天界の殺戮
以下はWikipediaより引用
要約
『天界の殺戮』(てんかいのさつりく、英:Anvil of Stars)はアメリカの作家グレッグ・ベアによるSF小説。『天空の劫火』の続編 。1993年にWarner Booksによって最初に出版された。邦訳は1994年10月20日に早川書房から上下分割で出版された。翻訳は岡部宏之、カバーイラストは加藤直之、解説は小川隆が担当した。
概要
小説では、破壊されたばかりの地球の生存者の中から選ばれた少年少女達が、《保護者》と呼ばれる正体を隠した異星種族の支援を受け、地球を破壊した機械を創り出した文明の《殺戮者》を探し出し破壊する旅に出る。《保護者》の法律では「自己複製殺戮機械の製造に関連したすべての知性の破壊」が求められていた。物語は前作『天空の劫火』の主要登場人物であったアーサー・ゴードンの息子のマーティン・ゴードンの視点で書かれている。マーティンはパンと呼ばれるリーダーを務めており、道徳的な重責を背負うことになる。しかし、彼の次にリーダーの任を継いだハンスは、復讐の《仕事》を終えることをためらわなかった 。
プロット
小説にはいくつかのテーマが織り交ぜられている。1つは正義のコストである。地球を滅ぼした種族(および後に明らかになる他の種族)を殺戮することは、単純な復讐のかたちかもしれない。自己複製殺戮機械を創り出した種族《殺戮者》は、膨大な技術的リソースに加えて、恐ろしい生命の盾を創り出し備えていた。《殺戮者》は何百もの知性ある種族を生み出し、惑星に住まわせ、その星系は息をのむような複雑さと美しさの文化が絡み合っていた。殺戮という名の正義の執行は、かつて殺戮された惑星の子供たちに委ねられる。
リヴァイアサン星系が破壊されると、《殺戮者》は実際にはまだ星系内に身を隠しており、他の種族を滅ぼすために自己複製機械の艦隊を製造し続けていたことが明らかになる。しかし、《殺戮者》が破壊され、正義の執行が果たされたために、無実の可能性が高かった何兆もの生命達は死ななければならなかった。乗組員の若者達は、彼らの仕事が完了したという安心感と、自分たちの行いは《殺戮者》たちとほとんど異なるところがないという罪悪感の間で引き裂かれたままになっていた。
登場人物
地球人の子ども達
地球の生存者たちの中から選ばれた子ども達。船内の文化はピーター・パンに基づいており、子ども達は自らをウェンディ(少女)、ロストボーイ(少年)、パン(リーダー)と呼んでいる。《保護者》達のテクノロジーによって病にかかることや妊娠することがない。
マーティン・ゴードン
異星人
レッド・ツリー・ランナー
ブラザー/クミヒモ/ヒモ
人類と同じく自己複製殺戮機械によって故郷を奪われたヒモ型の群体知性種族。70cmほどの蛇のような個体が10〜20体ほど組み合わさって1つの群体を構成する。群体は長さが2〜5m、太さが50〜100cmほど。匂いと音声を使ったコミュニケーションを行う。子ども達は構成要素である個体をヒモ、構成された群体をクミヒモ、種族名をブラザーと名付けた。個体のヒモは雄にも雌にもなるが、群体のクミヒモには性別はない。クミヒモを構成するヒモの個体はいつも同じだが、数日ごとに各クミヒモが2匹のヒモを出資して同意形成者を組み立てる。それぞれの記憶を持つ同意形成者が意思決定を行い、元のクミヒモに戻ることで決定を還元する。びっくりしたりショックを受けたりするとほどけてバラバラになってしまうためクミヒモ達はヒモ達を入れる袋を携帯している。整数を使わず、無理数を基準とした数学体系を持つ。クミヒモ達はバイオリンやホルンのような楽器のように、構成要素の隙間から空気を吹き出し、脚を摩擦させて音声を作る。クミヒモの隙間で空気を振動させ群体知性であるため地球人の言葉を使う時は「わたしわれわれ」「われわれわれわれ」「わたしわれわれわたしじしん」など自身と集団を兼ねる独特な人称代名詞を使う。
設定
《法律の船》
《銀河法典》
モメラス
その他
《法律の船》内部におけるネーミングの由来。
男の子:ロストボーイ(ピーター・パンに登場する少年)
リーダー:パン(ピーター・パン)
副官:クリストファー・ロビン(クマのプーさんに登場する少年)
ドーントレダー号:ドーン・トレッダー号(英語版)(ナルニア国物語に登場する船)