代紋TAKE2
以下はWikipediaより引用
要約
『代紋TAKE2』(エンブレム テイクツー)は、1990年2月19日から2004年8月30日発売号まで講談社の漫画週刊誌『週刊ヤングマガジン』に連載されたSFヤクザ漫画。原作木内一雅、作画渡辺潤。
ストーリー
1979年、新宿。暴力団海江田組組員・阿久津丈二は、大学の応援団員たちとの喧嘩に負け、泣きながら詫びを入れていた。この事件以降、丈二の人生は何をやっても上手くいかなくなり、10年後の1989年、弟分に鉄砲玉を命じられ、逃げる途中で自滅し惨めに生涯を閉じた。
しかし丈二が次に目覚めた瞬間、そこは1979年の新宿で、自らが転落するきっかけとなった大学生との喧嘩の場面だった。10年分の記憶と人生経験を積んだ丈二は、気迫と知恵で大学生たちを撃退。そして金の代紋をつけ街をのし歩くことを胸に誓い、新たな人生をやり直し始める。
解説
題名の「TAKE2」は映画などでの「2度目の撮り直し」にちなんでいる。タイムスリップしたヤクザが人生をやり直すという、SF(ループもの)とヤクザものを組み合わせた発想で人気となり、15年に渡る長期連載となった。ヤングマガジンコミックス全62巻が刊行されており、データムック「代紋TAKE2 COMPLETE INDEX」も出版されている。
単行本の巻頭には本編のカラーページのみならず、女優・アイドルなどのヌードから担当の私生活や作者両名の趣味・人間ドックなど、週刊誌の記事をモチーフとした様々な企画が掲載された。有名人のファンによるインタビューには三沢光晴、ゆず、キャイ〜ンらが名を連ねたこともある。
作中では主に主人公の丈二とライバルの江原によって、物語の世界を操作する神の存在が語られている。江原によると、神は丈二の背後につき全知全能の力を持ってありとあらゆる人間の運命を操作しており、やがて江原の闘争本能の矛先は丈二ではなく神を越えることへと変わっていく。また、丈二は神の手によって時おり無意識のうちに行動や記憶を植え付けられており、この伏線を用いて迎えた「実は物語はコンピュータゲームの中での出来事であり、主人公も含め登場人物はゲーム内のキャラクターであった」という結末は多くの読者を驚愕させることとなった。
登場人物
阿久津組
阿久津丈二が千葉から新宿へ舞い戻ってきた後に旗揚げした組。当初は海江田の傍系だったが、丈二が海江田組三代目となって引退した後は、上部組織を持たず一本で通している。
構成員
阿久津丈二(あくつ じょうじ)
本作の主人公。年齢は1979年当時21歳。1979年にサトシらとの喧嘩に負けたことがきっかけでヤクザとして風格が上がらなくなり、1989年に弟分であるはずの洋一の命令で黒川興業に鉄砲玉として飛ばされ、逃げる途中で自分の撃った拳銃の跳弾を腹部に受け、その生涯を閉じる。しかし最期の瞬間、1979年のサトシとの喧嘩の場面にタイムスリップ。21歳の若さと31歳の記憶・経験を武器に、ヤクザとしての人生を再開する。
物語序盤は二代目海江田組の末端組員として活躍し、海江田組若手のホープと目され山崎組長のボディガードを務めるまでにのし上がった。しかし飴菊戦争をきっかけに山崎を失ってツトムを殺害せざるを得なくなり、戦争終結後、正人を殺害された仇討ちに江原を襲撃、その罪で府中刑務所に収監され、江原率いる三代目海江田組を破門された。
収監後、江原が海江田組三代目を襲名した事で「人生のやり直し」に失敗したとして自暴自棄になりかけるが、何をすることもできない獄中という環境で逆に諦めがつき吹っ切れる。獄中で再会した土橋が明石組と揉めた際は、タイムスリップ前の記憶を生かして所長の弱みを突く事で、入院させないことで獄中の病死を狙われていた明石組親分の入院を認めさせる事を手土産に土橋と明石組の間を仲裁し、同時に明石組の幹部にも認められる。その際、後の明石組若頭、当時若頭補佐から直系の兄弟杯を打診されるが、破門されている身である丈二を抱える事で波風を立てないための「一旦は海江田三代目である江原と親子杯を交わす」という条件を認められず、これを断る。
