修道女フィデルマシリーズ
以下はWikipediaより引用
要約
『修道女フィデルマシリーズ』(しゅうどうじょフィデルマシリーズ、Sister Fidelma)は、イングランドの推理作家ピーター・トレメインによる推理小説のシリーズ。
7世紀のアイルランド・モアン王国(現在のマンスター地方)を舞台に、修道女で王の妹、弁護士・裁判官の資格も持つ美貌の女性フィデルマが探偵役を務めるシリーズ。1993年に発表された短編「まどろみの中の殺人」で初登場。
シリーズ一覧
ISBN 978-4-488-21824-9
短編集
#
収録作品(原題)
初出
邦題
舞台
収録先
Hemlock At Vespers(2000年3月)
01
Murder in Repose
1993年
まどろみの中の殺人
モアン王国のキャシャル
洞察
02
Murder by Miracle
1993年
奇蹟ゆえの死
モアン王国南西部の小島
洞察
03
Tarnished Halo
汚(けが)れた光輪(ヘイロウ)
探求
04
Abbey Sinister
不吉なる僧院
探求
05
Our Lady of Death
2000年
旅籠の幽霊
モアン王国のコメーラ山脈
叡智
06
Hemlock at Vespers
1993年
晩祷の毒人参
ラーハン王国のキルデア
洞察
07
At the Tent of Holofernes
1997年
ホロフェルネスの幕舎(ばくしゃ)
ラーハン王国のオー・ドローナ
叡智
08
A Canticle for Wulfstan
ウルフスタンへの頌歌(カンティクル)
探求
09
The High King's Sword
1993年
大王の剣
タラ
叡智
10
The Poisoned Chalice
1996年
聖餐式の毒杯
ローマ
叡智
11
Holy Blood
ゲルトルーディスの聖なる血
探求
12
A Scream from the Sepulchre
1998年
大王廟の悲鳴
タラ
叡智
13
The Horse That Died for Shame
1995年
名馬の死
ラーハン王国
洞察
14
Invitation to a Poisoning
1998年
毒殺への誘い
モアン王国のムスクレイガ
洞察
15
Those That Trespass
道に惑(まど)いて(罪、犯せし者たち)
探求
Whispers of the Dead(2004年5月)
01
Whispers of the Dead
02
Corpse on a Holy Day
03
The Astrologer Who Predicted His Own Murder
みずからの殺害を予言した占星術師(自分の殺害を予言した占星術師)
采配
04
The Blemish
05
Dark Moon Rising
06
Like a Dog Returning...
07
The Banshee
08
The Heir-Apparent
法廷推定相続人
采配
09
Who Stole the Fish?
魚泥棒は誰だ
采配
10
Cry "Wolf!"
「狼だ!」
采配
11
Scattered Thorns
12
Gold at Night
13
Death of an Icon
14
The Fosterer
養い親
采配
15
The Lost Eagle
作品の舞台・背景
エール五王国
モアン王国
ラーハン王国
宗教の違い
フィデルマの恋愛
男女の権利・社会的地位
アイルランドには、長子相続や世襲制度といった慣習はなく、最も優れた人間が上に立つべきだとブレホン法で定められている。王や族長が薨去したり廃位させられたりした際に後継者争いが生じるのを避けるために、彼らの在位中にターニシュタと呼ばれる次期継承者を予め選出しておく。
キルデアの修道院
用語
ドーリィー
アンルー
アイルランドの教育機関が授与する最高位の資格「オラヴ」に次ぐ階級で、諸王国の王ともほぼ対等な立場で会話ができる。その資格を得るためには、修道院付属の学問所、あるいは伝統的な〈詩人の学問所〉で7年から9年学ばなければならない。
オラヴ
オー・フィジェンティ
ブレホン法
数世紀に渡る実践の中で複雑化し洗練され、必要があれば改正された。17世紀まで存続していたが、18世紀に消滅した。
第40代大王オラブ・フォーラによって集大成され、3年ごとに万聖節〔サウィン・フェシュ、冬迎えの祭り〕の日に大王都タラで〈タラの祭典〉と呼ばれる慣行を確定した。アイルランド全土の裁判官・弁護士・行政官らが集まり、法律について論じ合い、必要とあらば改正するということも〈タラの祭典〉の重要な機能である。
