喧嘩ラーメン
以下はWikipediaより引用
要約
『喧嘩ラーメン』(けんかラーメン)は、土山しげるによる日本の漫画作品。
概要・解説
『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)にて、1995年6月から1998年7月まで連載。ヤクザ・アウトローを題材にした劇画作品が多かった作者にとって初のグルメ漫画であり、ひさしぶりの原作者なしの単独作と思われる。
土山しげるは、既に『極道ステーキ』などの作品で高い評価を得、1993年頃には月に300頁を描くようになっていた。しかし、43歳の時、過労で倒れ入院を余儀なくされた。その際、病院食の不味さから「食漫画」を描きたいという意欲が生まれた。病室に見舞いに来た『週刊漫画ゴラク』の編集長に構想を伝えると、その場で『喧嘩ラーメン』の連載が決まったという。本作は、望月三起也に弟子入りして初めて携わった『突撃ラーメン』へのオマージュでもある。
連載初期は作者がそれまで得意としていたヤクザ漫画と同様にバイオレンス要素が強くヤクザが絡んできたりしたが、すぐにそういう要素は薄くなった。本作品からの特徴として、主人公が旅をしながら、物語が展開するというロードムービー的手法を用いており、豪快かつ、けれんみあふれる演出とともに土山ワールドともいえる手法がほぼ確立した。とはいえ、のちの作品とともに主人公がアウトローということには変わりなく、食を題材とした股旅物といえるのかも知れない。
単行本は日本文芸社より全17巻。またコンビニ向け廉価コミックも名古屋・岐阜編、広島編などのように区切りごとに出されている。
あらすじ
主人公・源田義経は市内の暴走族の総長にして、M市随一といわれるラーメンの名店「がんてつラーメン」の息子。しかしその店主である父は無理がたたって入院してしまうが、ラーメンチェーン店の陰謀に巻き込まれて勝負を余儀なくされてしまう。義経はその対決に勝利するが、相手の凄腕ラーメン職人・牛嶋の作った次世代指向のとんこつラーメンを食べて衝撃を受ける。次世代のラーメンはとんこつにあり、ということ知った義経は、西へ向けて修行の旅に出る。
登場人物
源田 義経
本編の主人公。
リーゼント頭がトレードマークの暴走族「沙羅満陀」の総長で、実家は関東にあるM市にあるラーメン屋「がんてつラーメン」。
短気な熱血漢で少々暴走することもある乱暴な一面があるが、基本的に困っている人間を見ると放っておけない人情味あふれる青年である。
ラーメン作りに対しては情熱と才能を併せ持っており、M市1と謳われるがんてつラーメンを(未熟ながら)コピーする、通常半年はかかる拉麺修行を一週間で修了する、思いもよらない食材・常識はずれの具材を用いて誰もが感服するラーメンを数日で完成させるなど、類稀なるセンスを持つ。
そんな中で、ラーメン対決の際に牛嶋が作ったトンコツラーメンの味に感服し、修行のために九州への旅へ出る。
その道中で美味しいラーメンや困ったラーメン屋店主に幾度となく遭遇し、修行の一環と称して新たなラーメンを作り勝負を行っている。
八丁味噌や鹿児島料理など、自分の口には合わないと思う味でも、地元の人々がその味に愛着を持ち、定着しているなら合わせなければならないという柔軟な思考も出来る。
父とは不仲だが、墓石を買うために貯金をしているなど夭折した母親のことは今でも大事に思っている。
缶ビール1杯でダウンしてしまうほどの下戸であり、それが元でトラブルに巻き込まれることもある。
また、話術が得意であり、博多編や鹿児島編では自分の武勇伝や伝統ラーメンの歴史を語り客を集めている様子が度々見られる。
『喰いしん坊!』にも、彼そっくりのキャラ「とんこつラーメン『よしつね』店主」が登場している。
早漏である。
源田 巌鉄
義経の母
西山
鳥きんの主人
円城寺
牛嶋
巨体のラーメン職人。豚骨ラーメン作りを得意とし、義経がラーメン修行の旅に出るきっかけを与える。
二十年に渡り各地を渡り歩きこれはと思う店には飛び入りでテコ入れをし、技術を習得すると共にA級店としての大繁盛をもたらし続けた伝説の職人。
初登場時は大番屋の一支店の店長で、鋭敏な味覚を持つもその才能を金儲けのためにのみ使う金の亡者として描かれ、粗暴な性格で店の従業員への暴力や理不尽な解雇などが絶えなかった。
がんてつラーメンと大番屋との勝負で義経に敗れた(義経自身は実質自分の負けと認めている)あとは、義経と同じく各地を放浪。
たびたび義経の前に姿や名前を表し、義経の壁として存在感を発揮していた。
