女皇の帝国
以下はWikipediaより引用
要約
『女皇の帝国』(じょこうのていこく)は、吉田親司によって2007年から2010年にかけて書かれた架空戦記シリーズ。「ソ連による日本占領」という事態を軸に、皇室の内親王をヒロインに据えて描いた作品。編集部から原案を提示され執筆が開始された。
あらすじ
列強の野心と欲望が世界のルールとして通用していた20世紀。極東の国・大日本帝国は、1941年12月8日のソ連軍侵攻により本土を占領されてしまった。
日本を統べる王となったスターリンは日本支配を盤石なものとするため、ヨーロッパを歴訪していた桃園宮那子内親王の確保を命じた。彼女は、未知のウイルス・新黒死病が猛威を振るったカリフォルニア・シンドロームにおいて活躍し、その名声は日本はもとより世界中に轟いていた。そんな彼女を野放しにしておけば、必ず厄介な存在になるとスターリンは考えたのだ。
迫り来る追手イワン・チェロメイの追跡を振り切った那子は、脱出に成功した残存艦隊と共にハワイに赴き、同盟国であるアメリカの支援を得ようとした。しかし、カリフォルニア・シンドロームによって疲弊していたアメリカにはソ連に対抗出来る力はなく、那子たちを厄介者として追い払った。
しかし、スターリンは日米を一度に葬れる機会を見逃さず、大規模な空母部隊をハワイに派遣し真珠湾を奇襲攻撃した。ここに至りアメリカは覚悟を決め、日本と連合してソ連と戦う道を選ぶ。そして那子は連合軍総司令官として、祖国奪還を果たすべく戦場に立った。
登場人物
大日本帝国
桃園宮 那子内親王(とうえんのみや なこないしんのう)
年齢 - 15歳→16歳
階級 - 海軍少佐→海軍元帥
本作のヒロイン。皇室の内親王。カリフォルニア・シンドロームの際に現地で支援活動を行い、その功績によって1939年にノーベル平和賞を受賞しており、海外から絶大な人気を得ている。
外国に嫁ぐことを想定した教育を受けたため諸外国の言語に精通しており、通訳なしで会話が可能。また、空を飛ぶことが好きで、特にオートジャイロ〈海兎〉を気に入っている。小太刀の達人であり、名刀・雌雄之海馬を常に持ち歩いている。会話をする際は常に雅言葉だが、親しい人といる時や興奮状態にある時には素の言葉遣いになってしまう。花札が得意で、かなりの腕前。好奇心旺盛なため突拍子もない行動に出ることが多々あり、周囲の大人たちを心配させることがしばしばある。
皇室に生を受けた者としての責任と義務を感じ、常に国民を想い無私の精神で行動しているが、幼い年齢のためその重責に押し潰されそうになることもある。
自身の許に集まった各国の艦隊を束ね、多国籍合同艦隊の司令長官として祖国を取り戻すため陣頭に立ち、ソ連軍との戦いの指揮を執る。
東雲 薫子(しののめ かおるこ)
東山 紀彦(ひがしやま のりひこ)
黛 治夫(まゆずみ はるお)
山本 五十六(やまもと いそろく)
石原 承太郎(いしはら じょうたろう)
光文天皇 / 乃美宮 聖仁(こうぶんてんのう / のみのみや きよひと)
鎚宮 那由仁親王(つちのみや なゆひとしんのう)
ソビエト連邦
ヨゼフ・スターリン
階級 - 海軍大将
極東コミンテルン議長兼日本解放軍総司令官。モスクワ政界での権力闘争に敗れ政治将校に転身し、海軍を掌握した。特に拠点である太平洋艦隊は「スターリンの私兵部隊」とまで呼ばれている。
冷酷かつ無慈悲な性格で、部下を使い捨ての駒としか見ておらず、利用価値が無くなれば即座に処刑する。そのため、取り巻きはスターリンの顔色を窺うイエスマンばかりになってしまい、戦況の実態が掴めていない。自身がモスクワ政界から快く思われていないことを自覚しており、理由を付けて粛清しようとする党中央の追及を逃れるための保身術にも長けている。
