ロードス島伝説
以下はWikipediaより引用
要約
『ロードス島伝説』(ロードスとうでんせつ、英 Legend of Lodoss)は、『ロードス島戦記』の第2シリーズとして出された水野良による小説とテーブルトークRPGなどの作品群で『戦記』の英雄戦争から約30年前の魔神戦争が舞台である。
若かりし頃のファーン、ベルド、ウォート、ニース、フレーベ達が描かれ、彼らが六英雄と呼ばれるに至った経緯など、『ロードス島RPG』の設定でしかなかった人物をキャラクターとして肉付けし、また心理描写や国家間の駆け引きといったものも随所に盛り込まれており、単なる「ゲーム小説」としての域に留まらないような作品となっている。
角川スニーカー文庫の小説以外に高山浩とグループSNEによるRPGリプレイ(I・II・III)が出されており、Iはロードス島戦記RPGコンパニオン、IIはロードス島RPGベーシックルール、IIIは同エキスパートルールにてプレイされている。
またタイトルは「戦記」だが、同じく六英雄たちの魔神戦争の戦いの顛末を描いた山田章博によるコミック『ロードス島戦記 ファリスの聖女』も出ている。こちらはファリスの聖女フラウスが主人公で、彼女と赤髪の傭兵ベルドとの関係や彼女が何故六英雄に名を連ねていないかなども描かれている。
作品概要
ロードス島において後々まで語り継がれる「魔神戦争」と、戦いを終結に導き伝説となった「六英雄」をはじめとする「百の勇者」の活躍。そして主人公ナシェルが幾多の試練を乗り越え、ロードスを統一する英雄王として成長し、やがて歴史の闇に消えていく、後のロードス島では語られる事のない「真実の物語」。
様々な思いを秘めて、魔神と戦うべくナシェルの下に集う若き日の六英雄を始めとする「百の勇者」達。魔神の跳梁と複雑な利害関係のなかで合従連衡を繰り広げる諸侯・騎士達。魔神との戦いに協力しつつも、独自の価値観で暗躍する謎の魔法戦士。様々な人々の思いを押し流しなら、強大な魔神軍団とロードスの民との戦いが繰り広げられる。
作品の逸話
結末が決まっている物語として始めた『ロードス島伝説』ではあるが、作者が割と安易な気持ちで登場させたナシェルの存在によって、当初とはまったく違った話になったと、あとがきで何度も述べられている。小説は第4巻で一度完結を迎えるが、作者本人の希望・読者の要望また『ザ・スニーカー』誌で山田章博の漫画『ファリスの聖女』が完結したことなども記念して書かれた物がフラウス編として第5巻になっている。
また、『ファリスの聖女』は掲載誌が何度か変わっていて、『ザ・スニーカー』誌での連載をしていた際は山田が病気を患って入院したこともあり、読者からは完結するか心配されていたが、2001年6月にて無事終焉を迎えた。
あらすじ
ロードス島南西部に位置するモス公国。そこは小国がひしめき合い、長年に渡って王国間の外交交渉、対立や動乱などが絶えず行なわれていた。
そのモス最南端の弱小国スカードの王子ナシェルは、国の各地で聞かれる不気味な噂と父王の不在に心を痛めていた。意を決して騎士団とともに調査に向かった南のドワーフの「石の王国」で、奇怪な生き物と戦うドワーフの「鉄の王」フレーベを辛くも救出する。そして意識を回復した「鉄の王」の口から、強大な同盟国「石の王国」の最後と共に、奇怪な生き物が魔神であることを告げられる。モスには対外共闘連合「竜の盟約」があるが、スカードはそれに名を連ねていない。この未曾有の危機に、国の民を守る為にナシェルが下した決断とは……。
登場人物
百の勇者
ライデン評議会のアイシグ議長の呼びかけに応じて、ロードス全土で自発的に魔神との戦いを始めた人々の総称。その性格から基本的に自発的意思で「百の勇者」と名乗った者は、その時点で全て「百の勇者」の一員となる。後にモスで結成された「勇者隊」に参加した人数は2万人弱であるが、モスに到達する前に倒れた者や、一度は戦いを決意したものの途中で挫折した者、自称しただけの者などを全て合わせると、その数倍に達する。
