佐渡 (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
「佐渡」(さど)は、太宰治の短編小説。
概要
あらすじ
何しに佐渡へなど行くのだろう。自分にも、わからなかった。16日に新潟の高等学校で下手な講演をした。その翌日、船に乗った。佐渡は、淋しいところだと聞いている。死ぬほど淋しいところだと聞いている。
「私」には天国よりも、地獄のほうが気にかかる。いまはまだ地獄の方角ばかりが気にかかる。けれども「私」は船室の隅に死んだ振りして寝ころんで、つくづく後悔していた。
上陸して港の暗い広場をうろうろしていると宿の客引きに声をかけられる。番頭の持っている提燈には福田旅館と書かれてあった。そこへ泊まることにし、夕食後旅館から外に出た。「よしつね」という料理屋に入り酒を頼むが、蟹、鮑、蠣、次々と料理が出てくる。
夜半、ふと眼がさめ、「私」はどぶんどぶんという波の音を聞きながら「死ぬほど淋しいところ」の酷烈な孤独感をやっと捕えた。自分の醜さを、捨てずに育てて行くよりほかはないと思った。
翌朝ごはんを食べながら「私」は女中さんに「ゆうべ、よしつねという料理屋に行ったが、つまらなかった。たてものは大きいが、悪いところだね」と言った。それからバスに乗り、相川の浜野屋という宿屋に泊まった。
備考
- 新潮カセットブック『佐渡・トカトントン』(新潮社、1987年1月22日)が発売されている。朗読は日下武史。