ライラの冒険
題材:パラレルワールド,
以下はWikipediaより引用
要約
『ライラの冒険』(ライラのぼうけん、原題:His Dark Materials)は、フィリップ・プルマン作の三部作のファンタジー小説。第1部「黄金の羅針盤」(1995年)、第2部「神秘の短剣」(1997年)、第3部「琥珀の望遠鏡」(2000年)からなる。
概要
現実世界と良く似た別世界に住む11歳の少女ライラ・ベラクアと、我々の世界に住む12歳の少年ウィル・パリーを中心に、無数に存在するパラレルワールドを旅する冒険ファンタジー小説である。
第3部「琥珀の望遠鏡」は2001年、イギリスの文学賞・ウィットブレッド賞(現コスタ賞)の大賞を児童文学として初めて受賞した。
プルマンは「お金のために続編を書く気はない」としていたが、2003年に実質的には続編にあたる短編『Lyra's Oxford』を発表し、さらに2008年にはスピンオフ小説として、若きリー・スコーズビーとイオレク・バーニソンを中心とした『Once Upon a Time in the North』を発表し、2020年には『Lyra's Oxford』の続編にあたる短編『Serpentine』を発表している。また、2017年よりスピンオフの三部作『The Book of Dust (邦題:ブック・オブ・ダスト)』を発表している。
あらすじ
物語は我々の世界に良く似てはいるが、人間にはみな分身ともいえる動物「ダイモン」がついており、魔女やよろいグマなどが住んでいる世界から始まる。オックスフォード大学のジョーダン学寮に住むライラの周りで、子どもたちが連れ去られる事件が相次ぐ。ゴブラーという組織が北極で子どもたちを何かの実験に使っているという噂。ライラの親友ロジャーもさらわれ、叔父のアスリエル卿も失踪する。ライラと彼女のダイモンのパンタライモンは、船上生活者ジプシャンたちとともに、ロジャーやその他の失踪した子どもたちや、アスリエル卿を救出するために、学寮長から渡された「真理計(アレシオメーター)」を手に、北極へと旅立つ。
登場人物
主要人物
ライラ・ベラクア / ライラ・シルバータン(Lyra Belacqua / Lyra Silvertongue)
ウィル・パリー(Will Parry)
アスリエル卿(Lord Asriel)
ライラの仲間と関係者
イオレク・バーニソン(Iorek Byrnison)
天使
アスリエル卿の協力者
規律監督法院
その他
カルロ・ボーリアル卿 / チャールズ・ラトロム卿(Lord Carlo Boreal / Sir Charles Latrom)
世界観
登場する種族
ジプシャン(Gyptians)
パンサービョルネ(Panserbjørne )
魔法使い(Witches)
ガリベスピアン(Gallivespians)
ミュレファ(Mulefa)
トゥアラピ(Tualapi)
天使(Angels)
スペクター(Spectre)
崖鬼/クリフ・ガースト(Cliff Ghasts)
登場組織
規律監督法院(Consistorial Court of Discipline)
総献身評議会(General Oblation Board)
聖霊の業協会(Society of the Work of the Holy Spirit)
用語
ダスト(Dust)
ダイモン(Dæmons)
真理計/アレシオメーター(Alethiometer)
神秘の短剣(The Subtle Knife)
天然磁石共鳴器(Lodestone Resonator)
評価
1995年に第1部『黄金の羅針盤』が、カーネギー賞を受賞。また2007年には同賞の70周年を記念した過去受賞作の中の最高傑作を一般からのオンライン投票で選定する企画で1位となり、「Carnegie of Carnegies」に選定された。2001年には第3部『琥珀の望遠鏡』がウィットブレッド賞の児童文学部門賞と大賞を受賞している。児童文学部門賞受賞作が大賞に選ばれたのは、この作品が史上初である。
高い評価の一方で、特に北米において一部のキリスト教団体から抗議を受けている。異端であるグノーシス主義や、ミルトンの『失楽園』の大きな影響を受けたこの作品では、ライラの住むパラレルワールドで信仰されているキリスト教の神が、創造主を僭称する一天使であったと描かれ、また物語の後半では、その「神」や天国への反乱が主要なモチーフとなる。原罪は否定され、死者の世界は「天国」などではなく、ライラとウィルは死者の解放を目指すことになる。作品中で描かれるパラレルワールドの教会は実際にはカトリック教会ではないが、カトリック連盟など北米の一部のキリスト教系人権団体などが、「作品中の教会がカトリック教会を彷彿とさせる上に、聖職者が狂信的な敵として常に否定的に描かれている」と主張して、「反キリスト教的」「反カトリック」あるいは「子供に無神論を教え込むための作品」だと抗議している。2007年12月の映画公開前には、チェーンメールなどの手法により、「団体の主張するところの無神論者」による原作および映画化作品のボイコットを求める運動を展開した。これに対し、作者のプルマンは「無神論を勧めているなんてばかげた話だ」と述べている。
その一方で、ヨーロッパでは大きな議論を呼ぶこともなく、イギリス聖公会のウィリアムズ・カンタベリー大主教やスコットランド教会などからは、プルマンの主張は、宗教組織の教条主義や、宗教による抑圧に対する批判であり、キリスト教やその他の宗教そのものに対する批判ではないとの擁護もある。
映画化
『ロード・オブ・ザ・リング』を手がけたニュー・ライン・シネマによって映画化。『ライラの冒険 黄金の羅針盤』は、2007年12月7日、日本では2008年3月1日に公開。監督・脚本は『アバウト・ア・ボーイ』のクリス・ワイツ、撮影はヘンリー・ブラハム、音楽はアレクサンドル・デプラ、出演者は新人のダコタ・ブルー・リチャーズ(ライラ)、ニコール・キッドマン(コールター夫人)、ダニエル・クレイグ(アスリエル卿)、エヴァ・グリーン(セラフィナ・ペカーラ)、サム・エリオット(リー・スコーズビー)等。小道具の製作に(例えば羅針盤だけで)実際の鍛冶まで用意し非常に潤沢な予算をかけた。
本来は3部作の予定であったが、2008年10月、続編2作の制作について、制作会社は無期限で延長することを決定したとContactmusic.comが伝え、制作が打ち切られたことが発表された。理由として当初は世界的な金融危機の影響が指摘されていた。しかし2009年12月、制作会社から続編の制作について断念することが発表された。このときには理由として北米カトリック連盟が「子供に対し無神論を奨励する映画だ」などとしてボイコット運動を展開したことからアメリカにおける興行収入が振るわなかったからとされ、原作者であるフィリップ・プルマンが遺憾の意を述べる事態となっている。
ドラマ化
2018年3月、米HBOと英BBCが主演ダフネ・キーンと製作総指揮トム・フーパーによるテレビシリーズを英国TVシリーズ史上最高額の予算を投じて共同制作すると報じられた。
タイトルは『His Dark Materials』(邦題: ダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤)。シーズン1全8話がBBCで2018年11月3日から、HBOで11月4日から放送された。日本ではBS10スターチャンネルで2020年2月17日から放送され、Amazonプライム・ビデオ「スターチャンネルEX」で2月18日から配信された。その後シーズン3まで制作された。