嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん
小説
著者:入間人間,
出版社:メディアワークス,アスキー・メディアワークス,KADOKAWA,
レーベル:電撃文庫,
巻数:全12巻,
漫画:嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘
作画:佐藤敦紀,
出版社:角川書店,
掲載誌:ヤングエース,
レーベル:カドカワコミックス・エース,
発表期間:2010年9月4日 - 2011年1月10日,
巻数:全1巻,
話数:全5話,
映画
監督:瀬田なつき,
制作:デジタル・フロンティア,
以下はWikipediaより引用
要約
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(うそつきみーくんとこわれたまーちゃん)は、入間人間による日本のライトノベル作品。挿絵は左。電撃文庫より2007年6月から2017年6月まで刊行された。また、『電撃文庫MAGAZINE』(アスキー・メディアワークス)に短編が4度掲載され、それらは短編集(全1巻)に収録されている。略称は「みーまー」。2015年12月の時点で累計発行部数は135万部を記録している。
概要
第1巻「幸せの背景は不幸」の帯では「第十三回の電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作」と紹介されている。「このライトノベルがすごい!」作品部門では2009年版で9位、2010年版で7位を獲得している。
内容はホラー小説に近いが、全編を通じてパロディネタが多用されているのが特徴。投稿時は、主人公の性別が逆であった。登場人物の名前は大半が作者の通学していた大学やその沿線にある愛知県、特に名古屋市の地名や駅名に由来する。また、インタビューにて西尾維新の影響を受けたと答えており、本作は西尾維新の戯言シリーズのオマージュが取り入られている。
表紙はマユの正面、裏表紙はマユの背面が描かれているが帯下にちょっとした仕掛けがあり、カバー裏にも仕掛けが施されている。
作中・あとがき・その他外部において完結は明言されていないが、第6巻のラストは作品の区切りを示唆するものとなっており、著者は2009年1月より新シリーズ『電波女と青春男』の執筆を開始。その後、2009年4月に発売された第7巻のあとがきでシリーズの継続が正式に表明された。
『電撃文庫マガジン』にて実写映画化が発表され、後に実行された(後述)。また、実写映画版と原作を元にした佐藤敦紀作画よるコミカライズ 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘』が製作された。
あらすじ
舞台は、小学生兄妹の失踪事件と連続殺人事件が同時に起きている田舎町。そこでは、8年前にも誘拐事件が起きていた。8年前の被害者である「みーくん」こと「僕」は、「まーちゃん」こと御園マユと再会を果たし、同居を始める。ところが、マユの自宅には、失踪したとされた小学生の兄妹がいた。
登場人物
主要人物
「僕」 / みーくん
声 - 藤原祐規(イメージアルバム) / 演 - 染谷将太
本作の主人公にして語り手。苗字は枝瀬(えせ)、旧姓は天野(あまの)。
下の名は当初は「××」と表記され、本文では明らかにされていなかったが、後に「あい」という名前であることが判明した。
8年前の誘拐事件の被害者。精神科に入院していたためか表向きマユほど症状は見えないが、心に深い傷を負っている。「愛(あい)」という言葉(自分の名前含む)に一種のアレルギーのような過敏な反応をする(この言葉も「××」と表記されている)他、前から抱きつかれることなど、多くのトラウマを抱えている。物心ついたときから父親に虐待されて育ったせいか、厭世的な考え方を身に付けてしまっており、世の中全てを斜に構えて見ている。虐待慣れしているせいか、マゾヒストの気がある。精神が崩壊しているため、感情と切り離して行動することが出来る。また、自虐的な言動も多い。父親は、8年前の誘拐事件の犯人である。
第1巻の時点で高校2年生であるが、ある事情から小学校で留年しており周りの生徒より1歳年上である。なぜか常に美化委員。アマチュア無線部の副部長でもあるが、これは部長を除く唯一の部員であるため。
