ユーベルブラット
ジャンル:ダーク・ファンタジー,ファンタジー,
題材:復讐,
漫画
作者:塩野干支郎次,
出版社:スクウェア・エニックス,
掲載誌:ガンガンYG,ヤングガンガン,増刊ヤングガンガンビッグ,月刊ビッグガンガン,
レーベル:ヤングガンガンコミックス,
発表期間:2004年 - 2019年3月25日,
巻数:全24巻,
漫画:ユーベルブラットII 死せる王の騎士団
作者:塩野干支郎次,
出版社:スクウェア・エニックス,
掲載誌:月刊ビッグガンガン,
発表期間:2024年2月24日 -,
以下はWikipediaより引用
要約
『ユーベルブラット』(Übel Blatt)は、塩野干支郎次による日本のファンタジー漫画作品。タイトルはドイツ語で「邪悪な刃」を意味する。「最凶のダーク・ファンタジー」を謳い、復讐のために蘇った主人公ケインツェルの壮大な復讐劇を描く。
2004年にスクウェア・エニックスの発行する季刊の漫画雑誌『ガンガンYG』の壱号から参号までに3話分掲載。同4年12月、『ガンガンYG』の後継誌となる月2回刊誌『ヤングガンガン』(同社)の創刊号から引き続き連載された。暫く休載が続いていたが、2011年8月には『増刊ヤングガンガンビッグ』(同社)vol.3にて掲載され、同11年12月創刊の後継誌『月刊ビッグガンガン』(同社)2012Vol.01にて連載が再開し、2019年Vol.04にて完結した。
2010年までの国内売り上げを海外売り上げが上回っており、国外での人気が高い。フランスでは2011年の時点で累計40万部の売り上げがあった。
続編となる『ユーベルブラットII 死せる王の騎士団』が『月刊ビッグガンガン』(同社)にて2024年Vol.03より連載中。
メディアミックスとして、2024年2月にテレビアニメ化が発表されている。
ストーリー
物語の舞台は、妖精や魔物、魔法が存在する世界「サーランディエン」にある、サーラント帝国。
神託暦3968年、帝国は結界の向こうから現れる異形の魔物「闇の異邦(ヴィシュテヒ)」の脅威に晒されていた。時の皇帝は14名の勇者に聖なる槍を与え、「闇の異邦」を封じる使命を命じた。旅の最中、3人が犠牲となり、彼らは「尊き未帰還者」と呼ばれた。その後に4人が「闇の異邦」に寝返り、彼らは「裏切りの槍」と呼ばれ、残った7人に討たれた。そして神託暦3972年、残る7人は封印の使命を果たし、彼らは「七英雄」として称えられ、人類は束の間の平和を手に入れた。
しかし、歴史の真実は異なっていた。実際に命を賭して「闇の異邦」を封じたのは「裏切りの槍」と呼ばれた4人の方だったのである。「七英雄」は途中で怖気づき、使命を放棄しただけでなく、使命を終えて戻った4人を己の名誉のために殺害したのだった。瀕死の傷を追いながらも生き延びた帝国最強の剣士「アシェリート」は 自分と仲間をあざ笑いながら切り刻んだ真の裏切り者である七英雄への復讐を誓い、妖精の力を得て亜人となって蘇った。
3992年、ケインツェルと名を変えたアシェリートは、辺境伯領で「裏切りの槍」を名乗って領民を苦しめていた4人を殺害し、辺境の人々を救う。七英雄のグレンに仕える七槍騎士団のロズンは彼を英雄として迎えようとするが、事実を知り苦悩する。さらにケインツェルは過去の大戦時にヴィシュテヒの侵攻を防ぐために築き、今では差別と腐敗の温床となっていた巨大な壁「千の石槍」を破壊し、辺境伯領での混乱を鎮めるためにやってきた七英雄の下へと向かう。
ケインツェルはグレンを強襲するが失敗し、同時に彼に対する民衆の信頼と、七英雄の威光によって国が平和になった現実を見せつけられ愕然とする。しかし、七英雄のシュテムヴェレヒが、その威光の影で悪事を働いていることを知り、彼らの欺瞞を断罪するための旅を続けることを決意。旅の途中で自分を慕うようになったアト達の力を借り、非道な人体実験を行なっていたシュテムヴェレヒを惨殺する。