新所長主導による服役者虐待に対する暴動が起こった際は、当初は無関心の立場を取っていたが、潜入してきた警視庁の密偵の言を受けた事もあり、土橋やアキラらと共に府中刑務所で発生した暴動を鎮める事に成功。異例の早さで仮釈放を認められ出所。田上連合と明石組の承認の下、両者の手の届かない千葉県木更津市で白浜組八代目を襲名する。後に明石組の関東進出を食い止めたことで千葉を統一し「千葉阿久津連合」を築き上げる。
その後、白浜組と千葉連合を引退して新宿へと舞い戻り、大田原組の舎弟として阿久津組を旗揚げする。その後、海江田組から江原を放逐して三代目だった事実も抹消、海江田組の正統三代目を継承したが、その直後に四代目を志村に譲って海江田組を引退。以降、どの系統にも属さない独立系組織として阿久津組を運営しているが、本人曰く「高校中退」のため、大学を出ている(厳密には四年生時に中退)近田達に(主にシノギや経理の面で)運営を任せる事もある。終盤では江原との長きに渡る因縁を制し、最終話では田上梅沢一家総長を経て関東八州田上連合会の会長に就任したことが語られた。そして、民政党の幹事長との会談のため車で移動するも、渋滞を避けるべく入った裏道を進む途中、車窓から見える景色に既視感を抱いたのをきっかけに強引に車を止めさせ、奇しくも自身の感覚では10年前に自身が死んだ場所にたどり着き、今がまさに「自分が死んだのと同じ日に、同じ場所に立っている」という状況であることに衝撃を受けるも、そこで今なお江原への兄弟分の絆を胸に抱き続けていた潮の襲撃を受け、致命傷を負う。その後は薄れゆく意識の中で自分達の存在する世界の真実を知る。それはこの世界そのものがスーパーファミコンのゲームソフト『代紋くん 成り上がれ極道の頂点』の中の世界であり、丈二自身はそのゲームの主人公にしてプレイヤーキャラクターで彼が生き返ったのも実のところはこのゲームのプレイヤーの2人の子供がゲームをやり直しただけで、それでいて丈二が「前の人生」の記憶を保持していたのはゲーム自体にバグがあったために本来はやり直しの際にパラメーターがリセットされるはずがそのまま残されるという、偶発的に強くてニューゲームと同じ状態になっていたからであった。
初期は軽薄でやや臆病な性格だったが、未来の記憶を武器に様々な困難を乗り越えるうちに人間的に大きく成長、やがて20代の若さで日本中の極道の誰もが一目置く存在となった。ヤクザとしては優しい性格の持ち主で、自分の命を狙った相手を許した上で身内に加えることも少なくない。
近田 勇(ちかだ いさみ)
土橋 歳実(どばし としみ)
阿久津組幹部。元拓山大学応援団副団長。近田、サトシと共に大学を退学処分になり、ヤクザを志して二人と共に丈二の舎弟となる。
神田賢治との内部抗争で恋人を殺され自身も瀕死の重傷を負うも、幹部会の席で破門になった神田を射殺し、殺人罪で逮捕された。当初は黒羽刑務所に収監されていたが、刑務官を暴行して刑を付加され府中刑務所へ移送、そこで丈二と再会する。再会した当初は、神田を殺害したことによる増長や神田に恋人を殺された恨みから丈二に反発していたが、明石組の渕上との揉め事を丈二に仲裁されたことで和解し、関係も元通りに修復した。丈二が白浜組八代目を襲名した時に舎弟から子分となり、阿久津組旗揚げ後は幹部として組を仕切っている。神田賢治を殺害して以降は阿久津組の内外から「あの神田賢治を殺した男」と恐れられていたが、出所後は大きな動きは見せておらず、アキラやサトシと比べて活躍は少ない。また、当初は口髭を生やしていたが、出所後は額に弾痕が残った代わりに髭は無くなっている。
最終話では片脚を失った近田と共に足を洗い、コーヒーショップを立ち上げたことが語られている。
本人曰く「文学部出の学士様」らしく、丈二に学歴を自慢した事もある(丈二は高校中退)。
サトシ/斎藤 聡(さいとう さとし)
