リアル (漫画)
漫画
作者:井上雄彦,
出版社:集英社,
掲載誌:週刊ヤングジャンプ,
レーベル:ヤングジャンプ・コミックス,
発表期間:1999年48号 - 連載中,
巻数:既刊15巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『リアル』(REAL)は、井上雄彦による日本の漫画作品。『週刊ヤングジャンプ』にて1999年48号より連載中。2014年11月に休載後、2019年25号より約4年半ぶりに連載再開。単行本はヤングジャンプ・コミックスより15巻まで刊行済。2001年に『第5回 文化庁メディア芸術祭マンガ部門』優秀賞を受賞。2019年11月時点で累計発行部数は1500万部を突破している。
物語
障害や車いすバスケットボールをテーマにした作品であり、登場人物が自分の人生と向き合いながら前進していく物語である。
短距離走の有力選手であったが骨肉腫により右脚を切断し、車いすバスケットボールと出会い、挫折や困難に怯まずに強気に前に進もうとする主人公・戸川清春を中心に、小学校から高校までバスケットボールに打ち込んでいたが、バイク事故により高校を中退したことで生き方を見失い、戸川と車いすバスケットボールとの出会いをきっかけに新たな自分の道を見つけようとする野宮朋美と、小学生時に父親が家を出ていき、屈折した性格となり、野宮と同じ高校のバスケットボール部の部員であったが交通事故により下半身不随となり、新たな人々との出会いにより自分を変え、車いすバスケットボールに自分の新たな活路を見出そうとする高橋久信を交えて物語が進行する。
登場人物
主要人物
戸川 清春(とがわ きよはる)
主人公。19歳。車いすバスケットボールチーム「東京タイガース」所属のエース。速攻が得意なスラッシャーのガードであるが、アウトサイドが苦手。背番号6で4.5点選手。熱くなりやすい熱血漢であり、正義感や意志の強いイケメン。野宮には「車いすバスケットボール界のヴィンス・カーター」として「ビンス」と呼ばれる。作中で1番最初に登場したキャラクターであり、第1話の最初の1コマ目に1人で登場。妥協を許さないシリアスな性格であり、自我が強いためにチームメイトと衝突する事が多かったが、Aキャンプ参加を機に協調性を意識し始めた(長野は戸川の自我の強さに賛同している)。10代初期に母を亡くして以来父子家庭となり、ピアニストを諦めた父からピアノを教わり、ピアノが好きではないのにも関わらずに父とピアノ中心の生活を送っていたが、中学で短距離走に出会った事を機に、ピアノ発表会にて感情が爆発し、父の反対を押し切ってピアノを辞める決断をし、陸上部に入部。陸上部では全国大会決勝まで進む短距離選手となるが、次第に膝に激痛を感じるようになった。決勝レース中に骨肉腫の症状が悪化し、ローテーション手術を適用した脛骨骨肉腫切除のために右膝関節から下部を切断し、その後は義足と車椅子で生活している。15歳までの約2年間引きこもりになったが、車いすバスケットボール・山内・勝田との出会い、父の支え、両思いである安積との再会を機に再起し、生まれ変わる決意のために左胸にスターのタトゥーを入れた。その後に障害者として自分自身を扱わずに中身で判断する野宮と出会い、自分自身とチームを変えるために精力的に行動を起こしていった。強豪ドリームスとの練習試合後にメンバーである金子・米澤・垣内・目黒が真剣になって自分の練習に参加するようになり、チームが変わったと実感している。アウトサイトが苦手であった事を野宮に指摘され、3Pシュートの猛練習を行い、現在は打倒ドリームスに燃えてタイガースのエースとして猛練習に励んでいる。
野宮 朋美(のみや ともみ)