次の目標であるバレスターが統治する、砲台伯の領内にある自由都市ユラス・アプラスに辿り着いたケインツェル達は、七槍騎士団のエルサリア達によって足止めを食らう。しかし、復讐者の影に怯え心を病んだバレスターが、秘密裏に建造していた浮遊城を使い自由都市への侵攻をはじめる。エルサリア達はその暴挙を止めるためケインツェルに手を貸す。ケインツェルはバレスターを殺し、その直後に現れた「裏切りの槍」のクファーの息子イクフェスと剣を交えた後、逃亡する。
皇帝からケインツェル討伐の命を受けたグレンは討伐隊を各領に派遣するが、それをよく思わないレベロントが対立し、内輪揉めを始める。ケインツェルはその混乱に乗じてグレンを討ち逃亡。その後もレベロントはグレンへの対抗心から七槍騎士団のケインツェル捜索を認めず、ケインツェルはその隙に侯領内を脱出する。
ケインツェルはクファーの故郷イェブルへとたどり着き、名を貶められたイェブナレス家の安否を確認する。そのころ、討伐の命を引き継いだレベロントがイェブルに軍を派遣し、侵攻中止の条件にケインツェルを差し出すことを命じる。ケインツェルは自ら姿を晒し、イクフェスと再び一騎討ちを迫られる。彼がクファーの息子と知ったケインツェルは、一時復讐を忘れ彼に奥義「黒翼」を伝授する。イェブルの人々はイクフェスを称賛するが、ケインツェルはレベロントの突然の砲撃によって行方不明となる。
その暴挙にイェブルの人々は反抗するが、間もなく鎮圧される。それから暫くして、帝都で行われる「十王家の円卓」でエルサリアはレベロント達の暴挙を訴えるも、レベロントの武力に怯える十王家に願いは伝わらず、その不甲斐なさに呆れたエルサリアは七槍騎士団を抜け、ロズンはイシューディーンに望みを託し帝都に残った。
その後、帝国軍総統となったレベロントはヴィシュテヒとの開戦を宣言。その横暴を止め実権を奪うために、選帝侯達は新皇帝の選出を決める。それを阻止するためレベロントの息子のグエルードが選帝侯の城に攻撃を行うが、エルサリアと生きていたケインツェルが参戦する。
幼いころから自身の柔弱な性格に劣等感を感じていたグエルードは「英雄殺し」であるケインツェルを討つことで払拭しようとするが、勢いを巻き返したエルサリアやケインツェルに押されはじめる。後詰めをしていた兄・バラントに後退を命じられるが特攻し戦死した。後継ぎとして期待していたグエルードを失ったことで、レベロントは暴走を始める。
選帝侯の集結を阻止せんとするレベロントだが、目前に現れたケインツェルに対してイクフェスを従えての直接対決に臨む。その最中、イシューディーン竜伯の領内から巨大な浮遊城「天槍城」が出現、竜伯に伴われて入場する若い騎士は「グレン」と呼ばれた。
イクフェスの間合いに牽制されて苦戦するケインツェルだが、浮上した「天槍城」からグレンによる宣戦布告が下されるが、ガイエラルの先制攻撃によって手痛い反撃を受け、撤退。ここに七英雄同士が対立する「英雄戦争」が開戦した。
3993年、「英雄戦争」開戦から3ヶ月。グレンとレベロントの戦いは各地に飛び火し、人々を恐怖に陥れていた。クローツェン北東部の城に移ったレベロントは自身の窮状を他者に転嫁するほどに追い詰められていく。一方、グレンも自身の復活を認められない配下を粛清し、七槍騎士団を解散させる。
グレンに追い詰められる状況からログズナーとスパズはイクフェスを伴い、和平交渉を装った暗殺を企むが失敗。グレンは戦争を終わらせるための総攻撃を決断する。1ヶ月後、自身が勝利する妄想と疑心暗鬼に捕らわれるレベロントに対してグレンの下に降ったログズナーからの降伏勧告が伝えられる。
(グレンが死んだとされた事実から)レベロントに付いていたギュレングルフとニルゲンフェレトは、脱出に失敗し取り残されたことでレベロントの首と引き換えにした助命を画策するが、城内に潜入していたケインツェルに討たれた。