百の勇者も参照のこと。
なお最も狭い意味として、「勇者隊」から選抜され「最も深き迷宮」に挑んだ凡そ500名を指す場合もある。
ナシェル
六英雄
フロイとリーゼン
ハイランドの双子の王子。皇太子ジェスターの弟で、ナシェルの従弟。フロイが兄でリーゼンが弟。自国に対する「魔神の同盟国」との誹謗を払拭するため、当時ハイランドを訪れていた「白き騎士」ファーンに同行してライデンに向かい、魔神との戦いを始める。以後ロードス各地で魔神と戦い、眉目秀麗な「双子の王子」としての話題性やユーリーの歌の波及効果もあり、ベルドと並ぶ最も有名な「百の勇者」となる。
王族とは思えないぐらい陽気で闊達な性格だが、決して思慮が浅いわけではない。ハイランドを出たのも、兄ジェスターの後継者としての地位を保証するためという意味合いが強く、魔神との戦いに関係なく国を捨てる覚悟はできていた。そのため「百の勇者」としてモス国内に集結した当初は、名乗り出ることを避けて野宿する羽目になったこともある。後にナシェルの離宮に集うベルドやファーン達と合流し、ナシェル亡き後はその後を継いで勇者隊を二つに分け、将軍としてまとめた。
「最も深き迷宮」の戦いではユーリーやハイランドの騎士出身者を率いて先陣を切り、第九階層を唯一生き抜いたパーティとなる。負傷しながらも後続の六英雄たちを最下層(第十階層)へ導いた後は、歴史から姿を消してアレクラスト大陸へ渡ろうと考えていたが、地上に戻る途中で魔神の群れに遭遇、以後の消息は語られていない。この戦いで死亡したとも、生き延びて大陸に渡ったとも語られている。
ユーリー
カノンの自由騎士
名前は不明。剣の腕前は「百の勇者」の中でも最高クラスで、体力面ではやや劣るものの技術面ではナシェルを凌ぎ、意志力も強靭。「六英雄」ベルドやファーンに次ぐ実力者と思われる。元カノン王国の下級騎士(地方領主)であったが、形骸化を露呈し、国民を守ることが出来ない騎士団に見切りをつけて「百の勇者」に加わる。「頭」をリーダーとする彼のグループは、二人の魔法使い(「精霊使いの老エルフ」と「マイリーの神官戦士」)を含むバランスの取れた冒険者編成で、無名ながら何体もの上位魔神を葬った「百の勇者」の中でもトップクラスのグループ。若年の戦士2名を除いた4名で「最も深き迷宮」の戦いに挑み、最大の激戦となった第八階層まで到達するも、第九階層で彼らの姿を見ることは出来なかった(第九階層に到達したのは、六英雄を除くと3隊のみで、「双子の王子」の隊以外の2隊は第九階層で全滅)。
頭(かしら)
老エルフ
ルシーダ
「聖者」と呼ばれる男
何らかの神の神官でもなく、いかなる種類の魔法も使えないが、なぜか鏡像魔神(ドッペルゲンガー)と人間を見分けることが出来た人物。本人は自分のことを、ロードスの意思に導かれている聖者だと考えており、信者も少なからず居る。「百の勇者」に加わった時には近衛のハサラ以下100人を超える従者たちの集団を率いていた。
人物的には俗物でしかなく、英雄性を感じさせる人物でないが、その能力ゆえに百の勇者の首脳の一人として扱われ、ハイランド王城の魔神王の出現の際も生き延びた。
ヴェノンとの密約によって旧「石の王国」における大隧道の戦いに参加するも、戦いの最中に魔神王の幻術によって配下の戦士達と切り離され、ひとりの所をニースの姿に化けた魔神王に連れ出される。そして、己に関する真実を告げられ、慟哭と共に最期を遂げた。
実は自分が人間であると思い込んでいた鏡像魔神(ドッペルゲンガー)でありダブラブルグの上位種。目鼻がなく3メートルの巨体を持つ魔神であり見た相手そっくりの姿形に変身し相手の脳を食べることで記憶を写し取ることができる鏡像魔神の能力を持つ(脳を食べなくても1時間の対象観察をすれば記憶をコピーは可能)。この能力により相手の性格や感情などにも模写してしまったため「人間に味方したり」「自分を人間と思いこんでしまう」ケースの一例であった。この諸刃の剣の側面がある能力により、「ロードスの意思に導かれ鏡像魔神(ドッペルゲンガー)と人間を見分けることが出来る人間」と思い込んでしまっていただけであった。