阿久津組幹部。福岡県出身。元拓山大学応援団親衛隊長。団員を率いての丈二との喧嘩で、「前の人生」では丈二の転落のきっかけを作ったが、「後の人生」ではそれが原因となって大学を退学になり、近田、土橋と共に丈二の舎弟となる。丈二が白浜組八代目を襲名した時に舎弟から子分となり、阿久津組旗揚げ後は幹部として組を仕切っていた。
女性関係のもつれから可愛がっていた舎弟・隆二を浅葉会三島組の三瓶栄一に殺され、三島組との手打ちによって隆二の仇を討てなくなったことで精神を病んだ。その後、三瓶を殺害するため単身浅葉会と大立ち回りを演じて瀕死の重傷を負い、最後はとどめを刺しに病院を襲撃した三瓶と刺し違えてその生涯を閉じた。
近田・土橋共々、丈二より一歳上という。父親は「博多のアンドレ・ザ・ジャイアント」と呼ばれ周囲から怖れられる存在だった。
浅野 洋一(あさの よういち)
二代目海江田組組員で、丈二の舎弟。年齢は1979年当時19歳。調子のいい移り気な性格で、内心で丈二を馬鹿にしながら、江原や福永にすり寄っている。
「前の人生」では海江田組幹部となり、江原の指示で兄貴分である丈二に黒川興業への鉄砲玉を命じて、丈二を死に追いやった。「後の人生」では丈二と江原の間を調子よく立ち回り、江原が海江田組三代目となった後は組員の座に収まる。江原破門後は末端組員として四代目海江田組に残り、その後改めて丈二の舎弟となり、海江田組から阿久津組へ養子に出された。
再び丈二の舎弟となった後は、渡世きっての武闘派である阿久津組に揉まれ、かつてとは別人のように度胸と覇気のある性格になった。タカシからは「ダメな奴だがどこか憎めない」と評されている。丈二と江原の最終決戦で死亡し、丈二を始めとする阿久津組関係者はその死を惜しんでいた。
石田 一成(いしだ かずなり)
二代目海江田組幹部。『念仏の石田』の異名を持つ、組随一のヒットマン。殺しの腕を買われて幹部にまでのし上がったが、そのためにシノギに関しては全くの無知で、ノミ屋で失敗し数千万もの借金を抱え込んでいた。「前の人生」ではそれが原因で覚醒剤中毒になり、破門されたことを逆恨みして山崎を殺害。しかし「後の人生」では丈二のシノギを手伝ったことで借金を完済、覚醒剤売買に手を染めず山崎を殺害することもなくなった。
それ以来何かと丈二に目をかけるようになるが、江原が海江田組三代目を襲名した際に海江田を引退させられ、その後、木更津で白浜組を継いだ丈二の下に転がりこみ、八代目白浜組、後に阿久津組の舎弟頭となった。その後も丈二を支えていたが、時折自身のヤクザとしての人生に疲れたことを窺わせる発言をしていた。終盤では多香子という娘ほど年齢が離れた少女に惚れてしまい、一時期阿久津組と距離を置くも彼女に別れを切り出して戦線に復帰した。最終話では足を洗って多香子と共に飲食店を開き、入籍を控えていることが語られている。
丈二が自分の周りで起こり得る未来を的確に言い当てたことから、早い段階から丈二がタイムスリッパーであることを信じていた。外見は強面で腕も度胸もあるが根は純情で、オナニー好きな一面もある。しかし、そのことを聞いたアキラは信じられない悪夢を見た模様。また、丈二とカオリのために子供服を買おうとしていたが、土橋達には「その人相で行ったら警察が飛んでくる」と言われたこともある。
タカシ/福永 孝(ふくなが たかし)
二代目海江田組組員のち、二代目海江田組系江原組若頭。後に旧三代目海江田組若頭補佐・二代目江原組組長。
二代目海江田組時代は丈二の同期で、江原の舎弟として事あるごとに丈二と反目しあっていた。江原の三代目襲名後、江原の命令で出所後に明石組から厚遇された丈二を殺害しようとするも、誤って倉田を刺し、江原にそれを咎められて左腕を斬り落とされる。その後、再び江原の命を受けて白浜組組長となった丈二を狙って木更津に乗りこむが、保身のために命令を撤回した江原の言葉を聞かず破門され、丈二に救われる形で白浜組の一員となり美川貴(みかわ たかし)と名を変えた。