父であるレベロントを見限り、グレンの下でサーランディエン統一と言う夢を叶えようとするログズナーとスパズに追い詰められ、ガイエラルの時間稼ぎで辛うじて脱出しようとするレベロントだが、先回りしていたケインツェルに討ち取られた。
登場人物
ケインツェル一行
ケインツェル
左目を縦断するように大きな傷を顔に持ち、長く緑がかった金髪を三つ編みにした亜人の少年。
剣術と体術に天賦の才を持っており、右腕から現れる4本の巨大な黒い剣を操る。千の石槍の外、「辺境」において逆賊の集団「黒翼剣軍」を単独で攻め落としたことから「辺境の英雄」「黒い剣の男」の通称で知られているが、シュテムヴェレヒ方伯を殺害してからは「英雄殺しの逆賊」と呼ばれている。
正体は裏切りの槍の一人であるアシェリート。かつて「刃匠(ブラットマイスター)」の称号を戴き、帝国最強と謳われた剣士であった。見た目こそ少年であるが神託歴3952年ごろの生まれで実年齢は40歳。年相応の冷酷さを持っているが、若いころは純粋な性格であったが、純粋さゆえに人間臭い面に欠けるきらいもあった。
苦難の末に使命を果たした自分と仲間3人を斬り刻んだ、真の裏切り者である七英雄への復讐のみを目的に生きる。しかし、本質的には心優しい男であり、復讐の対象である七英雄に対しても、かつて仲間として共に戦い旅したころの記憶と裏切られた憎しみの間で苦悩する様子もある。また、少年のような外見でありながら女性に対してはやり手のテクニシャンであり、精力も絶倫の女殺しである。皇帝ラルゴールと再会して汚名を払拭されたことから「アシェリート伯」となり、七英雄の領地をエルサリアと折半する立場となる。グレン討伐を果たした戦後は最前線の後方地となる城に詰めているが、そこに自身を含めた「14人の仲間全員の墓碑」を用意した。これはグレンが建てたものと比べると、一見しては誰の墓なのか分からないほど細やかなものである。
元々は普通の人間であったが、死の森にて七英雄に裏切りにあい瀕死の重傷を負った際、高位妖精(ホッホ・エルフェ)を喰らい融合したことで亜人となり生き延びた。高位妖精と融合したことから「妖精の声が聞こえる」「月の光を浴びることで本来の力を発揮する(力が回復する)」などの高位妖精の特性が身に付いており、月光の下では「黒い剣」を操ることができる。又、肉体が成長や老化などの変化を見せていないのも高位妖精の力によるものと思われる。しかし同時に、人間の身体のときよりも脆弱であり、剣技が以前の身体で習得したものであることの問題や、黒翼を使うと今の身体では耐えられないなどの問題を抱えている。実際に問題があるかは不明だが、その全身には七英雄に斬り刻まれた傷跡が残っている。
捨て子であり、刀鍛冶のもとで育ったが、刀の鍛錬や剣の型を見よう見まねでほぼ完璧に行えるなど特異な才能があり、剣術においては教えを受けた師以上の達人となった。
アト
クシャールンド首領家第三王女。“僕”という一人称を使い、髪型や喋り方もボーイッシュなため、登場時は少年と思われていた。兄のクラトを慕い、傍にいたいがために戦士となる決意を固める。当初はクラトの命を奪ったケインツェルを仇とみなし、「復讐の黒装束」に身を包んで命を狙うも、実際は彼に非の無いことを認めて謝罪。以来ケインツェルに強く惹かれ、アルテアやピーピと共に旅に同行する。ケインツェルの正体と目的を知っており、彼の復讐を肯定し、また、彼が「逆賊」と呼ばれることを嫌い「裏切りの槍」の真実を明らかにすべきであると考えている。
大剣や二刀流を駆使し、剣術は未熟なものの大きな素質を感じさせる部分がある。自由都市ユラス・アプラスでの戦いで重傷を負い生死の境をさまようが、ケインツェルから「妖精の血」を傷口に注ぎ込まれたことで一命を取り留める。また、血の影響によって毛髪が変色し、背中や傷跡にケインツェルと同じ小さな羽根のようなものが生えた。