タイトルの「嘘つきみーくん」の通り「嘘だけど」という言葉を多用し、嘘を吐くのが癖になっている(恋日曰く、「そのくせ嘘が下手」)。この癖のため本心が非常に読み取りにくい。また、ハッタリが大好き。「マユを心の底から愛しており、彼女のためならなんでもできる」というのはもちろん嘘とは本人の弁であるが、実際はマユを甘やかしすぎる傾向にある。
叔父叔母と暮らしていたが、マユと再会を果たして以降は彼女と同棲している。中性的な美形のためか、作中に登場する女性の多くに好かれている一方で同年代の他の生徒達など、8年前の事件を知っている人間の多くに敬遠されがちである。そんな中で、金子が数少ない理解者である。
投身自殺未遂をしたり、殺人鬼と対峙して重傷を負ったりしてもなぜか死なない。本人もどうしてかわからないらしい。蛾、蜜蜂ハッチ、働き蟻など昆虫によく例えられ、自分に対しても「昆虫系」の評価を下している。大江家の事件の際に負った怪我で握力が低下していたが、9巻で犯人に腕を切られてからは、右腕の機能を失っている。
9巻では自分に人の肌を舐める性癖があると自覚。また、相手に舐められることも多くみられる。
10巻では本物のみーくんである菅原と対峙。その際マユによって「本物のみーくん」に選ばれたことで関係は続き、11巻では双子の娘を授かる。
作者の別作品である『電波女と青春男』や『クロクロクロック』にも彼らしき人物が登場している。
『このライトノベルがすごい!』男性キャラクター部門では2009年版で7位、2010年版で4位、2011年版で9位をそれぞれ獲得している。
御園 マユ(みその マユ) / まーちゃん
声 - 伊瀬茉莉也(イメージアルバム) / 演 - 大政絢
本作のヒロイン。みーくんと同じく8年前の誘拐事件の被害者。
タイトルの「壊れたまーちゃん」の通り、事件の影響で精神に異常を来たしている。さらに平衡感覚と遠近感が無く、自転車も乗れない。暗闇に強いトラウマを持ち、室内でも室外でも暗闇で目覚めた時に奇声をあげて錯乱・嘔吐まですることがある。その時は「みーくん」を認識できず暴れ、怪我を負わせてしまうこともあるが、自分の仕業とは思っていない。我に返ると「みーくん」を求め、彼の名前を連呼する。ショックで記憶にズレや障害があり、自分が誘拐犯を殺害し事件を終わらせたことなどを覚えていない。自分を「まーちゃん」と呼ぶ人を「みーくん」と認識する。
昔から、家が資産家で令嬢だったこと、顔立ちが整っている美少女であること、菅原とバカップルだったことから男子にからかわれ、女子からはあまりいい印象を受けてはいなかった。家が裕福というのが理由なのか、作法などは上品だったりする。みーくんと同様、2年生だが周りの生徒より1歳年上である。
「僕」曰く「人の悪意と両想い」。菅原(元みーくん)とは幼馴染で8年前の事件前までバカップルであった。授業中は寝ていることが多い。クラスメイトなど、周囲の人に対しては敬語を使うなど他人を遠ざけている傾向があるが、みーくんにだけは心を開き、彼の前でだけは子供のように立ち振る舞うほど非常に我侭な性格。
かなり嫉妬深く、みーくんの心が自分から離れて他者に向いたり、みーくんが求めるものを与えてくれなかったりすると激昂し暴力を振るうことがある。また、みーくん以外の異性に触れられることや、恋日や病院を極度に嫌う。嘘が嫌いで、みーくんは嘘をつかないと思っている。本心では自ら起こした殺人事件に罪悪感を抱いており、人殺しが一番嫌い。
10巻で対峙する菅原と「僕」を前に、本物のみーくんは「僕」だと告げ、菅原を殺害。「僕」をみーくんに選んだ理由を、「かっこいいから」「優しいから」と言っている。その後、菅原の死体を「僕」と埋めた。11巻では「僕」と結婚し、双子の娘を授かる。
学校の生徒
菅原 道真(すがわら みちざね)
金子(かねこ)
長瀬 透(ながせ とおる)
「僕」の同級生の女子高生。
自分の名前が嫌いで、同じく自分の名前を嫌う「僕」の名前をからかうように呼び、「僕」もそれに対抗したことにより一時期険悪になるが、後に和解する。それから名前を交換する遊びを思いつき、以来、「僕」のことを「透」と呼ぶようになる(しかし「僕」の名前アレルギーは深刻であり、「僕」は彼女を「長瀬」としか呼ばない)。「僕」と交際するようになったが、「僕」が8年前の事件の関係者であったことを知り、疎遠になる。
