ミステリと言う勿れ
以下はWikipediaより引用
要約
『ミステリと言う勿れ』(ミステリというなかれ、英文表記: Don't Call It Mystery)は、田村由美による日本の漫画作品。2021年に第67回小学館漫画賞一般向け部門を受賞した。
2022年1月期にフジテレビ系「月9」枠にてテレビドラマ化された。
2023年9月9日に「土曜プレミアム」枠で特別編を放送。
2023年9月15日に上記テレビドラマのキャスト、制作陣による映画版が公開。
概要
本作は分類としては「ミステリ」だが、田村は「ミステリじゃないです むり そんな難しいもの描けるもんか」と主張し、タイトルにも反映されている。
第1話は、著者が『月刊フラワーズ』(小学館)にて連載中だった『7SEEDS』と並行し、78ページにわたる比較的長尺の読み切りとして2017年1月号に掲載された。
第1話に相当する読み切りは主人公の久能整が自身に容疑がかけられた殺人事件の内容を、取り調べにかかる刑事たちの話から読み解き、取調室の中で推理する安楽椅子探偵の様相が採られた。田村は第1巻のあとがき漫画にて、本作を「舞台劇を意識した閉鎖空間で主人公がひたすら喋るだけの漫画である」と称し、これを漫画のフォーマットで制作する期待と不安が混在していたと語っている。その後、田村は『7SEEDS』の連載を終了し、2018年1月号よりあらためて本作の連載を開始した。
主人公が事件についてだけでなく、まったく関係のないことでもひたすら長文で語り続けるスタイルは第2話以降にも受け継がれており、寝言ですら言葉数が多く、その多弁さを「うざい」「お前気持ち悪いわ」と他キャラクターに批判されるのがお約束のようになっている。一方で、彼の語りによって事件が解決に導かれたり、行き詰まっていた人の心が救われるのも恒例である。
また、主人公が語る内容は、明白な事実に基づいたものもあれば、「娘が父親を嫌うのは近親相姦を避けるための本能」「三連の花見団子を作ったのは豊臣秀吉である」といった諸説あり真偽不明なものも含まれており、作中でも「あなたね ソースはいつも必ず確認しなさい」など、しばしば放言への説諭や非難が描かれる。
第2巻以降で広島が舞台になった際、田村の友人である声優の佐々木望が広島弁への翻訳を行った。
あらすじ
容疑者は一人だけ(1巻 episode1)
冬のある日、大学生の久能整はアパートを訪ねてきた大隣警察署の刑事たちに、大学の同回生で高校の同窓である寒河江が殺害された一件で、警察署に同行され任意で取り調べを受ける。寒河江は昨晩10時ごろ、久能に似た人物と口論していたのが目撃されたという。久能は犯行をきっぱり否定し、疑う藪警部補たちのもとへ毎日聴取に通うことになる。
反抗期の娘に悩む乙部巡査、先輩らの圧力を原因に伸び悩む風呂光巡査、妊娠中の妻の態度に苛立つ池本巡査、かつて起こった冤罪事件に囚われている青砥巡査部長は久能の独特の思想や語り口に次第に興味を惹かれていく。
聴取3日目以降、犯行に使用された果物ナイフや、久能のノートパソコンから寒河江から金を借りた借用書など、次々と物証が出て疑いが濃厚になる。久能は風呂光にアリバイ探しを頼んだが、ナイフが盗まれた形跡はなかった。久能は1年前アパートの鍵を落としたことなどを調べ直してくれるよう頼む。
5日目、藪の聴取を受けた久能は、高校3年生の時に寒河江が父親から買い与えられた高級車を自慢していたが、夏休みが明けると成績低下を理由に取り上げられたと話す。実はその夏に寒河江が轢き逃げ事故を起こし、その被害者が藪警部補の妻と息子だったのではないかと推理する。さらに風呂光の調査で、藪が久能の鍵を拾って届け出ていたことが判明。そのとき合鍵を作り、ナイフを盗み証拠を捏造したと言い当てる。
藪は久能に「妻子への復讐のため寒河江を殺した」ことを白状し泣き崩れるが、「轢き逃げは寒河江ではないかもしれない」という久能の推理どおり、轢き逃げしたのは寒河江を脅して車を借りた部活の先輩であることが判明する。
バスジャック事件(1巻 - 2巻 episode2)
ある秋の日、久能は印象派展に向かうが、乗り込んだバスがバスジャックされる。久能はマイペースな物言いでバスジャック犯の犬堂オトヤを怒らせる。
バスは犬堂邸に到着。犬堂オトヤと兄の犬堂ガロは乗客を一室に集め、「トロッコ問題」「自分が犯した最も重い罪」について一人ずつ語らせる。深夜、犬堂兄弟が部屋を出た隙に、久能は警察に通報。大隣署の面々が駆け付けると、犬堂兄弟はあっさり犯行を認める。久能は乗客の一人・熊田が事件の首謀者犬堂我路であることを見抜く。オトヤの兄は我路になりすました犬堂ハヤで我路のいとこだった。彼らは我路の姉で連続生き埋め殺人事件の被害者犬堂愛珠を殺した犯人を探すため、愛珠と最後にバスで乗り合わせた乗客を誘い込んだのだった。
久能はバス運転手の煙草森誠のある癖を指摘し、彼が愛珠を「片づけた」と推理する。煙草森は連続生き埋めを認め、事件は解決する。久能は、自分をうざいと言わなかった我路に好感を持ち、彼と再会を約束する。
冬のある日、久能のアパートに不起訴になった我路から宅配便が届くが、中に入っていたのは煙草森から切り落とされた腕だった。我路たちは煙草森が精神鑑定にかけられる前に護送車を襲い、一線を越えてしまい、逃亡生活に入る。
つかの間のトレイン(2巻 episode3)
バスジャック事件で行くことができなかった印象派展が、広島で開催されることを犬堂我路から聞いていた久能は広島行の新幹線に乗車。隣の座席に座った紘子が読んでいた手紙が目に入り、「きょうとにはくるな」と口走る。手紙に描かれたイラストの頭文字を並べ替えると、手紙の文章の内容に反した警告文が浮かび上がる。
