三国志 (北方謙三)
題材:三国志,
以下はWikipediaより引用
要約
『三国志』(さんごくし)は、1996年から1998年にかけて刊行された北方謙三の歴史小説。北方が初めて中国史を題材にとった小説である。全13巻。
概要
正史の『三国志』を原典としており、ストーリーの大綱は万世一系思想と易姓革命思想の対決を根幹としている。
基本的な展開・人物描写は正史に準拠しながらも、適宜に独特のストーリー解釈を施すことで、歴史的リアリティよりも人物描写そのものに重きを置いた骨太な描写が特色。加えて『三国志演義』に見られるファンタジー色の強い描写(幻術・妖術など)や史書からの引用等は排除されている。
節ごとの主要人物の一人称視点でストーリーが展開しており、主に劉備、関羽、張飛、諸葛亮、曹操、曹丕、司馬懿、孫堅、孫策、孫権、周喩、陸遜、呂布、袁紹、張衛、馬超からの視点が描かれる。
吉川英治の『三国志』同様、諸葛亮の死をもって本作は完結している。
主要登場人物
※史実や『三国志演義』に登場しない本作オリジナルキャラクターについては、これを冒頭に明記する。
蜀漢
劉備(りゅうび)
張飛(ちょうひ)
董香(とうこう)
王安(おうあん)
趙雲(ちょううん)
常山真定出身の偉丈夫。公孫瓚の部将だった時に、単身で敵からの攻撃を防ぐなど一目おかれる活躍をしその後劉備に惚れ込み仕官を直訴。このときは劉備は自身も内心では登用したいとは思ったものの自分の信念から一年間世間を知り様々な人を見てそれでも自分を気に入ったのなら、また士官しに来いとを諭され、天下行脚の旅に出る。(劉備は内面では他のところに行ってしまうのではないかと心配していたのを漏らした)それでもやはり、帰還後は劉備に仕えさらに劉備軍の重鎮となり、この旅で得た人脈が後々劉備に利することになった。その武勇は張飛 関羽にもまさるとも劣らずと評され、その武勇で様々な将軍を怯えさせた。さらにその人の良さからも周りに好かれた。史実では諸葛亮と親交が深いが、今作ではそのような面はあまり見受けられない。趙雲率いる騎馬隊の素早さから老齢になっても、第一線で活躍をする。作品後半の夷陵の戦いでは、劉備に反対するものの、ギリギリのところ助けに入るなど、作品を通じて義の武将である。
応累(おうるい)
諸葛亮(しょかつりょう)
陳礼(ちんれい)
龐統(ほうとう)
徐庶(じょしょ)
馬謖(ばしょく)
魏
曹操(そうそう)
曹丕(そうひ)
曹叡(そうえい)
荀彧(じゅんいく)
司馬懿(しばい)
許褚(きょちょ)
呉
孫堅(そんけん)
孫策(そんさく)
孫権(そんけん)
周瑜(しゅうゆ)
陸遜(りくそん)
その他登場人物
群雄
呂布(りょふ)
瑶(よう)
公孫瓚(こうそんさん)
五斗米道
張衛(ちょうえい)
涼州軍
馬超(ばちょう)
涼州軍総帥。乱世に対して絶望を抱いており厭世的であるが、涼州の盟主という血統がそれを許さず、涼州軍を率いて曹操と対峙する。張飛と一騎討ちをした後、自らのもとを訪れその心を唯一理解してくれた簡雍の仕える蜀へと身を寄せる。友人だった簡雍と張飛、主だった劉備が亡くなったのを機に自分を病死した事にし、僅かな部下と袁綝を連れ山中の村へと隠遁する。妻になった袁綝の存在や山での穏やかな生活が馬超の凍てついた心を徐々に溶かし、人間味を取り戻し始めた。息子(馬駿白)が手元を離れる際には、声が上ずるなど傍目にわかるほど動揺したり、久しぶりに馬駿白が村に戻った時、料理をする袁綝のそばを所在なさげにうろついて邪魔だからと外に追い出されてしまうなどの微笑ましい場面が描かれる。
牛志(ぎゅうし)
その他
爰京(えんきょう)
本作独自の人物。曹操の侍医であった華佗の弟子。華佗の刑死後、曹操専属の鍼師となる。鍼に通じる気を習得する、との名目で夏侯惇から槍や剣の手解きを受けており、構えただけで並の兵士をたじろがせる実力の持ち主。曹操が死去した後は自らの医術を磨くために魏を離れ各地を放浪し、立ち寄った蜀で劉備の死に立ち会った。そののち薬草を求めて山中へと分け入った際に道に迷い、偶然馬超達の暮す村へとたどり着き、そこで暮らすこととなる。その後馬駿白を伴った旅で成都を訪れた際には諸葛亮と再会し彼にも鍼を打っている。ストーリー後期における狂言回しの役回りで、彼が山中に住む馬超親子に諸葛亮の死を伝えるところで本作は終わっている。
成玄固(せいげんこ)
各巻総覧
現行版は角川春樹事務所〈ハルキ文庫〉より刊行中(2002年)。
巻 | タイトル | ISBNコード |
---|---|---|
1 | 天狼の星 | ISBN 4-89456-868-3 |
2 | 参旗の星 | ISBN 4-89456-875-6 |
3 | 玄戈の星 | ISBN 4-89456-881-0 |
4 | 列肆の星 | ISBN 4-89456-887-X |
5 | 八魁の星 | ISBN 4-89456-896-9 |
6 | 陣車の星 | ISBN 4-89456-946-9 |
7 | 諸王の星 | ISBN 4-89456-949-3 |
8 | 水府の星 | ISBN 4-89456-951-5 |
9 | 軍市の星 | ISBN 4-89456-954-X |
10 | 帝座の星 | ISBN 4-89456-963-9 |
11 | 鬼宿の星 | ISBN 4-89456-966-3 |
12 | 霹靂の星 | ISBN 4-89456-970-1 |
13 | 極北の星 | ISBN 4-89456-978-7 |
別巻 | 三国志読本 | ISBN 4-89456-979-5 |
※以上14冊を収めた全巻BOX(ISBN 4-89456-986-8)もある。
メディア展開など
ラジオドラマ
- 1999年に『北方謙三 三国志』の題名でラジオドラマが放送され、2001年6月14日にはこのラジオドラマをゲーム化した『北方謙三 三国志』(PlayStation 2用)がメディアファクトリーより発売された。キャラクターデザインは寺田克也、ナレーションは渡辺謙が担当した。
- 2021年10月3日から文化放送で『ネオラジオドラマ三国志』としてラジオドラマ化(ナレーションは神田伯山、出演は小沢和義、熊切あさ美ほか)。
テレビ番組
2004年2月から3月にかけて放送された『NHK人間講座』には北方自身により、本作へ対する思いなどを語った。新版は『三国志の英傑たち』(ハルキ文庫、2006年4月)で刊行。
漫画
河承男の作画による漫画版が、竹書房から刊行されている。2011年4月から刊行が開始され、5年をかけて全30巻が刊行される予定であったが、2013年に第10巻が刊行されて以後は中断している。