地底国の怪人
舞台:地下,
以下はWikipediaより引用
要約
『地底国の怪人』(ちていこくのかいじん)は、1948年に手塚治虫が発表した漫画作品。本項では、リメイク作品である『アバンチュール21』も含めて解説する。
概要
『地底国の怪人』は、1947年に発表された『新宝島』『火星博士』に続く、手塚治虫の長編漫画単行本第3作目である。ただし手塚自身は、前2作が太平洋戦争以前の古い漫画様式を引きずっているとして、本作品を「いわゆるストーリー漫画の第一作」と位置づけている。この作品は、発売当時の漫画作品一般には見られなかった、「主人公級の登場人物が死亡する」というアンハッピーエンドの要素を取り入れたとして話題になった。本来の作品タイトルは、ベルンハルト・ケラーマン(英語版)の小説『トンネル(英語版)』にちなんだ「トンネル」であったが、出版社側の要望によって現在の題名に変更され、「トンネル」は副題として記載されるに留まった。ただし、後に手塚がまとめたスター名鑑の中では、本作品で商業デビューしたハム・エッグのデビュー作は「地底国の怪人」ではなく「トンネル」と記されている。
なお、本作品は2度リメイクされている。1951年に学習研究社の『四年の学習』・『五年の学習』で連載された『地球トンネル』、および1970年に『少年少女新聞』で連載された『アバンチュール21』である。このうち『地球トンネル』は、『手塚治虫漫画全集』をふくめ単行本化されていなかったが、2020年11月に888ブックスより発刊の『手塚治虫コミックストリップス』で初の単行本化となった。
地底国の怪人
あらすじ
飛行機事故で父親を亡くしたジョン少年は、安全な乗り物を新たに造ろうと誓い、地球を貫通したトンネルの中を走る「ロケット列車」を設計。彼の助手となったウサギの耳男とともにロケット列車に乗り、トンネルを掘っていくが、地底で遭難してしまう。列車工場のビル工場長はジョンの救助に向かうが、途中で「地底人」の襲撃を受け捕虜となった。地上人を憎む地底国の女王は、救助隊のひとりハム・エッグ技師長を宝石で買収し、地上攻撃のための手下とする。一方ジョンと耳男は独自に地底国へたどり着き、ビルたちを救出して地上へ逃げ帰った。
地上へ帰還したジョンたちを、ハム・エッグ率いるテロ組織が襲う。戦いの中、耳男の判断ミスでロケット列車の設計図は奪われ、ジョンは腹を立てて耳男を追い出す。これを機に地底国との全面対決を決めたジョンは、大学から派遣されたという少女技師ミミーや警察と協力してハム一味に逆襲し、彼が女王と密談する秘密基地を攻めた。女王はハムを見捨てて逃走するが、謎の少年に阻まれ死亡する。設計図を取り戻し、ロケット列車2号を完成させたジョンは、ビルやミミーと再度の地底探検に挑むが、溶岩流に巻き込まれてしまう。ジョンたちが倒れた中でミミーはひとり列車を運転し、トンネルを貫通させるが、高熱で大やけどを負ってしまった。病院にミミーを見舞ったジョンは、ミミー、そして女王を倒した謎の少年が耳男の変装だったことを知る。ジョンの謝罪と感謝の言葉を聞きながら、耳男は息を引き取る。
登場人物
ジョン
耳男(みみお)
ビル
ハム・エッグ
女王
ラムネ・ソーダ・カルピス
アバンチュール21
あらすじ
最新型旅客機「ルナパーク1号」の事故で両親を失った少年、西谷イサミは、ルナパークの設計者サリバンと出会い、彼の設計する「ルナパーク3号」が飛行機ではなく、地底を進む地球貫通列車であることを知る。ルナパーク3号は革新的な乗り物だったが、それゆえに批判も多く、サリバンを殺してでも開発を止めようとする勢力が存在していた。その危険を知りながらもイサミはルナパーク3号のテストパイロットに志願する。改造手術を受けたウサギの耳男を含む6名のメンバーが試運転に乗り込むが、出発後しばらくしてからサリバンからの通信で「メンバーの中に敵のスパイがいる」との情報が伝えられる。疑惑を抱えたまま、6人の乗り込んだルナパーク3号は不可思議な地底世界を突き進んでいくことになった。
登場人物
西谷イサミ
耳男
サリバン
カーラ
ハム・エッグ
ナヒム
ヘルマン
フランケンシュタイン博士
サユリ
単行本
地底国の怪人
- 『地底国の怪人(不二書房)』(1948年)全1巻
- 冒険活劇大ロマン『地底国の怪人・魔法屋敷(桃源社)』(1975年)全1巻
- 手塚治虫漫画全集『地底国の怪人(講談社)』(1982年)全1巻
- 小学館叢書『手塚治虫初期傑作集1』小学館(1990年)全1巻
- 角川文庫手塚治虫初期傑作集『地底国の怪人(角川書店)』(1994年)全1巻
- 虫の標本箱『地底国の怪人』(ふゅーじょんぷろだくと)(1998年)全1巻
- 手塚治虫文庫全集 『地底国の怪人 魔法屋敷(講談社)』(2010年)全1巻
アバンチュール21
- 手塚治虫漫画全集『アバンチュール21(講談社)』(1980年)全1巻
- 秋田文庫『アバンチュール21(秋田書店)』(1996年)全1巻
- サンデーコミックス『アバンチュール21(秋田書店)』(1999年)全1巻
- 手塚治虫文庫全集『アバンチュール21(講談社)』(2011年)全1巻