レイテ戦記
題材:太平洋戦争の東南アジア戦線,
舞台:フィリピン,
以下はWikipediaより引用
要約
『レイテ戦記』(レイテせんき)は、大岡昇平による戦記文学作品。太平洋戦争の“天王山”と呼ばれ、日本軍8万4千人もの犠牲を生み出した(対して米軍の死傷者は1万5千人)レイテ島における死闘を、厖大な資料や多くのインタビュー取材を行い、それらを紐解いて再構築したものである。1967年から1969年にかけて雑誌「中央公論」に連載し1971年に中央公論社で全3巻が刊行された。本作により、1972年に毎日芸術賞を受賞した。
大岡は「結局は小説家である著者が見た大きな夢の集約である」と語っており、中央公論社や筑摩書房の全集でも本作が小説に分類されており、本項では小説として扱う。
背景
大岡は1944年に召集されフィリピン・ミンドロ島に派遣されたが1945年1月にアメリカ軍の捕虜となり、同年12月に復員する。この体験を基に『俘虜記』『野火』などの小説を発表したが、いずれも一兵士の視点で語られた作品に過ぎなかった。だが「損害が大きければ、それだけ遺族も多いわけで、自分の親族がどのようにして戦って死んだか知りたい人は多いわけである。それには旧職業軍人の怠慢と粉飾されすぎた物語に対する憤懣も含まれていた。」(あとがきを一部変え抜粋)という考えに至り、この作品を手がけ、レイテ島で死闘した末に死亡した兵士達の鎮魂碑を打ち立てた。
各章の概要
1 第16師団 昭和19年4月5日
2 ゲリラ
3 マッカーサー
4 海軍
5 陸軍
6 上陸 10月17日-20日
7 第35軍
8 抵抗 10月21日-25日
9 海戦 10月24日-26日
10 神風
11 カリガラまで 10月26日-11月2日
12 第1師団
13 リモン峠 11月3日-10日
14 軍旗 11月11日-15日
15 第26師団
16 多号作戦
17 脊梁山脈
18 死の谷 11月16日-12月7日
19 和号作戦
20 ダムラアンの戦い 11月23日-12月7日
21 ブラウエンの戦い 12月6日-7日
22 オルモック湾の戦い 11月27日-12月7日
23 オルモックの戦い 12月8日-15日
24 壊滅 12月13日-18日
25 第68旅団 12月7日-21日
26 転進 12月12日-21日
27 敗軍 12月22日-31日
28 地号作戦 昭和20年1月1日-20日
29 カンギポット 1月21日-4月19日
30 エピローグ
主な師団などの経過
年の記載がない月日は1944(昭和19)年。
兵力、生還者数は『レイテ戦記』エピローグの第6表による。生還者の過半は捕虜。
第16師団
当初からレイテ島を守備。米軍上陸後10日ほどで脊梁山脈に後退。
兵力18608 生還者580
師団長は牧野四郎中将。昭和20年以後消息不明。
歩兵第9連隊(京都)
歩兵第20連隊(福知山)
歩兵第33連隊(津)
第30師団
元来ミンダナオ島を守備。師団としてではなく、連隊単位で投入された。船舶不足のため、以下の2つの連隊は投入時期もまったく違い、別々に行動。
兵力5357 生還者240
歩兵第41連隊(福山)
連隊長炭谷鷹義大佐は、昭和20年1月以後消息不明。
歩兵第77連隊(平壌)
連隊長新郷栄次大佐は、昭和20年1月以後消息不明。
第102師団
セブ島周囲からカリガラ湾の戦闘に大隊単位で引き抜いて投入。第1師団到着後はその南を守備。
兵力3142 生還者270
師団長福栄真平中将は、昭和20年1月5日にレイテ島から無断脱出した。
第78旅団(熊本) 独立歩兵第169大隊