紘子は実の両親を亡くし、母親の知り合いの女性に引き取られて育てられた。しかし、養母宛てに実の父親が紘子を返してくれと懇願する手紙の束を発見し、両親が亡くなったのは嘘だったと気付いた。紘子は養母に隠れて父親と文通を始めた。結婚が決まった紘子は父親とヴァージンロードを一緒に歩きたいと、育ての母親に内緒で父親に会うために京都に向かっているのだという。養母宛ての手紙にも父親に会わないよう警告するイラスト暗号が描かれていた。久能は父親の暴力に苦しむ母親が父親に悟られないようメッセージを送っていると推測する。
久能は後ろの座席に座る中年女性に声をかける。彼女は養母の美樹谷サキでこっそり紘子のあとをつけていた。サキは、暴力をふるう父親は既に亡くなり、返事を書いているのは精神を病んだ母親だと明かす。二人は京都駅で降りるが、久能はサキを呼び止め、ひとつだけ不明だった暗号からサキと母親が父親を殺し、母親は病んだのではと言う。だがサキは答えをはぐらかし、紘子に続いて新幹線を降りていく。
狩集家遺産相続問題(2巻 - 4巻 episode4 - 4-5)
広島で無事に印象派展を見た久能は市内で狩集汐路と知り合い、汐路の祖父・狩集幸長の遺産相続会議に出席させられ遺言を聞く。狩集家は昔から遺産を当主となる1人にのみ相続するのだが実子4人はすでに亡くなっており、孫の代にあたる狩集汐路、狩集理紀之助、波々壁新音、赤峰ゆらの4人から選ばれることになる。昔から相続の際に死人が出るといわれており、それらは事故や病気であると言われているが汐路は警察の捜査不備を疑っていた。久能は狩集家に泊まりこむことになり、遺言の「それぞれの蔵において あるべきものをあるべき所へ 過不足なくせよ」という言葉や不審な出来事そして「狩田という麻農家に雇われた鬼と二人の従者がその家の若妻に懸想し一家を殺して狩集家を乗っ取ったがその際に家主夫婦の幼い一人娘を取り逃がしてしまった」という伝説に出会う。
久能は鬼と同じ癖毛の人物が殺されていると推理。蔵の床下から大量の人骨が見つかる。幸長の実子4人を自動車事故に見せかけて殺したのは狩集家の弁護士・車坂の孫の車坂朝晴だった。車坂家と税理士の真壁家は鬼の乗っ取りが露見することを恐れ、代々狩集家で鬼の特徴を持つ子孫を始末していた。汐路の父親たちは1人だけ生き延びた少女の子孫である狩集家の真の子孫の女性に会っていた。彼女は4人の孫にそれぞれの親から注文されたパワーストーンブレスレットを渡す。見届けた久能は新幹線で帰京する。
雨は爼上に降る(4巻 episode5)
雨の日にポテトサラダを食べに出かけた久能は、雨に濡れながら「山賊の歌」を歌う男と出会う。彼は記憶喪失だった。久能とのとりとめのない会話の中で彼は「爆弾を仕掛けたかもしれない」と言い出す。久能は彼との会話から爆弾の場所を導き出し事故を未然に防ぐ。爆弾魔三船三千夫は逮捕されたが、久能は土手から転落する。
ばちあたり夜話(4巻 episode6)
爆弾事件の後、久能は池本巡査に半ば強制的に検査入院をさせられる。犬堂我路から送られてきた謎の指輪に頭を悩ませていると、無人のはずの隣のベッドに元刑事の牛田悟郎がいた。牛田は連続殺人犯羽喰玄斗に狙われている女性を保護しに向かったが、着替えに戻ったせいで、相棒の霜鳥信次は重傷、女性は亡くなった事件を語る。羽喰は失踪、片腕が動かなくなった霜鳥は刑事を辞めて警備会社に転職した。久能は霜鳥が真犯人というケースに言及。牛田は事件の証拠品を発見しており、それを墓まで持っていくか迷っていたという。翌朝、久能は牛田が昨日の朝に亡くなっていたと知る。そこへ霜鳥が見舞いにくるが、牛田から証拠品を送られた警察が霜鳥を逮捕する。
暖かいのか温かいのか(4巻 episode7)
検査がすべて終わり退院を翌日に控えた久能整は、掲示板に貼られた手書きの文章にある誤字に気が付く。誤字を正しい字に直しつなげると「温室 三時 招待」となる。犬堂我路によるものではないかと思った久能が午後3時に温室に行くと、温室の奥の部屋の鍵を発見。部屋の床に謎の数字が書かれていたが、温室の管理人梅津真波に追い出される。 病室に戻り牛田にもらった『自省録』を読んでいた久能は数字と『自省録』のページ、行数、文字数が暗号になっているのに気づく。暗号に従い再び温室を訪れた久能は鉢植に埋められたバッグを発見。梅津が病院で亡くなった老婆から譲られたものだった。久能は梅津に正直に相談することを勧める。数字の暗号を書いた女性が現れ、ライカと名乗る。
天使の連続放火事件(5巻 episode8 - 8-4)
久能はライカによって両親が亡くなり子供だけが助かった放火事件の現場に導かれる。放火現場に書かれたマークが病院にもあると聞いた久能は池本巡査に連絡。池本によればそのマークを書くと炎の天使が虐待する毒親を燃やしてくれる都市伝説だという。青砥は去年少年院から出所した井原香音人を疑う。久能は病院で下戸陸太に絡まれる。下戸は久能が事件について知っていると香音人に報告。久能を病院の倉庫の中でマークを書かれた親と共に焼殺しようとする。運よく逃れた久能を下戸は香音人に会わせる。香音人は虐待する母親を火事で亡くしたあと、同じく虐待されていた下戸の家を放火し、同じ手口で子供たちを助けていたが、助けた子供が苦しんでいると知り放火を辞めると言う。引き留める下戸に久能は香音人を殺したのかと問う。下戸は殺した香音人と一人二役を演じていた。警察が踏み込む直前、久能は教師になる決意を語る。
デートならぬ遠出(6巻 episode9)
親交を深めていた久能整とライカは深夜3時に初詣に行く。ライカの提案で営業していた焼き肉店に入ったが、久能とライカは店長の娘の様子がおかしいのに気づく。注文を取りに来た娘の不審な言動を暗号と見抜いた久能の通報で、店長に成りすましていた強盗浦部沢邦夫が逮捕される。