江原が海江田から絶縁処分になった後は破門を解かれ、名前も元に戻す。政岡が白浜一家総長を襲名し白浜組九代目を引退した際、十代目として組を引き継ぎ、その後十代目を引退して新宿に戻り、丈二の舎弟として阿久津組の一員となった。
江原の配下だった頃は半ば調子のいい性格だったが、左腕を斬り落とされて以来別人のように気性が激しくなり、千葉連合や阿久津組きっての武闘派となった。その気性の激しさが、後に阿久津組と海江田組の深刻な対立を引き起こす間接的な要因の一つとなる。丈二と江原の最終決戦では手を撃たれて負傷するもその行く末を見届けたが、最終話では主要な阿久津組組員の中で唯一その後が語られていない。
アキラ/森下 晶(もりした あきら)
阿久津組幹部。丈二とは同い年。福岡県出身で博多弁を使い、明るく調子のいい性格をしている。
元は博多の梅鉢一家の一員で、福岡県警の締め付けにより組が解散させられた復讐のため県警本部に乗りこみ、殺人未遂等の罪状で府中刑務所に収監された。府中において「日本一の親分の下で日本一の子分になりたい」と自ら頼みこんで丈二の舎弟となり、以来丈二の子分として千葉や新宿で活躍する。
「原爆の晶」の異名を取り、警察官数十人を単身素手で叩きのめすほど喧嘩が強く、土壇場での頭の回転も非常に速い。しかしその実力に反して銃の扱いは下手で、商売も苦手にしている。そのため幹部でありながら特定のシノギを持っておらず、生活は常に困窮している。一攫千金を狙っては様々なシノギに手を出すも浅はかな考えで動いているため、毎回のように失敗またはさやかから制裁を受けており、丈二からはその度にバカ扱いされている。
白浜組時代にさやかに一目惚れしてやがて交際を始め、後に結婚した。なお、最終話では彼のみが他の阿久津組組員と異なり、丈二の子分としてヤクザを続けている模様。
彼主演の話が展開されることもあり、その分量は最大で単行本一冊分に及び、丈二が全く登場しないこともある。
関係者
島村カオリ(しまむら カオリ)
美也子(みやこ)
「前の人生」の丈二の妻。太った体格で外見はよくない。
丈二と出会った時は大学生で、前の人生では事ある毎に丈二をいじめる悪妻だった。しかし「後の人生」では、丈二と付き合いを続けるうちに甲斐甲斐しい性格になり、白浜組以来カオリと共に様々な形で丈二を陰から支えていた。カオリやさやかと共に行動し、特にカオリとは丈二の恋敵や親友として切磋琢磨するも抗争に巻き込まれる彼に耐えかね、丈二のもとから去った。その後は阿久津組とは距離を置いているもののしばしば登場し、彼らのサポート役となる場面もある。組み技が得意でチンピラ数人を一蹴するほど腕っぷしが強く、丈二には「タイソンにも勝てるかもしれない」と言わしめた。前の人生では、丈二との間に優樹という一人息子がいた。
前述の通り、カオリとは恋敵であったが親友でもあり、丈二と彼女が結婚する際には誰よりも喜んでいた。それだけに彼女の死には人一倍悲しんでいた。
松田さやか(まつだ -)
千葉のレディース・紅孔雀の三代目総長。「鬼姫」という異名で呼ばれていた。外見は可愛らしいが、男勝りの暴力的な性格で非常に気が強い。
千葉狂走連合と丈二との諍いをきっかけに丈二に憧れ、白浜組に出入りするようになる。その後、伯野との戦いに赴くアキラと体を重ねたことをきっかけにアキラと付き合い始め、約7年の交際を経て後に結婚した。
当初はつきまとうアキラに対して暴言を吐いたり、カオリや美也子に対して「ババア」と呼ぶなど生意気な一面が目立っていたが、その後は次第に丸くなり、彼女らとは仲良くなった。特にカオリに対しては人生の先輩として慕っていた。素直になれない性格でアキラとは日頃から喧嘩が絶えないが互いに深く愛しており、彼のために風俗嬢を決意するほど(アキラの懇願で未遂に終わった)。
海江田組
関東八州田上連合会・田上梅沢一家に所属する組織。新宿を縄張りとし、二代目山崎組、大西組、氏家組、大田原組など下部組織を抱えている。二代目はかつて高い戦闘力で知られていたが、その後は経済派が台頭し、民事介入暴力やノミ屋を主なシノギとしていた。
