公権力横領捜査官 中坊林太郎
漫画
原作・原案など:佐高信,
作画:原哲夫,
出版社:集英社,
掲載誌:BART3230,
レーベル:スーパー・プレイボーイ・コミックス,
巻数:全2巻,
話数:全19話,
以下はWikipediaより引用
要約
『公権力横領捜査官 中坊林太郎』(こうけんりょくおうりょうそうさかん なかぼうりんたろう)は、原哲夫による日本の漫画作品。1998年10月号より『BART3230』(集英社)に連載されたが、掲載誌の休刊(2000年4月号)と同時に打ち切りとなった(ストーリーは完結している)。監修:佐高信。
ストーリー
日本経済が混迷を極め続ける頃、先進国の首脳たちは日本経済の回復、ひいては世界経済の安定のため、強権を発動し公権力横領罪法を制定させる。様々な特権を持つ公権力横領取締室による調査の元、公権力を乱用し私腹を肥やした者には最低5年の懲役、加えて財産没収という、憲法違反ギリギリの時限立法である。
その公権力横領捜査官の一人、中坊林太郎は、とんでもない強引な手段で銀行や政治家を相手取り、不法な財産を没収していく。
登場人物
公権力横領取締室
時限立法「公権力横領罪法」により設立された、内閣官房直属の汚職取締機関。捜査官は公務員身分ではなく、職務で回収した裏金の1/10を報酬として与えられる、いわば現代の賞金稼ぎ。司法取引、証人保護プログラム、銃発砲、SATや自衛隊の動員等の様々な特権を与えられている。
中坊 林太郎(なかぼう りんたろう)
本作の主人公。公権力横領取締室の捜査官。東西銀行とその周辺の調査を担当しており、支店からの転勤を装って東西銀行本店に潜入する。その際には林 太郎(はやし たろう)と名乗り、髪を撫でつけ、黒ブチ眼鏡をかけた腰の低いサラリーマンとして振舞う。素性は不明で、内閣情報調査室や各国諜報機関でも、生まれた痕跡すら掴めない。唯一、年齢は34歳である事が判明している。
人を食ったような言動で、どんな時でも余裕のある態度を崩さない。他の原哲夫作品の主人公の様な「超人的な身体能力」は無いが、体格には恵まれ、外国語にも堪能で、図抜けた度胸、圧倒的な情報力・権力・策略で敵を弄び、強引な手段で不良債権を回収する。
詳しい経緯は描かれていないが、父親が目の前で射殺されている。これに言及されると癪に障るらしく、「林 太郎」としての温厚な顔は鳴りを潜め、豪快に葉巻を吸い散らかす尊大な態度へと急変し、決め台詞「親は関係ねえだろ、親は!」が飛び出す。
苗字と仕事内容から分かるように、中坊公平をモデルとしているが、原哲夫の奔放な味付けによって、更に過激な人物として描かれている。
作者もこの人物がかなり気に入ったようで、後の『蒼天の拳』は「中坊林太郎が北斗神拳を使えたら?」という発想から企画がスタートしたとの事。その主人公である霞拳志郎も変装中は髪を撫でつけ、黒ブチ眼鏡をかけている。
虹野 誠一(にじの せいいち)
東西銀行総務部二課の元課長。裏の汚い仕事をこなすエリートバンカーだったが、検察に嗅ぎつけられ、悪事がばれて経歴に傷が付く事を恐れて飛び込み自殺する。銀行はそれを奇貨として彼に全ての責任を押し付けてしまった。
しかし、中坊の計らいにより生き延びており、家族の安全を保障してもらう代わりに、彼に協力することになる。
一度覚えた事は忘れられないという能力の持ち主であり(一種の記憶障害らしい)、裏金の帳簿を全て記憶させられ、「歩く裏帳簿」という異名をとっていた。
銀行に人生の全てを捧げてきた、いわゆる社畜であり、銀行に裏切られた後もなかなかその癖が抜けず、たびたび中坊に揶揄される。
ちなみに『蒼天の拳』の霞拳志郎も「一度覚えた事を忘れない」能力を持っており、同作には他にも同じ能力を持つ人物が登場している。
業田 竜彦(ごうだ たつひこ)
業田開発の2代目若社長。ニューマリアンカントリークラブを経営。武闘派の談合屋として知られ、筋骨逞しい肉体の持ち主。大河原代議士と癒着し、公共事業をわざとポシャらせ、金を巻き上げていた。
実は民自党元副総裁・松丸稲次郎の隠し子。中坊により逮捕され、隠し子である事がバレそうになったために、側近に殺害されるところを、証人保護プログラムで保護された。以降は中坊に協力するようになる。
