世界でいちばん透きとおった物語
以下はWikipediaより引用
要約
『世界でいちばん透きとおった物語』(せかいでいちばんすきとおったものがたり)は、杉井光による長編小説。
概要
紙の書籍でしか実現できない仕掛けがあり、それにより「電子書籍化絶対不可能」 、「ネタバレ厳禁」の口コミで普段あまり本を読まない10~20代にまで購買層が広がった。王様のブランチやひるおびなどテレビ番組でも紹介され、新潮文庫nex史上最速で発行部数20万部を突破している。
新潮文庫nexの担当者は「玄人筋のミステリ読みを驚かせ、普段本を読まない層まで広がった」と評している。著者の杉井光は「第2のデビュー作みたいな感じ」と述べ、「なるべく何も情報を入れずに読んでください」と話している。
あらすじ
ベストセラー作家の宮内彰吾が癌により61歳で死去した。
女性関係が派手だった宮内は、妻子がありながら他に大勢の愛人がおり、そのうちの一人、藤阪恵美との間には燈真という子供までもうけていた。
宮内の死後すぐに、燈真のもとに宮内の嫡出の息子である松方朋晃から連絡が入る。宮内は生前、『世界でいちばん透きとおった物語』というタイトルの小説を執筆していた形跡があるが、原稿そのものが見つからない。遺作として出版するために原稿を探し出したい、という。
松方朋晃からの依頼により、燈真は知り合いの文芸編集者である深町霧子の助けを借り、遺稿を探し始める。
宮内が死の直前まで交際していた女性たちや、交流があった編集者、評論家などの間を訪ね歩いて情報を集めた燈真は、やがて宮内がかつて愛人名義で買った狛江の一軒家で最晩年を過ごし、原稿を書いていたらしいことを突き止める。
燈真は松方朋晃とともにその狛江の一軒家に乗り込むが、二人の到着直前に何者かが家に侵入し、『世界でいちばん透きとおった物語』の原稿を焼却してしまっていた。
後日、霧子は燈真が集めた情報を元に、『世界でいちばん透きとおった物語』がどんな小説だったのかを推理する。
一年後、燈真が『世界でいちばん透きとおった物語』というタイトルの小説を書き上げ、職業作家としてデビューすることを示唆するところで物語は終わる。
登場人物
藤坂 燈真(ふじさか とうま)
宮内 彰吾(みやうち しょうご)
藤坂 恵美(ふじさか めぐみ)
深町 霧子(ふかまち きりこ)
松方 朋晃(まつかた ともあき)
七尾坂 瑞希(ななおざか みずき)
東堂(とうどう)
粕壁(かすかべ)
評価
竹本健治からは「超絶的ゆえにこれまで孤高が保たれてきた仕事を系譜として引き継ぐ書き手」、綾辻行人からは「読了した人としか決して感想を語り合えない、というタイプの本の、究極形のひとつ」、太田忠司からは「タイトルの意味に気づいたとき、声にならない声が漏れた。。恐怖ではない。心からの驚き」(原文ママ)と、推理作家の間でも高く評価されている。北村薫は新聞広告や帯に使われる推薦コメントを寄せている。
ネタバレを防ぐために書評や紹介記事においては様々な苦慮が見られ、たとえばダ・ヴィンチ2023年8月号「今月のプラチナ本」に選出されているが、通常はダ・ヴィンチ編集員たちのそれぞれのコメントが掲載されるコーナーのところ、この号のみは特別に「全員何も言えない」様子を描いた漫画が掲載されている。
第5回ほんタメ文学賞(齋藤明里とヨビノリたくみによるYouTubeチャンネルでの賞)のたくみ部門を受賞。