人造人間キカイダー (漫画)
以下はWikipediaより引用
要約
『人造人間キカイダー』(じんぞうにんげんキカイダー)は、石ノ森章太郎による日本の漫画作品。また、それ以外の漫画作品についても解説する。
概要
本作品は、特撮とのタイアップ作品として小学館の『週刊少年サンデー』(1972年30号 - 1974年13号)に連載された。しばしば特撮版の原作とされるが、それは正確ではない。テレビ企画が先行する過程で原作者として石ノ森が起用され、さらに東映側の企画者として平山亨、吉川進が加わり制作されたものである。当時の『週刊少年サンデー』や『小学二年生』などの新連載予告では『人造人間ゼロダイバー』となっており、直前になって変更された。
内容は、悪の組織ダークのロボット対人間型ロボット・ジロー=キカイダーの戦いを中心としている。その一方で、主人公ジローはたびたびピノッキオに例えられ、「不完全な良心回路」を持つゆえに悪と正義の狭間で自らのアイデンティティに悩む姿が描かれた。ジローが抱える「人間になりたい」という悩みはラストでも完全に解決する事はなく、読者に問題提起する形をとっている。
テレビ版とは基本設定を同じくしながらも展開は異なっている。まず、テレビ版のジローが20代前半の青年であるのに対し、漫画版は10代後半の少年であるため、表現される彼の悩みや葛藤は、かなりニュアンスが異なっている。また、テレビ版の続編では主人公となるキカイダー01が登場しても、主人公はジローのままで、タイトルは『人造人間キカイダー』として連載が続行された。
終盤は『イナズマン』との同時連載となったが、石ノ森に割り当てられたページ数の大半が『イナズマン』に費やされたため、本作のページ数は週6ページまで激減した。
本作の作画は石ノ森の弟子にあたるひおあきら・土山芳樹・細井雄二・山田ゴロの4人の分担で行われた。石ノ森はネームと下書きまでで作画に直接タッチせず、山田が原稿をもらうと、4人で分担して2日ほどで仕上げた。細井は個々にやりたい箇所を作業していたため、ページによってキャラクターの絵柄が異なっていると証言している。
登場キャラクター
キカイダー01などの一部のキャラクターは、設定を少し変えた上でテレビ版の続編『キカイダー01』にも登場する。
キカイダー
派生作品でのキカイダーについては、キカイダーを参照。
キカイダー/ジロー
自然警備隊の一員だった息子・一郎を殺された光明寺博士が「絶対に殺されない自然警備隊」として完成させた13体のロボットのうちの1体。研究を援助するギル教授の企みに気づいた光明寺博士に、悪の命令に従わないための「良心回路(ジェミニィ)」を埋め込まれる。しかし、完成直前に光明寺博士がダークの襲撃を受けたため、不完全なままの良心回路を持って誕生した。
人間の姿の時の名前はジロー。音楽好きな光明寺博士がギターを持たせた。ギルの笛やサブロウの口笛の音に反応し、苦しんだり自分の意志と無関係に悪事を働かされたりしてしまう。劇中で良心回路が完成する事を望んでいるシーンがある。少年らしく、かなりわがままな一面も見せた。
不完全な良心回路の影響で、キカイダーにチェンジした際に左右のデザインとカラーリングが違っており、表皮の一部が透明になっていて内部が見える。
物語終盤、ゼロワン達と共にギル・ハカイダーに捕らえられた際に「服従回路(イエッサー)」を組み込まれる。良心回路を持っていないゼロワン達は服従回路の効果によってハカイダーに忠誠を尽くすが、ジローは服従回路と良心回路を併せ持ったことによって人間と同じ善悪の「心」を持つようになる。そのため嘘をつくことが出来るようになり、服従回路の力でハカイダーの言いなりになっていたビジンダーを欺いて窮地を脱する。最後の戦いにおいては、装備していることは知っていたが強力すぎるため使わずにいた内蔵武器「ブラスター」を初めて使用し、ハカイダーの僕に成り下がってしまった仲間たちを、次いでハカイダーを一撃で葬った。戦いが終わってアキラとルミを救出した後、善と悪との「心」の戦いに苦しみながら一人でその場を立ち去った。
漫画『イナズマン』の「ギターをもった少年」の回ではその後のジローが登場し、イナズマンに服従回路を破壊された。
キカイダー01()/イチロー
ジローの兄。光明寺博士が最初に造った人造人間。太陽電池で作動する。特撮版と違って良心回路を持っていないため、ジローより直情的。作中では自身の電子頭脳がジローの電子頭脳の試作型であるため、ジローほど深くは思考しないと述べている。また、それくらいがちょうど良く、ジローには考え過ぎであると忠告を行う。
風天和尚が「科学を正しく使うためには正しい精神が大切だ」と光明寺博士を諭し、飛騨奥山の木菟寺に隠させたが、キカイダー(ジロー)が山木菟寺を訪れるとともに目を覚ます。人間を守るために戦わなければいけない理由が今一つ理解できずに投げやりになる事がある。また、ジローに対して生々しい嫉妬や劣等感をのぞかせたことがある。一度ビジンダーに電子頭脳を破壊された。
初登場時の一人称は「僕」だったが、その後は終始一貫して「俺」になった。
キカイダーの協力者
光明寺博士
光明寺ミツコ
ダーク
ハカイダー
漫画版以外での設定は、ハカイダーを参照。
ハカイダー/サブロウ
ギル・ハカイダー
シャドウ
人類の影の組織。特撮版と違いボスの姿は明らかにされない。キカイダー達の破壊とジャイアントデビルによる世界征服を企む。