横浜連続殺人事件(6巻 episode2.5 - 2.5-3)
横浜で3件の女性連続殺人事件が発生。22年前消息を絶った殺人犯羽喰玄人が容疑者として浮上する。逃走中の犬堂我路は生前の愛珠の足取りを追って漂流郵便局や横浜の闇カジノへ行き着く。愛珠はカウンセラーの薦めでカジノで働いていたという。寄木細工ミュージアムの辻浩増からは愛珠の恋人月岡桂の話を聞く。犬堂たちは郵便局のハガキに書かれた「ジュート」を探しはじめる。
横浜では再び殺人が発生。現場に「羽喰十斗」の名と我路の指紋が発見される。女性刑事猫田十朱は聞き込みに行ったミュージアムの辻に呼び出され襲われるが犬堂たちが辻を連れ去る。辻は羽喰玄人の息子・十斗で、父親の遺体を発見してほしいと事件を繰り返していた。犬堂は辻が愛珠と同じカウンセラー・鳴子巽の治療を受け指輪をもらっていたと聞くと、辻を葉山に置き去りにして、細工師の月岡桂を訪ねる。愛珠のからくり箱を開けてもらうと鳴子の指輪が出てくる。我路は辻も愛珠も誰かに誘導されたと睨み、辻の指輪を入院中の久能に送る。
アイビーハウスの謎解きミステリー(7巻 episode10 - 10-3)
久能と相良レンは担当教授の天達春生の誘いでミステリー会のバイトに行く。別荘「アイビーハウス」に主人のアイビーこと蔦、橘高勝、デラ、パンが集まる。蔦は5年前別荘から転落死した女性の犯人探しの問題を出すが、実際に天達のパートナー・美吉喜和がストーカー殺人にあっており、橘高は怒る。翌日、久能と相良は橘高の言動の不審さを指摘し、橘高は喜和のストーカーに住所を教えたのは自分であると自白。デラとパンは刑事と名乗り出て連続ストーカー殺人に橘高が関わっていると証明。さらに久能は橘高が別荘での痕跡を消して全員を毒殺しようとしていると指摘する。橘高は逮捕されたが、飲食物に毒は発見されなかった。
星降る舌八丁(8巻 episode11)
久能はライカと病院近くの大鬼蓮美術館を訪れるが、突然あらわれた黒覆面のグループに遭遇。彼らは来館者を次々スタンガンで倒して美術館を占拠。彼らは「親方」が倒れて意識不明になったため代わりに「仕事」に来たが「下の句を探す」ということ以外わからないという。残された久能とライカは謎解きに協力し、レンブラントの名画のレプリカを発見。館長の黒松修一郎は親方の協力者でレプリカを本物に見せかけて売り抜けるつもりだったと告白。後日、ライカは自分が解離性障害千夜子の別人格でもうすぐ消えると久能に打ち明ける。
耳寄りな話(8巻 episode12)
フルーツサンドを食べに並んでいた久能は客の話に耳を傾け、痴漢をでっち上げた女性が階段から突き落とされた話を聞く。時間切れになった久能はその客のグループに犯人は女性だと言って行列を抜ける。久能を追いかけてきた水間由珠は、久能から自首を薦められ涙ぐむ。ライカと落ち合った久能は、自分の母親が祖母にいびられ息子にも愛情を注げず自殺したが、殺されたと思っていると打ち明ける。
双子を見分ける(8巻 - 9巻 episode13 - 13-2)
大学に久能を訪ねてきた汐路が「双子を見分ける」という依頼を持ち込む。鳩村家の双子・有紀子と実都子はたびたび入れ変わっており、去年母親の一葉が亡くなってからは誰も見分けがつかないという。久能は双子の家庭教師として鳩村家に通い、双子が実は三つ子であることを見抜く。使用人の畑中詩は3人目の藍糸子がいることを告白。有紀子に殺人現場を目撃されていた叔父の瓜生晃次は、藍糸子を残して、双子と久能たちを船で流す。だが久能が船内で発見した救難信号機と伝書鳩を使い、晃次は逮捕される。助けを待つ久能の前になぜか我路が顔を見せに来る。
enclosure(9巻 episode12.5)
姉犬堂愛珠の死去前の足どりを追う犬堂我路は、横浜の連続殺人で知った鳴子巽という人物を調べ始める。
鍵山事件を終わらせる(9巻 - 10巻 episode14 - 14-6)
久能は大きなバッグを抱えた不審な男と出会い青砥に連絡する。青砥は別居中の娘・友香と会ったが、別れた直後友香は誘拐される。誘拐犯は「してんちょう」を名乗り別の子供を誘拐するよう要求。青砥と合流した久能は8年前の冤罪事件「鍵山事件」が関連していると推理。久能と青砥はスイミングスクールコーチの蘇我実の家で眠る井口虎雄の息子竜樹を車に乗せ、奥多摩のキャンプ場に導かれる。鍵山事件の関係者5組がプレハブに閉じこめられリモート会議で事件の真犯人探しが始まる。久能は参加者の一人の井口虎雄が犯人と見抜く。鍵山事件の真相は盗撮犯小諸武史の好みでなかった少女を哀れんだ井口の犯行だった。少年時代の井口の友人を連れ去り、竜樹をアレルギーで死なせた蘇我は池に沈められていた。
失われた時を重ねて(11巻 episode15)
久能は相良から日当1万円のバイトに誘われる。当日廃校になった校舎に集合すると、理事の坂巻洋子が認知症の夫が30年前埋めたタイムカプセルを探してほしいと呼び掛ける。バイトの若者たちは残された日記や写真をヒントに推理する。久能が秘書の桐江を問い詰めると、桐江は実は認知症なのは洋子で自分は夫の行人だと打ち明ける。久能と相良はタイムカプセルは旧函館区公会堂にあると推理。函館に問い合わせると既にカプセルが発見されていたことが判明する。
果報の塩梅(11巻 episode16)
久能はライカにフルーツサンドを持って会いに行くが紙袋の中に赤い玉が入っていた。久能とライカは久能の足取りをたどり、玉が商店街の福引きの玉であること、それを子供が拾って紙袋に入れたことを突き止める。子供が遊んでいたというビルの屋上に行くと倒れている老人を発見。彼は屋上で倒れたとき赤い玉を下に投げたことで久能たちに発見され凍死を免れたのだった。
気がつけば潮目(11巻 episode14.5)
