メダリスト (漫画)
以下はWikipediaより引用
要約
『メダリスト』(Medalist)は、つるまいかだによる日本の漫画作品。フィギュアスケートを題材にしたスポーツ漫画で、『月刊アフタヌーン』(講談社)にて、2020年7月号から連載中。「第5回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」で9位、翌年の「第6回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」で3位を受賞。「次にくるマンガ大賞2022」コミックス部門第1位。2023年1月、第68回「小学館漫画賞」一般向け部門を受賞。
あらすじ
全日本選手権に出場経験を持つ明浦路司は、アイスショーの試験に落ち続け就職先が決まらないでいた。そんな折かつてのアイスダンスのパートナー、高峰瞳から自身が主催するスケートクラブのコーチを打診される。全日本出場を瞳の手柄だと卑屈になり乗り気でなかった司だが、そこで母に連れられた結束いのりと出会う。
母親がフィギュアスケートを諦めさせるための口実として連れられてきたいのりだったが、司は彼女が内に秘める執念と情熱を目の当たりにし、彼の後押しで母の反対を押し切る形でスケートを始める。やがて司の指導のもと、いのりは次第にその才能を開花させていく。
登場人物
声の項はテレビアニメ版の声優。
ルクス東山FSC
結束 いのり(ゆいつか いのり)
声 - 春瀬なつみ
本作の主人公。フィギュアスケートクラブ「ルクス東山FSC」に所属し、フィギュアスケートでオリンピックの金メダルを獲ることを目標としている少女。小学5年生。4月16日生まれで、血液型はA型。物語開始時の身長は134cmと、(作品の特性上、小学生が多数登場する)登場人物の中でも小柄。幼少期、スケートをしていた姉に憧れて自身もやりたいと思うようになるが、優秀な姉と比べられ母から「何もできない」と烙印を押されてしまい叶わなかった。その状況を不憫に思ったスケートリンクの受付スタッフである瀬古間に、「飼育している小鳥の餌としてミミズを取ってきてくれたら、お礼にリンクを使わせる」という条件で、両親に内緒でフィギュアスケートを学ぶ。瀬古間の基礎的な指導と教本による独学の練習により、同年代の選手と同等程度の技術を備えていた。
上述の境遇から、誰よりもスケートをしたいという執念と情熱があり、そのことを見込んだ司の口添えもあって母を説得し、半ば強引にスケートを始める。司の指導と猛烈な努力のもと、天賦の才というべきスケートの才能を開花させ、強い信頼関係を築いていく。
選手としては元アイスダンス選手である司仕込みの高いスケーティング技術と丁寧な表現力が持ち味。逆にジャンプを不得手とし、乗り越える課題としてたびたび描写される。
好きなものは生き物、ミミズ、スケート。嫌いなものは数学と漢字で、九九計算を憶えられなかったため、学校では劣等生扱いだったが、「スケート」という本気で打ち込めるものが見つかったことで、のちに評価が向上、改善した。
明浦路 司(あけうらじ つかさ)
声 - 大塚剛央
いのりのコーチとなる男性。26歳。9月4日生まれで、血液型はB型。好きなものは読書とポイント懸賞。嫌いなものはミミズ、ヘビ、芋虫。
全日本選手権のアイスダンスに出場した実力のある選手だったが、24歳で現役引退後、アイスショーの面接に落ち続け、就職先が見つからずにいた。
元パートナー・高峰瞳から「ルクス東山FSC」のアシスタントコーチに勧誘された際、母に連れられリンクを訪れたいのりの才能を見出し、コーチとなった。
中学生のころ、偶然オリンピック金メダリストの演技を見たことで衝撃を受け、「もうこの世界を無視して生きられない」と思いスケートの世界へ飛び込んだ。しかし、選手層の厚い日本でフィギュアスケートを始めるには5歳位からが適期とされており、大きく出遅れた司の受け入れ先を見つけることは難航。20歳の時にアイスダンスのパートナーを探していた瞳のコーチから、シングルの選手を断念することを条件に選手になった。
出遅れた分を取り戻す執念から類まれなる努力を重ね、キャリアで大きく先に出ていた瞳に並ぶほどの実力をつけ、全日本選手権に出場できるまでになったものの、大会の結果はふがいないものに終わってしまう。司自身は、全日本に出場できたことはパートナーである瞳の実力とキャリアのおかげだと考えており、ゆえにその才能を誰よりも自分が認めていないコンプレックスを抱えている。