18歳。西高時代の背番号は8。強面の風貌だが、繊細な性格であり、自分自身の生き方について悩むことが多い。また繊細な性格であるが故に他者と喧嘩になりやすい。幼少期は肥満体型で訥弁のいじめられっ子であり、仲間に入れてほしい一心でゲームソフトを貸そうとしては何度もいじめっ子達から奪われていたが、Hugoとの出会いをきっかけにバスケに魅入られ、いじめっ子達の誘いを相手にしなくなった。母子家庭で育ち、西高校入学当初は高橋に自分の身の上を屈託なく話していた。母親が頻繁に旅行に出かけており、何かとそのお土産を人に渡す癖がある。西高校ではバスケットボールに打ち込み、基礎練習を欠かさず行い、チームの優勝を目指していた。しかし、その努力を嫌うチームメイトの高橋などと対立し上手くいっていなかった。その後、偶然夜の街でナンパした山下夏美を乗せたバイクで交通事故を起こし、夏美を下半身不随にしてしまう。それを遠因に高校を退学。自分のせいで夏美の人生を狂わせた罪悪感に苛まれているが、清春と出会ったことで自分を変えようと行動し始める。加害者として夏美への責任を果たそうとしているため、免許を取得し車で夏美の入院先の病院まで時折見舞いのために遠出している。バイトも始めるが、生来の粗暴さゆえにどの仕事も解雇され、やっと自分の居場所を確立した引越し業者の仕事も数か月で会社が倒産してしまう。その間、自らをタイガースの御意見番と名乗り、タイガースの練習への参加や、試合の応援に駆け付ける等チームアドバイザー的な役割を務める。その後、プロバスケチーム「東京ライトニングス」への入団を目標に特訓を開始し、トライアウトに臨む。最終選考まで残るが、採用の連絡が無く落選してしまう。トライアウトの失敗後、ライバル視した安西義輝がますます輝いているのを見て、「悔しさを感じることがなくなった」と、バスケから遠ざかってしまった。夏美と再会し元気付けられるが、その後、挑発してきたバスケットボール少年相手に傷害事件を起こし、警察に勾留されてしまう。自らの愚かさを自省しつつ72時間後に釈放され、身元引受人になった母親に自身の愚かさを諭される。
高橋 久信(たかはし ひさのぶ)
17歳→18歳(3巻〜)。初出時は自尊心が高く、自らを「Aランク」とした上で周囲の人間をランク付けする癖がある等、人を見下す癖があったが、物語が進むに連れ徐々に性格が変化していく。何事もそつなくこなせる器用さがあり、学業成績・運動能力・容貌とも優れ、周囲から一目置かれる存在だったが、自転車を盗んだ末にトラックと衝突する交通事故に遭い、脊髄を損傷して下半身不随となる。損傷箇所は胸椎の7番。父親の影響でバスケットボールは小学校の頃から慣れ親しんでおり、父親との1on1が少年時代のなによりの思い出であった。教育方針の対立から父親が家を出てしまい、出て行った父親を見かけながらも素通りされたショックおよび、母子家庭となったコンプレックスが周囲の人間をランク付けする要因となった。元々は西高校のバスケ部キャプテンであり、野宮から「サボリの天才」とも言われるほど西高ではバスケに打ち込んでいなかった。努力する野宮を快く思わず、野宮を慕う後輩の関や柾などを「野宮派」と呼び敵対していた。ただ、西高校入学当初はある程度真面目にバスケの練習をしており、同じ母子家庭で育った野宮ともある程度打ち解けてまともな関わりを持っていたが、自分の父親が当時蒸発していたことまでは野宮に明かせなかった。自身を中心とした「高橋派」という派閥をバスケ部内で組んでいたがその実「高橋派」のメンバーからは内心嫌われており、事実「高橋派」のメンバーは事故が起こってから中々見舞いに訪れなかった。事故後は両親、彼女のふみか、同じ施設の花咲・白鳥などと共に苦しみながら、徐々に現実に向き合い自身を変えていく。のちに車イスバスケチーム「調布ドリームス」所属の永井と出会い、同チームに入部。自在に車イスを操るためのスピードと持久力が付くまでボールに触れない意思を固め、「タイガースも試合も自分には無関係で、ただ自身の課題をこなす」と徹底している。そのため原フジ子の元で、花咲と白鳥に支えられながら車イスを乗りこなすための過酷なトレーニングを行っている。永井に代わるドリームスのローポインターになるようにマネージャーの松尾に頼まれる。