ガロは叔母さんからの情報で整が夢中だというライカに会いに行く。整が遭遇した事件で星座のアクセサリーを身に着けていた人物たちについてライカに教えてもらい、「整と情報のすり合わせをしたほうが良い」とも言われる。
その後、今日で最後のつもりで鳴子の家を張りに天井裏に入ったら燻煙式の殺虫剤でいぶされたため天井を蹴破って逃げた。自分にたどりつくよう鳴子に誘導されて、鳴子が見せたい情報だけを見ていたことに気づく。鳴子が見せた情報のひとつが、狩集汐路が患者だということである。
富山殺人事件(12-13巻 episode17)
登場人物
主人公
久能整(くのう ととのう)
本作の主人公であり、探偵役。19歳の大学2年生。魚座。ボリューミーな天然パーマの髪と仏頂面が特徴的な青年。土日にはよくカレーを作る。趣味は絵画鑑賞で、特に印象派を好みグッズを集めている。パワーストーンや占星術に詳しい。大学では教育学部で、将来は教師志望。天然パーマを気にしている。マフラーを巻いていることが多く、タートルネックも着用する。非常に神経質で他人と同じ部屋では眠れない。
後述のような性格と生い立ちから、友達も恋人もいないが本人は一人で快適に生きている。自分と話が通じ合いそうな人間、会話ができる人間に出会うと、例え犯罪者であろうと倫理観を気にせず積極的に話しかけ、仲良くなろうとする。その一方で興味のない人間には排他的で冷たい態度をとることが多く、自分に攻撃的な人間に対しては、容赦なく言い負かそうとする一面もある。
恋愛経験がなく、男性が好きか女性が好きかもよくわからないが、気になる人物として我路とライカを挙げている。また、ライカと知り合ったことで一人ではなく彼女と一緒に出かけたいと感じたり、価値観の違う大学の同級生レンを認めるようになり、誘われて一緒にアルバイトをするなど、交友関係が広がるにつれ、人間的に徐々に成長する様子が見られる。
「僕は常々思うんですが」が口癖で、気になる事があると相手構わず思ったことを喋り出す。記憶力と事実から推測する力に優れ、相手のちょっとした言葉のあやから心理を見ぬくのが得意。意図的に相手を刺激して怒らせ、本音を引き出したりもする。社会では「当たり前」とされている常識にも常に疑う視点を持ち、本人としては思ったことをそのまま話しているだけに過ぎないが、それが事件の真相解明に繋がったり、悩みを解決に導いたり、傷つけられた人の心を救ったりすることもある。反面、ただの思い込みや、本や映画で得たあやふやな知識をソースを確かめずに喋ることもあり、作中ではしばしば注意される。
達観しているように見えて、精神的には非常に子どもっぽい。人の癖を真似る傾向があり、犬堂我路からは「人をイラつかせるからやめた方が良い」と忠告されている。思ったことをすぐに喋らずにはいられない性格と相まって、相手からは「うざい」「面倒くさい」など煙たがれることが度々ある。
首から胸にかけて火傷のような大きな傷跡があり、人前で肌を見せたがらない。幼少期に父親と祖母が母親をいじめ、整自身も虐待を受けていた。また疲弊した母親は育児放棄のような状態で、いわゆるアダルトチルドレン的な境遇であった。そのため「家庭」というものにトラウマがあり、作中で「男親が嫌い」と指摘されるなど、父親的な男性、父権的な態度を取る者に対して強烈な否定的感情を持つほか、「子供を大切にしない親」には女性でも嫌悪感を示す。
大隣署
青砥成昭(あおと なりあき)
池本優人(いけもと ゆうと)
風呂光聖子(ふろみつ せいこ)
犬堂家
犬堂我路(いぬどう がろ)
初登場はepisode2「バスジャック事件」。
愛珠の弟。乙女座。長身で「色男」と言われるほど容姿端麗。当初はバスジャックに居合わせた乗客として大学院生の熊田翔(くまだ しょう)を名乗るも、学校に行っている形跡はない。その後バスジャック事件の主犯と名乗り出て、本名を明かす。バスジャック事件収束以降は愛珠の死ぬまでの行動やその原因を探しはじめる。
子供の頃、両親が病弱な姉の愛珠ばかり気にかけ我路をあまり構わなかったことや、暴君のような気の強い姉に振り回されてきたことから、性格はいろいろと拗らせている。
バスジャック事件で知り合った整を気に入り、関連事件で警察に追われる身となっているため直接顔を合わせることは少ないが、整を様々な人物と巡り合わせ、事件解決を依頼したりもする。整が窮地に陥った際には救援に駆け付けた。趣味は絵を描くことで、整から「下手の横好きレベル」と評されたことを後々までネタにしている。
犬堂甲矢(いぬどう はや)
犬堂乙矢(いぬどう おとや)
犬堂愛珠(いぬどう あんじゅ)
整の関係者
ライカ
初登場は「暖かいのか温かいのか」。整が検査入院した大隣総合病院の入院患者。獅子座。ストレートロングの髪をした女性。マルクス・アウレリウスの『自省録』をすべて暗記していて、話しにくい事や他人に聞かれたくない事は本を利用した暗号で話す。病院掲示板の暗号に気が付いた整と病院の温室で出会い、以降は整と交流を深め、2人で様々な場所に出かけるようになる。毎日見回りの隙をついて無断で病室を抜け出すも、1時間以上はベッドを空けられない。
千夜子という名前の妹がいると話しており、妹を大切に想っている様子を見せる。その一方で、「春になる頃には私はこの世にいない」を意味深な発言を残すが、その正体は千夜子の中にいるもう1人の人格で、父親から性的虐待を受けていたため生まれた。「ライカ」という名前は、かつて父親が愛用していたカメラに由来している。自分のことは人間ではなくカメラだと認識しているが、整と交流することで徐々に人間のような感情が芽生え始めている。
天達春生(あまたつ はるお)
美吉喜和(みよし きわ)
複数エピソードの関係者
羽喰玄斗(はぐい げんと)
鳴子巽(なるこ たつみ)
