レディ・ジョーカー
以下はWikipediaより引用
要約
『レディ・ジョーカー』は、高村薫の小説。警視庁警部補である合田雄一郎を主人公としてシリーズ化された推理小説の、第3作である。
1995年から1997年にかけて週刊誌『サンデー毎日』に連載され、1997年12月に毎日新聞社から上下2巻で単行本化された。のち、2010年4月に新潮社より文庫判が上中下3巻で刊行された。文庫本化にあたっては、内容が一部改変されている。
小説はグリコ・森永事件から着想を得て執筆された。
小説は1997年に第52回毎日出版文化賞を受賞、1998年に「このミステリーがすごい!」1999年版国内編第1位を獲得した。
2004年12月に日活により映画化され、2013年3月にWOWOW「連続ドラマW」枠でテレビドラマ化された。
あらすじ
昭和22年、日之出麦酒(ビール)は人員整理で40名の社員を解雇した。その一人である岡村清二は、解雇の理由の中に被差別部落の問題が含まれていたことを知り、会社に意見の手紙を送付した。
平成2年、歯科医である秦野浩之の息子・孝之が、車の無謀運転で死亡した。東大薬学部生の孝之はビール業界最大手の日之出ビールに内定していたが、日之出は社長の姪と交際していた孝之の身辺調査をしていた。事故の前に孝之は、自分が被差別部落の血筋だという事実を、会社から知らされたのだった。
息子の死は日之出ビールに責任があるとして、日之出に抗議する秦野。秦野の行動について情報を得た総会屋の西村は、入手した昭和22年の岡村清二の手紙のコピーを秦野に渡した。差別の問題は企業を強請る恰好の材料である。西村は秦野に日之出へ対して更に抗議活動を続けるようたき付ける。しかし、秦野は自殺してしまう。秦野の親戚として「日之出ビール」の問題を知る物井清三。清三自身は被差別部落とは無縁だったが、彼は秦野の舅であり、岡村清二の実弟だった。
平成6年、清三の頭に、身内の仇の日之出ビールから大金を奪うという考えが取りついた。70歳の老体で、競馬場仲間から共犯者を集める清治。トラック運転手の布川や、蒲田警察署刑事課の半田巡査部長ら4人が、熱中するものを求めて集まる。
平成7年、「レディ・ジョーカー」と名乗って、日之出ビールの城山社長を誘拐する清三たち。
警視庁刑事部は大森警察署に100人体制の特捜本部を設置。捜査第一課は身代金要求に備えて特殊犯係と機動捜査隊をスタンバイさせ、捜査第二課と捜査第四課は日の出ビールと総会屋や暴力団との関係を水面下で捜査するなど、万全の捜査体制を組んだ。だが、身代金の要求より先に社長は解放される。清三たちが真に「人質」としたのは、会社の企業イメージだった。商品への異物混入などの騒ぎを起こし、20億円を要求する清三たち。城山社長には、姪の「差別問題」も絡んでいると匂わせてあった。醜聞を公に出来ない日之出ビールは、警察にも事実を語らずに、内密で金を支払う準備を始める。
大森警察署刑事課係長の合田警部補は、捜査第一課長から特命を受け日之出ビールへ派遣される。秘書として城山社長を警護しつつ動向を探る。
差別の問題に気付き始める警察。問題の要因となった社長の姪の父である日之出ビールの副本部長は、心労から自殺する。新聞の取材合戦も激化し、総会屋と地下金融グループの線を追った記者が2人、行方不明となる。
秘密裏に20億円を手に入れる清三たち。世間では「レディ・ジョーカー」の模倣犯も現われる。だが、捜査の手は一味に迫っていた。半田が事件に関与したことを知った特捜本部では、以前の上司であった捜査第一課管理官が立場を失い、焼身自殺する。
気が抜けたように散り散りになる「レディ・ジョーカー」の一味。布川は金も受け取らずに、重い障害のある娘を残して姿を消す。警察を翻弄させることが喜びの半田は、合田を刺して深手を負わせ、自首をする。半田の完全黙秘で逮捕を免れる清三たち。
城山社長は退陣し、背任の罪を被ることで総会屋と会社の縁を断ち切る。しかし、何者かに射殺される城山社長。総会屋の西村も死体で発見される。清三は、布川が残した娘と共に青森県の故郷に帰る。この娘が「レディ」と呼ばれていることに気付いたのは、山深い清三の家に立ち寄った一人の新聞記者だけだった。
登場人物
犯行グループ関連
岡村清二
日之出麦酒社内関連
犯行グループの周辺
マスコミ関連
根来史彰
菊池武史
地下金融グループ
警視庁・検察庁関連
合田雄一郎
安西憲明
書籍情報
- 単行本〈毎日新聞社〉:1997年12月1日発行
- 上:ISBN 9784620105796
- 下:ISBN 9784620105802
- 文庫本〈新潮文庫〉:2010年4月1日発行
- 上:ISBN 9784101347165
- 中:ISBN 9784101347172
- 下:ISBN 9784101347189
- 上:ISBN 9784620105796
- 下:ISBN 9784620105802