スカード王国
ブルーク
スカード王国の国王。正妃エリザとの間にナシェル、妾妃ナターシャとの間にリィーナをもうける。聡明な名君と評されていた。
悪性の咽頭腫瘍により数年に迫った自分の余命、リィーナを第三王子アロンドの嫁にすべしというヴェノンからの圧力、ナシェルを想うリィーナへの親心、自身を凌駕する傑出した王子の将来に思い悩み、ついに古代魔法王国時代に封印された魔神軍団の復活と支配を試みる。
もしヴェノンと戦いになった場合、麦酒の誓いによるドワーフとの共闘やハイランドからの援軍は確実であるため勝利はスカードにあったとナシェルは確信していたが、それらなしで単純にヴェノンとスカードだけの戦いとなれば大国と小国の実力差によりスカードに勝利はなかったとも判断している。
ブルークもナシェルと同じように判断していたが、聡明な名君であったが故にありとあらゆる事態を想定することができ、万が一にもドワーフやハイランドの協力なしでヴェノンと戦うことになった場合には勝ち目がないという最悪の事態に陥った場合への有効な対処法を見出せないことで精神的に追い詰められてしまっていた。
そして女好きであるがためにナターシャの本性を見抜けず、魔神戦争を引き起こした最大の元凶として、その悪名を後世に残す破目となった。
リィーナ
ナシェルの異母妹。「月の姫」と呼ばれる美姫。「太陽の王子」と呼ばれる兄ナシェルに対し、出生(妾の子)に対する劣等感と、それとは裏腹な強い思慕を抱く。
父ブルーク王により魔神復活の生贄に選ばれ、兄妹であるがゆえにナシェルへの思いを遂げられない無念から自らの意思でそれを受け入れる、彼女を生贄にした事でブルーク王の企ては崩壊する。実はリィーナは、母である妾妃ナターシャがブルーク以外の男との淫蕩の果てに身篭った不義の子であったためである。皮肉なことに、血統的には完全な他人となるナシェルとリィーナは結ばれることも不可能ではなかったが、その事実をリィーナが知ることはなかった。
ブルーク王による魔神解放の儀式は完璧であったが、肝心の魔神解放のために扉として奉げられたリィーナが不義の子という不完全な扉となったためブルーク王は魔神達を支配化におくことはできなかった。
エリザ
ナターシャ
ヒューロ
サイラス
モス公国
マイセンII世
ジェスター
ラフィニア
アロンド
バーラン
エランタ
ベルテ
ヴァリス王国
ワーレンI世
ヴァリスの国王。新王国暦442年、傑出した聖騎士としてヴァリス国王に選出され、以降良好な治世を重ねていたが、10年前の新王国暦463年、狩猟中に嫡男アレス王子をミノタウロスに殺される。が、凄惨な王子の死を受け入れられずに狂気に陥り、ミノタウロスを王子と思い込み離宮にかくまったあげく王子の護衛役だった騎士たち全員を離宮の警備に回し情報の隠蔽を図る。もっとも、彼の狂気は「息子が未だ生きている」という妄想に取り憑かれた一点のみに限られ、その他の部分では全く正常で、それまでの聡明で果断な王のままであり、剣の腕も全く鈍らず、馬上槍試合のトーナメントでは時々優勝するほどであった。しかし精神の狂気に陥った部分の状態は深刻で、ヴァリスの宮廷には重苦しい空気が立ち込め、「白き騎士」「百年に一人の騎士」と言われたファーンに期待する声が生じる。
魔神が解放された当時は病床にあったが、王子の病死(実際はファーンとフラウスが幽閉していたミノタウロスを倒した)のショックで意識を失い、そのまま程なく死亡。
その死は魔神復活の報と重なり、後継者争いと対魔神対策の狭間で、ヴァリス王国は身動きできない状態に陥る。朝野に期待されたファーンがヴァリス国王に即位するのは23年後の新王国暦496年のことである。
