天竺熱風録
以下はWikipediaより引用
要約
『天竺熱風録』(てんじくねっぷうろく)は、田中芳樹による歴史小説。小説を原作として伊藤勢によって漫画化されており、こちらも本項で取り扱う。
中国(唐)から天竺(インド・摩伽陀国(ヴァルダナ朝))へ3回(一説では4回)にわたり外交使節として渡航した実在の人物・王玄策が行った貞観21年(647年)からの2回目の天竺行きを主題とした小説。王玄策を始め、登場人物は『旧唐書』や『新唐書』といった史書の中に名前を見出すことはできるが、詳細は記述されておらず、人となりなどは田中の創作によるところが大きい。
あとがきで田中が述べているところによれば、講談を擬した文体を地の文に採用しており、各章の終わりなどは「次回をお読みください」といったような文になっている。これは、中国の明や清時代の章回小説(演義参照)の体であり、現代日本語に翻訳した文体を模したものとなっている。
伊藤勢の作画で漫画版が『ヤングアニマル』(白泉社)に2016年18号(同年9月9日発売)から2019年12号(同年6月14日発売)まで全50話連載。連載第1回の扉絵キャッチコピーは「こんな人物が、本当にいたのか」。
あらすじ
貞観21年、唐朝の第2代皇帝の命を受け、王玄策を正使に蒋師仁を副使とした遣天竺使節が出発した。
吐蕃、泥婆羅(リッチャヴィ朝)を経て摩伽陀へ入った一行だったが、唐に使節を送ってきた戒日王ハルシャ・ヴァルダナは既に亡くなっており、ティラブクティ王アルジュナが王位を簒奪していた。アルジュナは兵を出して、一行を捕らえてしまう。王玄策と蒋師仁は部下を牢に残し脱獄すると、泥婆羅へと援軍を求めた。泥婆羅のアムシュヴァルマン王は自身の思惑もあって、王玄策に泥婆羅騎兵7000を授ける。別件で泥婆羅に派兵されていた吐蕃兵1200もこれに加わる。
王玄策と蒋師仁は泥婆羅騎兵、吐蕃兵の力を借り、7万の摩伽陀兵を破り、アルジュナとその妻子を捕らえた。
主な登場人物
王玄策
遣天竺使節
彼岸法師
智岸法師
天竺
摩伽陀(マガダ)
アルジュナ(中国語版)
那羅延娑婆寐(ナーラーヤナ・スヴァーミン)
200歳を自称する老バラモン。玄策たちが入れられた牢に後から入れられてきた胡散臭いジジイで、バラモン神官団に讒訴されたというが、牢番に贋金を渡して融通を利かせたり奇術で相手を騙すなどかなりのナマグサ。達磨の師匠を自認する(達磨は仏教僧なので破門したとのこと)。経典を否定し、玄奘三蔵をただの収集家と評したため、彼岸とは仲が悪い。
天竺を出て、中華の地に赴く願望があり、玄策と師仁が牢を脱する際に自身が万が一に備えて用意していた抜け穴を提供する。その後、元々微罪だったこともあって半月ほどで釈放されるが、どうやったのか王城に潜り込んでアルジュナの前に引き出された玄廓を保護した。唐に渡ってからは長生の秘薬を種に庇護を得るが、太宗の存命中には間に合わず、跡を継いだ高宗皇帝にはまともに相手にされなかった。10年経っても矍鑠としているが、まったく漢語を覚えようとしなかったため、登城する際には玄策が付き合わされている。
漫画版では玄策たちより先に牢に入れられていた。多少怪しいが漢語を操る。玄廓を保護した際、一見して分からないレベルの変装をしていたほか、アルダナリーシュバラに幻力(マーヤー)による妨害をした際には「第3の目」が開いていた。10年後には三蔵のもとを訪れては遠慮のない喧嘩をする関係となっている(義岸いわく「師父がムキになる相手はあの方くらい」)。
ヤスミナ
アナング・プジャリ
漫画版に登場する隠密・暗殺集団。元々はアーリア人に支配される以前の信仰が混合した祭祀集団だったが、一部のバラモン勢力と繋がり暗殺などを行うようになった。特殊な薬物や近親婚を繰り返した影響で常ならざる容姿と能力を持つ者たちも存在する。
アルダナリーシュバラ
チャンダ・ムンダ
ヴァンダカ
泥婆羅
書誌情報
- 新潮社、2004年、ISBN 978-4-10-471001-0
- ノン・ノベル(祥伝社)、2007年、ISBN 978-4-396-20825-7
- 表紙画は藤田和日郎、解説は加藤徹
- 祥伝社文庫(祥伝社)、2011年、ISBN 978-4-396-33682-0
- 表紙画は藤田和日郎、解説は辻村深月
表紙画は藤田和日郎、解説は加藤徹
表紙画は藤田和日郎、解説は辻村深月
漫画版
関連書誌