フィギュアスケートを始めるのが遅く、所属するクラブを見つけられなかったことからバッジテストの階級は初級と低いが、鴗鳥慎一郎の息子、理鳳から「ジャンプ以外、全部が夜鷹純にそっくり」と称されるほどのスケーティングスキルを有する
高峰 瞳(たかみね ひとみ)
犬飼 総太(いぬかい そうた)
関係者
結束 実叶(ゆいつか みか)
結束 のぞみ(ゆいつか のぞみ)
瀬古間(せこま)
加護 耕一(かご こういち)
加護 羊(かご よう)
加護耕一、芽衣子夫妻の娘。いのりと同い年。住み込みで生活を共にしている司とは仲が良く、司の仕事の内容には彼女の世話も含まれている。
ふわふわした髪を持つのんびり屋の少女だが、いちごが食べたいからと「いちご盛り合わせ」ではなく、食べきれない大きさのパフェを頼んで司に注意されたりと、奔放な面は父親の耕一とよく似ている。
父親の耕一と共に中部ブロック大会の観戦に来た際は、フィギュアスケートのルールが解らず、「踊りを見て感動する」という感性が自分にないことに落ち込んでいた。だが、懸命に滑る選手たちを見て、母親譲りの「スケート好き」の血が覚醒したのか、全日本ノービスAの観戦に来た際には独自に勉強研究を重ね、各選手のブロック大会との違いを見付け、6種全てのジャンプを見分けられるようになっているなど、すっかりフィギュアスケートにハマっている。
名港ウィンドFSC
狼嵜 光(かみさき ひかる)
現在、名古屋で最も勢いがあると言われる「名港ウィンドFSC」に所属する天才少女。いのりと同い年。身長144cm(初登場時)。
昨年、初出場した全日本ノービスBで、ニュースになるほどの高難度ジャンプ構成で高得点を叩き出し優勝した。3回転ルッツ+3回転ループを飛んでまだ余裕があるほどの、ノービスとしては破格のスケーティングスキルを有し、のちに女子選手では世界で数名しか飛べない3Aも成功させる。
いのりがバッジテストで名港を訪れ、心を落ち着けるためにミミズを探していた際出会い、友達になる。
元は孤児で、養子先で夜鷹純と引き合わされ、フィギュアスケートを始める。その際、「この子供は僕が何もしなくても何らかの形で世界に見つかり日の下に引っ張り出される」と夜鷹に思わせるほどの、人を惹きつけて運を掴む強い力を持っている。
生活面では、鴗鳥家で理鳳らと同居しサポートを受けている。
夜鷹 純(よだか じゅん)
元フィギュアスケート選手で、その演技で司の人生を大きく変えたオリンピック金メダリスト。
弱冠20歳で引退するまでの短い現役期間で「出場した全ての大会で金メダリストに輝く」等、数々の伝説的な功績を残した天才。ノービスB時代に3回転ルッツ+3回転ループ、3Aを成功させ、A、B含め計4回しか出場機会のないノービスを4連覇した選手は、今のところ夜鷹のみとなっている。
表向き、狼嵜光の振り付け・コーチ共に鴗鳥慎一郎が担当していることになっているが、実際は夜鷹(振り付けはレオニード・ソロキン)が担当している。
厭世的な雰囲気を持つヘビースモーカーで、初登場時にはゴミ箱を蹴り倒しスマホを投げつけ破損させるなどの奇行を見せ、その場にたまたま居合わせたいのりを縮み上がらせる。言葉数が少なく取り繕うということをしないため、事実ではあるが歯に衣着せぬ辛辣な発言をすることも多い。だがその反面、階段から落ちそうになったいのりを咄嗟に庇い昏倒するなど、二面性があり謎が多い人物。
鴗鳥 慎一郎(そにどり しんいちろう)
名港ウィンドFSCヘッドコーチ。36歳。理鳳の父親。元男子シングル日本代表で、現役時代は夜鷹純のライバルだった。
同世代が全員現役を引退する中、「常軌を逸した粘り強さ」で努力を続け、二大会前のオリンピック(当時28歳)で銀メダリストに輝く。
現役時代は、高く跳躍し軸を決めるダイナミックな4回転が得意技で、司が憧れ続けるほど雲の上の存在だが、息子の理鳳がルクス東山に世話になる際は最敬礼で頭を下げ、その後も会う度に仰々しく御礼し続け司を恐縮させるなど、ノービス時代からの既知である五里も「スポーツマンシップの塊でマジでいい奴で何より腰が低い」と評するほど真面目な人柄。
その性格のせいか、年々白髪が増えており周りから度々心配されている。
鴗鳥 理鳳(そにどり りおう)