イェブルではぐれたケインツェルと再会した際に贈られた連結式の特殊な双頭剣を使うようになる。グレン討伐戦ではケインツェルと共に打った妖精鉱の剣(柄の長い仕様)を使った。
ピーピ
アルテア
ヴィド
ゲランペン
方伯軍百人隊長。義兄弟の間柄であるファーゴを「お兄ちゃん」と呼び慕う、自称「神護りの戦妖精」。髭面、スキンヘッドの強面で正義感が強い大男だが、心は純情乙女で喋り方もオカマ口調。信頼していたファーゴの本性に迷いが生じ、それを確かめるためにもケインツェルたちに手を貸すが、再びファーゴに騙されて背後から刺される。持ち前の生命力から一命は取り留めたものの、ファーゴの亡骸を抱き留めたまま崩れ落ちる城の中に姿を消す。
しかし、ファーゴにとりついていた触手に取り付かれたために生き延び、生きながらえた命を罪滅ぼしに使うことを心に決める。その後はピーピたちに同行する。ケインツェルの復権以降は彼の軍の千人長として働き、戦後は最前線の城を纏める将軍位に就いている。
七英雄
グレン
侯爵。七英雄のリーダー格。イェブルの領主を務める。元より貴族出身だが、ヴィシュテヒ封印の功によって確固たる地位と名声を得る。ケインツェルの左目の傷は、アシェリートを殺すときに彼がつけた傷である。上からも下からも人望が厚く、七英雄の中でもっとも民衆に人気がある。帝国最強の戦力・七槍騎士団を部下に従える。
皇帝に“英雄殺しの逆賊”討伐の指揮権を与えられ、ケインツェル討伐に乗り出す。クローツェンにてケインツェルたちを囲い込むことに成功するが、対抗意識を燃やしたレベロントの横槍でケインツェルを逃し、さらに本陣に斬り込んできたケインツェルによって討たれた。だが数ヶ月後、イシューディーン竜伯が準備していた「天槍城」に若返った姿で現れる。その身には闇の異邦の技術で作られた「種」が植えられており、ケインツェルに斬られた際にグエンの肉体そのものをエサに再構成した。ケインツェルの手で逆袈裟に斬られた傷跡が残っており、肉体を乗り換えたと言う類の物ではない。
レベロントの暴走を諌めるが、自らは「グレン王」を名乗り竜伯軍と新たに組織した「天槍騎士団」を率いて戦争を始める。自身の若返りと復活を含めて、かなり高度な魔導技術を手に入れ、従属を誓った者たちに「力」を与えている。妖精鉱で作られた魔導兵器「天の槍」で闇の異邦の封印を破壊して攻め込もうとしたが、帝国軍に阻まれ自身も砲撃に巻きこまれる。愛妾でもあった部下の手によって三度復活するが、妖精の力を開放したケインツェルによって完全に滅ぼされる。
剣の館を訪れた際にグーリェに対して「(帝国を裏切った)アシェリートたちを殺したことは自分(たち)の犯した罪だった」と語ったり、「その罪をあがなうためにも帝国を守る」として善政を行ったりして反省や後悔の色を覗かせた。だが、過去の真実(本当の裏切り者は誰だったのか)を公表していない以上、保身と自己正当化のために嘘をつく男という人物像を変えるには至っていない。しかし、七人の中では最も後ろめたさを抱いていたのもまた事実であり、手にかけた四人の立派な慰霊碑を建てさせた。
実は現皇帝の息子であった。自分たちも封印の旅に選ばれた英雄でありながらアシェリートがさらに飛びぬけて優れていることに強い劣等感を抱いており、それがアシェリートたちを裏切るきっかけになった。
シュテムヴェレヒ
バレスター
レベロント
侯爵。クローツェンの領主を務める。昔からグレンとは反りが合わなかったためか、皇帝より逆賊討伐の指揮権を与えられたグレンに対抗意識を燃やし、強引に配下を討伐戦に参加させ、それがグレンの1度目の死の原因となった。グレンの死後はイクフェスを配下に迎え、グレンの仇を討つと言って皇帝陛下より指揮権を与えられる。イクフェスとケインツェルの戦いに勝負がついた時魔道兵器による砲撃を行い、激昂したイェブルの豪族を壊滅させた。
領主としては強引なやり口で知られ、冷酷非道と恐れられている。十数人の子供がいて、それぞれに父の冷酷さや残酷さを継承している。