にもうと(「僕」の妹)とは対照的に不器用で、林檎を剥こうものなら皮以外の新たな赤をつけてしまうという有様。字も日本史のノートにローマ字と思われる日本語が出現するなど壊滅的に下手。
語尾に「- ッス」とつける癖があるが、これは単なる相手とフレンドリーになるため、わざとやっているらしい。一樹という6歳年下の妹がいる。
宗田 義人(そうだ よしひと)
一宮 河名(いちみや かわな)
枇杷島 八事(びわしま やごと)
伏見 柚々(ふしみ ゆゆ)
生徒会所属・アマチュア無線部部長。上半身のある部分がとても豊か。
低音で掠れた自分の声を嫌い、会話は基本的に、手帳に「貯めた」(様々な言葉を事前に正の字を用いてストックし、その言葉を用いるごとにストックを減らしていく)言葉を指して行い、それ以外の会話はほとんどしない。そのため、彼女の声を一度も聞いたことのないクラスメイトがいるほど。その声を認めてくれた「僕」に好意を抱き、様々な事情を抱える彼を肯定している。「僕」に柚々と呼ばれると「ゆ」を連呼して手帳にも「ゆ」を溢れるほど書いてしまうなどの行動をとるなど、錯乱状態になることがある。「僕」とはかつて隣に住んでいた(ただし、互いの家は300メートル以上離れている)こともあり、彼が妹に殴られているのを見ていて、「にもうと」とは面識がある。
3年に進級する前の春休み、海外旅行に行く家族に置いていかれて暇を持て余していたところに、大江家に向かおうとしていた「僕」に出会い、「僕」に同行したため、大江家での事件に巻き込まれることになった。事件の最中も「僕」を信頼し、事件から無事生還した際には「僕」をヒーローとしてより好意を持つようになり成人後も交流を続けている。
稲沢 泰之(いなざわ やすゆき)
海老原 香奈恵(えびはら かなえ)
小学生
池田 浩太(いけだ こうた)
1巻の誘拐事件の被害者。杏子の兄。
トゲがない温厚な少年。気が弱い所も垣間見え、立場的に少し妹に押されているように思えるが、いざという時は身を挺して杏子を守ろうとする。
誘拐事件の際に、「僕」に良くしてもらったことで打ち解け敬意を持つようになった。成人後も妹と共に「僕」との交流を続けている。
「僕」に一樹のことを聞いてから、親しくするようになった。
両親から虐待を受けており、身体にいくつも痣がある。そのため家に帰ることに消極的で、誘拐から解放された時も複雑な表情をしていた。後に杏子をつれて家を出、大江家を出た湯女が住んでいたアパートで暮らし始める。
池田 杏子(いけだ あんず)
演 - 原舞歌
浩太の妹で、誘拐事件の被害者。
浩太とは逆に気が強く大人びているように見えるが、非常に人見知り。出会った当初の「僕」に対してもぶっきらぼうな態度で露骨に警戒していた。
浩太同様みーくんとは次第に打ち解け始め、「僕」を「お兄ちゃん」と呼ぶほどに懐くようになる。バレンタインには「僕」にチョコレートも渡したが、その時聞いた「僕」の携帯番号に後日電話をかけてもなぜか(大江家のトイレで入水中で)通じないため、すねている。
大江一家
大江 貴弘(おおえ たかひろ)
大江 湯女(おおえ ゆな)
大江家・長女。浴衣を着ている。「僕」曰く「自分の女版」で、たびたび「僕」とセリフや反応が重なる。実は幼い頃(登場時の6年前)に誘拐されて大江家の子供として迎えられた。本名は佐内利香(さない りか)。佐内家は経済的に困窮していたらしく、実質的なネグレクトで義務教育もほとんど受けていない。ピアノを嗜んでいる。大江家の事件後、茜と一緒にアパートに引っ越して2人で暮らしている。7巻で僕に代わり「物騙り」をした。上記の通り「僕」に似ている節があり、「僕」と同じく減らず口が多い。「僕」の様に嘘は多用せず、「僕」曰く「要領が良い」とのこと。また、「僕」とは逆にサディストの気が強い。「ええ、本当に」が口癖となっている。偽名として「猫伏景子(ねこぶし けいこ)」、「平針須見(ひらばり すみ)」などがある。僕曰く「紫色の似合う女」。
10巻の数年後のエピローグではピアニストとなっている。「僕」とは交流を続けており、あゆ達とも面識を持つ。
大江 茜(おおえ あかね)
大江 桃花(おおえ とうか)
その他
上社 奈月(かみやしろ なつき)
演 - 田畑智子
刑事。しかし、そうとは思わせない言動や服装(囚人のような横縞服)をしていることが多い。見た目は10代の少女のよう。底無しの胃袋を持つ。