二代目
山崎 忠義(やまざき ただよし)
佐山 久(さやま ひさし)
二代目海江田組組員で、仲西の舎弟。江原の同期で、丈二の直接の兄貴分。商売や金儲けはあまり上手くない。
江原の海江田組三代目襲名後、恐喝罪で丈二と同じ府中刑務所に収監。兄弟分だった的屋を刑務官に殺害された復讐に刑務所内で暴動を起こし、警察組織を震撼させた。暴動鎮圧後は丈二らに遅れて釈放され、末端組員として海江田組から虐げられる日々を送っていたが、江原の破門後に復権し、四代目海江田組の舎弟頭となった。江原三代目襲名後に江原の命令で丈二を襲撃したが見逃され、覚醒剤中毒になっていた氏家を救い江原の破門に決定打を与えた。最終話では、五代目海江田組組長となる。
「前の人生」では、極道から足を洗って正人の経営するコーヒーチェーンで店長を務めていた。
浜田 正人(はまだ まさと)
中山 光一(なかやま こういち)
仲西 健造(なかにし けんぞう)
氏家 利男(うじいえ としお)
大西 康雄(おおにし やすお)
大田原征蔵(おおたわら せいぞう)
神田 賢治(かんだ けんじ)
二代目海江田組幹部・二代目山崎組組長。山崎がまだ若手だった頃からの子分で、山崎が海江田組二代目を襲名した時に山崎組二代目を引き継いだ。極めて自己中心的かつ凶暴な性格でならず者のような面が強いが、山崎のことを心から慕っている。
「前の人生」では獄死していたが、「後の人生」では山崎が丈二を可愛がっていることを聞きつけ強引な手段で仮釈放をもぎ取り出所。義兄で山崎組の若頭である宮下ツトムを氏家組の若頭に殺されたことで氏家組と内部抗争を引き起こし、巻き添えで土橋の彼女を殺し、土橋に瀕死の重傷を負わせる。そしてそれが原因で海江田組から破門され、最後は幹部会の席で土橋に射殺された。
雑誌連載時には「本田賢治」と表記されていたが、単行本掲載から「神田賢治」に変更されている。
四代目
志村 勝男(しむら かつお)
大西組若頭、後に旧三代目海江田組若頭・二代目大西組組長。丈二の手で江原が三代目を放逐された後、丈二の命令で四代目組長を襲名し、後に田上梅沢一家若頭補佐。しかし、阿久津組との対立によって歳下の丈二との格の違いを見せつけられたことで精神が歪み、後に田上連合を揺るがす大事件を引き起こし、工藤と中山を襲撃する。最後はかつて追い出した江原に組を蹂躙された上に「志村を殺せば助ける」という甘言に乗った子分達が殺し合いを始め、最終的には恐怖と絶望に苦しみながら秋山に殺害された。
大西のことを心から慕い、江原が絶縁処分になり放逐された後、東京から落ち延びようとする江原を仇討ちとして襲撃したが、結果的に失敗に終わっている。旧三代目若頭時代は、江原の気性の激しさや覚醒剤取引などに強い懸念を抱いていた。
秋山 元(あきやま げん)
江原一派
江原 慎吾(えばら しんご)
二代目海江田組組員のち幹部。丈二の兄筋に当たる。大阪府出身で関西弁を使う。
経済派のヤクザで、二代目海江田組では組内の若手きっての実力者だが、金儲けに精を出し仁義を弁えない面があるため、山崎らから目をつけられている。「前の人生」ではただそれだけの存在だったが、「後の人生」では丈二の台頭によって野心と凶暴性が増し、様々な陰謀を巡らせて山崎亡き後の海江田組三代目、田上梅沢一家若頭補佐、田上連合理事にまで上り詰めた。しかし、千葉から新宿に戻ってきた丈二の活躍により山崎殺害が自らの指示であることを暴かれ、海江田組を絶縁され、三代目だった事実も抹消された。
その後、志村の暗殺から生き延び、大阪でホームレスとして生活していたところを明石組の大森に拾われ、力を蓄える。そして大森と渕上の跡目争いが勃発した後、大森の手助けという名目で東京に傭兵を送り込み、自らも潮と共に東京へ乗りこんだ。
