上を向いて歩こう (漫画)
題材:NPB,
以下はWikipediaより引用
要約
『上を向いて歩こう』(うえをむいてあるこう)は、『週刊少年マガジン』に連載されていたむつ利之原作の漫画作品。『名門!第三野球部』の続編である。
あらすじ
『名門!第三野球部』から数年後、プロを引退した檜あすなろは桜高校野球部の監督を務めていた。遡ること4年、甲子園予選で敗戦濃厚な状況で投入した控え投手・上杉 輪は剛速球投手の片鱗を見せる。コントロールが災いして話題にはならなかったが、あすなろの元同僚・神 龍一も才能を認め、実績を作らせるために大学進学を勧める。
4年間で、彼が大学野球の世界で表向きにしていたことは、レギュラー選手のユニフォームの洗濯など雑用しかなかったが、寮の大部屋の畳が削られている理由を彼を慕う同じ雑用係の下級生部員たちは知っていた。神が上杉の大学野球での成果を確認しに来たとき、その表向きの姿に一旦失望するが、陰での努力を知り、下位ながら千葉マリンズはドラフト指名をする。入団当初はアマ野球での実績がなく、しかもドラフト最下位指名の上杉に注目するものはいなかった。しかし、チームの数少ない実力派でスター選手の桑本、海堂の黄金バッテリー(かつての檜あすなろの絶頂期を最もよく知る存在でもある)はたちまち上杉の非凡な才能を見抜いた。特に桑本は「エースの座は絶対譲らない」と言わんばかりに意識した。
しかし、千葉マリンズを我が意のままにしようとする組織が暗躍し始め、千葉マリンズの組織抗争に上杉、桑本、海堂も巻き込まれることになる。
登場人物
千葉マリンズ
名門!第三野球部#千葉マリンズも参照。
『名門!第三野球部』及び『名門!第三野球部 飛翔編』(以下「旧作」もしくは「飛翔編」と称する)時代で日本一を達成した時とは神と桑本を除きメンバーがほとんど入れ替わっており、チームの成績も物語開始時の年で4位と低迷していた。この時はすでに実在する球団として千葉ロッテマリーンズも存在していたが、同球団とはまったく無関係であり、引き続き球団名は千葉マリンズとなっている。旧作ではマリンビールが親会社になっていたが、本作では親会社については明らかになっていない。
上杉 輪(うえすぎ りん)
本作の主人公。左投げ左打ち。あすなろの高校時代の野球部での教え子でもあり、あすなろと海堂の後輩にもあたる。
荒削りでコントロールもままならないが、高校最後の試合で剛速球投手の片鱗を見せる。しかし、投球以外の野球センスは人並み以下であるため、進学した南都大学の野球部では才能を見出されることはなかった。
しかし、大学を訪れた神とあすなろによって燻っていた才能に芽が開き、ドラフト6位ながら千葉マリンズへの入団が決まる。
マリンズ入団会見では他の新人選手が高い目標を掲げる中「夢を与える投手になりたい」と語る。
入団後は頭角を示し始めるが、ゼネラルマネージャー(GM)に就任した加藤による様々な陰謀とシーズン中に発症した離断性骨軟骨炎(俗に言う「ネズミ」)による無理な投球が祟って自由契約選手としてプロ球界から放出。
マリンズ初年度の通算成績は10勝3敗 防御率2.57 奪三振123個 被本塁打8本。
引退後は八百屋で働くが、神の知り合いであるアメリカ人スカウト、ケニーの進言によりアメリカ行きを決意。手術は成功しリハビリの甲斐あって1年でマイナーリーグのマウンドに立つことができるまでに回復し、またマウンドに立てることに喜びを感じ生き生きとした表情を取り戻した半面、投球が長くなると球威が落ちる悩みを抱えるが、マリンズGMを失脚し彼の元に訪れた加藤のアドバイスでストッパーへ転向。それが功を奏して翌年の米大リーグではワシントン・ブルーフィールズのメンバーとして活躍。更に翌年のワールドシリーズでもその活躍を見せ、「ストッパー・リン」としてチーム初のワールドシリーズ制覇の立役者となり、その年は5勝3敗26sの成績を収めた。しかし次の年の契約をせず、「マリンズで優勝を目指す」というまだ果たしてない夢を実現させるために、神・桑本・海堂のマリンズ復帰と共に「新戦力」としてマリンズへ戻る。
背番号はマリンズでは6、マイナーリーグでは62、ブルーフィールズでは51、第三野球部時代は16。マリンズとブルーフィールズでの背ネームは「RIN」。
「輪」の名前は円のようにどこまでも続く無限を意味し、「永遠の存在」の意味に恥じない正々堂々とした人生を送ってほしいという意味合いで亡き父親が命名したものであると27話で母親が明かしている。
神 龍一(じん りゅういち)
名門!第三野球部#登場人物も参照。
プロ野球・千葉マリンズの元選手。物語開始時点では引退してスカウトに就き、あすなろと再会するまでの4年間はアメリカに駐在。
上杉が登板した高校野球の地区大会決勝での投球を見て才能を見出しスカウト指名を主張するが、当時のフロントに反対されたため上杉に大学進学を勧め学費などの費用面で面倒を見ていた。