犯罪に対して「報復的な処罰」という考え方はなく、殺人のような大罪であっても、犠牲者やその家族に対する「弁償」という形で、悪事を犯した者に何らかの有意義な仕事をさせて犠牲者に償わせるなど、慈悲の精神に富んだ法律。「障害がある者を嘲笑・侮辱してはいけない」など、障害者の庇護に関する近親者の義務が定められている。
ウィトビアにおける宗教会議
第1作『死をもちて赦されん』で、この会議中に起こった尼僧殺害事件をフィデルマがドーリィーとして解明していくところからシリーズは始まる。アイルランド教会派のフィデルマとローマ教会派のエイダルフはこの会議に出席し、初めて知り合った。
主な登場人物
フィデルマ
修道女。エール五王国のいずれの法廷にも立つことができるドーリィー(法廷弁護士)であり、アンルー(上位弁護士・裁判官)でもある。関係者の証言を集め、その矛盾を突き、数々の証拠から論理的に真実を見出す。フィデルマ自身も短編「聖餐式の毒杯」で「質問をしてその答えから論理的に結論を求めてゆくのが、私の仕事です」と述べている。
モアン王国の王家"キャシェルのオーガナハト"の王女。モアン国王コルグーの妹、先王カハルの姪、数代前の王ファルバ・フランの娘。キャシェル城で生まれ育った。「まどろみの中の殺人」ではブレホンの長から20代半ばと推察されている。すらりとした長身で、瞳の色は灰色がかった緑、被り物(ベール)の下から赤い髪が一房はみ出している。
一時期、キルデアに聖女ブリジットによって建てられた修道院で暮らしたため、「キルデアのフィデルマ」とも呼ばれる。
神学、ヘブライ語、ギリシャ語、ラテン語、ラテン文学に通暁している。タラのモラン師の元でブレホン法について8年間教育を受けた後、隣国ラーハンにあるキルデアの修道院でキリスト教に基づく幅広い学問を修めた。トゥリッド・スキアギッドという、武器を用いない護身術にも長けており、文武両道、才色兼備の女性。王の妹という自身の身分を笠に着て偉ぶることを嫌い、必要がなければ、そのことを伝えない場合も多々ある。
17歳の時、大王護衛隊の戦士と恋に落ち、愛を育んだが、彼が別の女を好きになってしまい、別れることになった。
エイダルフ
カハル
キャシェルのコルグー
作中の年表
年 | 作品 | 主な出来事 | 舞台 |
---|---|---|---|
639 | コルグーとフィデルマの父、ファルバ・フランが亡くなる | ||
662 | コルグーとフィデルマの叔父、カハル・マク・カヒルがモアン王に即位する。 | ||
「まどろみの中の殺人」 | アイルランド | ||
「奇蹟ゆえの死」 | アイルランド | ||
「大王の剣」 | シャハナサッハ、大王に即位 | アイルランド | |
「晩祷の毒人参」 | フィデルマ、アード・マハへの巡礼を決意 | アイルランド | |
664 | 664年から668年にかけて黄色疫病(イエロー・プレイグ)の猖獗期。 | ||
664 | 『死をもちて赦されん』 | ウィトビアの宗教会議 | ウィトビア(現在のイングランド) |
664 | 『サクソンの司教冠(ミトラ)』 | ローマ | |
「聖餐式の毒杯」 | ローマ | ||
665 | 『幼き子らよ、我がもとへ』 | フィデルマ、兄コルグーと数年ぶりの再会 カハル・マク・カヒル王、イエロー・プレイグで死去、ターニシュタのコルグーが王に即位 |
アイルランド |
666 | 『蛇、もっとも禍し』 | アイルランド | |
666 | 『蜘蛛の巣』 | アイルランド | |
「大王廟の悲鳴」 | 「大王の剣」より3年後 | アイルランド | |
666 | 『翳深き谷』 | アイルランド | |
666 | 『消えた修道士』 | 9月 | アイルランド |
666 | 『憐れみをなす者』 | 秋の終わりごろ | アイルランド、スペイン |
666 | 『The haunted Abbot』 | 12月 | イースト・アングリア |
667 | 『Our Lady of Darkness』 | アイルランド | |
明記 なし |
『Smoke in the wind』 | ウェールズ | |
667 | 『Badger's Moon』 | アイルランド(マンスター) | |
667 | 『The Leper's Bell』 | 11月 | アイルランド(マンスター) |
667 | 『Master of Souls』 | アイルランド | |
668 | 『A Prayer for the Damned』 | アイルランド |