メイファー
ドルロス
マイス
アレン
その他の登場人物
ボイル
ゲイロード公爵
ワールウィンド
スカード王国の王子ナシェルの騎竜となった風竜(エア・ドラゴン)種の老竜(エルダードラゴン)
通常の竜騎士の騎竜は成竜または幼竜であり、最強の部類に入るエルダードラゴンを騎竜とした例は他になく別格の存在。風竜種は決して戦闘が得意な竜種ではないが、天空では無敵に近い存在であり、空を飛ぶ魔神群を瞬く間に蹴散らしている。
単独で魔神王に挑み致命傷を受けたナシェルを庇って自身もまた致命的なダメージを受けるが、竜魔法を駆使して瀕死のナシェルを連れて風竜のみが辿り着ける特別な場所に向かう。そして竜の本能に従って最後にある特別な魔法を自身と、そしてナシェルにかける。これによってワールウィンドとナシェルは竜の卵として復活と再生を待つことになる。あくまで竜の復活と再生であるためナシェルがどうなるかはワールウィンドにも分からない。(費やす時間も数年後、数十年後、数百年という曖昧なものである)
氷竜ブラムド
金鱗の竜王
モスの山奥に住む古竜(エンシェントドラゴン)。五色の魔竜の中でも火竜シューティングスターと並ぶ最強の竜で、パワーでは僅かにシューティングスターに劣るようであるが、光竜の神聖魔法能力を有する(ただし使用頻度は極めて低く、人前で使った記録が無いため、「信仰を失ったのではないか?」との陰口を言う者もいる)上に近所に住む下位のドラゴン系モンスターを服従させるなど知力や魔法力では上回っている。ブラムド以上に人間に対しては好意的であり、ロードスの現代語も習得している。
マイセン、ウォート、ニースの3人によって呪いを解かれ、マイセンの盟友としてモス連合軍の味方に加わる。この時マイセンに当人の名前を与えられており、マイセンの死後は「金鱗の竜王マイセン」を名乗る。
魔神王(デーモン・ロード)
古代王国の召喚魔術師アズナディールに魔界から呼び出され支配されていた魔神(デーモン)の最上位種の一種。スカード王国のブルーク王に解放された後、魔神王は4体の魔神将(アーク・デーモン)と種々の数多の魔神(デーモン)を従えてロードス全土に大きな混乱をもたらした。
生け贄にされたリィーナ姫を仮の肉体として器にしている。本体は魂のみの存在なため肉体を傷つけられても滅びることはなく瞬時に再生(ただしローフル・ブレードはこの邪悪な再生能力を遅らせる)する。その為、古代王国では暴走した場合の対策として、精神にダメージを与える剣「魂砕き(ソウルクラッシュ)」を用意していたが、解き放たれた魔神王はその剣を見つけ自身の武器とし、六英雄たちの戦いの際には魔法の鎧「影纏い(シャドウ・ウィルダー)」を身に着けていた。
器にされた人間の姿のままだが、肉体能力は人間を凌駕している。また、その吐息や流血は毒性や腐食性を持つ。普段は全裸だが、魔法によって黒い羽毛の翼と山羊のような脚や角をもった姿になることができる。
他者の姿や記憶などを得る性質を持つこの魔神王は、鏡像魔神(ドッペルゲンガー)の最上位種なのではないかと、荒野の賢者ウォートに推測されていた。また聖者の記憶を読み取ったり、聖者に対して自身が鏡像魔神に属することを窺わせる発言もしている。
ウォートが自らの魔力を特大の魔晶石によって増幅し、さらにニースとフラウスからマーファとファリスの加護を得て放った、魂すら消去するはずの「ディスインテグレート(分解消去)」の魔法が魔神王に効かなかったのは、魔力の絶対量の差という根本的な問題に加え、この魔法の本質が「物質を分解して消滅させる魔法」であったため。魂消去はあくまで副次的な効果に過ぎず、最初から肉体を持たない相手には効果が無いことと同じ理由と考えられる。
アズナディール
古代王国時代の召喚魔術の門主。魔界を発見し、その住人である魔神の召喚に初めて成功、また魔神王を支配した唯一の人物とも伝えられる。(短編「魔法王国カストゥール 復讐の継承者」によると、この魔界の発見は偶然によるものとされる)