戸川清春の関係者
安積 久美(あづみ くみ)
山内 仁史(やまうち ひとし)
19歳→20歳(14巻〜)。愛称は「ヤマ」。創部時代からタイガースに所属していた選手で旧背番号12。5歳の頃から徐々に身体が動かなくなるという、現代医学では治療できない筋ジストロフィーに罹っており、近い将来の死期を自覚している。穏やかだが芯の強い青年。戸川が右脚を失い、悩み苦しんでいた時期に虎とともに出会った戸川の大親友でありヒーロー。虎の抜けた後のタイガースを中心的存在として支えていた。人工呼吸器を装着するなど病は次第に進行し、寝たきり状態となる。見舞いに来た戸川と安積に赤裸々な欲求不満や諦念を洩らすなど、徐々に強かった心が脆くなり、「生きる希望があるやつは良い。僕はただ死を待つだけなんだ。何も出来ずに死んでいくんだ」と話し、戸川と距離を置き始める。しかし近年、病の進行を食い止める治療が充実化していることを知り、生きる希望を見出し始めた。その後、かつて自身の寿命と見られていた20歳になり戸川と再会、タイガースの練習を見学し、タイガースの選手達に応援の言葉を贈った。
勝田 虎(かつた とら)
コウ
ジャック・ランドール
野宮朋美の関係者
山下 夏美(やました なつみ)
関(せき)
柾(まさき)
山路(やまじ)
太田(おおた)
秀島 聡一郎(ひでしま そういちろう)
成瀬(なるせ)
高橋久信の関係者
花咲 満(はなさき みつる)
スコーピオン白鳥(すこーぴおんしらとり)
本名は白鳥 加州雄(しらとり かずお)。年齢は40歳前後。高橋と同室になったリハビリ施設の入所者で、プロレスラーであり「日本一の悪役」と称される。バイクに乗っていた際にカーブを曲がり切れずに事故に遭い、脊髄損傷を負った。「プロレスラーは普通の人間とは違う」という信念に基づき、事実上無理な「歩く」という目標に期日期限を定め、リハビリに励んでいる。元々は自身・妻・娘の3人で生活をしており、後述の松坂と共にタッグである「ライジング・サンズ」を組んでいたが、当時の社長の経営戦略によってヒールに転向し、人々から嫌われ始めて酒に溺れる生活になったため、妻が娘を連れて出て行ってしまった。その頃に花咲が偽名で白鳥に激励の手紙を送り続けており、白鳥は後に花咲に謝辞を送り、高橋・花咲と共に3人で三銃士を名乗って親友となった。
脊髄損傷後約1年で復帰戦のリングに立ち、ロープに掴まりながらやせ細った足でやっと立てる状態だったが、極悪ウォリアーとしてタッグを組む後輩のアイアン野毛の協力で対戦相手の松坂を翻弄する。復帰戦を観戦した高橋に強烈な「強さとは?」を感じさせ、高橋が車いすバスケを始める機となり、現在は車いすバスケを始めた高橋を花咲と共に支えている。
高橋 久行(たかはし ひさゆき)
高橋 千鶴子(たかはし ちづこ)
本城 ふみか(ほんじょう ふみか)
小林 カオル(こばやし かおる)
石崎(いしざき)
原 フジ子(はら ふじこ)
東京タイガース
ドリームスには過去2戦とも大差で負けているが、戸川・長野の参加により僅差にまで持ち込む程の実力を付けた。一方、田村派が脱退して以降はスクリメージすらままならない、ドリームス監督の安田曰く「明らかに劣悪」な練習環境にある。
各プレイヤーの「点数」については車いすバスケットボール#規則などの項を参照。
米澤 一良(よねざわ かずよし) 背番号9 → 4
長野 満(ながの みつる) 背番号7