隊長西村茂中佐は、昭和20年1月5日、福栄中将を護衛した舟が沈没し死亡。
第77旅団(熊本) 独立歩兵第171大隊
隊長田辺侃二(かんじ)中佐は、消息不明。
第1師団
レイテ戦の決戦師団として、満州から上海経由で投入された。第2次多号輸送で11月1日上陸。
兵力13542 生還者50
師団長片岡董(ただす)中将は、昭和20年1月15日、第35軍司令によりレイテを脱出。
歩兵第1連隊(東京)
歩兵第49連隊(甲府)
歩兵第57連隊(佐倉)
第26師団
8月からルソン島を守備していた、第14方面軍直轄師団。その主力は11月9-11日、第3,4次多号輸送で上陸。脊梁山脈を担当。
兵力13778 生還者620
師団長山県栗花生(つゆお)中将は、昭和20年2月15日バレンシアで戦死。
独立歩兵第12連隊(岐阜)
連隊長今堀銕作大佐は、昭和20年7月4日、カンギポットの北で自決。 (8月10日に日本軍最後の捕虜になった東嶋登大尉の証言による。)
独立歩兵第11連隊(名古屋)の第2大隊
独立歩兵第13連隊(静岡)
第68旅団
満州から台湾経由で投入。しかしこの旅団がオルモックに到着する直前に米軍に上陸されてしまい、12月7日サン・イシドロに上陸。結局活躍の機会があまりなし。
兵力6392 生還者90
旅団長栗栖猛夫少将は、昭和20年1月以後のレイテ島残留部隊の最高指揮官。昭和20年3月以後消息不明。
第8師団
8月からルソン島を守備していた、第14方面軍直轄師団。レイテに送られたのは、この師団のうち歩兵第5連隊のみ。
歩兵第5連隊(青森)
米軍オルモック上陸後に、第9次多号輸送で12月11日パロンポンに上陸。最後の援軍。
連隊長高階於莵雄(たかはしおとお)大佐は、昭和20年以後消息不明。
第4航空軍
米軍に占領されたタクロバン、ドラグ、ブラウエン、カリガラ、オルモックを空から攻撃。オルモックは特攻を含む。
司令官富永恭次中将。
高千穂空挺隊(第2挺進団)
台湾の高砂族で編成した落下傘部隊。
挺進第3連隊
連隊長白井恒春少佐は、昭和20年以後不明。
挺進第4連隊
連隊長斎田治作少佐は、昭和20年1月レイテを撤退。
全集判
- 『大岡昇平全集 第8巻』 中央公論社、1974年。解題池田純溢
- 改訂版『レイテ戦記』全1巻、中央公論社、1995年
- 『大岡昇平集 9・10』 岩波書店、1983年。解説大江健三郎
- 『大岡昇平全集 9・10(小説Ⅷ・Ⅸ)』 筑摩書房、1995年。解説加賀乙彦
- 改訂版『レイテ戦記』全1巻、中央公論社、1995年
文庫判
- 『レイテ戦記』(中公文庫 上中下、1974年、のち下巻は増補/新編改版 全4巻、2018年)
- 1巻 ISBN 412-206576-3 / 2巻 ISBN 412-206580-1
- 3巻 ISBN 412-206595-X / 4巻 ISBN 412-206610-7
- 全30章・付録(太平洋戦争年表、レイテ島作戦陸軍部隊編成表、書誌)
- あとがき(新編は自著解説・対談)
- 解説:旧版・下巻(菅野昭正)、新版・第1巻(大江健三郎)
- 索引(地名索引・人名索引・部隊名索引)
- 補遺。数多くの図版が用いられている
1巻 ISBN 412-206576-3 / 2巻 ISBN 412-206580-1
3巻 ISBN 412-206595-X / 4巻 ISBN 412-206610-7
全30章・付録(太平洋戦争年表、レイテ島作戦陸軍部隊編成表、書誌)
あとがき(新編は自著解説・対談)
解説:旧版・下巻(菅野昭正)、新版・第1巻(大江健三郎)
索引(地名索引・人名索引・部隊名索引)
補遺。数多くの図版が用いられている