その翌年、上杉の入団と共に打撃コーチとして現場に復帰。その後井戸の解任により暫定ながら監督代行に就任。最下位だったチームを3位にまで押し上げるが加藤から成績不振とみなされ解任。
監督解任後の足取りは不明だが、ケニーに上杉を紹介してあすなろと共にアメリカ行きを後押ししたり、ワールドシリーズに観戦に駆け付けるなどしている。そして上杉がメジャーを制覇した翌年監督に復帰する。
背番号は60。打撃コーチとして現場復帰した第2話のみ違う番号だった。背ネームは飛翔編時代の「ZIN」から「JIN」に替わった。
引退から4年が経過していたが、上杉を探しに足を運んだ南都大学で上杉を白旗隊(びゃっきたい)呼ばわりしたピッチャーの投げる球を何本もスタンドに運ぶなど、一線を退いてもその腕は衰えていない。
桑本 聡(くわもと さとし)
名門!第三野球部#登場人物も参照。
プロ野球・千葉マリンズの中心選手でエースピッチャー。現在のマリンズ選手の中で日本一を知る数少ない人物である。
前シーズンの成績は16勝9敗(2位)、防御2.57(1位)で、上杉が入団するまでのマリンズの投手陣を一人で支えてきた。
春季キャンプでは青木に対しては厳しい表情を見せる一方、上杉にはあすなろと神の秘蔵っ子として好意的に歓迎した。
その後の投球練習での上杉のピッチング(腕の振り)をドラフト1位並みと見て強力なライバルとして認め、最初のうちは自分のピッチングをわざと見せなかったものの、プロとしての心構えや投球のアドバイスをしている。
シーズン終了後、意のままにしようと暗躍する組織が牛耳るフロントにより山陽パイレーツへトレード放出されるも、神の監督再任によりフリーエージェントでマリンズに戻る。
上杉が大リーグを制覇した試合を神やあすなろらと共に直接観戦しており、上杉がアメリカン・ドリームを達成したことで自分たちの手の届かない所へ行ってしまったことに淋しさを感じていたため、翌年の上杉のマリンズ復帰には他の誰よりも驚いていた。
背番号は飛翔編と同じ30。パイレーツ時代は不明。
海堂 タケシ(かいどう タケシ)
名門!第三野球部#登場人物も参照。
プロ野球・千葉マリンズの中心選手で4番打者のキャッチャー。
紅白戦ではドラフト1位で入団した青木を完膚なまでに叩きのめした一方、上杉には投球戦の末三振を取られる。
上杉の過去についてはあすなろから聞いており、オープン戦では上杉の家族を招いたり、序盤プロの洗礼を浴び自信を無くした上杉をかつてのあすなろと被せて励ましたりした。
シーズン後半で意のままにしようと暗躍する組織が牛耳るフロントによりパ・リーグ(球団名は明かされていない)へ放出されるも、神の監督再任を機に桑本同様フリーエージェントでマリンズに戻る。
ワールドシリーズでの上杉の活躍を見て勇気を与えられたと語り、上杉に負けないよう目一杯野球を楽しむと決意を新たにした。
背番号は33。
千藤(せんどう)
千葉マリンズの代打専門のバッターでプロ20年目のベテラン。12話より登場。
投手としてマリンズに入団したが、3年目で肩を壊し代打専門のバッターへ転向。
かなりの酒豪っぷりで有名で、大阪遠征での移動時の新幹線の車内では缶ビールを何本も飲むほど。上杉を誘って夜の街へ繰り出したときに自分がかつて投手だったことを明かし、上杉に自分の果たせなかった夢を託す。当初こそは上杉もいい噂を聞かないと警戒していたが、自分を励ますために誘ったことに気づき、長男である上杉にとって自分の知らない「兄貴」という存在を感じた。
対コンドルス戦に代打で出場。意表を突くバッティングで2得点を挙げると、鈍足でアウトになると分かりながらも二塁を回って三塁へ。果敢にもヘッドスライディングを見せて上杉らチームメイトを鼓舞した。
上杉のマリンズ復帰時は打撃コーチに就任している。
背番号は45、ただしプロ入り初期は違う背番号だった。
ジーホ
神が駐米スカウト時代のルートを通じて獲得した外国人選手。19話より登場。
記者会見時に日本のプロ野球を台湾のプロ野球と勘違いし記者たちを唖然とさせた。更には月間MVPを獲得した時の記者会見では優勝したら台湾に旅行に行くことを打ち明けるほど台湾に執着していた。
選手の前では自身の股間を自慢するも実は小さいことを同じ風呂に入ってきた桑本に見破られ、過去に自打球を股間に当てたことによる恐怖からパットを装着したことを桑本に打ち明けた。
直球だと場外へ飛ばす打撃力だが変化球となると全くダメで、試合中パットの装着による極端なオープンスタンスにより変化球に対応できなくなることを上杉が指摘し、桑本の提案で力づくでパットを取ったことでフォームが変わり変化球にも対応できるバッターとなった。
背番号は1。
東京エレファンツ