闇の異邦封印の旅の時から皇帝になる野望を持っており、アシェリートに自身の身を守ることを依頼していた。ケインツェルを討つと“英雄殺しの逆賊”を討った功績と軍事力を背景にモラン、レムダ、イェブルを手に入れる。さらに帝国軍総統として闇の異邦との開戦を宣言する。闇の異邦への開戦は単なる野心だけでなく、アシェリートへの劣等感の克服(封印しただけの彼を闇の異邦を討つことで超える)を目的としている節がある。
後継者として将来を期待していた息子(正妻の子)をケインツェルに討たれたことで怒り狂い、自らケインツェルに挑むが死んだはずのグレンの横槍が入って水入りとなった。グレンに追い詰められるうちに正気を失って自身の勝利を妄信し始め、息子たちにも見限られて追い詰められた先で遭遇したケインツェルに討ちとられる。
イシューディーン
ニルゲンフェレト
尊き未帰還者達
裏切りの槍
クファー
七槍騎士団
ロズン
エルサリア・ラハンクレーブ
選帝侯の娘にして七槍騎士団の精鋭。17歳。2年ほど前、仲間と共にたった4人で貴族の反乱を鎮圧した。ロズンの頼みにより3人の仲間を率いてケインツェルを追う。しかし暴走したバレスターがユラス・アプラスを襲撃した折、民を守るために砲台伯軍と戦う。バレスターが討たれた後、七槍騎士団の使者に砲台伯への反逆に加担した疑いで軟禁されるが脱出、バレスターの暴挙を告発するために帝都に向かうことを決意する。
ケインツェルとの再会を望むピーピと行動をともにし、ケインツェルの正体と「七英雄」の真実を知る。七槍騎士団の人間であるが、七英雄の欺瞞と堕落を知り、「十王家の円卓」にて直訴するが黙殺される。それを切っ掛けに自身の意思で帝国を救うために行動することを決意。帝都を離れて活動する。
風呂は機会があれば可能な限り入浴する信条を持っていて、ユラス・アプラスで手に入れた飛竜艇(元々はグレンが発注した物)にも風呂を増設した。
王を自称したグレンの反乱に対抗して戦線に立ち、グレンの天槍城の破壊に成功。グレン討伐後皇帝に選ばれエルサリア1世となる。
エルツェン
ダリステ
イクフェス
若き奴隷騎士。「剣の館」出身で、剣術の腕は若輩ながら帝国最強クラス。当時の主であるグレンにより逆賊討伐を命じられ、ケインツェルと剣を交えることとなる。
グレンに襲いかかるふりをしてみたり、ケインツェルについて「(七英雄を)一人より二人殺してくれていたほうがより箔がつくので倒しがいがある」とロズンの前で言ってのけるほど大胆不敵な性格。ケインツェルと戦って敗れたものの、「今の僕では黒翼なしで君に勝てない」と言わしめた。
グレンがケインツェルに討たれた後、ケインツェルとの再戦のためだけに七槍騎士団を抜け、レベロントの配下となる。
裏切りの槍の一人、クファーの実子である。自身の故郷であるイェブルにて、かつてアシェリートが鍛えた「妖精鉱の剣」を持ってケインツェルと一騎討ちで再戦。剣戟の全てとまではいかなかったものの、黒翼を捌ききった。戦いの最中、ケインツェルの助言によって黒翼を習得し、彼を倒すがとどめをささず手を差し伸べた。
ケインツェルとの戦いののち、功績を認められアシェリートから長らく空位が続いていた「刃匠」の称号を継承した。
正式な騎士となり、軍の旗頭的立場に据えられるが、戦場においてかつての刃匠・アシェリートのように仲間を勝利に導くことが出来ない自身の未熟さに苦悩する。レベロントの敗戦後はエギムと共にグレン側の城に囚われていたが、皇帝自ら出陣した戦闘の際に脱出、帝国軍に合流した。
既に剣術の腕ではケインツェルでは捌き切れない程に成長しているが、それ故に、自身から本来得られるはずだった実父・クファーと最強の剣匠・アシェリートという「2人の師」から剣を学ぶ機会を奪ったグレンを激しく憎悪している。
グレン討伐後は新たに編成された精鋭軍「黒翼騎士団」を率いて残党の掃討に当たるが、傍らにはクヴェリアを伴う。
天槍騎士団
ゼフィ
プランクファン
デジーダ