元は本格派左腕として東京六大学野球で活躍するスター選手だったが、ドラフト直前に仕組まれた暴力事件に巻き込まれ、殺し屋に左腕の腱を切られプロへの道を断念する。後遺症は現在も重く、左腕ではそっと投げられたコーヒー缶を上手くキャッチすることすらできない。その事件も、実の父親である松丸が仕組んだことだったと中坊に気づかされ、復讐の念を燃やす。
東西銀行
日本国内店舗数300、日本国外店舗数27を誇る大手都市銀行。東陽銀行と西部銀行の合併により誕生。以前は生え抜きの社員たちによって健全な経営がなされていたが、バブル以降は大蔵省(当時)・日本銀行からの天下りが経営陣の主流となり、政治家や彼らと癒着している企業の財布代わりになっていた。天下り組による乱脈経営がたたり、公的資金による救済が必要な状況にまで追い込まれているが、危機感を持つ行員はほとんどいなかった。
木暮 泰造(こぐれ たいぞう)
東西銀行の常務取締役(総務担当)。虹野の上司だったが、虹野が自殺したのをいい事に、全ての責任を彼に押し付けた。
大した出世の望めない三流私立大学の夜間部出身だったが、バブル期に天下り組と生え抜き組がぶつかった際、天下り組に寝返り、生え抜き組を次々と閑職に追いやるなどの汚れ役を引き受ける事で、現在の地位を手に入れた。
しかし、彼もまた虹野同様に社畜であり、東西銀行が潰れる直前に天下り組に切り捨てられ、次期頭取の座を押し付けられることになる。そのことにより目が覚め、中坊の指示を受け容れて、天下り組を逆に追い出す事を決める。
元々は素朴で正直、がむしゃらに働いては失敗して怒られていた、平凡な一個人であった。かつての上司だった柳川と再会してからは本来の優しさ、新人時代に抱いた銀行員としての矜持を取り戻したようである。ミルクティーが好物で、意外と子供好き。
名前のモデルは西部警察の木暮謙三。
柳川 徹(やながわ とおる)
三島 哲也(みしま てつや)
元日銀理事で、東西銀行前会長、現相談役。天下り組のリーダーとして、民自党の松丸や末野松達と共に私腹を肥やしていた。
中坊達の不良債権回収により東西銀行が大波乱に陥った際、全ての責任を木暮に押し付け、自分は現頭取の長谷川と共に引退しようとするが、中坊の根回しにより取締役会で逆転負けし、解任に追い込まれる。天下り派にも裏切られたショックで心臓発作を起こし、入院するハメになる。
後に再起を賭け松丸や末野松に接触するも見捨てられ、自身の価値を「無能」と罵られ、挙句「君は死ぬまで病院で寝とれ」と蔑まれる。なけなしの金で高級料亭のひっくり返された料理の払いをさせられ、失意の中呆然と帰ってゆく。最期は、雨の降る公園でブランコに乗ったまま息絶えた。
その死に様にはさすがの中坊も一瞬言葉を失い、「俺が追いこむまでもなく、止めを刺されちまったな…」と素直な感想を述べている。悪党には容赦しない言葉や態度を投げかける中坊としては珍しいことである。
長谷川 隆(はせがわ たかし)
今藤 勇美(こんどう いさみ)
白鳥 響子(しらとり きょうこ)
大村 純太(おおむら じゅんた)
政界・官僚
松丸 稲次郎(まつまる いねじろう)
大河原 慶介(おおがわら けいすけ)
沢田 幸四郎(さわだ こうしろう)
森下 信吾(もりした しんご)
村西 尚典(むらにし なおのり)
藤谷 源五郎(ふじや げんごろう)
末野松不動産
東西銀行の成立時に合併前の不良債権を全て買い取り、掃き溜めになることで経営陣に深く食い込んだ。
末野松 政次郎(すえのまつ せいじろう)
欧米諸国
その他
佐々木 直人(ささき なおと)
斉藤(さいとう)
山猫(やまねこ)
単行本
スーパー・プレイボーイ・コミックスから全2巻で単行本が発売された。また、ゼノンコミックスから再版されている。
プレイボーイコミックス
- 公権力横領捜査官 中坊林太郎(1) 1999年9月22日発売 ISBN 4-08-857406-0
- 公権力横領捜査官 中坊林太郎(2) 2000年4月24日発売 ISBN 4-08-857050-2
ゼノンコミックス
- 公権力横領捜査官 中坊林太郎(1) 2011年3月22日発売 ISBN 978-4-199-80006-1
- 公権力横領捜査官 中坊林太郎(2) 2011年4月20日発売 ISBN 978-4-199-80014-6