辻浩増を診ていたカウンセラー。テレビにも出演する著名人。四谷にクリニックがある。
辻の紹介で愛珠も診ていたことを知ったため我路の調査対象者となる。スクールカウンセラー業も始め、狩集汐路のカウンセリングをしていた事も判明した。
episode1 容疑者は一人だけ
episode2 バスジャック事件
episode4 狩集家遺産相続問題
狩集汐路(かりあつまり しおじ)
狩集幸長(かりあつまり ゆきなが)
episode5 雨は俎上に降る
episode6 ばちあたり夜話
episode7 暖かいのか温かいのか
episode8 天使の連続放火事件
井原香音人(いはら かねと)
下戸陸太(おりと ろくた)
episode2.5 横浜連続殺人事件
辻浩増(つじ ひろまさ) / 羽喰十斗(はぐい じゅうと)
猫田十朱(ねこた とあけ)
辻十岐子(つじ ときこ)
episode10 アイビーハウスの謎解きミステリー
episode14 鍵山事件を終わらせる
井口虎雄(いぐち とらお)/支点ちょう
田中美代子(たなか みよこ)
小諸武史(こもろ たけし)
塩川芳子(しおかわ よしこ)・塩川勇(しおかわ いさお)
南出 岳(みなみで がく)
「架空の実験」問題
第3巻にて主人公が語る「母親が乳児の世話をしながら家事をする大変さを、父親たちに擬似的に体験させる実験」のエピソードは子育てにまつわる興味深い話としてインターネット上で広く取り上げられた。あたかもその実験が実在するかのような描写であったが、実際には小説家の水木ナオの作品を元にした架空のものであり、田村がインターネット上で目にして事実だと誤認して使用していたと判明したため、編集者と共に謝罪表明し、以降の重版および電子書籍の更新では該当のエピソードが登場する箇所に水木ナオの著作を元にした旨を記すようになった。
評価・反響
2023年3月時点で累計部数は1800万部を突破している。また、2021年7月には1か月の電子版の売り上げが小学館の歴代最高を記録した。
マンガ新聞の2名のレビュワーはそれぞれ「本格サバイバルに秀でた田村由美が、そこで培ったうんちくや構成力が本作で大いに生かされている」「SF漫画の名手である田村は、現代日本を描いても日本一」と肯定的に評価した。MANGA ART HOTEL,TOKYOの共同代表である御子柴雅慶は「主人公が事件を解決するだけでなく、人の本質的な考え方すら是正するサスペンスが苦手な人でも読み進められる作品である」と評した。雑誌『ダ・ヴィンチ』の2018年8月号では本作がプラチナ本として紹介され、編集長である関口靖彦は「読者の目に映る世界をひっくり返すミステリ作品である」と評した。
受賞
年 | 賞 | 結果 | 出典 |
---|---|---|---|
2018年 | ダ・ヴィンチ2018年8月号「今月のプラチナ本」 | 受賞 | |
2019年 | このマンガがすごい! 2019 オンナ編 | 第2位 | |
マンガ大賞2019 | 第2位 | ||
2022年 | 第67回小学館漫画賞一般向け部門 | 受賞 | |
第1回マカデミー賞 主演男優賞(久能整) | 受賞 | 。 |
書誌情報
- 田村由美 『ミステリと言う勿れ』 小学館〈フラワーコミックスアルファ〉、既刊13巻(2023年9月8日現在)
- 2018年1月10日発売、ISBN 978-4-09-870029-5
- 2018年5月10日発売、ISBN 978-4-09-870120-9
- 2018年10月10日発売、ISBN 978-4-09-870204-6
- 2019年2月8日発売、ISBN 978-4-09-870406-4
- 2019年9月10日発売、ISBN 978-4-09-870542-9
- 2020年2月10日発売、ISBN 978-4-09-870861-1
- 2020年9月10日発売、ISBN 978-4-09-871103-1
- 2021年3月10日発売、ISBN 978-4-09-871277-9
- 2021年7月9日発売、ISBN 978-4-09-871400-1
- 2021年12月10日発売、ISBN 978-4-09-871497-1
- 『ミニカレンダー2022付き限定版』 同日発売、ISBN 978-4-09-943097-9
- 2022年6月10日発売、ISBN 978-4-09-871690-6
- 2023年1月10日発売、ISBN 978-4-09-871884-9
- 2023年9月8日発売、ISBN 978-4-09-872214-3
- 『ミニカレンダー2022付き限定版』 同日発売、ISBN 978-4-09-943097-9
コラボレーション
結婚情報誌『ゼクシィ』(リクルート刊)の2022年2月号(2021年12月23日発売)の付録冊子「ふたりで読むお金の心得本」にて、本作の書き下ろしエピソードが掲載されている。
テレビドラマ
2022年1月10日から3月28日までフジテレビ系「月9」枠で放送された。主演は菅田将暉。
2023年9月9日に「土曜プレミアム」枠で特別編が放送。
制作
ドラマ化は各テレビ局の争奪戦になり、その中からフジテレビが権利を獲得した。フジがコンペティションに勝てたのは先に菅田将暉をキャスティングできたことで原作者の了承を得たことが大きいと草ヶ谷大輔プロデューサーは語っている。
2021年6月にドラマ化を発表。菅田が出演する日本テレビ系ドラマ『コントが始まる』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の撮影スケジュールと重ならないよう、放送開始より1年以上前の2020年秋より撮影され、発表時にはほとんど撮影を終了していた。
キャスティング