鴗鳥慎一郎の息子。12歳。階級はいのりと同じ5級(夏合宿時点)。普段は眼鏡をかけているが競技中は外している。
3回転を跳べなかったため、今までノービスの表彰台には上がれていないが、一昨年がノービス8位、トップ選手の登竜門であるノービスクラスの選抜合宿にも選ばれるなど、十分期待される実力を持っている。が、本人は自分の才能に悲観的であり、「オリンピック選手の息子」という恵まれた立場や、最初は自身がスケートを教えていたが、あっという間にノービスの女王にまで上り詰めた光(およびそれを指導した夜鷹純)の存在などに、重圧と屈折したコンプレックスを感じている。
そのせいか伸び悩んでおり環境を変えたいという本人の強い希望で、いのりと司の所属するルクス東山FSCの夏合宿に参加することになる。
心を開く前の司に対して辛辣、もしくは冷ややかに接していた反面、仲のいい犬飼総太や狼嵜光に対しては、ついて回ったり世話を焼いたりするなど、相手によって距離感の差が激しい。気を許さない相手には口も悪く、夜鷹のことを「クソジジイ」、いのりのことを「ブスエビフライ」、ミケのことを「バカメンダコ頭」と呼んだことがある。いのりを侮辱した際は、怒った光からビンタをくらった。
基本的に大人を信用しておらず、言い換えれば「オリンピック銀メダリストの息子」ではなく、自分自身を認めてもらうことに飢えており、司がジャンプを「お父さんと違う跳び方」と認め、褒めちぎった際は、どう反応していいのか解らず静かにパニックを起こした。その後司がお手本で見せたスケーティングに感銘を受け、司に異常に懐く。
鯱城 理依奈(こじょう りいな)
八木 夕凪(やぎ ゆうな)
名港ウィンドFSC所属。小学6年生。周囲からは年齢以上に大人びて落ち着いていると思われているが、精神統一と称しぬいぐるみを使った一人芝居をするなど年相応な面もある。
ヘッドコーチである鴗鳥慎一郎が、現役を引退してから最初に受け持った選手であり、本人もコーチのことを深く尊敬し、密かに恋心を抱いている。
鯱城理依奈、狼嵜光につぐ名港ウィンドNo.3の有望選手と言われているが、光が来るまではNo.2だったこともあり、光に対する焦りと対抗心を抱えながらも、鴗鳥慎一郎の振り付けを一番再現できるのは自分だという自負で努力を重ね、クラブ内No.2奪還、および慎一郎率いる名港ウィンドが名古屋最強だと証明するため、中部大会で金メダルを目指す。
牛川 四葉(うしかわ よつは)
申川 りんな(さるかわ りんな)
グラビティ桜通FSC
三家田 涼佳(みけた りょうか)
那智鞠緒の唯一の生徒。初登場時は小学校3年生で133㎝と、いのりよりも小柄。三河弁を話す。あだ名は「ミケ」「ミケちゃん」。猫がこの世で一番かわいいと思っており、髪型も猫耳を意識している。
フィギュアスケートの練習を独学で積んできたため大人の言うことを聞かず、当初はコーチすら要らないと思っていた。名港杯の合同練習でいのりに初めて出会い、友達になるが、コーチに対する想いの差から一度は突き放してしまう。しかし、大会本番で失敗を経験していのりと和解。以降はいのりに懐いている。
周りの大人に何を言われても「なにくそ!」と思う芯の強さがあり、抜群のスタミナによるリズム感と、高いジャンプを得意とし、初級ながらも2サルコウ+1アクセルを9割以上の成功率で飛べるほどであった。しかし、ジャンプを飛べるかどうかが優れた選手の判断基準で、司のスケーティング技術は「ジャンプを飛ばなかったのでわからない」と評した。
那智 鞠緒(なち まりお)
グラビティ桜通FSCのヘッドコーチ。31歳(初登場時)、148㎝。ミケのことを「ミケ太郎」「太郎」と呼ぶ。いのりに対しても「のり助」「のり吉」などコロコロ変わるあだ名を付ける。
気の強いミケと張り合える豪快な性格の持ち主だが、やり取りは小学生同士のように子供じみている。ノービスB1時代からジュニア時代初期までは全日本12位常連、強化選手に選ばれるほどの実力者で、高いジャンプが持ち味。4回転を跳んだことがあるが本番では一度も成功しなかった。
生徒がミケしかいないので生活はカツカツ。耳にピアスをいくつも開け、メロンと称されるほどの巨乳の持ち主。そのため、生徒たちからは「胸が大きくなりすぎたからジャンプを飛べなくなった」と噂されている。
名城クラウンFSC
栗尾根 茉莉花(くりおね まりか)
足利 刹那(あしかが せつな)
千羽 輪太郎(ちわ りんたろう)
蓮華茶FSC