会話の主導権を常に握るようなしゃべり口から、みーくんが苦手としている人の1人である。「僕」は彼女を「ジェロニモさん」(そのほか、大江湯女による呼称も含めて、族長、ジェイコム、J、ジェイソン、ジェファーソン、ジェニファー)と呼ぶ。
「僕」以上に嘘と真実の区別がつきにくい話し方をする。
「僕」とは、昔、監禁事件の際に対面していた。
10巻の数年後のエピソードでも、実年齢より若い容姿は健在の様子。『クロクロクロック』にもらしき人物が登場。
坂下 恋日(さかした こいび)
演 - 鈴木京香
精神科医。一族は医者ばかりだが、精神科医だけいなかったという理由で精神科医になった。
血の気が多いようで時に医者にあるまじき行動を取るが、「僕」の自虐にすぐに反論をしたり精神の治療の曖昧さに対する苛立ちを語ったりと、医者らしい面はきちんと持ち合わせている。しかし、とある出来事がきっかけである日あっさり仕事を辞め、その後は親の収入に頼っている。「僕」からは「ニー日先生」と呼ばれる。
漫画やゲームが好きで、休日には漫画喫茶等に出かけているらしい。また、ゲームのデーターが消えると極端に落ち込む。仕事を辞めてからはほぼゲーム漬けの毎日だったが、奈月には仕事を探してくれと依頼してあるので、働く気はあるらしい。
21歳の妹・恵空(えそら)と20歳の弟がいる。
10巻の数年後のエピソードでは、山名さんとメル友になっているような描写があり、会いませんかという山名さんの誘いを断っていた。また、引きこもりのニート生活は継続しているようである(11巻では「僕」が成人した後もニート生活を続けていることが語られた)。
度会さん(わたらいさん)
にもうと
「僕」の異母妹。名前は「天野 ×音」(×に入る字は作中では表記されていない)。かつて失踪し死んだことにされていたが、実は生きており、母の実家で暮らしていた。血まみれかつバット所持という状態で「僕」の前に姿を見せた。
近所の犬、猫、狸、鯉など色々なものを捕まえ解剖し、焼いて食べるという趣味を持つ。幼少期はよく「僕」に自転車をこがせて山に行き、様々な動物を殺戮していた。ミカンが好きで、ミカンさえ食べていれば生きられるらしい。「僕」はミカンの筋を取る仕事を言い渡されていた。
気が短く、気に入らないことがあると暴力に訴えるため、園内や家族内では煙たがられていた。また、母親である海豚のことは好きで、気に入られようと猫を被っていた。親の愛を受けること無く育ってきたため、生き物を慈しむ心を持たず、人を愛することも知らないが、内心はいつも愛情に飢えている。サディスト。
「僕」のことを「あにーちゃん」と呼んでいる(「働き蟻」と呼んでいたが、あるきっかけで「ありのおにーちゃん」、つまり「あにーちゃん」と呼ぶようになった)。「僕」に好意を抱いているようだが、その感情が妹としてのものなのか1人の少女としてのものなのかは不明。
「僕」の家から失踪した後は母の実家で引き篭って暮らしていたが、深夜に徘徊していたところを枇杷島に遭遇し、8年前の事件の詳細を尋ねた。生き残った人間が母親を殺したと思いマユを母の仇として襲いかかる。この時、母に愛憎相反する複雑な感情を持っていることが明らかになる。
姪のあゆとまいが高校生になった頃には叔母の家でたくさんの犬を飼育しながら暮らしている。
『クロクロクロック』にもらしき人物が登場している。
今池 利基(いまいけ としき)
吹上 有香(ふきがみ ゆか)(7巻)
野並 絵梨奈(のなみ えりな)
久屋 白太(ひさや しろた)
ヤマナさん
浜名 遠江(はまな とおえ)
8年前の誘拐事件後に「僕」が小学4年生に戻った際、同じクラスだった女子。
生まれてから2、3度くらいしか切っていないだろう長髪に、普通以上に整った顔立ちをしている。「僕」を一目で気に入り、独り占めしようとする。イジメのリーダーとなり、彼を孤立させようとしたり、自ら自作自演のイジメをしたりしたが、元から「僕」が1人ぼっちだったということもあり失敗に終わった。『僕に対しての嫌がらせとしか思えない県』に転校していき、それっきり会っていない。
作者の別作品である『電波女と青春男』では「大井遠江」という美容師の女性が登場する。結婚しているらしく、名字は違うが、長い髪やおしゃべりな所は遠江とそっくりだが関連は不明。
叔母さん(おばさん)
花咲 太郎(はなさき たろう)
トウキ
山名 美里(やまな みさと)