かつて上杉から死球を受けた松下が所属している東京の球団。前年は代々木イーグルスにリーグ制覇を奪われ2位となり、巻き返しを図るべく数年ぶりに織田を監督に起用。マリンズがオープン戦で相手となった球団でもあり、上杉がプロとして紅白戦を除き初めて先発登板した相手でもある。
代々木イーグルス
大阪コンドルズ
名古屋エンジェルス
その他関係者
檜 あすなろ(ひのき あすなろ)
名門!第三野球部#登場人物も参照。
旧作の主人公、本作では母校・桜高校野球部の監督を務めている。
元マリンズ選手ということもあり球場内にも顔を出すことがあるが、現在は高校教師という立場上旧作よりは一歩引いた位置にいる。
上杉をリリーフとして起用した高校野球大会決勝での記者会見で(上杉の起用に)間違いはないと断言し、上杉には「自分を信じること」を教え、その後も絶えず上杉を気にかけていた。
神と共に南都大学を訪れた時は高校野球での1球がゴールだと諦めていた上杉にその時のボール(日付入り)を贈り、「あの時の1球が本当のスタートだ」と語りかけていた。
のちに上杉が日本の球界を引退し「夢は終わった」と絶望していた時もその年の活躍を称えるとともに「夢に続きがある」と伝え、後に現れるケニーからのメジャーリーグへの誘いを神と共に後押しした。上杉がアメリカに旅立った時は直接見送らず、練習中のグラウンドからはるか上空を飛ぶ飛行機を見て部員らと共に見送り、ワールドシリーズには神・桑本・海堂・上杉の家族らと共に応援に駆け付けている。そして上杉のマリンズ復帰の際にはスタンドから見守っていた。
旧作時代と違い、基本的な一人称は「オレ」に変わっている。
監督を務めている現在の桜高校はプロのスカウトが注目するような選手はいないもののチームワークと継投で勝ってきたチームで、物語開始時点の秋季大会で準優勝を収めたことにより選抜出場間違いなしと言われている。同時にあすなろにとっては監督として初めての甲子園出場でもあり、1勝を目標に頑張ると神に誓った。公式戦では引き続き「第三」のネームの入ったユニフォームで出場している。
備考
- 登場チームは前作では実在の球団をもじったチームであったが、本作では全て架空のチームになり、6球団となっている。
- 単行本は3巻まで出版されたが作品の残り4話が収録されない形で発刊が打ち切られた。なお、この単行本未収録分は講談社漫画文庫『名門!第三野球部』16巻に収録されている。
単行本
- 第1巻 1997年8月12日発行。ISBN 4063124460
- 第1話 「再会のマウンド」
- 第2話 「プロフェッショナル」
- 第3話 「点と線」
- 第4話 「上杉、プロ第1球」
- 第5話 「上杉効果」
- 第6話 「因縁の男」
- 第7話 「兄弟(あにおとうと)」
- 第2巻 1997年9月17日発行。ISBN 4063124568
- 第8話 「初めてのサインボール」
- 第9話 「決意」
- 第10話 「開幕!!」
- 第11話 「ただその人の為に」
- 第12話 「夜のマウンド」
- 第13話 「託された球(ボール)」
- 第14話 「意地と誇り、そして・・」
- 第15話 「黒い嵐」
- 第16話 「マリンズへの想い」
- 第3巻 1997年11月17日発行。ISBN 4063124827
- 第17話 「今世紀最後の魔球」
- 第18話 「宣戦布告!!」
- 第19話 「巨砲」
- 第20話 「心に空いた穴」
- 第21話 「親分」
- 第22話 「ネズミ」
- 第23話 「上杉の選択」
- 第24話 「リミット」
- 第25話 「最後の賭け」
- 未収録分(講談社漫画文庫「名門!第三野球部 飛翔編」 第16巻に収録)
- 第26話 「第2の人生」
- 第27話 「新たなページへ」
- 第28話 「メジャー!」
- 最終話 「上を向いて歩こう」
- 第1話 「再会のマウンド」
- 第2話 「プロフェッショナル」
- 第3話 「点と線」
- 第4話 「上杉、プロ第1球」
- 第5話 「上杉効果」
- 第6話 「因縁の男」
- 第7話 「兄弟(あにおとうと)」
- 第8話 「初めてのサインボール」
- 第9話 「決意」
- 第10話 「開幕!!」
- 第11話 「ただその人の為に」
- 第12話 「夜のマウンド」
- 第13話 「託された球(ボール)」
- 第14話 「意地と誇り、そして・・」
- 第15話 「黒い嵐」
- 第16話 「マリンズへの想い」
- 第17話 「今世紀最後の魔球」
- 第18話 「宣戦布告!!」
- 第19話 「巨砲」
- 第20話 「心に空いた穴」
- 第21話 「親分」
- 第22話 「ネズミ」
- 第23話 「上杉の選択」
- 第24話 「リミット」
- 第25話 「最後の賭け」
- 第26話 「第2の人生」
- 第27話 「新たなページへ」
- 第28話 「メジャー!」
- 最終話 「上を向いて歩こう」