蛇崩 遊大(じゃくずれ ゆうだい)
大和 絵馬(やまと えま)
鹿本 すず(かもと すず)
子出藤姉弟(ねでふじきょうだい)
愛西ライドFSC
岡崎 いるか(おかざき いるか)
16歳。間京大学付属高校。愛西ライドFSC所属。スケート連盟選出、中部強化選手A。男子選手並みの高さのジャンプ、並外れたバランス力でクリムキンイーグルを決め、そのまま通常姿勢に戻れるほど鍛え抜かれた筋力(特に腹筋)等、実力は折り紙付きのジュニアのエース。
しかし、性格は騒ぐいのりと理鳳に「うるっせぇな!」「クソガキ」と怒鳴りつけたり、母親と喧嘩してジュニアの練習をサボり、替わりにイレギュラーで参加させてもらったノービスの練習で曲かけを1番にさせるなど、有体に言って暴君。その協調性に欠ける態度は「よその国の子と喧嘩すんなよ?」とコーチの五里にも心配されている。
選手時代のいのりの姉・実叶のことを知っており、いのりが妹だと知った際、「だからジャンプがヘタクソなんだね」と言い放った。だが実は実叶といのりの顔をものすごく可愛いと思っている。
炉場 愛花(ろば まなか)
五里 誠二(ごり せいじ)
スターフォックスFSC
ライリー・フォックス
胡荒 亜子(こあら あこ)
十南町レイクFSC
亜昼 美玖(あひる みく)
新潟のアイスリンク「NSUプラントアイスアリーナ」を本拠地とする十南町レイクFSCに所属。 全日本ノービスの北海道東北ブロック大会1位。全日本大会シード選手。「金の卵」と密かに注目される実力を持つ。
コーチの鴨川洸平と振付師の白鳥珠那からなる「チームあひる(白鳥談)」で全日本大会上位に入り、全日本ジュニアに推薦出場することを目標としている。だがそれは、本拠地としているリンクの閉鎖に伴い、今大会が終わればスケートを辞めると決めているため、全日本ジュニアに出場できればその分だけ長くスケートを続けられ、コーチと振付師がすごいという記録を残せると考えているからである。
お姉さん気質で面倒見がよく、珠那のフォローをしたり年下のクラブメイトたちの面倒をみたりとしっかり者。いのりと司が魚淵翔の指導を再度受けるため新潟を訪れた際は、いのりに宿題を教えてくれるなどしてすぐ仲良くなった。
鴨川 洸平(かもがわ こうへい)
やまびこFSC
福岡パークFSC
大蜘蛛 蘭(おおぐも らん)
鬼寅 カンナ(きとら かんな)
その他のFSC
獅子堂 星羅(ししどう せいら)
黒澤 美豹(くろさわ みいひ)
小熊 梨月(こぐま りつき)
山根 亜美(やまね あみ)
海月 和香(うみつき わか)
九豬 桃子(ここのい ももこ)
その他の登場人物
白根 琥珀(しろね こはく)
魚淵 翔(うおぶち かける)
書誌情報
- つるまいかだ『メダリスト』 講談社〈アフタヌーンKC〉、既刊9巻(2023年10月23日現在)
- 2020年9月23日発行(同日発売)、ISBN 978-4-06-520783-3
- 2021年2月22日発行(同日発売)、ISBN 978-4-06-522253-9
- 2021年6月23日発行(同日発売)、ISBN 978-4-06-523607-9
- 2021年10月21日発行(同日発売)、ISBN 978-4-06-525162-1
- 2022年3月23日発行(同日発売)、ISBN 978-4-06-527132-2
- 2022年7月22日発行(同日発売)、ISBN 978-4-06-528515-2
- 2022年12月22日発売、ISBN 978-4-06-529918-0
- 2023年5月23日発売、ISBN 978-4-06-531682-5
- 2023年10月23日発売、ISBN 978-4-06-533261-0
テレビアニメ
2023年5月18日、テレビアニメ化が発表された。
スタッフ
- 原作 - つるまいかだ
- 監督 - 山本靖貴
- シリーズ構成・脚本 - 花田十輝
- キャラクターデザイン - 亀山千夏
- アニメーション制作 - ENGI
備考
- 作者であるつるまいかだは、この作品で漫画家デビューした。
- この作品の舞台は、作者の出身地でもある愛知県名古屋市である。
- 2023年3月発表のブックライブ主催「マガデミー賞2022」では結束いのりが主演女優賞に選出された。『その着せ替え人形は恋をする』の喜多川海夢や『ぼっち・ざ・ろっく!』の後藤ひとりを推す声がある中での選出だった。