自殺志願者で、「僕」が精神病院で会っていたヤマナさんの妹。
「僕」とまーちゃんが滞在したホテルで、「僕」とは二言三言会話した(その時、「僕」は山名さんの関係者だと気づいているような描写があり、美里に笑顔を見せている)。
彼氏が菅原道真に殺害されてから、無気力になり、自殺を考えるようになった。
視力が低いが、あまり多くを見なくてもいいという理由で、そのままにしている。
数多の人間が「目が明るい人間」と言っている。8巻では喪服のような黒服に身を包んでいた。
10巻の数年後のエピローグでは語り手となっている。コンビニで働いており、住んでいるアパートの隣に池田兄妹が住み着く。その際、池田兄妹のことを頼みに来た「僕」と再会し、前に会った時より大人になったと言っている。「僕」に「ヤマナさん」と呼ばれ、自殺した姉の知り合いだと気づく。
枝瀬 あゆ(えせ あゆ)
枝瀬 まい(えせ まい)
8年前の誘拐事件
2人の子供が誘拐され1年近くにわたって監禁、暴行と性的虐待を加えられた。「僕」もマユもこの事件の被害者である。登場人物たちの事件に関連する真相とその後の影響については以下。
「僕」 / 天野 あい
御園 マユ
菅原 道真
実はこの事件で誘拐されたもう1人の被害者であり、現在(第1巻)の連続殺人犯。そして彼こそがいわば本物の「みーくん」。
監禁中、犯人の命令からマユへ暴行を働くようになり彼女から「みーくん」と認識されなくなった。
事件の影響からか当時の記憶をなくしており、回復の兆しもないとのこと。監禁後、学校では3人の中で唯一他の子供達と馴染めており、サッカーをして遊んでいる姿も描かれている。
“同類”(本文によると「目の前に死刑台が聳えようと殺人を厭わず、あるいはどれだけ憎悪に滾る仇であっても気分次第で見逃すような、自身の内にある一定のルールを遵守する人間」)を求めて連続殺人を犯すが、池田兄妹を囮にした「僕」に取り押さえられる。
後に脱走し、9巻では脅迫の電話を僕にしたり、長瀬ら「僕」の知り合いを次々と殺したりするなどの狂気じみた行動をとり、マユを拉致した。10巻ではマユを取り戻すために追ってきた「僕」と直接対峙する。その際に記憶が戻っていることを明かし、マユを取り返しに来たと告げている。しかし、マユによって「こっちのみーくん(「僕」)がいい」と言われ、殺害される。その後、死体は「僕」とマユによって埋められる。
上社 奈月
坂下 恋日
長瀬 透
実は菅原とマユの昔馴染み。マユのことを「まーちゃん」と呼ぶ。
菅原に好意を抱いていたようで、彼を「みーくん」と呼び始めた張本人。しかし後に菅原はマユと仲良くなりそのマユが長瀬にとって特別の呼称「みーくん」を用いることや道真にいつもべったりとくっついていることに嫉妬し、マユを嫌うようになる。
嫉妬心を募らせる毎日で、ある日自分のマユに対する愚痴を優しく聞いてくれるおじさんに懐くようになり菅原とはあまり遊ばなくなる。しかしそのおじさんはマユたちを誘拐した犯人(「僕」の父)だった。
事件後に、自分のせいでマユ達が誘拐されたことを知り、自分が犯人と面識があることを知られるのを恐れ、真相を秘し隠していた。恋人関係を解消しても、「僕」は彼女に複雑な感情を持ち続けた。
「僕」の家族
演 - 鈴木卓爾(父)、山田キヌヲ(義母)
名前は父が「南(みなみ)」、実母が「美沙(みさ)」、兄が「司馬(しば)」、義母が「海豚(いるか)」、妹が「×音(××ね)」。
父親は日常的に暴力を振るう人だが、それを表に出すことはしなかった。「みーくん」の「嘘だけど」は家の中での彼と、お客さんに向けての彼を重ねて心の中で「嘘だけど」と入れていたことから始まった。
義母はいつも帽子を被っており(家の中でも被っていることがあった。季節によって種類は豊富)、ネグレクトで妹にも素っ気無い態度だった。少々知恵の足りない淡白な人で、年齢の割には子供のような言動をする。また、常識が全然ない。
兄は小さい頃から髪を金髪にしており、本ばかり読んでいた。妹と義母を嫌っており、話したことがない。特に妹との仲は最悪で、暴力の仕返しに解体された動物の死骸を部屋に放り込まれたり、本を破かれたりしていた。体育館で投身自殺を果たす。
事件より前に実母は父によって殺害され、兄も既に他界している他、妹も行方不明であった(再会するまでは死んでいると思われていた)。
