」と評価し、本作の印象を「偽善」の反対、悪になりきれない「偽悪」であると称した。
既刊一覧
- 神崎紫電(著) / kyo(イラスト) 『マージナル』 小学館〈ガガガ文庫〉、全6巻
- 2007年5月24日発売、ISBN 978-4-09-451003-4
- 2008年2月19日発売、ISBN 978-4-09-451053-9
- 2008年4月18日発売、ISBN 978-4-09-451062-1
- 2008年8月19日発売、ISBN 978-4-09-451085-0
- 2009年3月18日発売、ISBN 978-4-09-451123-9
- 2009年7月17日発売、ISBN 978-4-09-451150-5