「後の人生」ではカオリのかつての恋人であり、海江田組三代目時代からカオリに対する未練を捨てきれないでいた。一方で自分の前に立ちはだかり続けた丈二に対する憎しみも極めて強い。「前の人生」でもカオリと付き合っていたと丈二は言っていたが、丈二の記憶が混濁していたようで詳細は不明。旧三代目海江田組は構成員に対して圧政が敷かれ、ノミ屋などよりも覚醒剤取引を主な収入源にするようになっていた。そして東京に再び舞い戻った時に、丈二との結婚式当日にウェディングドレス姿のカオリをその手で射殺した後、潮や傭兵達と共に日本中を震撼させる大事件を引き起こす。最終的には傭兵達を全て失い、丈二との一騎討ちで彼を追い詰めるも「シナリオ通りにはさせない」と言い残し、持っていた拳銃で自殺した。
丈二との対立を経ていく中で自分達の存在する世界の真実や自分と丈二を取り巻く「何か」について、完全には理解していなかったもののほぼ悟っており、自分たちの存在に疑問を抱いていた。
内田 潮(うちだ うしお)
江原の舎弟。元いた組が解散し、大森組倉田会の客分として江原のシノギを手伝っていた。江原に惚れ込んで自ら舎弟となることを望み、共に東京へ乗りこむ。春香という恋人がいたが、丈二と江原の最終決戦で無法地帯と化した東京に巻き込まれて断腸の思いで彼女を殺害した。その後は江原と共に行動を共にするも、丈二との最終決戦で江原がこの世界について語るのを「頭がおかしくなった」と指摘したタカシとの言い争いをきっかけに、江原が「撃つな!」と止めるのを無視してタカシとの一対一の銃撃戦を行い、タカシの右手を撃ち抜くも体に何発もの銃弾を受けて倒れた。それ以降の消息は不明だったが最終話で丈二を銃撃し、自身はその場にいた佐山に撃たれる。今際の際に春香に対して「やっとお前の所にいける」と言い残して倒れた。
江原ほどこの世界の真実について考えてはいなかったものの、江原への忠誠心から彼の発言を否定した先述のタカシの件では春香を殺したことを「こんな狂った奴のせいで自分の女を殺す羽目になったんだぞ」と指摘されても「黙れ!黙れ!黙れ!」と否定することで江原を擁護していた。
江原が雇った傭兵
カルロス・クライバー
傭兵。江原が雇ったフランスの民間軍事会社、エグゼクティブ・デルタ社に所属する傭兵部隊のリーダーで、階級は大佐。圧倒的な戦闘力と豊富な軍事知識を持っており、江原の依頼を受け、部下達と共に東京を大混乱に陥れた。丈二とすれ違った際に何かを感じ、彼を警戒するようになる。後に日本から脱出するにあたって、丈二との決着をつけるために部下と別れて阿久津組及び千葉阿久津連合の組員達を相手に単身で辺りを火の海に巻き込んで多くの組員を殺害した。最終的には丈二を追って燃え盛るデパートに侵入し、そこに潜んでいた丈二と一騎打ちでは当初は軍人としての戦闘力で戦闘を有利に運ぶが、ガスマスクの死角を突いた丈二に日本刀で両腕を切り落とされた末に刺殺された。
劇中ではオーストリア国籍となっているが、ムックではオーストラリアとされている。また、雑誌連載時には「カルロ・スクライバー」と表記されていたことがあったが、しばらくして元に戻されている。
ジェームス・ローリング
ルイス・ザブロンスキー
アラン・フルニエ
ケン・アレクザンダー
ケビン・ブラウン
関東八州田上連合会
関東の暴力団の連合組織で、通称は田上連合、関東八州田上連合、田上連合会。構成員は総計1万2千を数える。直系団体はいずれも「田上○○一家」と呼ばれている。
工藤 英次(くどう えいじ)
田上梅沢一家
田上連合の中でも江戸時代から続く名門として知られる。初登場時は四代目だったが、すぐに中山の五代目体制となる。丈二が所属する海江田組の他、中山が率いていた中山組や清水が所属している島原組といった下部組織を抱えている。
中山加津夫(なかやま かつお)
清水 光一(しみず こういち)
辻井 隆(つじい たかし)
矢野 欣也(やの きんや)