この誘拐事件の犯人が「南」であるが、上述の通りマユの両親、義母と共にマユに殺害された。みーくんの「前から抱きつかれること」「名前を呼ばれること」のトラウマは、錯乱したまーちゃんが「僕」に襲い掛かった際、海豚が前から庇い、彼を助けた理由を「×とかじゃなくてごめんね」と呟きながら死んだことが原因している。
制作背景
第13回電撃小説大賞に本作の元になった小説が応募されたものの、作風が猟奇的すぎると判断されて最終選考で落選する。しかし、KADOKAWAの編集者・三木一馬がこの作風に才能を感じ、これを世に出すことが「なんでもあり」の電撃文庫に相応しいと考えたこともあって、後に改題した本作が刊行されることとなった。原稿は電撃小説大賞の応募時点で既に完成度が高く、殆ど手入れを行うことがなかったが、唯一「みーくん」の性別を女性から男性に変更した。これについて三木は以下のように述べている。
既刊一覧
小説・本編
- 入間人間(著) / 左(イラスト) 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』 メディアワークス→アスキー・メディアワークス→KADOKAWA〈電撃文庫〉、全11巻
- 「幸せの背景は不幸」2007年6月25日初版発行(6月10日発売)、ISBN 978-4-8402-3879-3
- 「完全版」2023年3月23日発売、ISBN 978-4-04-914759-9 ※メディアワークス文庫
- 「善意の指針は悪意」2007年9月25日初版発行(9月10日発売)、ISBN 978-4-8402-3972-1
- 「死の礎は生」2007年12月25日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-8402-4125-0
- 「絆の支柱は欲望」2008年4月10日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-867012-8
- 「欲望の主柱は絆」2008年5月10日初版発行(同日発売)、 ISBN 978-4-04-867059-3
- 「嘘の価値は真実」2008年9月10日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-867212-2
- 「死後の影響は生前」2009年4月10日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-867759-2
- 「日常の価値は非凡」2009年9月10日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-868008-0
- 「始まりの未来は終わり」2010年1月10日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-868272-5
- 「終わりの終わりは始まり」2011年1月6日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-870230-0
- 「××の彼方は愛」2017年6月9日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-892948-6
- 「完全版」2023年3月23日発売、ISBN 978-4-04-914759-9 ※メディアワークス文庫
小説・短編集
- 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 『i』 記憶の形成は作為』 アスキー・メディアワークス〈電撃文庫〉、2009年6月10日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-867844-5
小説・その他
- 『みーくんとまーちゃんの××の生活。』 2011年1月22日発売、電撃劇場文庫
- 実写映画公開を記念し、劇場(一部アニメショップでも取り扱われた)で発売。ケータイサイト「ちょく読み」で連載した『僕ことみーくんが綴る、まーちゃんの日記』とイメージアルバムに付属した『幻想の在処は現実』を収録。
- 実写映画公開を記念し、劇場(一部アニメショップでも取り扱われた)で発売。ケータイサイト「ちょく読み」で連載した『僕ことみーくんが綴る、まーちゃんの日記』とイメージアルバムに付属した『幻想の在処は現実』を収録。
