夏期限定トロピカルパフェ事件
題材:夏,
以下はWikipediaより引用
要約
『夏期限定トロピカルパフェ事件』(かきげんていトロピカルパフェじけん)は2006年に創元推理文庫から刊行された米澤穂信の推理小説。
概要
〈小市民〉シリーズの第二弾。前作より時系列が1年経過し、小市民を目指す主人公・常悟朗と小佐内の高校2年の夏休みの出来事が描かれ、この2作目で小鳩・小山内コンビの転換期を迎える。この事に関し著者は「“小市民”のモットーは自意識過剰で思い上がりであることを書かないわけにはいかない」と語っている。
『ミステリーズ! 』vol.13,14に順次掲載された短編2つを各章として組み込む形で収録し、前作同様に連作短編形式でありながらも、各一編が一つの章となった長編作としても構成されている。
あらすじ
中学の苦い思い出から「小市民」になることを共通の目的を掲げた常悟朗と小佐内が船戸高校に入学してから1年経った高校2年の夏休み。小佐内とは互恵関係でありながらあくまで関係は学校内に終始していた常悟朗だったが、突如小佐内に誘われ、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉と称して地図と共にリストされた菓子店巡りをすることに。だが、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉を制覇しようとする中、健吾が私事で追っていた不良グループに小佐内が誘拐される事件が発生してしまう。
序章 まるで綿菓子のよう
第一章 シャルロットだけはぼくのもの
〈小佐内スイーツセレクション・夏〉に誘われた翌日、家から出られなくなった小佐内に第10位〈ジェフベック〉のマンゴープリン2つとシャルロット4つを買うように頼まれた常悟朗。シャルロットは店にある3つしか買えなかったものの、お使いを済ませ小佐内のマンションを訪れた常悟朗は、小佐内が電話で席を外している間、彼女に2つ分けようと考えていたシャルロットに手をつけるが、シャルロットの予想外の美味しさに驚嘆する。シャルロットをもう一つ食べたいと欲した常悟朗は、小佐内にシャルロットが最初から2つしかなかったと思わせるため、自分が3つ目のシャルロットを食べた痕跡の隠滅を図り、自ら人知れず小佐内との駆け引きを仕掛けてくる。
第二章 シェイク・ハーフ
シャルロットの1件以降、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉に付き合わざるを得なくなった常悟朗は、「フローズンすいか」を提供する第7位〈ベリーベリー三夜通り店〉で待ち合わせる前に寄った駅前のハンバーガーショップで健吾と出会う。健吾は川俣かすみという後輩の女性の頼みで、不良グループに引き込まれた船戸高生の姉を抜けさせるため、そのグループを見張っていた。途中、二手に別れたグループを追おうと席を立った健吾は常悟朗にしばらく見張りを頼み何かあったときの連絡先を記したメモを残す。しかしメモには「半」の字だけしか書かれていなかった。
第三章 激辛大盛
第四章 おいで、キャンディーをあげる
終章 スイート・メモリー
結末
一連の誘拐(正確には略取)事件、それまでにおける夏休み中の小佐内の偶然と結論付けるには不自然な行動から、常悟朗は小佐内が自身の誘拐を事前に予期していたことを導き出す。その対策として、自分がどこに連れ去られても常悟朗が助けられるように仕向ける手段こそが〈小佐内スイーツセレクション・夏〉だった。だが、解かれたと思われた小佐内の行動の真意が腑に落ちず、さらに「小佐内を信じ」て考えた常悟朗は、グループ内にいた小佐内の内通者の存在に気づき、内通者によって事件を搖動したと推理する。しかし、小佐内がその推理を訂正して見えた真相は、内通者が川俣さなえであること、石和ら不良グループは誘拐こそしたものの、身代金目的に仕立てたのはさなえを利用した小佐内だったということだった。
小山内が石和らの罪状ランクアップ案を採ったのは復讐以外にも、自分に危害を加えようとする石和を遠ざけたいという恐怖からだった。常悟朗が真相を知った事を境に「小市民」を目指している自分達の現状が嘘だと突き付けられる形となった常悟朗と小佐内は、方法論として一緒に行動することに限界を感じ、2人は互恵関係を解消することとなった。
登場人物
堂島 健吾
石和 馳美()