主人公の久能整は、感情をあまり表にださず、基本的に仕草や動作もないので役者の表現範囲が狭まってしまうため「その状況でも説得力を出せる」「すごい情報量を話しながら間を芝居で埋められる」俳優として菅田将暉に白羽の矢が立った。
菅田は「主人公の整もまた、間違いをおかす人間である」ことを意識し、当初は整を原作のイメージのおっとりした口調で演じる予定であったが、紙に描いたものをそのまま生身の人間がゆっくり喋ると「主人公が教祖化してしまう」という懸念から、より人間的な感情を見せる人物として演じるプランに変更した。さらに原作者の田村由美と面談した際に田村自身が整のような好奇心旺盛な人物であるという印象を元に、ドラマでは田村の喋り方を参考にし、原作をそのまま再現するよりも、原作にこめた作者の考えをより視聴者に伝えるための演技方法をとった。
主人公が語る内容については菅田自身が「本当に思っていないと喋れない」ため、関連する知識を調べるのに時間をかけ、作中に登場する『自省録』などを読み込むなどで役作りをした。 また、菅田自身でゲスト出演者のキャスティングを提案したり、当初台本上になかった原作のセリフを現場で入れてくれるよう監督に頼むなど、原作との擦り合わせを行った。
また、田村はドラマの企画を示された際に「風呂光聖子の成長も描きたい。そのため演技の上手い伊藤沙莉をなんとしても起用したい」と草ヶ谷プロデューサーから提案されたことで「きちんとキャラと向き合ってくれている」と感じ了承した。ドラマ終了後には「探偵役と刑事の両方を立てるのは実はやりづらいことだったりするので(実際どっちかが阿呆にされがちだし、協力するのも無理がある)、そのため(原作では)刑事たちの出番は限定されていました」と、ドラマの刑事たちの描写が原作と食い違っていた事も語っている。 しかし田村自身がたびたびドラマの撮影現場に足を運び、スタッフやキャストとコミュニケーションを取り、生身の人間が演じているのを目の当たりにした結果、登場人物への愛着がより湧いてきたといい、警察側(青砥や風呂光ら)のエピソードを原作でも展開させるきっかけとなったと語っている。
原作との違い
風呂光聖子の扱い
その他の変更点
キャスト(テレビドラマ)
登場人物の設定はほぼ原作通りである。詳細はミステリと言う勿れ#登場人物を参照。
主要人物(テレビドラマ)
大隣警察署
犬堂家
整の関係者
episode1:容疑者は一人だけ
episode2:バスジャック事件
episode5:雨は俎上に降る
episode6:ばちあたり夜話
episode7:暖かいのか温かいのか
episode8:天使の連続放火事件
episode10:アイビーハウスの謎解きミステリー
episode9:デートならぬ遠出
episode2.5:横浜連続殺人事件
episode3:つかの間のトレイン
特別編
2023年9月9日21:00より、「土曜プレミアム」枠で放送された。連続ドラマのepisode1(2022年1月10日放送)に一部新撮を加えたリブート版と、原作コミックス11巻で描かれている通称「タイムカプセル編」の新作で構成されている。原作では相良レンと整はアイビーハウス事件で出会うが、連続ドラマではレンが風呂光に置き換わり登場しなかったため、今作のドラマオリジナルで寒河江事件にレンとの出会いのエピソードを追加している。
epsode15:失われた時を重ねて
スタッフ(テレビドラマ)
- 原作 - 田村由美『ミステリと言う勿れ』(小学館「月刊フラワーズ」連載中)
- 脚本 - 相沢友子
- 演出 - 松山博昭、品田俊介、相沢秀幸、阿部博行
- 音楽 - Ken Arai
- 主題歌 - King Gnu「カメレオン」(アリオラジャパン)
- プロデュース - 草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
- 制作・著作 - フジテレビ
放送日程
連続ドラマ
話数 | 放送日 | サブタイトル | 原作該当エピソード | メインゲスト | 演出 | 視聴率 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 2022年1月10日 | 変わり者の大学生が殺人容疑、真実は人の数だけある! | episode 1・2 | 遠藤憲一 | 松山博昭 | 13.6% |
第2話 | 2022年1月17日 | 奇妙なバスジャック! その目的は… | episode2 | 永山瑛太 ヒコロヒー 金田明夫 森下能幸 森永悠希 佐津川愛美 |
12.7% | |
第3話 | 2022年1月24日 | 遂にバスジャック解決編! 犯人は誰だ!? 哀しき復讐 | 13.2% | |||
第4話 | 2022年1月31日 | 記憶喪失の爆弾魔、爆弾はどこへ?爆発を食い止めろ | episode 5 | 柄本佑 | 品田俊介 | 13.3% |
第5話 | 2022年2月 | 7日奇妙な入院生活! 22年前の未解決事件が動き出す | episode 6 | 小日向文世 相島一之 |
松山博昭 | 10.0% |
第6話 | 2022年2月14日 | 放火殺人に潜む闇、子供を救う炎の天使! 謎の女性の目的は!? | episode 7・8 | 岡山天音 早乙女太一 今井悠貴 |
阿部博行 (共同演出:松山博昭) |
10.2% |
第7話 | 2022年2月21日 | 炎の天使編完結! 炎の天使の正体とは…驚愕の真実が明らかに | 松山博昭 | 12.3% | ||
第8話 | 2022年2月28日 | ミステリーナイト開幕! 殺すのか?殺されるのか? | episode 10 | 佐々木蔵之介 池内万作 田口浩正 渋谷謙人 |
相沢秀幸 | 10.6% |