召喚された魔神軍団は古代王国の長年の宿敵であったサイクロプスの王国を滅ぼし、魔界や魔神の研究は特に擬似生命の創造や魔力付与・幻覚の分野に多大な恩恵をもたらし、「魔力の塔」の建設と合わせて古代王国に絶頂期をもたらした事で知られる。
その功績と支配下においた魔神軍団を背景に魔法王の座を狙うも、メルドラムゼー(魔力の塔を建造し、第152代魔法王となった拡大魔術門主)一派との抗争に敗れ去った。残された魔神王とその軍団がなぜロードス島に封印されていたかは定かでないが、「魔神召喚の門」がロードス島にあったとする説もあり、アズナディール存命時から必要のない時は最も深き迷宮に封印されていた可能性もある。
RPGリプレイ版の登場人物
RPGリプレイは小説のパイロット版の側面が強いため、小説とは背景・設定・事件の推移等が異なる点が多い。
ミレウス
『I 魔神襲来』から登場。ハイランドの竜騎士見習いでクラスはナイト(騎士)。若年ながら素質を認められて竜騎士の選考を勝ち抜き、双子の幼竜のうち一頭・オッドアイを与えられた。剣術に長け正義感は強いが、お坊ちゃん育ちで頼りない面が強く、トラブルに巻き込まれがち。王命でスカードに起こった異変を調査するうちに、ロードスに現れた魔神との戦いに巻き込まれてゆく。魔神軍との最初の大規模な会戦に参加して辛うじて勝利を収めたものの、魔将ガラドの謀略によってオッドアイを失ってしまった。戦後、オッドアイがいまわの際に託した二つの宝玉を手に旅に出た。
『III 魔神討伐』で再登場し、クラスは竜騎士に昇格。成長して技量も上がったが、性格や貧乏クジを引きがちなところはあまり変わっていない。愛竜オッドアイの残した二つの宝玉を使う事で、限定的な竜の力を使用できるようになった。仇敵ガラドの謀略を阻止すべく戦う中で、死してなお共にあるオッドアイとの絆を再確認する事になる。
後日談で百の勇者の一人として最も深き迷宮に挑んだが、その結末は不明。竜を失ってなお竜と共に在った事から、「竜なき竜騎士」として名を残した。
ティエル
『I 魔神襲来』『II 魔神召喚』『III 魔神討伐』全てに登場。モスの鏡の森出身のハーフエルフでクラスはソーサラー(魔術師)。ハーフエルフという出自が原因でひねくれた性格に育ち、アラニアの賢者の学院を放校になった過去を持つ。竜騎士の選考でミレウスと行動を共にするようになるが、戦いの中で古代王国の付与魔術師・ブレストディベアの魂と接触し、ある密約を交わす。この密約が原因で、『II 魔神召喚』では敵NPCとして登場し、導師グラディカルが起こした魔神召喚を巡る事件の陰で暗躍した。
ブレストディベアとの因縁に決着をつけた後、『III 魔神討伐』でプレイヤーキャラクターとして復帰、クラスは付与魔術師に昇格。ブレストディベアから得た知識を元に、失われた古代の付与魔術を使えるようになった。ミレウスと共に、魔神討伐隊の一員としてガラドと再度対決する。
最も深き迷宮には挑まなかったが、百の勇者達のために魔法の武具を作った。リプレイシリーズは彼が書いた魔神戦争の記録ということになっている。
オッドアイ
オーディア
ヴォルク
アジール
フォルド
クリスタルクロー
プッペ
シルキー
ティーナ
ルーセント
フェリオ
『II 魔神召喚』から登場。ルーセントの家のメイド見習いだったが、ルーセントが賢者の学院に入学した際に一緒に入門した。クラスは魔術師。能天気なところがあり、筋道立った説明が苦手。恩師のグラディカルが起こした事件を追って、ルーセント共々彼を追う旅に出るが、その際に学長のラルカスから放校扱いにされてしまった。事件自体は解決したもののルーセントは魔神王の精神ともども石に、グラディカルは魔神王召喚の儀式に失敗して赤ん坊になってしまったため、彼女がグラディカルを引き取って召喚魔術師として育てる使命を帯びた。
