元祖大四畳半大物語
以下はWikipediaより引用
要約
『元祖大四畳半大物語』(がんそだいよじょうはんだいものがたり)は、松本零士による日本の漫画。1室が四畳半の下宿である「第三下宿荘」に住む主人公、足立太(あだち ふとし)と周辺の人物の生活を描いた作品である。「別冊漫画アクション」(双葉社)誌上で1970年6月27日号から1974年2月9日号まで連載され、1980年(昭和55年)にはこれを原作とした実写映画も公開された。
作品解説
「別冊漫画アクション」でこの作品以前に連載していたSF漫画『マシンナーズ』の終了の後を受ける形で掲載された。初版コミックスの前書きによれば、『男おいどん』などに代表される「大四畳半シリーズ」のルーツであるこの作品において同作ではあえて欠落させていた「下宿」の生活を描いたとのことである。他の四畳半シリーズと違い青年誌への連載であったため、当時においては非常に過激なセックス描写なども頻繁に描かれた。
物語の舞台は1970年代の本郷である。主人公・足立太の住む第三下宿荘は年配の大家夫婦が経営する二階建てのボロアパートであり、部屋は風呂・トイレ共同の四畳半一間。太の部屋は、以前の住人が強盗犯人であったり、部屋で首吊り自殺をした女性や、心中した学生、踏み切りに飛び込んだ女性がいたりと、何かといわくつきの部屋である。
あらすじ
青雲の志を抱いて九州から上京してきた青年、足立太は安アパート「第三下宿荘」に住みつつ、いつか大物になるという志を実現するために日夜奮闘するも報われず、無為な毎日を過ごしている。無芸大食人畜無害を標榜する彼の周りには、一癖ある人々がまとわりつき、毎日騒動が起こるのであった。
登場人物
第三下宿荘の住人
足立太(あだち ふとし)
ジュリー
ジュン
オジさん
足立と関係を持った女性
※ ここでは、ジュン以外の女性を挙げる。
映画
にっかつで実写映画化され、1980年8月16日に公開。宣伝ポスターのキャッチコピーは「夢と希望と野心に燃えて おいどん青春、十九歳!」。同時上映は『鉄騎兵、跳んだ』。性描写のある本作の映像化にあたり、原作者の松本と日活ロマンポルノ作品の監督を多数務めた曽根中生による共同監督となっている。2002年8月23日にDVDがリリースされたが間もなく廃盤。2018年10月に幻の映画復刻レーベルDIGから新装DVDとして再発された。
スタッフ
- 原作:松本零士
- 企画:佐々木志郎、進藤貴美男
- プロデューサー:三浦朗
- 脚本:熊谷禄朗、曽根中生
- 撮影:森勝
- 美術:柳生一夫
- 照明:木村誠作
- 音楽:大野真澄
- 製作:フォーシーズン
- 録音:小野寺修
- 編集:山田真司
- 技斗:高瀬道場
- 助監督:堀内靖博
- 色彩計測:森島章雄
- 現像:東洋現像所
- 製作担当者:服部紹男
- 製作協力:株式会社ダイエー
- 監督:曽根中生、松本零士
- 配給:にっかつ
- 製作:フォーシーズン
キャスト
- 足立太:山口洋司(新人)
- ジュリー:前川清
- ジュン:篠ひろ子
- ジイさん:若宮大祐
- ばあさん:原泉
- マーちゃん:ラビット関根
- 底力:ガッツ石松
- ラーメン屋の親父:左右田一平
- 早苗:松本ちえこ
- 健二:林ゆたか
- 鈴木巡査:日野道夫
- 坂金:坂田金太郎
- トラボータ:ジェームス・ハント
- 山谷初男、深見博、弘松三郎、庄司三郎、高瀬将嗣、山科ゆり、森みどり、吉沢由起
- クラブ「ジョイ」:エル、なぎさ、まりか、あき
主題歌
- 「止まらない汽車」(歌:加藤登紀子)
- 作詞・作曲:加藤登紀子/編曲:若草恵
- 作詞・作曲:加藤登紀子/編曲:若草恵
製作