第9話 | 2022年3月 | 7日ミステリーナイト真相編! 恩人を殺したのは誰だ | 11.6% | |||
第10話 | 2022年3月14日 | ファイナルエピソード! さようなら、ライカさん… | episode 9 | 志田未来 堀部圭亮 |
松山博昭 | 12.0% |
第11話 | 2022年3月21日 | 物語はいよいよクライマックスへ! 蘇る殺人鬼…妹の死の謎 | episode 2.5・3 | 北村匠海 船越英一郎 松本若菜 |
11.1% | |
最終話 | 2022年3月28日 | 手紙に隠された秘密…暴かれる妹の死の真相、真実は一つじゃない | 関めぐみ 高畑淳子 |
11.2% | ||
平均視聴率 11.8%(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム) |
- 初回は21時 - 22時24分の30分拡大放送。
- 最終話は21時 - 22時09分の15分拡大放送。
特別編
話数 | 放送日 | サブタイトル | 原作該当エピソード | メインゲスト | 演出 | 視聴率 |
---|---|---|---|---|---|---|
特別編 | 2023年9月 | 9日天然パーマのおしゃべりな大学生が帰ってくる | epsode15 失われた時を重ねて |
篠原涼子 塚地武雅 志尊淳 |
松山博昭 | 10.3% |
- 土曜プレミアム枠(21時 - 23時25分)で放送。
受賞歴
第111回ザテレビジョンドラマアカデミー賞
日本民間放送連盟賞2022年度
MIPCOM BUYERS’ AWARD for Japanese Drama 2022
東京ドラマアウォード2022
TVerアワード2022 特別賞
フジテレビ系 月曜21時枠の連続ドラマ | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
ラジエーションハウスII
〜放射線科の診断レポート〜 (2021年10月4日 - 12月13日) |
ミステリと言う勿れ
(2022年1月10日 - 3月28日) |
元彼の遺言状
(2022年4月11日 - 6月20日) |
1987年 | |
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1988年 | |
1989年 |
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2023年 | |
2024年 |
映画
上記テレビドラマの劇場版として制作・公開された。原作コミックス2 - 4巻で展開される通称「広島編」が原作。2023年9月15日に公開された。
登場人物(映画)
久能整(くのう ととのう)
主人公。
狩集汐路(かりあつまり しおじ)
ヒロイン。狩集家の遺産相続候補者の1人。整を遺産相続事件に巻き込んでいく高校生。
車坂朝晴(くるまざか あさはる)
狩集家お付きの弁護士の孫であり、自身も弁護士を目指している。汐路の初恋の相手。
狩集理紀之助(かりあつまり りきのすけ)
臨床検査技師。汐路、ゆらのいとこで、狩集家の遺産相続候補者の1人。
波々壁新音(ははかべ ねお)
サラリーマン。汐路、ゆら、理紀之助のいとこで、同じく狩集家の遺産相続候補者の1人。
赤峰ゆら(あかみね ゆら)
汐路のいとこで、狩集家の遺産相続候補者の1人。専業主婦。
狩集ななえ(かりあつまり ななえ)
汐路の母。
狩集弥(かりあつまり わたる)
汐路の父。8年前に交通事故死。
赤峰一平(あかみね いっぺい)
ゆらの夫。
鯉沼鞠子(こいぬま まりこ)
汐路たちの亡くなった祖父・幸長のいとこ。
真壁軍司(まかべ ぐんじ)
狩集家の顧問税理士。
車坂義家(くるまざか よしいえ)
狩集家の顧問弁護士。朝晴の祖父。
志波一巳(しば かずみ)
広島県警の刑事。8年前の交通事故を担当。
犬堂我路(いぬどう がろ)
ある事件で整と出会った謎の青年。汐路に整を紹介する。
青砥成昭(あおと なりあき)
池本優人(いけもと ゆうと)
風呂光聖子(ふろみつ せいこ)
大隣警察署一係で唯一の女性巡査
赤峰幸(あかみね さち)
赤峰ゆらの娘。
役名不明
役名不明
君原奈津子(きみはら なつこ)
パワーストーンアクセサリーのデザイナー。幕末に現在の狩集家が家を乗っ取った際に使用人達によって逃され唯一生き延びた少女(当主の一人娘)の子孫で狩集家の正統な末裔。
宮島焼の窯元
忠敬の蔵にあった宮島焼を偽物と判断する。弥達も訪れていた。
狩集幸長(かりあつまり ゆきなが)
汐路たちの祖父。故人。遺言書で汐路たちにお題を出す。
宝田完次(たからだ かんじ)
鯉沼鞠子の弟。物語のカギとなる。
『鬼の集』を上演した劇団主宰者
『鬼の集』朗読劇ナレーション
スタッフ(映画)
- 原作 - 田村由美『ミステリと言う勿れ』(小学館『月刊フラワーズ』連載中)
- 脚本 - 相沢友子
- 音楽 - Ken Arai
- 主題歌 - King Gnu「硝子窓」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
- 挿入歌 - King Gnu「カメレオン」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
- 監督 - 松山博昭
- 製作 - 大多亮、沢辺伸政、渡邊万由美、市川南
- 製作統括 - 臼井裕詞
- プロデューサー - 草ヶ谷大輔、野﨑理、谷鹿夏希
- Co.プロデューサー - 大澤恵
- 撮影 - 斑目重友
- 照明 - 清水智
- 録音 - 武進
- 美術 - 棈木陽次、宮川卓也
- 装飾 - 松下利秀
