小説

告訴せず




以下はWikipediaより引用

要約

『告訴せず』(こくそせず)は、松本清張の長編小説。「黒の挨拶」第1話として『週刊朝日』に連載され(1973年1月12日号 - 11月30日号)、加筆の上、1974年2月に光文社(カッパ・ノベルス)から刊行された。「告訴できない」犯罪を利用し、拐帯金と共に蒸発した男の転生計画を描く、長編クライム・サスペンス。

1975年に東宝系で映画化されている。

あらすじ

総選挙の行われている最中、木谷省吾は、義弟の代議士・大井芳太が非公式に得ていた、違法な出所の選挙資金を抱え、逃走した。木谷を告訴しても、それは大井芳太の選挙違反の暴露を意味するため、警察も立件することができない。勝利を感じた木谷だったが、逃避行を続ける間に、温泉旅館の女中・お篠から、高崎市近くに在する比礼神社の、穀物の出来高に関する神託が、よく的中するという話を耳にする。神主から「今年の小豆は凶作」という託宣を受けた木谷は、資金拡張のため、「福山誠造」の偽名を使い、小豆相場への投資を始めた。

追跡者の影に怯え、また相場動向への一喜一憂が続いたが、託宣通り、勝ち逃げに成功し、新しい商売も無事始められるように思われた。だが…。

主な登場人物

原作における設定を記述。

木谷省吾

岡山県・美作地方のA市で、駅前に大衆食堂を開いていたが、義弟の大井芳太にこき使われ、妻の春子からも馬鹿にされる鬱屈した日々を送っていた。保守党派閥の裏金の受取のため東京に派遣されていたが、その帰路、金とともに逐電する。46歳。
お篠

群馬県・水上温泉の旅館で、面白味皆無の女中人生を送っていたが、木谷の誘いを受け同棲、福島県・白河でのモーテル運営を夢見る。本名は浜島シノ。
小柳一男

日本橋蛎殻町で穀物仲買を行っている平仙物産の外務課副課長。小豆相場に関する申し出を受け木谷担当の係となり、相場の動向を随時報告する。
大場平太郎

平仙物産に出入りし、相場に手を出している老人。今ではすっかり零落したように見えるが、戦前は、立憲政友会の院外団として活動していたとされる。某一流会社の課長をしている息子から小遣いをもらい、細々と相場をやっていると自称していたが、その裏では……。
大井芳太

岡山県・K郡を地盤とする保守党系代議士。妻は木谷の妻・春子の妹。うだつが上がらない義兄を小馬鹿にし、派閥の裏金受取の使者にするなど便利に使っていたが、選挙資金として受け取らせた3000万円を持ち逃げされる。当の選挙は、苦戦が予想されるも、何とか当選する。一時木谷が警察に確保され、照会を受けるも、資金のことは否定せざるを得なくなる。
光岡寅太郎

大井の側近で選挙参謀。地元の暴力団と関係を持つ。本業はハムとソーセージの製造会社の社長。
山脇盛太郎

平仙物産の営業部主任。平仙物産に入ってきた木谷に最初に対応する。小豆先物取引をよく知らない木谷に、初歩的知識を教える。
森山寛之

白河の不動産屋・真砂商事の社長。50過ぎの血色のよい、禿頭の男で、人当たりがよい。営業が出払っていたため、モーテル用地を物色していた木谷らを連れ、自ら周辺を案内する。

映画

1975年2月1日公開。製作は、芸苑社・東宝映画。配給は東宝。現在はDVD化されている。

キャスト
  • 青島幸男(木谷省吾)
  • 江波杏子(お篠)
  • 渡辺文雄(木谷芳太)
  • 悠木千帆(木谷春子)
  • 西村晃(光岡寅太郎)
  • 小沢栄太郎(宗近健太郎・大臣)
  • 加藤嘉(大場老人)
  • 小松方正(森山寛之)
  • 村井国夫(小柳一男・「平仙物産」営業係長)
  • 高森玄(刑事A)
  • 浜村純(神官)
  • 天本英世(神官)
  • 稲葉義男(警察署長)
  • 佐原健二(間宮・中田派議員の秘書)
  • 加藤和夫(佐藤・宗近大臣の秘書)
  • 五藤雅博(山脇盛太郎・「平仙物産」営業部長)
  • 森下哲夫(「平仙物産」社員A)
  • 長沢大(銀行係長)
  • 武藤章生(医者)
  • 勝部義夫(「平仙物産」社員B)
  • 森大河(若い男)
  • 石井宏明(銀行支店長)
  • 鈴木治夫(刑事B)
  • 右京ちあき(窓口の女子行員)
  • 加藤茂雄(集金人)
  • 高木真二(中井健・光岡の手下)
  • 八代駿(コックA)
  • 門脇三郎(コックB)
  • 川口節子(「平仙物産」女子社員)
  • 記平佳枝(ホステス)
  • 伊東光一(後援者)
  • 徳光和夫(TVアナウンサー)
  • 豊島泰三(山崎候補者)
  • 夏木順平(大浴場の客)*ノンクレジット


スタッフ
  • 監督:堀川弘通
  • 製作:市川喜一、森岡道夫
  • 脚本:山田信夫
  • 撮影:福沢康道
  • 音楽:佐藤勝
  • 美術:薩谷和夫
  • 録音:坂井長七郎
  • 照明:平野清久
  • 編集:黒岩義民
  • スチール:岩井隆志
  • 助監督:今村一平
  • 合成:松田博
  • 効果:東宝効果集団
  • 整音:東宝録音センター
  • 現像:東京現像所
  • 製作担当者:徳増俊郎
同時上映

『どてらい男』

  • 原作:花登筺 / 脚本:田坂啓 / 監督:古澤憲吾 / 主演:西郷輝彦 / 東京映画作品