山崎の五分の兄弟分だった黒川組(当初は独立組織だったが後に田上梅沢一家の傘下に入る。また、初期の頃は黒川興業とも表記されていた。)四代目総長・矢野恵蔵の実子。丈二より一歳年上でサトシらと同い年。少年時代は渋谷の暴走族で名の通った存在ではあったが、代紋バッジのイザコザで丈二ともめる事に。「前の人生」で恨みを持っていた丈二と助けに入った石田にケガを負わされてしまう。 後に失脚し若者らにシンナーを売りさばく日々を過ごしていた所、江原に空気を入れられ、丈二を密告し陥れようとするも、反対にまくられ江原とも距離を置くようになる。初登場時は黒川組の若頭の組で幹部として修行をしていた。その後、父の後を継いで黒川組五代目を襲名、中山の舎弟として若いながらも田上梅沢一家の幹部となり、丈二に次ぐ異例のスピードで関東極道界を出世する。
「前の人生」では黒川組総長として、丈二の死の大きな原因となった。「後の人生」では修行時代に丈二と対立したのをきっかけに、丈二を激しくライバル視するようになる。しかし互いに敵意は抱いておらず、状況によっては協力関係になることも少なくない。
伊香 淳一(いが じゅんいち)
ウッホ/中村 成利(なかやま なるとし)
伊香の舎弟。沖縄出身。元プロボクサーでリングネームは「ウッホゴリ山」。殴られ役のボクサーだったとはいえ、その実力はヤクザ数人を圧倒するほどであり、アキラもその強さに驚いていた。しかし、人間性は下品で最悪の一言に尽き、パンチドランカーを思わせる挙動や異常行動が目立つ。一方で身体能力や頑丈さは高く、当たり屋では怪我することなく大袈裟に吹っ飛んで見せたり、伊香からは「ダンプに撥ねられても死なない」と言われている。当たり屋稼業として伊香やアキラと共に本格的に始動しようとするもその直前に仕掛けたシノギで全治3ヶ月の重傷を負う。しかし、相手が無免許かつ飲酒運転で大企業の御曹司だったことで3億円を入手し、伊香と共に故郷の沖縄に戻ると告げた。
関東菊水会
ツトム/沖田 努(おきた つとむ)
鷹山 忠(たかやま ただし)
安田 登(やすだ のぼる)
千葉阿久津連合会
丈二が明石組の関東進出を防いだことがきっかけで出来た、千葉全域の暴力団の連合体。白浜組を本家とする白浜一家を中心に、2000人以上の構成員からなる。白浜組は江戸時代から続く名門で数多くの分家を持っているが、七代目時代は構成員わずか五名という弱小組織だった。丈二のお陰で会全体の勢いも増すが、派閥は少数の木更津派と多数の千葉派に分かれており、木更津派が会の中核を担っていたことから一時期分裂の危機に陥ったこともある。
政岡 光利(まさおか みつとし)
風間 真司(かざま しんじ)
富山 新市(とみやま しんいち)
真鍋吉三郎(まなべ きちざぶろう)
轟 元太郎(とどろき げんたろう)
加東 慎(かとう しん)
吉田慎次郎(よしだ しんじろう)
浅田 光二(あさだ こうじ)
神戸明石組
神戸市を本拠地とする日本最大の暴力団。関東の博徒といがみ合うことが多い。
渕上 重正(ふちがみ しげまさ)
三代目神戸明石組若頭補佐→若頭・渕上組組長。現在は関東と関西の極道の共存共栄を唱えるなど穏健派の印象が強いが、昔は愚連隊を率いて明石組相手に暴れていたなど生粋の武闘派であった。その後明石組に捕まり殺されそうになるが、当時明石組に客人として訪れていた山崎の仲裁で助命された事がきっかけで山崎を尊敬している。
府中刑務所で土橋や特少ブラザーズに制裁を加えていたところを丈二に仲裁される。本来なら土橋らが先に手を出した事もあり、問答無用の状況だったが、丈二が山崎の組の若い衆だと知った事、嘆願のために土下座をする姿がかつて自分のために山崎がした姿と重なったため、本来無いはずの仲裁を受け入れる。仲裁の条件として出した「土産を持ってくること」と言う条件を丈二が想像を遥かに超える形で成したため、それがきっかけで丈二に一目置くようになり、出所後も何かと目をかけ親交を深めている。
丈二が白浜組八代目を継承する手筈を整え、また海江田組三代目を引退する時には丈二を舎弟に迎えている。三代目組長の田村の死去に伴って明石組四代目を襲名、組を割った大森との間で抗争を繰り広げる。その後、大森率いる三栄会との抗争では嘗ての武闘派時代を彷彿とさせる攻撃ぶりを発揮し、壊滅に追い込む。