- 上:ISBN 9784101347165
- 中:ISBN 9784101347172
- 下:ISBN 9784101347189
「このミステリーがすごい!」国内編1位 | |
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1980年代 | |
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映画
日活が撮影所創業50周年を期して、石原プロモーションの特別協力を得て制作された。配給東映。渡哲也・徳重聡W主演。2004年12月11日公開。
映画化構想には5年が費やされた。被差別部落問題を取り扱う部分があることから、一部で上映自粛の動きも見られた。
映画は2005年6月にDVD化された。
あらすじ
昭和22年、物井清三の兄は日之出麦酒を解雇された。解雇の真の理由が、被差別部落の出身者と関わったことだと知った兄は、会社に意見の手紙を送った。
平成16年10月、『日之出ビール』の城山社長が誘拐され、5億円を要求する手紙が残された。差出人は「レディ・ジョーカー」と記されていた。
その5か月前、物井清三(渡哲也)の孫がバイク事故で死亡した。清三の娘婿である秦野浩之は、息子が暴走した理由が日之出ビールにあるとして、会社に恨み言を言った。死んだ息子は、日之出ビール社長の姪である佳子の恋人であり、そのために血筋を調べられた。秦野の実父は被差別部落の出身者だったのだ。そんな秦野に、日之出ビールと関わりのある総会屋が、密かに入手した50年以上前の清三の兄の手紙を渡し、会社を強請れと持ちかける。
城山社長誘拐の実行犯は、清三の仲間の布川たちだった。社長は56時間で無事に解放され、身代金も奪われなかった。城山社長は実行犯から日之出ビールの商品価値を人質として新たに20億円を要求され、それを警察にも隠していた。実行犯は、社長の姪の恋人の差別問題も関係があると仄めかしていた。企業イメージから、差別は決して公に出来ない問題だった。
物井清三は、品川署の半田刑事(吉川晃司)と繋がりがあり、警察の内部情報を得ていた。「レディ・ジョーカー」の主犯は清三であり、半田も実行犯のメンバーだった。偽の身代金受け渡しを演じ、誤認逮捕で警察を翻弄する清三たち。日之出ビールの商品には異物が混入され、出荷停止に追い込まれる。
レディ・ジョーカーと半田の関係に気付き始める本庁の合田刑事(徳重聡)。日之出ビールでは密かに、「レディ・ジョーカー」に20億円を送る準備を始める。城山社長の弟で、佳子の父である副本部長は心労から自殺する。
警察は半田刑事が犯人一味であると断定する。上司の警部は責任を取らされる絶望感から自殺する。面子にこだわる警察上層部は、半田の事情聴取をためらう。単独で半田を追い、ナイフで刺される合田刑事。警察幹部を動揺させたい半田は自首をし、完全黙秘を貫く。
気が抜けて、奪った金に興味を示さない清三たち。実行犯の一人で金を保管していた高は、総会屋に連れ去られる。城山社長は退陣し、総会屋との縁を切るために背任の罪を被る。傷が癒えて、刑事を続けると語る合田。清三の仲間の布川は、重い障害のある娘を残して連絡を絶つ。清三は、「レディ」と愛称で呼ばれるその娘を黙って引き取る。
キャスト(映画)
- 物井清三 - 渡哲也: 薬局の店主。レディ・ジョーカーの主犯。
- 合田雄一郎 - 徳重聡: 警視庁捜査一課の刑事。
- 半田修平 - 吉川晃司: 品川署の刑事。レディ・ジョーカーの一味。
- 布川淳一 - 大杉漣: トラック運転手。レディ・ジョーカーの一味。
- 高克己 - 吹越満: 信用金庫の職員。レディ・ジョーカーの一味。
- 松戸陽吉 - 加藤晴彦: 旋盤工。レディ・ジョーカーの一味。
- 城山恭介 - 長塚京三: 日之出麦酒社長。映画では殺害されない。
- 城山佳子 - 菅野美穂: 恭介の姪。原作では姓が杉原。
- 白井誠一 - 岸部一徳: 日之出麦酒副社長。
- 倉田誠吾 - 清水綋治: 日之出麦酒副社長。
- 城山武郎 - 辰巳琢郎: 佳子の父で恭介の弟。原作では妹婿で姓は杉原。
- 平瀬悟 - 國村隼: 警視庁警部補。
- 土肥正行 - 外波山文明: 品川署刑事課長代理。原作では土肥勝彦。
- 神崎秀嗣 - 矢島健一: 警視庁刑事部捜査第一課長。
- 安西憲明 - 菅田俊: 品川署の刑事。
- 青柳誠一 - 光石研: 品川署の刑事。
- 西村寛司 - 松重豊: 総会屋。原作では西村真一。
- 物井清二 - 谷津勲: 清三の実兄。原作では姓が岡村。
- 秦野浩之 - 綾田俊樹: 歯科医。清三の娘婿。妻とは死別。
- 秦野孝之 - 永岡佑: 浩之の息子。
- レディ - 斎藤千晃: 布川の娘。本名は、さち。
- 城山玲子 - 島ひろ子: 武郎の妻。原作では恭介の妹で姓は杉原。
スタッフ(映画)
- 原作:高村薫
- 監督:平山秀幸
- 脚本:鄭義信
