小説

唐人お吉 (小説)


題材:芸妓,

舞台:下田市,幕末,



以下はWikipediaより引用

要約

『唐人お吉』(とうじんおきち)は、1928年(昭和3年)に発表された十一谷義三郎による日本の小説であり、同作を原作とし、1930年(昭和5年)に日活太秦撮影所が製作し、溝口健二が監督した日本のサイレント映画である。同作は、同撮影所が日活京都撮影所と改称したのちの1937年(昭和12年)に、池田富保を監督に『唐人お吉 黒船情話』のタイトルでリメイクしている。リメイク作品も含めて本項で詳述する。

略歴・概要

実在する人物・斎藤きちに取材し、1927年(昭和2年)に村松春水が発表した『実話唐人お吉』の版権を買い取った新感覚派の小説家・十一谷義三郎が、翌1928年(昭和3年)に『中央公論』に掲載したのが初出であり、引き続き1929年(昭和4年)から1930年(昭和5年)にかけて東京朝日新聞に連載した。1929年に万里閣書房から上梓した単行本は『中央公論』版であり、本作のほかに、村松春水による『唐人お吉を語る』、十一谷の『くろふね耳袋』も収録されている。本作は新聞連載開始の翌年に映画化された。十一谷は本作によって国民文芸賞を受賞した。

話題の小説を最初に映画化したのは、1930年(昭和5年)、京都の日活太秦撮影所で、十一谷の原作を畑本秋一が脚色、溝口健二が監督した。しかし同タイトルの映画『唐人お吉』を東京の河合映画製作社(のちの大都映画)が早撮りし、しかも村松春水の『実話唐人お吉』を原作として八尋不二が脚色、村越章二郎が監督し、溝口版よりも1か月早い同年6月6日に公開している。日活京都撮影所(日活太秦撮影所を改称)は、1937年(昭和12年)、溝口版をトーキーリメイク、十一谷の原作を滝川紅葉が脚色、池田富保が監督して、同年6月17日に公開した。

十一谷原作以外にも、上記の村越版も含めて「唐人お吉」をテーマとした映画作品は、合計7作存在する。

溝口健二の『唐人お吉』、池田富保の『唐人お吉 黒船情話』は、いずれも東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されておらず、いずれもマツダ映画社の「主な所蔵リスト」には掲載されていない。溝口健二の『唐人お吉』に関しては「4分」のフィルム断片が現存しており、同じ溝口の監督作でほぼオリジナルに近い形で現存する『折鶴お千』(1935年)とのカップリングでDVDに収録され、デジタル・ミームがTalking Silentsの第2集として、2007年(平成19年)10月24日にリリースしている。

小説『唐人お吉』は、2020年4月現在、すべて絶版である。青空文庫には収録されていないが、国立国会図書館の「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録されており、閲覧・ダウンロードが可能である。

1930年版

『唐人お吉』(とうじんおきち)は、1930年(昭和5年)製作・公開、日活太秦撮影所製作、日活配給による日本のサイレント映画、女性映画である。本篇の大部分は散逸しているが、「4分」のフィルム断片が現存する。

スタッフ・作品データ
  • 監督 : 溝口健二
  • 原作 : 十一谷義三郎
  • 脚色 : 畑本秋一
  • 撮影 : 横田達之、伊佐山三郎
  • 装置 : 榎本寅蔵
  • 助監督 : 安積幸二、坂根田鶴子
  • 製作 : 日活太秦撮影所
  • 上映時間(巻数 / メートル) : 約130分(12巻 / 3,152メートル)
  • フォーマット : 白黒映画 - スタンダードサイズ(1.33:1) - サイレント映画
  • 初回興行 : 浅草・富士館
キャスト
  • 山本嘉一 - ハリス
  • 梅村蓉子 - お吉
  • 島耕二 - 鶴松
  • 滝花久子/佐久間妙子 - お福
  • 一木札二 - ヒュースケン
  • 菅井一郎 - 伝吉
  • 浦辺粂子 - その女房 お松
  • 三桝豊 - 伊佐新次郎
  • 田村邦男 - 松
  • 村田宏寿 - 深亜(支那人)
  • 谷幹一 - 鈴木三右衛門
  • 高木永二 - 阿部伊勢守
  • 土井平太郎 - 水戸斉昭
  • 横山運平 - 中村出羽守
  • 大寺正二郎 - 刺青男
  • 一色あけみ - お菊(お吉の女中)
  • 大原仁美 - 斎藤準之丞
  • 吉井康 - 井上信濃守
  • 斎藤紫香 - 通訳
1937年版

『唐人お吉 黒船情話』(とうじんおきち くろふねじょうわ)は、1937年(昭和12年)製作・公開、日活京都撮影所製作、日活配給による日本の長篇劇映画、女性映画である。本作のフィルムは散逸しており、現在観賞することができない。

スタッフ・作品データ
  • 監督 : 池田富保
  • 原作 : 十一谷義三郎
  • 脚色 : 滝川紅葉
  • 撮影 : 谷本精史
  • 録音 : 海原幸夫
  • 音楽 : 西悟郎
  • 製作 : 日活京都撮影所
  • 上映時間(巻数 / メートル) : 約100分(9巻 / 2,743メートル)
  • フォーマット : 白黒映画 - スタンダードサイズ(1.33:1) - モノラル録音
  • 初回興行 : 浅草・富士館
キャスト
  • 花井蘭子 - お吉
  • 尾上菊太郎 - 鶴松
  • 高木永二 - ハリス
  • 井上ジョン - ヒュースケン
  • 鬼頭善一郎 - 中村出羽守
  • 若松文男 - 井上信濃守
  • 香川良介 - 組頭伊佐新次郎
  • 伊庭駿三郎 - 大工松蔵
  • 松本秀太郎 - ブチヤフ
  • 藤川三之祐 - 漁師八助
  • 尾上桃華 - 漁師島六
  • 水ノ江澄子 - 女房おかつ
  • 衣笠淳子 - 下女お菊
  • 大崎史郎 - 名主半兵衛
  • 今成平九郎 - 攘夷党鮫島一平
  • 高松文磨 - 大工勘太
  • 桜木梅子 - お福
  • 伊田兼美 - 若菜三男三郎
  • 石川秀道 - 松村忠次郎
  • 島田照夫 - ボーイ竹三
  • 磯川勝彦 - 棟梁兼五郎
ビブリオグラフィ

国立国会図書館蔵書。

  • 『唐人お吉』、万里閣書房、1929年
  • 『時の敗者唐人お吉』、新潮社、1930年
  • 『時の敗者唐人お吉 続篇』、新潮社、1930年
  • 『唐人お吉』、改造文庫 第2部 第207篇、改造社、1932年
  • 『時の敗者唐人お吉』、改造文庫 第2部 第208篇、改造社、1932年
  • 『唐人お吉 続』、日本小説文庫 17、春陽堂、1932年
  • 『現代日本小説大系 第44巻』、日本近代文学研究会、河出書房、1950年
  • 『現代日本文学全集 第79』、筑摩書房、1956年
  • 『現代日本小説大系 第46-47巻』、日本近代文学研究会、河出書房、1956年
  • 『現代日本文学大系 62』、筑摩書房、1973年
関連事項
  • 唐人お吉 - 曖昧さ回避
  • 斎藤きち - 小説・戯曲・映画のリスト
  • 唐人お吉 (1954年の映画)(英語版)