レーニン死後のモスクワ政界に返り咲くことを狙い、点数稼ぎとして日本侵略の総指揮官となる。"粘菌13号"の無差別散布をちらつかせ恐怖支配を敷いている。
イワン・チェロメイ
階級 - 海軍中佐→海軍大佐
NKGBに所属する政治将校で、スターリンの側近。那子の身柄を確保するためイスタンブールに派遣される。
上に媚びへつらい、下には権威を笠に着て傲慢に振る舞う俗物。自身の身を守るために実行不可能な命令を下し兵士を無駄死にさせ、かつ部下の手柄を横取りし出世の糧とする人間であり、那子やアスランを始め、彼と接した人物の大半から侮蔑の感情を向けられている。その一方、実行部隊の指揮官として那子の捕獲に赴いたり、艦隊司令として前線に出撃するなど行動力はあるが、それに実績が伴うことは皆無である。
スターリンの後釜として日本の占領総督となり、それを足掛かりにモスクワ政界での地位を望むなど、スターリン同様に実力以上の見返りを求める野心家である。また、万が一を考え自身に責任が及ばないように保険を掛けるなど、保身術に長けている点も共通している。
数々の失態からスターリンの信用を失い、厄介払い同然にアスラン配下の太平洋解放艦隊統合参謀長に任命される。アスランのことを「先祖の七光り」と軽蔑しており、アスランを出し抜いて出世街道に舞い戻ろうと戦艦〈ツングースカ〉に乗り込み那子の命を狙う。
アスラン・ロジェストヴェンスキー
ライサ・ココツェフ
リリー・リトヴァク
波木 小桜(なみき こざくら)
南雲 忠一(なぐも ちゅういち)
アレクセイ・サロマーテン
ウラジミール・レーニン
アメリカ合衆国
ウィリアム・F・ハルゼー
矢追 淳一郎(やおい じゅんいちろう)
日本海軍嘱託の米国派遣技術交流団専任技師長としてアメリカに滞在しているマッド・サイエンティスト。医学博士号と工学博士号を持っており、10年間アメリカの大学院を渡り歩いていた。自身を天才と称し、「思考回路は600万ドルに値する」と公言している。滞在期間が長いため、アメリカの裏表に精通しており、様々なコネクションを持っている。〈Hシップ〉計画の総責任者だが、各兵器産業の開発にも参加しており、アメリカに技術提供を行っている。
カリフォルニア・シンドロームの際には医療チームの一員として救助活動に参加しており、那子とは面識がある。男色が趣味であり、東雲には良い顔をされていないが、「他人に強制したことは一度もない」と言い全く気にしていない。多国籍合同艦隊を兵器面でサポートしている。
ハズバンド・E・キンメル
ハワード・H・ベンソン
トーマス・F・マンテル
ジョセフ・E・ポインデクスター
アンナ・エレノア・ルーズベルト
大英帝国
ラドスラフ・ディーデック
トルコ共和国
その他
ヘンリー・J・カイザー
ジュディ・ガーランド
登場兵器
大日本帝国
〈海兎〉
海軍の偵察機として運用されている。安全性に優れていることから、那子の専用機として皇宮警察が採用している。
〈星兎〉
〈銀河〉
皇室所属の艦艇のため、乗組員の大半は皇宮警察の職員である。
〈草薙剣(レッドアーク)〉/〈八咫鏡(ホワイトアーク)〉/〈八尺瓊勾玉(ブルーアーク)〉
艦内の移動は艦内列車とスケートで行う。
ユニコーン
サイクロプス
ソビエト連邦
T27
ツポレフTB-3
ヤコブレフYak-1A
イリューシンl-2T
ペトリヤコフPe-8M
〈ミンスク〉
〈モロトフ〉
〈ピチカ〉
〈ダルニッツァ〉
〈ツングースカ〉
オルノーリョク
スターリン・チーグル
アメリカ合衆国