田村 芳雄(たむら よしお)
大森 丈博(おおもり たけひろ)
倉田 通利(くらた みちとし)
伯野 浩二(はくの こうじ)
中田健次郎(なかた けんじろう)
台湾マフィア
王 傑臣(ワン ジィエチェン)
日本政府
安倍信太郎内閣
丈二の関わったある一件によって誕生した内閣。
法務省
警視庁
ドラマ
日本テレビ系列で7回にわたってテレビドラマ化され、ビデオが発売されている。
放映履歴
キャスト
- 阿久津丈二:的場浩司
- 島村カオリ:藤谷美和子
- 江原真悟:杉本哲太
- 山崎忠義:西岡徳馬
- 浅野洋一:菊池健一郎
- 石田一成:春田純一
- 福永孝:大森嘉之
- 佐山久:松澤一之
- 森下晶:金山一彦
- 美也子:竹内都子
- 沖田努:前田耕陽
- 渕上重正:八名信夫
- 倉田通利:斎藤洋介
- 矢野欣也:山崎りょう
- 政岡光利:山崎りょう
- 伯野浩二:デビット伊東
- 大森丈博:大和田伸也
- 松田さやか:大路恵美
OVA
東映VANIMEレーベルでOVA化され、全2巻が発売されている。
- 『代紋TAKE2』- 1993年10月25日発売。
エンディングテーマ「恋心クライマックス」 作詞・作曲 - 時正 / 編曲 - 近藤敏三 / 歌 - Z - BACK(レーベル:フォーライフレコード)
- 『代紋TAKE2 第II章』- 1995年11月25日発売。
エンディングテーマ「Yes,I do」 作詞・作曲 - 青西高嗣 / 編曲 - 坂倉雅一 / 歌 - 青西高嗣(レーベル:VAP)
キャスト
- 阿久津丈二:森川智之
- 島村カオリ:永島由子
- 江原真悟:速水奨
- 山崎忠義:小林清志
- 浅野洋一:高木渉
- 石田一成:
- 福永孝:林延年
- 佐山久:掛川裕彦
- 森下晶:
- 美也子:江森浩子
- 沖田努:磯部弘
- 渕上重正:
- 倉田通利:
- 矢野欣也:中村大樹
- 政岡光利:
- 伯野浩二:
- 大森丈博:
- 松田さやか:
- 仲西建造:松尾銀三
- 大西康雄:佐藤正治
- 土橋義実:江川央生
- 白木康二郎:塩屋浩三
- 鷹山忠:屋良有作
- 川村支店長:龍田直樹
- 山倉社長:田中和実
- 山倉夫人:中友子
備考
- 『週刊ヤングマガジン』1996年45号掲載の第315話『それぞれの「大義」』は、実在の人物(リクルート事件や東京佐川急便事件の関係者)を元にしたと思しきキャラクターの描写に問題があったようで、掲載号が回収されることとなり、単行本にも未収録である(ただし雑誌側は理由を「不適切な表現」とするに留めている)。
- 単行本冒頭に実写と漫画を組み合わせたカラー作品(多くはエロネタ)が収録されていることがある。
- 作画の渡辺が海江田組の「海」を元に代紋をデザインしたが、「海江田組は枝の組なのでトップ組織の『通し代紋』でないとおかしい」と木内に指摘され、代紋のデザインと辻褄を合わせるために八州田上連合という名称が作られた。代紋は八と田が組み合わされた意匠ということにされている。
- 初期から中期にかけて「〜だろうも(でしょうも)」という言い回しが見られる。これは自分の考えを主張したり相手に同意を求める「〜だろう?」を強調した「〜だろうが」という意味で使用される。これは関東では使用されないが、木内の出身地である福岡では「〜やろうも(でっしょうも)」という言い方が存在し、木内が全国で使用されていると思い込んでいたためこのような言い回しが生まれた。木内は漫画中のセリフも全て考えており、初期に渡辺がセリフを自己判断で変更した際、木内に「こっ酷く叱られた」(渡辺談)ため以降はそのまま掲載されていた。
参考文献
- 木内一雅、渡辺潤、ヤングマガジン編集部(編)、2003、『代紋TAKE2 COMPLETE INDEX』、講談社 ISBN 978-4063347272
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