グノーディス
黒翼剣軍
偽クファー
偽ギュスタフ
アルバヌング
イェブル
クヴェリア
ゼフォーレア家の当主であるラヴァーンの妹。イェブナレス家の跡地を訪れたケインツェルたちと出会い、イェブナレス家の行方を知りたがるケインツェルを客として招き入れる。
幼いころに没落した後のイェブレナスの嫡子イクフェスと会っており、イェブルはイェブナレス家が治めるべきと考え、イェブルの状況を憂いていた。
エルサリアの古い友人でもあり、彼女に会いに来たところで、たまたま彼女とケインツェルの話を聞いてしまい、ケインツェルの正体と「裏切りの槍」の真実を知ってしまう。グレンを断罪したケインツェルの行いを肯定した。ケインツェルとイクフェスの戦いに最も心を痛めていた。
イクフェスに対しては単にあるべき主君としてだけでなく個人的に慕っていた様でグレン討伐後はイクフェスの側に居る。
ラヴァーン
ゼフォーレア家の当主。顔に傷や痣があり、左腕を失っている。
争いを嫌っているが、もともと好戦的で知られた軍閥のゼフォーレアの中でも勇猛果敢な戦いぶりで知られていた。ケインツェルを領主であるグレンを殺しイェブルを不安定にした元凶の逆賊であると知っていながら客として招き入れた。
クヴェリアに対し、イェブレナス家の名前を出すことも許していなかったが、実はクファーの無実を信じ主家であるイェブナレス家をイェブルに呼びもどすために今まで戦ってきた。実際、軍閥もその多くは「自らがイェブルを統一しイェブナレス家を呼び戻す」ために戦っていた。クヴェリアから「裏切りの槍」の真実を知り、イェブルを変えることを決意する。
ケインツェルを撃ったレベロントに対しナバルド達と共に戦いを挑むが、鎮圧された。
ナバルド
レベロントの子女
レベロントの子供たち。父親に従って厳しい支配と弾圧を行っていた。
ログズナー
バラント
四男。自分たち兄姉と違い、平和な時代を担える者としてグエルードに期待していたが、彼のコンプレックスを察することは出来ず、死を選んだ弟を「最後まで軟弱だった」と語りながら涙した。レベロントが死んでからは残存した軍の主力として戦っている。グレンによる宣戦布告によって帝国軍に合流。ケインツェルに対しても家族の仇であると認識してはいるが、自身には殺すだけの技量はないこと、正しいのはケインツェルだということ、帝国のみならずサーランディエン全体の危機であることから涙を流しながらも「私心は捨てた」と語る。
決戦においては天槍城に斬り込むケインツェルたちを援護し、魔導兵器による一矢を狙うエルサリアを守るために特攻・戦死した。
スパズ
サーラント帝国
ラルゴールIII世
サーラント帝国157代皇帝。既に老齢の域に達しているが、かつては刃匠・ルディフトと並び称される剣士で、凡百な兵など足下にもおよばぬ腕を持つ。
アシェリートの実力を買っており、20年前の使命の旅に出る時には実の息子であるグレンのことを頼んでいる。アシェリートも彼を敬愛していた。
「たとえ七英雄でも罪を犯したならば裁かねばならん」と発言する、グレンに“英雄殺しの逆賊”討伐を厳命するなど果断な姿を見せていた。
しかし、グレンがケインツェルに討たれたためにすっかり無気力となってしまい、レベロントの専横を許してしまう。だが、蘇ったグレンが起こした「英雄戦争」以降は再び立ち上がり、自ら手勢を率いて各種兵器の収集や帝都近辺の地固めを行う。その最中にグレンとの戦いで致命傷を負い、再会したアシェリートの功績を認め、グレンの暴挙を止めることを託して逝った。
グーリェ
「剣の館」師範。老いてなお強さと美しさを兼ね備えた女性。幼少からアシェリートに剣術を教えた人物であり、アシェリートからも慕われていた。アシェリートの才能を高く評価し、彼を「剣の館」を継ぐべき者として「闇の異邦」封印の使命からの帰還を待っていた。「刃匠」の名を継いだアシェリートが逆賊として討たれたことで流派は潰えかけていたが、師範となった彼女の尽力で立て直す。