- 編集 - 平川正治
- 選曲 - 近藤隆史
- 音響効果 - 壁谷貴弘
- VFXスーパーバイザー - 野崎宏二
- 記録 - 堤眞理子
- 監督補 - 品田俊介
- 助監督 - 東條政利
- 制作担当 - 竹井政章
- 製作 - フジテレビジョン、小学館、トップコート、東宝、FNS27社
- 制作プロダクション - オフィスクレッシェンド
- 配給 - 東宝
制作
原作の田村由美は、広島の歴史背景やロケーションの素晴らしさから、広島は描いてみたい土地だった。30年来の友人である声優の佐々木望から、『カープ預金』など、細かい古里への思い(自慢)を度々聞き、お土産を貰ったりするうち、広島が段々好きになっていった。2018年に広島へ2度取材に訪れ、厳島に行き、厳島神社で夜遅くまで潮が引くのを眺め、厳島神社の大鳥居まで海を歩いて行った体験はとてつもなく荘厳で神秘的で、大鳥居を出したいというのが創作の原動力になった。
『ミステリと言う勿れ』は毎回違うシチュエーションにしたいという考えで、広島編を考えたとき、「よし、今回は遺産相続殺人事件だ」と思い付き、原作の2~4巻で広島を登場させた。「現地で見聞きしたもの、感じたことの一つ一つが、自然と作品に現れたんだと思います」と話している。田村にとっても広島編は思い入れの強いエピソードだった。
原作漫画を読んでいた菅田将暉は、漫画では広島編が終わったぐらいのタイミングで出演オファーを受け、乾く前のセメントに子どもを例えた件が強く心に刺さり、広島編をやりたくてオファーを受けた。 血族という日本人ならではの繋がりを描いた広島編は、原作ファンの間でもひときわ人気が高く、菅田も『ミステリと言う勿れ』という作品の良さが詰まっていると考え、映像化を待ち望んだエピソードだった。
しかし、広島編だけで6時間ぐらいかかるなど尺の問題や、広島編は他のエピソードとはちょっと違う空気感や温度感があり、フジテレビの『月9』枠には合わないかもしれない等の問題があり、テレビドラマでは広島編の映画化を見越して飛ばされる形になった。演出の松山博昭も広島編が好きで、映画化にあたり、菅田とのディスカッションで「広島編が良いよね」という話になった。菅田としても「広島編をやらないと終われない」という気持ちだったという。
キャスティング
キーマンの一人となる狩集汐路役のキャスティングは、オーディションを6日間行い、多くの俳優に会った。原菜乃華は、松山監督らが思っていた汐路のイメージに一番近かったという理由で選ばれた。原も大好きな作品で「いつか自分もこの作品に出られるような、お芝居のちゃんとできる役者さんになりたい」と目標にしてきたという。物心ついたときからずっとロングヘアだった髪も汐路のイメージに合わせて30センチばっさり切った。普段はオーディションに落ちてもへこたれないタイプだと言うが、「今回は落ちたら半年は寝込むかもしれない…っ」というくらいこの役に懸けていたと話している。松山監督は「明るさの裏に傷や悲しみを背負っている難しい人物像を表現できる方でした」と評している。
メインキャストで広島弁を話すのは、狩集理紀之助役の町田啓太と、波々壁新音役の萩原利久の二人だけだが、萩原は方言が苦手で、エンドロールで広島弁指導としてクレジットされ、本作では刑事役としても出演する小豆畑雅一と二人三脚で習得を重ね、撮影前からひたすら繰り返し広島弁を練習したという。自身でも「何とか形になっていると思います」と話すように、その甲斐あって『孤狼の血』ばりの強烈な広島弁を話す。
撮影
2022年12月、クランクイン。撮影は2022年12月~2023年2月。テレビドラマの撮影時は、コロナ禍もあってスケジュールや場所の制約もあり、みんなで話し合っての撮影は出来なかったが、映画版の撮影時はコロナの若干の落ち着きもあり、地方ロケで撮影も比較的ゆったりで、出演者同志で密にコミュニケーションも取れ、多くの場面で出演者同志のディスカッションがあり、その場でセリフの修正なども行われた。撮影終了後にはみんなで食事に行けたりし、出演者同士で仲良くなれたという。
ロケ地
- 広島県
- 広島市
- 広島県立美術館
- 広島電鉄路面電車
- 広島電鉄650形電車
- 広島平和記念公園
- 広電西広島駅(キービジュアルのみ)
- 廿日市市
- 厳島
- 宮島口宮島焼窯元対厳堂
- 東広島市
- 東広島駅
- 岡山県
- 倉敷市
- 旧野崎家住宅
- 沙美海水浴場
- 鷲羽山公園線
- 群馬県
- 前橋市
- 臨江閣
- 甘楽郡甘楽町
- 楽山園
- 神奈川県
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- 千葉県
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- 東京都
- 足立区
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美術
劇中の大半を占める狩集家の屋敷は、岡山県倉敷市の旧野崎家住宅で、玄関、広間、整の部屋、廊下の一部が撮影に使われた。2階の部屋は群馬県前橋市の臨江閣、風呂は神奈川県厚木市七沢温泉の元湯玉川館。階段や廊下の一部、台所、テーブルのある部屋、居間は野崎家の邸内に合わせたセットが、フジテレビ湾岸スタジオに作られた。
また、狩集家の広大な庭は、群馬県甘楽郡甘楽町の楽山園と神奈川県横浜市の三渓園を合わせたもので、蔵は千葉県我孫子市の旧井上家住宅にある2つの蔵をCGで4つに見せている。蔵の中は湾岸スタジオに建設されたセットである。
整のセリフにあるように、本作は『犬神家の一族』へのオマージュでもある。これら美術を担当した棈木陽次は、犬神家の一族のテレビドラマ版に2回関わったことがあった。