3点プレイヤー。車イスバスケの日本代表候補の一人。初めて戸川に敗北感を味わわせた圧倒的な実力の持ち主。筋骨隆々の上半身をしている。戸川を高く買っており、チームの勝利に協力するため、タイガースに入る。タイガースに入ってからは、自らがチームの背骨となり、戸川を暴れさせている。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学に留学していた経験を持ち、「MATE(マイト)」という言葉を語尾につけるのが口癖。
性格は常に冷静沈着。プレイヤーは「エゴイストであるべきである」との信念を持ち、強豪オーストラリアチームでレギュラーを勝ち取った。エゴイストではないと長野自身が評するドリームスの藤倉が、自身をさしおいて日本代表に選出され続けている現状に反骨心を抱く。身長190cm、体重110kg。野宮のことを「トム」と呼ぶ。
スラムダンクで翔陽の選手として登場している異字同名、永野満のパラレルワールドである。
水島 亮(みずしま りょう) 背番号16
調布ドリームス
強豪チーム。タイガースは2度挑んでいるが、2度とも大差で負けている。その後、都大会にて実力を付けたタイガース相手に苦戦するものの、大会には優勝した。
永井(ながい) 背番号5
青木(あおき) 背番号13
安田(やすだ)
東京ライトニングス
野宮が入団を希望していたプロチーム。選手層が薄くスタープレイヤー・安西のワンマンチーム。
安西 義輝(あんざい よしき)
MWP及び白鳥の関係者
松坂マンバ(まつざかまんば)
補足
ローテーション手術(回転形成術)
脛骨骨肉腫において、回転形成術は切離断術と較べて、局地根治性において同様の効果が得られ、膝下切断とほぼ同様の機能が得られること。幻肢痛がなく足底で荷重でき、無痛性の点ではるかに優れているなど、外観を除いて有利な点が多い。
キャプテン投票
MWP
書誌情報
- 井上雄彦 『リアル』 集英社〈ヤングジャンプ・コミックス〉、既刊15巻(2020年11月19日現在)
- 2001年3月24日第1刷発行(2001年3月19日発売)、ISBN 4-08-876143-X
- 2002年9月24日第1刷発行(2002年9月19日発売)、ISBN 4-08-876340-8
- 2003年10月22日第1刷発行(2003年10月17日発売)、ISBN 4-08-876511-7
- 2004年11月24日第1刷発行(2004年11月19日発売)、ISBN 4-08-876695-4
- 2005年11月23日第1刷発行(2005年11月18日発売)、ISBN 4-08-876882-5
- 2006年11月22日第1刷発行(2006年11月17日発売)、ISBN 4-08-877173-7
- 2007年12月9日第1刷発行(2007年11月29日発売)、ISBN 978-4-08-877352-0
- 2008年10月31日第1刷発行(2008年10月29日発売)、ISBN 978-4-08-877539-5
- 2009年11月30日第1刷発行(2009年11月26日発売)、ISBN 978-4-08-877762-7
- 2010年11月30日第1刷発行(2010年11月26日発売)、ISBN 978-4-08-879060-2
- 2011年11月16日第1刷発行(2011年11月11日発売)、ISBN 978-4-08-879232-3
- 2012年11月27日第1刷発行(2012年11月22日発売)、ISBN 978-4-08-879456-3
- 2013年11月27日第1刷発行(2013年11月22日発売)、ISBN 978-4-08-879716-8
- 2014年12月24日第1刷発行(2014年12月19日発売)、ISBN 978-4-08-890077-3
- 2020年11月24日第1刷発行(2020年11月19日発売)、ISBN 978-4-08-891618-7