ビジンダー/ミエ子
単行本
単行本は、秋田書店「サンデーコミックス」から全6巻を発売。秋田文庫から新装発行された文庫版単行本全4巻では、トーンの貼り直しと、現在では差別用語とされるセリフの修正が行われている。
- 秋田書店(サンデーコミックス)全6巻
- 1972年12月25日発行 ISBN 978-4253063166
- 1973年2月10日発行 ISBN 978-4253063173
- 1973年5月20日発行 ISBN 978-4253063180
- 1973年10月30日発行 ISBN 978-4253063197
- 1974年5月10日発行 ISBN 978-4253063203 『サイボーグ009』のエピソード「真空戦争」を併録
- 1974年8月30日発行 ISBN 978-4253063210 『胎児の世紀』を併録
- 秋田書店(秋田文庫)全4巻
- 2000年11月発行 ISBN 978-4253176118
- 2001年1月発行 ISBN 978-4253176125
- 2001年3月発行 ISBN 978-4253176132
- 2001年5月1日発行 ISBN 978-4253176149 『胎児の世紀』を併録
- 復刊ドットコム(石ノ森変身ヒーローシリーズ)全4巻
- 2014年3月19日発行 ISBN 978-4835450438
- 2014年5月21日発行 ISBN 978-4835450445
- 2014年8月21日発行 ISBN 978-4835450452
- 2014年10月30日発行 ISBN 978-4835450469
その他の漫画作品
『人造人間キカイダー』の漫画連載は、石森のものも含め計12誌に同時連載された。
- 『よいこ』1973年4月号 - 5月号、山田ゴロ
- 『幼稚園』1973年5月号 - 6月号、山田ゴロ
- 小学館の学年別学習雑誌
- 『小学一年生』
- 1972年8月号 - 1973年5月号、すがやみつる
- 1972年9月増刊号、1973年1月増刊号、土山よしき
- 『小学二年生』1972年8月号 - 1973年5月号、二階堂旭
- 『小学三年生』1972年8月号 - 1973年5月号、制野秀一
- 『小学四年生』1972年8月号 - 1973年5月号、土山よしき
- 『小学五年生』1972年8月号 - 1973年5月号、みやぞえ郁雄
- 『小学六年生』
- 1972年8月号 - 1973年3月号、はっとりかずお
- 1973年4月号 - 5月号、斎藤あきら
- 『小学館BOOK』
- 1972年8月号 - 1973年3月号、時里信一
- 1973年4月号、細井雄二(1973年5月号より「キカイダー01」を連載)
- 『テレビランド』
- 1973年3月号(創刊号) - 1973年5月号、土山よしき
- 1979年10月号 - 1980年3月号、すがやみつる
- 『別冊少年サンデー』1972年8月号 - 1973年6月号、蛭田充
- 『小学一年生』
- 1972年8月号 - 1973年5月号、すがやみつる
- 1972年9月増刊号、1973年1月増刊号、土山よしき
- 『小学二年生』1972年8月号 - 1973年5月号、二階堂旭
- 『小学三年生』1972年8月号 - 1973年5月号、制野秀一
- 『小学四年生』1972年8月号 - 1973年5月号、土山よしき
- 『小学五年生』1972年8月号 - 1973年5月号、みやぞえ郁雄
- 『小学六年生』
- 1972年8月号 - 1973年3月号、はっとりかずお
- 1973年4月号 - 5月号、斎藤あきら
- 1972年8月号 - 1973年5月号、すがやみつる
- 1972年9月増刊号、1973年1月増刊号、土山よしき
- 1972年8月号 - 1973年3月号、はっとりかずお
- 1973年4月号 - 5月号、斎藤あきら
- 1972年8月号 - 1973年3月号、時里信一
- 1973年4月号、細井雄二(1973年5月号より「キカイダー01」を連載)
- 1973年3月号(創刊号) - 1973年5月号、土山よしき
- 1979年10月号 - 1980年3月号、すがやみつる
参考文献
- 『テレビマガジン特別編集 変身ヒーロー大全集』講談社、1995年11月30日。ISBN 4-06-178419-6。
- 岩佐陽一 編著『キカイダー大全 人造人間キカイダー キカイダー01の世界』双葉社、2002年4月5日。ISBN 4-575-29363-6。
- 『人造人間キカイダー トリビュート』角川書店、2001年5月25日。ISBN 4-04-853339-8。
- 『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー』(講談社)
- Vol.3《仮面ライダーV3》、2004年8月10日。ISBN 4-06-367088-0。
- Vol.5《仮面ライダーX》、2004年11月10日。ISBN 4-06-367094-5。
- Vol.3《仮面ライダーV3》、2004年8月10日。ISBN 4-06-367088-0。
- Vol.5《仮面ライダーX》、2004年11月10日。ISBN 4-06-367094-5。