アシェリートに対しては弟子以上の感情を抱いていたようで、今でもアシェリートの無実を信じ、彼を想い続けている。そのため、七英雄となったグレンを敬愛している一方、内心ではアシェリートを討った彼のことを殺したいほど憎んでいる。
後に再会したケインツェルから正体と、使命の旅の真相を告げられ、ケインツェル一行の味方となる。
エギム
その他
クラト
シャーレン
ラシェブ、ヴァルゲ、ポレヴィーク
辺境伯領と七英雄領を隔てる国境の町リエルデ・フェレムを支配する「僧院」の僧兵長。密航者に対する無慈悲な処刑を執り行う一方で、越境のための「徳」と称した賄賂を要求する卑劣漢。処罰する際の口癖は「遺憾だ」。危険に対しては他人を盾にした上で真っ先に逃げを撃つタイプで作中では数少ないギャグキャラに落ち着いた。
ユラス・アプラスで知り合った小悪党・ヴァルゲとポレヴィークらと共に行動しており、自身は大僧正、他の二人を正・副の僧兵長とした教団を自称している。
レペロントに取り入ろうとイシューディーンの領地に潜入。天槍城を発見するが捕らえられる。その後はグレンを崇める「天槍教団」を名乗り、帝国軍に呼応したり領内から逃亡しようとする者たちを反抗分子と称して処刑していたが、帝国軍の反攻作戦でポレヴィークは討ち取られ、ラシェブやヴァルゲは逃げようとした過程で見捨てられて死んだ。
大僧上
ラングザッツ
用語解説
神託暦
七英雄
実際はそれぞれの野心や欲望のために他の7人を裏切ったばかりか、「闇の異邦」の封印を彼らに押し付けた上でその帰還を狙って惨殺した、極悪非道の外道達である。
Barestar バレスター砲台伯
Güllengurv ギュレングルフ月読伯
Nirgenfeled ニルゲンフェレト城伯
Glenn グレン侯
Lebellond レベロント侯
Ischüdien イシューディーン竜伯
Schtemwölch シュレムヴェレヒ方伯
Barestar バレスター砲台伯
Güllengurv ギュレングルフ月読伯
Nirgenfeled ニルゲンフェレト城伯
Glenn グレン侯
Lebellond レベロント侯
Ischüdien イシューディーン竜伯
Schtemwölch シュレムヴェレヒ方伯
裏切りの槍
Ascheriit アシェリート
Kfer クファー
Güsstav ギュスタフ
Krentel クレンテル
Ascheriit アシェリート
Kfer クファー
Güsstav ギュスタフ
Krentel クレンテル
尊き未帰還者達
Ergnach エルグナッハ
Ediem エディーム
Lanbard ランバート
Ergnach エルグナッハ
Ediem エディーム
Lanbard ランバート
闇の異邦(ヴィシュテヒ)
黒衣の者たち
七槍騎士団
少なくない団員が、内乱などで家族や故郷を失いグレンに助けられたという来歴があり、そういった恩義もあって忠誠心は高い。
天槍騎士団
天槍の雫
天槍城
天の槍
千の石槍
黒翼剣軍
ルディフト流剣術
アシェリートが逆賊として討たれたことで存続が危ぶまれていたが、師範代であるグーリェの尽力によって持ちこたえ、イクフェスが新たな刃匠となったことで尊厳を取り戻した。
「八の基本型」と呼ばれる型を徹底的に反復し鍛えることを基礎としており、これは肉体の限界を超えて放つ奥義「黒翼」のための土台作りの意味も含まれている。
「黒翼」以外にはこれといった技と呼ばれるものが存在せず、剣士自身のセンスと身体能力、反復することで体に染み付いた「八の基本型」で状況に応じて柔軟に戦うスタイルが特徴である。
門下生の中にはただ「八の基本型」を繰り返すだけの鍛錬に耐えられず、音を上げる者も少なくない。しかし、対人訓練や魔物相手の訓練は基本型を完全に修得したと師範に認められなければならないため、基本の鍛錬ぐらいは「言われなくても続ける」くらいでなければ大成しない。