『III 魔神討伐』では召喚魔術師に昇格。召喚魔術の研究のためにグラディカルの養育費を使い込んでしまい、魔神討伐の賞金目当てで討伐隊に加わり、グラディカルの事件で知り合ったティエルと再会する。
ティエル曰く「世界の滅亡を防ぐよりも大切な仕事がある」ため、百の勇者には加わっていない。
マルムス
リスター
ウィニフレッド
スカーフェイス
スナ
魔神
魔神王の迷宮(最も深き迷宮)に封印されていた異形のものたち。人間界とは別に存在する物質界とも言われる異界である魔界から召喚された種族。暗黒神ファラリスを信じる者は死後、魂が闇に溶けるとも、魔界の魔神(デーモン)に転生するとも言われる。魔神(デーモン)はファラリスの神聖魔法(暗黒魔法)を使うことからファラリスと関係深いと考えられている。人間界に召喚された魔神の肉体は仮の器でしかなく、肉体を破壊されてもその魂は魔界の本体へ帰るだけとされている。
魔神には多くの種族があり、それとは別に能力によって階級分けされる。
魔神王(デーモンロード)
ブルーク王が解放した魔神王
第二の魔神王
魔神王を支配しようとしたグラディカルとブレストディベアの肉体と精神を逆に吸収しルーセントたちと戦うが、増大した魔神王の力に完成する前の器が耐え切れず肉体が崩壊してしまった。意識だけの存在となった後も滅びることはなく、ルーセントに乗り移って肉体を奪おうとしたが、最後はルーセントの肉体ごと石化され封じられた。
グラディカルの言葉によれば、過去、魔神王クラスの魔神が召喚されたのは、一度ではないようである。
魔神将(アークデーモン)
ゲルダム
ライデンにてベルドに首を斬られるも、暗黒魔法「禁呪(ワードパクト)」によって「剣以外の武器に弱くなるかわりに剣では死なない」呪いを施していた。
ウォートの隕石召喚魔法「メテオ・ストライク」で止めを刺される。
イブリバウゼン
1体は、リュッセンに駐留しているヒューロ宰相の護衛と監視に就いていた。
もう1体は死霊魔術を主に使い、偽のスカード国王ブルークの護衛に就いていた。ドワーフの大トンネルにてフレーベとドワーフの戦士たちに討たれる。
デラマギドス
ヴェノン王国領マスケト公デュオンの護衛と監視に就いていた。
狂角のゴディス
黒羽のガラド
『III 魔神討伐』で、再びミレウスたちの前に立ちはだかる。オッドアイの炎の精霊力を利用して究極のスポーン(魔神兵)を生み出すが、火竜山の決戦で滅ぼされた。
上位魔神(グレーターデーモン)
ザワンゼン
ラグアドログ
鏡像魔神(ドッペルゲンガー)
見た相手そっくりの姿形に変身して、更にその相手の脳を食べることで記憶を写し取ることができる。
脳を食べなくとも1時間の対象観察でも記憶をコピーできる。
ただし、性格や感情なども模写してしまうため、人間に味方したり、自分を人間と思いこんでしまうケースがあり、諸刃の剣の側面がある。
その特異な性質を扱ったソードワールド関連の小説やリプレイがいくつか存在する。
おそらく同族である魔神王は、この現象を「人の狂気が魔神と入れ替わる」と評している。
ケブクーヌ
レグラム
魔法戦士リウイにも登場。魔法よりも格闘戦の方が得意らしく、当時まだ成長の途上にあったリウイたちを全滅寸前まで追い込む。
リウイの父リジャールとその仲間(カーウィス、ジェニ)により討たれる。
ギグリブーツ
下位魔神(レッサーデーモン)
フォルゴーン
暗黒魔法の使い手としては、下位魔神最強と思われる。
暗黒神の信者としての側面からか、アラニアの村で人間と共存する個体が居たが、真意は不明。
魂の魔神(ガランザン)
頭は髑髏で片手は大鎌になっている。実力的には、下位魔神の中で最強と称される。
マリグドライ
ラグナカング
ゴードベル
攻撃方法から、おそらくヒューマノイド型の巨人と推測できる。魔神戦争においては、主に暗殺の任務に就く。
倒しても即座に魔界に帰還してしまうためか、その真の姿を見ることはできないようだ。