漫画
- 入間人間(原作) / 佐藤敦紀(漫画) / 左(キャラクター原案) 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘』 角川書店〈カドカワコミックス・エース〉、2011年1月10日初版発行(1月7日発売)、ISBN 978-4-04-715614-2
イメージアルバム
Voltage of Imaginationより発売。bermei.inazawaが楽曲を手掛けている。
存在の正しさは不在
幻想の在処は現実
実写映画
2011年1月22日に角川映画で公開の実写映画。監督は瀬田なつきで、今作がメジャー映画デビュー作となる。主演は大政絢。電撃マガジンにて実写映画化が発表された。
原作の世界観をそのまま映像化すると映倫のレイティング対象になることから、ラッシュ試写以前の脚本の段階から映倫と相談しながら撮影を進め、結果「G指定」となり年齢制限を回避した。
スタッフ
- 監督 - 瀬田なつき
- 原作 - 入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(電撃文庫刊)
- キャラクター原案 - 左
- 脚本 - 田中幸子、瀬田なつき
- 製作 - 椎名保、高野潔
- 製作統括 - 土川勉、阿佐美弘恭、鈴木一智、細野義朗
- プロデューサー - 小林剛、清水俊
- 撮影 - 月永雄太
- 録音 - 岩丸恒
- 美術 - 黒川通利
- 編集 - 山田佑介
- 音楽 - 木下美紗都
- 音楽プロデューサー - 和田亨
- VFXスーパーバイザー - 前川英章
- ライン・プロデューサー - 久保田傑
- 助監督 - 菊地健雄
- 製作 - 「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」製作委員会(角川映画、NTTドコモ、アスキー・メディアワークス、スターダスト音楽出版)
- 製作プロダクション - デジタル・フロンティア
- 配給 - 角川映画
主題歌
- 主題歌「サヨナラブ」
- 挿入歌「ルージュの伝言」
- 歌 - 柴咲コウ
- 歌 - 柴咲コウ
スピンオフムービー
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん episode.0 回遊と誘拐』は、2010年12月10日より映像配信サービス『Movie Gate』で先行配信され、2011年1月28日にDVDが発売予定のスピンオフ作品。収録時間は19分。2人が再会する直前の物語で、入間人間自身が書き下ろした映画プレストーリー。封入特典として書き下ろし小説2編「回遊と誘拐」と「ある殺し屋の見逃したもの」を同梱。映像特典として染谷将太初監督作品の短編『episode.0.38あの子とパーマ』も収録。
スタッフ (ep0)
- 監督 - 菊池健雄
- 原作 - 入間人間
- 脚本 - 瀬田なつき
- 販売元 - 角川映画
主題歌 (ep0)
- 「MUSIC」
- 歌 - 高橋瞳
歌 - 高橋瞳
関連商品
- DVD 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん episode.0 回遊と誘拐(KADOKAWA/角川書店、2011年1月28日発売、DABA-0779)
- DVD 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(KADOKAWA/角川書店、2011年7月8日、DABA-4042)
朗読PV
YouTubeの公式電撃文庫チャンネルにおいて、電撃文庫の作品の一部を声優が朗読する企画「電撃文庫朗読してみた」として白石晴香の朗読が配信。
参考文献
- 『このライトノベルがすごい!』編集部『このライトノベルがすごい!2009』宝島社、2008年12月6日。ISBN 978-4-7966-6695-4。
- 『このライトノベルがすごい!』編集部『このライトノベルがすごい!2010』宝島社、2009年12月5日。ISBN 978-4-7966-7490-4。
- 『このライトノベルがすごい!』編集部『このライトノベルがすごい!2011』宝島社、2010年12月3日。ISBN 978-4-7966-7963-3。