刃匠(ブラットマイスター)
イェブルでの騒動の後、元奴隷騎士のイクフェスが「黒翼」を会得し、正式に新たな後継者となった。なお、作中に登場する刃匠は全員ルディフト流剣術「剣の館」出身である。
黒翼
「八の基本型」を極め、肉体と精神の枷を外した(迷いの無い純粋な心を持つ)者でなければ会得することはできない。
膨大な殺気を解き放つことで黒い幻影(破壊の黒風)を生み出し、怯んだ相手に「八の基本型」のすべてを叩き込む。いわゆるフェイント系の技。ケインツェルの放つ黒翼は相手の肉体を武器や鎧ごと破壊するほどの威力を持つ。
ケインツェルにとって「黒い剣」と並ぶ切り札であるが、同時に妖精と融合したまだ不安定な身体に多大な負担をかける両刃の剣でもある。
ルディフト流剣術において唯一名前が付けられた技であるが、決まった動きをするものではなく、使い手によって剣戟が異なるという特徴を持つ。
例としてケインツェルの黒翼は師であるルディフトのものとは違い、動きの中にクファーから習ったイェブル流剣術を取り入れ、独自のアレンジ(八の基本型+イェブル流剣術)が加えられている。
このため、たとえ黒翼がどんな技なのか仕組みを理解していても防御しきることが非常に難しく、黒翼が必殺の奥義とされている所以である。
後にイクフェスもケインツェルとの一騎討ちの際に黒翼を会得した。
天幻
黒い剣
妖精鉱の剣
妖精鉱自体は寿命を終えた妖精たちの骸が大地にしみ込んで折り重なることで出来上がった物。グレンによってほぼ掘りつくされるが、わずかに残った欠片からケインツェルによって新たに五振りの妖精鉱の剣が作られた。
竜の口
選帝侯
書誌情報
- 塩野干支郎次 『ユーベルブラット』 スクウェア・エニックス〈ヤングガンガンコミックス〉、全24巻
- 2005年7月25日発売、ISBN 978-4-7575-1479-9 ※第0巻
- 2005年7月25日発売、ISBN 978-4-7575-1480-5
- 2005年11月25日発売、ISBN 978-4-7575-1575-8
- 2006年3月25日発売、ISBN 978-4-7575-1643-4
- 2006年9月25日発売、ISBN 978-4-7575-1780-6
- 2007年3月24日発売、ISBN 978-4-7575-1970-1
- 2007年9月25日発売、ISBN 978-4-7575-2121-6
- 2008年3月25日発売、ISBN 978-4-7575-2242-8
- 2008年9月25日発売、ISBN 978-4-7575-2386-9
- 2009年3月25日発売、ISBN 978-4-7575-2514-6
- 2009年9月25日発売、ISBN 978-4-7575-2685-3
- 2012年2月9日発売、ISBN 978-4-7575-3004-1
- 2012年9月25日発売、ISBN 978-4-7575-3740-8
- 2013年3月25日発売、ISBN 978-4-7575-3910-5
- 2013年10月25日発売、ISBN 978-4-7575-4100-9
- 2014年4月25日発売、ISBN 978-4-7575-4258-7
- 2014年11月25日発売、ISBN 978-4-7575-4478-9
- 2015年5月25日発売、ISBN 978-4-7575-4648-6
- 2016年5月25日発売、ISBN 978-4-7575-4989-0
- 2016年12月24日発売、ISBN 978-4-7575-5192-3
- 2017年7月25日発売、ISBN 978-4-7575-5420-7
- 2018年2月24日発売、ISBN 978-4-7575-5635-5
- 2018年9月25日発売、ISBN 978-4-7575-5857-1
- 2019年6月25日発売、ISBN 978-4-7575-6171-7