F0J
B23"ドラゴン"
マーチンPB2M"マーズ"
フライング・パンケーキ(極光)
サンダーバード(雷神)
ファランクス
大英帝国
〈プリンス・オブ・ウェールズ〉
トルコ共和国
〈ヤウズ・セリム〉
〈エルトゥール〉
戦後を睨んだチャーチルによって、金貨1枚でトルコ政府に売却された。
用語
新黒死病
低温に弱く、三週間摂氏5℃以下で冷やすと発症しないことが判明している。
カリフォリニア・シンドローム
また、日本が積極的に支援を行い、日米関係の改善に繋がった。支援に参加した那子が世界的に注目を集めることにもなった。
"粘菌13号"
『奇蹟の翼』
那子を世界的に有名にした作品であるが、日本人の那子をアメリカ人が演じている点や、劇中のアメリカ政府の対応が現実よりも美化されている点などから、矢追には「駄作」「政治利用の好例」と酷評されている。
エルトゥール号事件
アラスカ共和国事件
この事件を機に、当時アメリカを仮想敵国と見なしていた日本がソ連に接近。技術提供などを行い、日ソの蜜月関係を築く契機となった。
満州事変
柳条湖事件後に、極東ソ連軍が満州に侵攻。関東軍を駆逐し満州全土を制圧。1931年11月1日に傀儡国家・満州社会主義人民共和国が建国された。この事件を機に、日ソの蜜月関係は終焉を迎えた。
新3・1運動
この事件により、日本は大陸における権益を全て失うことになった。
ソウルの春事件
これを機に1937年8月9日、ソ連軍が軍事介入し朝鮮全土を制圧。反対派の大虐殺を行い、武装解除を強制した。
ペトログラード条約機構
新まやかし戦争(ニュー・フォニー・ウォー)
月作戦(オペレーション・ムーン)
極東平和創造空港
第三ヴラジヴォストーク市
ハワイ沖海戦の敗北により、モスクワから東京に査問委員団が派遣されることを聞いたスターリンが「"東京"が無くなれば査問されない」と考え改名した。
官僚国家・ソ連では書類の文面が絶対であるため、この名称変更により査問委員団の派遣は中止された。
名称のモデルは第3新東京市。ちなみに、第二ヴラジヴォストーク市は釜山。
スターリン・ライン
イスタンブール・コミューン
大東京革命臨時政府
〈Hシップ〉計画
"ナコ・シスターズ"
K部隊
東京48時間戦争
備考
- 本作は編集部から提示された原案を基に執筆されたが、提示された原案の内容が、あまりにも過激かつ不穏当なものであったため、作者による大幅な改編が行われ、「ソ連軍による日本占領」という部分以外は全て変更されている。
- 桃園宮那子と矢追淳一郎は、原案の時点で既に設定されていた。
- 作者は「皇室」「内親王」という存在を書くにあたり、実在の皇族と人物像が被らないように配慮したと語っている。
- 当初、編集部の意向で「日本」国号の使用が禁止され、別の名称が提案されたが、作者の強い反対により、「日本」国号の使用が認められた。
書籍
- 女皇の帝国 内親王那子様の聖戦 (2007年6月15日発行) ISBN 978-4584179512
- 女皇の帝国 内親王那子様の聖戦2 (2008年3月1日発行) ISBN 978-4584179543
- 女皇の帝国 内親王那子様の聖戦3 (2008年9月1日発行) ISBN 978-4584179574
- 女皇の帝国 内親王那子様の聖戦4 (2009年12月1日発行) ISBN 978-4584179659
- 女皇の帝国 内親王那子様の聖戦5 (2010年4月1日発行) ISBN 978-4584179673
- 女皇の帝国 内親王那子様の聖戦6 (2010年8月1日発行) ISBN 978-4584179697