- 企画:近藤晋
- 総括プロデューサー:永江信昭、藤田裕一
- プロデューサー:横手実、藤田義則、福島聡司
- 撮影:柴崎幸三
- 照明:上田なりゆき
- 美術:中澤克巳
- 録音:宮本久幸
- 編集:川島章正
- 音楽:安川午朗
- 擬斗:高倉英二
- 装飾:松本良二
- 衣裳:岩崎文男
- ヘアメイク:森田京子
- 視覚効果:橋本満明
- キャスティング:安藤実
- 助監督:蝶野博
- 製作担当:宿崎恵造
- 製作管理:安村重幸
- 公式サイト製作:デジタルハリウッド
- 企画・製作:日活
- 特別協力:石原プロモーション
- 製作:「レディ・ジョーカー」製作委員会(日活、東映、毎日新聞社、テレビ朝日、葵プロモーション、スポーツニッポン、日本出版販売)
- 配給:東映
- 上映時間:121分
製作
2003年11月19日、石原清行日活(株)常務取締役映像開発本部長がスポーツ誌6誌だけを限定して企画発表。1963年の石原プロモーション設立以来、関係が必ずしも良くなかった日活と石原プロが40年ぶりに組んだ。渡哲也石原プロ社長としても2004年夏に故石原裕次郎の17回忌を控え、徳重聡の映画デビューを華々しく飾ってやりたいという思いから合意に至った。渡の日活映画出演は1971年の『関東破門状』以来33年ぶり。また東映が同時期に『半落ち』という社会派サスペンスを手掛けていたことから、日活と東映の思惑が一致し、東映が一部製作に参加した他、配給を担当した。両社が本格的に組むのは初めてのこと。製作に関わった東映サイドからは物井清三役に高倉健を推す意見も出されたが、日活サイドは渡哲也でないと製作を進めないと突っ張って押し切った。直接製作費は5億円で、日活が筆頭で幹事会社を務める他、東映・毎日新聞・テレビ朝日・葵プロモーション、スポーツニッポン、日本出版販売で製作委員会を組み、各社出資も行った(出資比率不明)。石原プロモーションは特別協力というクレジットで出資はしていない。2004年5月27日に赤坂プリンスホテルで行われた製作発表会見では、日活の中村雅哉社長が調布撮影所の創業50周年に待望の大型作品を製作できることは光栄だ」などと話した。坂上順東映常務は「ハリウッド映画に押されている日本映画が踏み止まりより強くなるため、日活、石原プロと組めたのは意味がある」などと、高村薫は「映画化は正直無理だろうと思っていた」などと話した。
平山秀幸監督作品 | |
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1990年代 | |
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2010年代 |
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2020年代 |
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テレビドラマ
2013年3月3日から4月14日までWOWOWの「連続ドラマW」枠で放送された。全7話。
主人公が警察側の人物となったことで、刑事ドラマとして制作されている。2010年に同枠で放送された『マークスの山』に引き続き、合田刑事役を上川隆也が演じた。石黒賢演じる加納検事も前作に引き続き登場している。
ドラマは第30回ATP賞テレビグランプリ2013ドラマ部門優秀賞を受賞した。2013年11月にDVD化された。
キャスト(テレビドラマ)
犯行グループ
犯行グループの家族
日之出ビール
城山家
総会屋
マスコミ
警視庁
スタッフ(テレビドラマ)
- 原作:高村薫
- 監督:水谷俊之、鈴木浩介
- 脚本:前川洋一
- 音楽:澤野弘之、福廣秀一朗
- スタントコーディネート:髙橋伸稔
- プロデュース - 青木泰憲、土橋覚
- 制作協力 - 東阪企画
- 製作著作 - WOWOW
放送日程
放送回 | 放送日 | サブタイトル | 監督 |
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第1話 | 3月 | 3日水谷俊之 | |
第2話 | 3月10日 | ||
第3話 | 3月17日 | ||
第4話 | 3月24日 | 鈴木浩介 | |
第5話 | 3月31日 | ||
第6話 | 4月 | 7日||
第7話 | 4月14日 | 水谷俊之 |
WOWOW 連続ドラマW | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
女と男の熱帯
(2013.1.20 - 2013.2.24) |
配達されたい私たち
(2013.5.12 - 2013.6.9) |
2008年 | |
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