地球を呑む
舞台:高度経済成長期の日本,
以下はWikipediaより引用
要約
『地球を呑む』(ちきゅうをのむ)は、手塚治虫執筆の大人向け漫画である。
『ビッグコミック』(小学館)の創刊号である1968年4月号(2月29日発売)から1969年7月25日号に連載された。
概要
手塚治虫の大人向けサスペンス漫画。同時期に連載していた『上を下へのジレッタ』のナンセンスタッチとは異なる画風となっている。
長編であることは雑誌編集部からの要求であったが、他の作家が読切短編を依頼されたのに対し、手塚への依頼が長編であったことに手塚は戸惑い、不満も抱いている。その戸惑いと不満は現実のものとなり、連載中盤に主人公の関五本松が登場しない話がいくつか挿入されており、試行錯誤の跡が見られる。また、手塚治虫自身も「中だるみして、物語も広がり過ぎて収拾がつかなくなった」とコメントを残している。
しかし、文芸評論家の加藤弘一は、13章のマクローイ家の贋家族のエピソードを「短編としても傑作」と評すると共に、「まとまりのなさが最大の魅力」と評している。
あらすじ
1942年8月、ガダルカナル島へ出征した日本兵・安達原鬼太郎、関一本松の二人は捕虜から脱走したアメリカ兵を処刑するも、死に際のアメリカ兵から「これを拝んで、お前たちも気が狂え」と写真を渡される。2人はそこに写る謎の美女の虜となるも、「ゼフィルス」という女の名以外の詳細はわからずじまいであった。
それから20年後、大企業の社長となった安達原は取引先から「ゼフィルス」を名乗る写真と同じ美女が来日してホテルに滞在しているという知らせを聞き、その日暮らし生活を送る一本松に彼の息子で性欲以上に酒を愛し、地球を呑みつぶすという野望を持つ男・五本松にゼフィルスを調査させる。五本松はゼフィルスの滞在するホテルを訪れ、次いでゼフィルスの住処であるという太平洋の孤島「マムウ共和国」を訪れる。
実はゼフィルスは母親と同じ名前を名乗り、絶世の美女の姿の人工皮膚を纏った7人姉妹であったのだ。ゼフィルス達には亡き母の遺言に従い、「お金を滅ぼす」、「世界中の道徳や法律を混乱させる」、「男へ復讐する」という野望を抱いていた。
ゼフィルス達の末妹・ミルダは日本に滞在した際に、他の男と異なりゼフィルスに惑わされない五本松に出会ったことで惹かれてしまい、その愛ゆえに姉達を裏切り、私刑を受けかけたところを逃れ、日本へ向かう。
しかし、その間にもゼフィルスの計画は進んでおり、自分達が発明した精緻な人工皮膚を安達原の企業を介して世界市場に流通させる。これによって世界各地で人工皮膚を使って他人に成りすました犯罪の横行、それによる検挙率の低下が起き、更にマムウ共和国の古代遺跡に秘蔵されていた金塊を無差別にばらまいたことによる貨幣経済の崩壊が起きる。
これによる大混乱の中、やがて世界は物々交換を基本とする原始的な社会体制へと退行して行く。
登場人物
関五本松
ミルダ
アセチレン・ランプ
ゼフィルス
モンテ・クリトス
安達原鬼太郎
ハワード・H・ブリード
安達原ナナ
大泉京介
チャーリィ・マクローイ
マクローイ家の人々
ヘンリー・オネガー
野末風太郎
単行本
- 手塚治虫全集『地球を呑む』(小学館)全3巻
- COMコミックス増刊『地球を呑む』(虫プロ商事)全2巻
- 小学館文庫『地球を呑む』(小学館)全2巻
- 手塚治虫漫画全集『地球を呑む』(講談社)全2巻
- 小学館叢書『地球を呑む』(小学館)全1巻
- 手塚治虫文庫全集『地球を呑む』(講談社)全1巻