メルビス
魔神戦争においては、上位魔神によって少数部隊メンバーとして編成され、たびたび戦闘に投入されたという。
ダブラブルグ
1分の観察で振る舞いや口調は真似られるが、記憶まではコピーできない。
相手を食べなければ変身できない下位種も存在する。
ザルバード
グルネル
魔神のしもべ
スポーン(魔神兵)
魔神たちは個々は強いが、数押しの消耗戦に入ると兵力の補充が利かないため、敗北するかもしれないという懸念があったと思われる。
そこで、物量作戦対策として大量に生産された。
能力としては、動員兵(民間徴用兵)よりは強いが、プロの軍人(騎士)が遅れを取るほどの強さはない。
外見を魔神に見せかけることができるため、大量に並べて威嚇としての効果を狙う運用が多かったと思われる。
アザービースト(魔神獣)
こちらの世界では分類するほど頻繁に遭遇するモンスターではないため、分類上では一まとめで扱われている。
ヘルハウンド(冥王犬)
見た目は黒い大型犬だが、戦闘能力は歴戦の戦士に匹敵し、口から炎を吐く。
ケルベロス
その実力はレッサーデーモン最上位に匹敵し、使役している魔神たちですら殺されかねないという相当なもの。
ヘルハウンドが持っている炎を吐く能力も、格段にパワーアップしている。
その他
屍人(ゾンビー)や骸骨(スケルトン)などの不死生物、竜牙兵(ドラゴントゥースウォリア)や魔法像(ゴーレム)など。
既刊一覧
小説
- 水野良(著) / 山田章博(イラスト)、角川書店〈角川スニーカー文庫・角川mini文庫〉、全7巻
- 『ロードス島伝説 亡国の王子』1994年9月1日初版発行(8月8日発売)、ISBN 4-04-460415-0
- 『ロードス島伝説2 天空の騎士』1996年7月1日初版発行(7月2日発売)、ISBN 4-04-460416-9
- 『ロードス島伝説 太陽の王子、月の姫』1996年11月27日初版発行(同日発売)、ISBN 4-04-700105-8
- 『ロードス島伝説3 栄光の勇者』1997年4月1日初版発行(4月4日発売)、ISBN 4-04-460417-7
- 『ロードス島伝説4 伝説の英雄』1998年4月1日初版発行(3月26日発売)、ISBN 4-04-460418-5
- 『ロードス島伝説 永遠の帰還者』2000年1月1日初版発行(1999年12月24日発売)、ISBN 4-04-460422-3
- 『ロードス島伝説5 至高神の聖女』2002年11月1日初版発行(10月31日発売)、ISBN 4-04-460427-4
RPGリプレイ
出版社は角川書店、レーベルは角川スニーカーG文庫
コンプティークに連載されていた。連載当時のタイトルは『ロードス島伝説』ではなく、「TRPG誌上ライブ 新ロードス島戦記 魔神戦争」。『新ロードス島戦記』とは別物。
『ロードス島伝説I 魔神襲来』1994年11月1日初版発行(同日発売)、ISBN 4-04-488501-X
『コンプティーク』1993年8月号~1994年7月号。1993年7月号で特集が組まれ、「百の勇者大募集」が行われた。
『ロードス島伝説II 魔神召喚』1995年11月1日初版発行(10月27日発売)、ISBN 4-04-488503-6
『コンプティーク』1994年9月号~1995年9月号。1994年8月号に予告記事掲載。
『ロードス島伝説III 魔神討伐』1996年11月1日初版発行(10月25日発売)、ISBN 4-04-488506-0
本誌のみ書き下ろし。
雑誌掲載
ロードス島伝説 ライブノベル「がんばれ、ナシェルくん!」(執筆:小川直人)
ザ・スニーカー1994年冬号に掲載。コンプRPGに付属したロードスRPGのシナリオ「魔神掌握の杖」のリプレイ。
ロードス島伝説 ライブノベル「魔神を討伐せよ!」(執筆:栗原聡、GM:水野良)
ザ・スニーカー1996年8月号に掲載。