岐阜編では織田獅子丸の策略で店が全焼した後、使用していた味噌を義経に渡すことで手助けしている。
濱口龍之介
竜神 拓也
花岡美佐子
静岡の屋台「大助ラーメン」店主。
鰻とラーメンが好物のトラックドライバー、花岡大助の妻だったが、大助は事故死。
残された娘の琴美を育てるためと、大助の供養のため、鰻の蒲焼のタレを隠し味にしたラーメンをつくり、ドライバーの間で人気となっている。元々は大助のドライバー仲間が、多少不味くても美佐子を助けるために自分たちだけでも食べに来て応援しようとしていたが、その美味しさからすぐに大評判となった。
屋台での仕事が重労働なため、大助ラーメンは1日限定50食しか作らないので、ドライバーは競争するように大助ラーメンを食べに来る。
美人だが義経の世代から見ればおばさんであり、彼がおばさんを連呼するのに激怒するドライバーを嗜めている。
地元の食堂兼土産物店「みなとや」から立ち退きを迫られており、更に屋台でのラーメン作りが体力的に負担となっていることで苦悩している。
当初は義経にラーメン作りを教えていたが、後に「みなとや」のラーメンコーナーを自由に使えるという賞品を賭けて「みなとや」側についた義経と勝負することになる。
徳川
織田獅子丸
岐阜の老舗「今川屋」の従業員。
元は京都のフレンチレストランのセカンドだったが、「大衆の味はラーメンに有り」の考えからその座を捨ててラーメン修行に出たという経緯を持つ。
かなり強い野心を持つ男であり、夢はラーメン界の頂点に君臨すること。そのためならどのような汚い手も厭わない残忍さを持つ。
今川屋は当初は「麺ランドパーク」岐阜代表決定対決に不参加を決めていたが、それに納得が行かない獅子丸は主人を策略によって入院させ、今川屋を乗っ取る。
さらにあけち家への付け火、「麺ランドパーク」斎藤道三郎との裏取引を行い、岐阜代表を確定的にさせる。
後年、作者の別作品『極食キング』に登場。本作の10年後である事が作中で明示され、主人公北方歳三との対決など紆余曲折の末「今川屋」を再建する事になる。
平瀬 清盛
花田 美蘭
黒崎 竜二
南郷 大吉
鹿児島ラーメンの名店「ラーメン南洲館」の店主。
義経の挑発にも全く動じず、事故を起こした従業員にもきつく説教することのない心の広さを持つ。
心優しい性格であり、加賀屋の妹が入院しているということで病院の患者に無償でラーメンを振る舞っている。
カリスマ性はかなりのものであり、従業員には慕われている。
また、体も頑丈であり、常人では死亡してしまう高さと場所から突き落とされても命を落とさない。
逆恨みで自身を陥れた小久保に対しても最終的には許すなど、度量が広い。
世界観を同じくする「極食キング」にも登場しており、獅子丸の経営する「口福倶楽部」の評判を聞き、ラーメンの参考になればと思い京都まで遠征に来ていたが、実際に味わって何ら得るものがないと分かり落胆していたところで同作の主人公北方歳三と出会い懇意になる。同じ本作からの客演だが、獅子丸とは本作でも極食キングでも全く面識はない。
加賀屋研吾
小久保忠兵衛
「小久保製麺所」社長。
学生時代に不良に暴力を受けており、それを南郷に救ってもらった経験を持つ。
しかし、年下である南郷に助けられたこと、そして南郷が次々と功績を立てていくことでコンプレックスを増幅させていく。
そのコンプレックスは、一字違いの「ラーメン南州館」を開き、加賀屋を取り込むことで南郷を破滅させることに傾倒していった。
製麺技術はかなりのものであり、義経と加賀屋が作ったラーメンの「麺が5分でのびる」という弱点を難なく解決している。
加賀屋の妹を人質に取った際、逆らうと妹がどうなるか分からない旨を述べているが、実際には大学病院でしっかりとした治療を受けさせており、性格が根っから腐っていたわけではなく、南郷の優しさを受けて最後には改心する。
オリジナルビデオ版
1996年、ケイエスエスの製作にて「メン道一代 喧嘩ラーメン」のタイトルでオリジナルビデオ版がリリースされた。
キャスト
- 義経:野村祐人
- 牛嶋:小西博之
- レミ:沢木麻美
- 鉄五郎:渡辺哲
- 長倉大介
- 鳥金:不破万作
- 片桐竜次
- 特別出演:周富輝
- 応援出演:竹内力
- 愛情出演:哀川翔
- 円城寺(ラーメン評論家):萩原流行
スタッフ
- 製作者:須崎一夫
- プロデューサー:吉井哲夫、高橋伸行
- 監督:原田昌樹
- 助監督:佐々部清
- 脚本:橋本以蔵
- 擬斗:二家本辰巳
- 制作協力:フィルム・シティ