足立太役の山口洋司(やまぐち ようじ、1961年6月19日 - )は一般のオーディションで選ばれ、その後1982年公開の『胸さわぎの放課後』にも出演した。
ロケ地
冒頭は東京文京区本郷三丁目交差点で、その後カメラが本郷三丁目駅構内を通り抜ける。駅の通り抜けは50分ぐらいのところでもう一度ある。本郷三丁目交差点にある本富士警察署本郷交番が劇中2度出る。他に「本郷四丁目9」の街区表示板などが出るが、主人公の住む木造二階建て下宿屋「第三下宿荘」設定の建物入口に「本郷二丁目三拾六番地」、建物の角に「本郷二丁目36」と街区表示板が掛かっている。現存する燃料などを扱う大村屋と並んで映るため、下宿屋は同店の所有地なのかもしれない。下宿屋の向かいの建物に「本郷二丁目37」と街区表示板が掛かっており、後半に足立太(山口洋司)とジュリー(前川清)が空き地でジュンの写真を燃やすシーンで、足立の後ろの春日通り沿いに前年竣工した煉瓦色のマンション・サン〇ァミリー本郷が映る。下宿屋は南北に建っており、前面の道は現在はない。ラスト近くで花嫁姿の早苗(松本ちえこ)が下宿屋の前で車から降り、下宿屋の玄関から中へ入る場面は、ロケ場所と下宿屋の内部を2カットで繋いでおり、近所の人たちが中を覗く後ろにベニヤ板のような物が映り、下宿屋の内部は全てセットと分かる。下宿屋は玄関を入ると左手が大家夫婦が住む部屋、正面の少し進んだところから二階に上がる階段がある。階段を上がった二階のすぐ右手が主人公足立が住む部屋、向かいがジュリーとジュンが住む部屋、二階廊下の突き当りがおかまのマーちゃん(関根勤)の部屋。下宿屋は南北に建っているため、東西の幅は狭い。このレイアウトでは二階の階段を上がると西側はすぐ壁面になるはずで、おかまのマーちゃんの部屋は取れない。
「知らんぞ、わしゃ何にも知らんぞ」が口癖の下宿屋の主人が「アイク訪日 ギリギリの綱引き」と見出しが書かれた新聞を読み、ラストも主人公がランニングシャツ一枚で汗をかいて寝るシーンで終わるため、本作の時代設定は1960年春から夏にかけてである。映画の撮影は1980年頃と考えられるため、実際の本郷の景観とは20年の開きがある。下宿屋の周辺を俯瞰で撮ったシーンがあるが、当時は木造の一軒家や日本のアパートが密集しているが、更に40年経った2023年では一軒家はほとんどなく、ビルが林立している。
備考
2018年10月発売のDVDでは、本編が始まる前に「製作者の意図を尊重し、劇場公開のまま収録しています」とテロップが出る。マーちゃん(関根勤)ら、ニューハーフに「お〇ま」「男か〇か分からん」と言ったり、キャバレーのホステスが 「たんたんたぬき」の歌詞「それを見ていた親だぬき」の「親」の部分を「メ〇」と変えて歌う場面や、後半屋台で足立とジュリーが飲む場面で、足立がヤ〇ザのジュリーに「非生産型の劣〇人間」などと言うシーンがそれに該当するものと見られる。
ヌ〇ドや濡〇場はない。
他作品での登場
『銀河鉄道999』の1エピソード「大四畳半惑星の幻想」において、本作のキャラクターが登場する。『999』では昭和30年代の日本の町並みそっくりの景観を持つ惑星「明日の星」の住民という設定である。また、掲載誌が「少年キング」という少年誌ということもあり、過激な性描写はない。
この惑星でパスをなくした星野鉄郎とメーテルは足立太の隣室に間借りすることとなった。TV版では太の声を千葉繁が担当している。売れない漫画家という設定で、飛び去って行く999号を下宿の窓から目撃したことで「生涯最高傑作」のテーマ(「銀河鉄道999」のこと)を思いつく。
このほか、松本が関わったロボットアニメ『惑星ロボ ダンガードA』にも、足立太という名前で本作の主人公と同名な上に、容姿もそのままなキャラクターが登場している。声は緒方賢一が担当。